業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における当社グループを取り巻く外部環境は、期初より新型コロナウイルスワクチンの効果により経済は回復傾向にありましたが、第3四半期に入ってロシアのウクライナ軍事侵攻により想定以上にインフレが加速し、その抑制のために欧米が大幅な金利引き上げを実施したことで景気後退懸念が強まりました。

このような状況から、当社グループの主力取扱製品価格に影響を及ぼす銅価格は、高値圏で強含みに推移していたものの第3四半期以降、中国の不動産市況の悪化やゼロコロナ政策の影響、主要中央銀行の金融引き締め、ロシア制裁によるエネルギー価格の高騰等により急落し、ロンドン金属取引所銅3か月先物価格で2020年11月13日以来の安値(6,955ドル)をつけました。一方で期中平均円ベースCash価格では高値圏で推移していたこともあり前年度比25.8%高となりました。

また、販売数量はインゴットが堅調に推移し前年度比18.2%増加、スクラップは横ばいで推移したことにより全体では7.5%の増加となりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は891億2百万円(前連結会計年度比43.6%増)、営業利益8億62百万円(同73.0%減)、経常利益9億36百万円(同55.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は5億47百万円(同59.6%減)となりました。

セグメントの業績は次のとおりであります。

(非鉄金属事業)

非鉄金属事業の主力取扱製品に影響を与えるロンドン金属取引所銅期中平均円ベースCash価格が前年度比25.8%高く推移したことやインゴット、スクラップの販売量も前年度比7.5%増加したことから当連結会計年度の売上高は887億28百万円(前連結会計年度比43.8%増)となりました。

品目別では、インゴット売上高は275億63百万円(前連結会計年度比60.0%増)、スクラップ売上高は610億22百万円(同37.5%増)、その他売上高は1億42百万円(同9.3%増)となりました。

(美術工芸事業)

美術工芸事業は、コロナ禍から緩やかな回復基調は見られるものの完全回復には至らず、当連結会計年度の売上高は3億74百万円(前連結会計年度比11.9%増)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は7億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ6億30百万円減少いたしました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は20億68百万円(前年は39億2百万円の支出)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益8億45百万円、棚卸資産の減少2億9百万円などの収入に対し、売上債権の増加7億27百万円、前渡金の増加6億47百万円、未収消費税等の増加8億1百万円、法人税等の支払11億27百万円などの支出が発生したことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果支出した資金は3億43百万円(前年は31百万円の収入)となりました。これは主に定期預金の払戻による収入10億4百万円に対し、定期預金の預入による支出11億4百万円、有形固定資産の取得1億98百万円などの支出が発生したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は16億66百万円(前年は38億29百万円の収入)となりました。これは主に短期借入金の純増額19億円、長期借入金の借入15億円の収入に対し、長期借入金の返済14億84百万円、配当金の支払2億48百万円の支出が発生したことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

品目別

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

  至 2022年8月31日)

前年同期比(%)

非鉄金属事業(千円)

インゴット

26,510,076

143.3

(注)1.金額は販売価格によっております。

2.スクラップについては、選別、プレスといった加工作業を主としており、生産実績がないため記載を省略しております。

3.美術工芸事業については、記載を省略しております。

 

b.受注実績

非鉄金属事業は受注生産と見込生産を併用しており、両者を明確に区別することが困難であること、また、非鉄金属相場等の市況は日々変動し期末日時点における受注高及び受注残高を合理的に算定することが困難であることから、記載を省略しております。

また、美術工芸事業については、受注生産と見込生産の明確な区分が困難であることから、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

  至 2022年8月31日)

前年同期比(%)

非鉄金属事業(千円)

88,728,438

143.8

美術工芸事業(千円)

374,247

111.9

合計(千円)

89,102,685

143.6

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2020年9月1日

  至 2021年8月31日)

当連結会計年度

(自 2021年9月1日

  至 2022年8月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

住友金属鉱山株式会社

14,164,512

22.8

16,649,926

18.7

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社グループの当連結会計年度の経営成績は、期初より新型コロナウイルスワクチンの効果により経済は回復傾向にありましたが、第3四半期に入ってロシアのウクライナ軍事侵攻により想定以上にインフレが加速し、その抑制のために欧米が大幅な金利引き上げを実施したことで景気後退懸念が強まったことから、売上高は891億2百万円(前年度比43.6%増)、売上総利益25億73百万円(同43.8%減)、売上総利益率は2.9%(同4.5ポイント減少)と、売上高は前年を上回ったものの、利益面では大きく前年を下回りました。また、販売費及び一般管理費は24.0%増となったことから営業利益8億62百万円(同73.0%減)、経常利益9億36百万円(同55.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益5億47百万円(同59.6%減)となりました。

 

 

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、インゴット売上高は275億63百万円(前連結会計年度比60.0%増)、スクラップ売上高は610億22百万円(同37.5%増)、美術工芸事業売上高は3億74百万円(同11.9%増)、その他売上高は1億42百万円(同9.3%増)となり、売上高合計では891億2百万円(同43.6%増)となりました。

主な変動要因は、次のとおりであります。

非鉄金属事業では、インゴット売上高につきましては、造船関連並びに給水設備関連は受注環境の改善から販売数量増加に加え、販売価格上昇の影響で大きく増収となったため、全体では前年度比60.0%の増収となりました。また、スクラップにつきましては、上物は銅管関連などの受注環境は増加、製錬会社向け故銅は横ばいにて推移したことや販売価格上昇の影響から売上高は前年度比37.5%の増収となりました。

一方、美術工芸事業では、コロナ禍から緩やかな回復基調は見られるものの完全回復には至らず、売上高は前年度比11.9%の増収となりました。

(売上総利益)

売上総利益は、非鉄金属事業では、銅相場は期初より高値圏で強含みに推移していたものの第3四半期以降で中国の不動産市況の悪化やゼロコロナ政策の影響、主要中央銀行の金融引き締め、ロシア制裁によるエネルギー価格の高騰等により急落し減益となりました。一方、美術工芸事業では、利益率が改善したため増益となりましたが、非鉄金属事業の減益影響が大きく、前年度比43.8%減の25億73百万円と大幅減益となり、売上総利益率も2.9%(同4.5ポイント減少)と大幅に悪化いたしました。

(営業利益)

売上総利益の大幅悪化並びに販売費及び一般管理費が17億11百万円(前年度比24.0%増)と増加したことにより、営業利益8億62百万円(同73.0%減)と大幅に悪化いたしました。

(営業外収益及び費用)

営業外収益は、受取配当金11百万円、為替差益1億33百万円、デリバティブ運用益57百万円等により2億13百万円(前年度比317.0%増)となりました。

一方、営業外費用は、支払利息1億24百万円(前年度比68.0%増)、その他14百万円の発生により1億38百万円(同88.0%減)となりました。

(経常利益)

営業利益に営業外収益及び費用を加減し、9億36百万円の経常利益(前年度比55.3%減)となりました。

(法人税、住民税及び事業税、法人税等調整額)

課税所得の減少により、法人税、住民税及び事業税は2億55百万円(前年度比67.5%減)、法人税等調整額は43百万円(前年度は△43百万円)となり、税金費用は2億98百万円(前年度比59.8%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5億47百万円(前年度比59.6%減)となりました。

 

目標とする経営指標について

当社グループは、企業価値の向上及び財務体質の強化を図るため、自己資本比率、自己資本利益率、有利子負債比率を重要な経営指標としております。

今期の実績は、下表の通りとなりました。

経営指標

前連結会計年度

(2021年8月31日)

当連結会計年度

(2022年8月31日)

前年同期比

自己資本比率

36.7%

35.8%

0.9%

自己資本利益率

16.7%

6.1%

10.6%

有利子負債比率

132.3%

147.8%

15.5%

 

②経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク(4) 非鉄金属相場、為替相場の変動等」に記載のとおり、当社グループの取扱い品目が、日々の非鉄金属相場や為替相場の影響を強く受けるため、これら二つの市場の相場変動により大きな影響を受ける可能性があります。

 

③資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの資金調達としては、運転資金に関しては、手許資金(利益等の内部留保金)及び長期借入金による調達を基本とし、不足が生じる場合には調達コストも考慮し、短期借入金による調達で賄っております。設備資金に関しては、手許流動性資金を勘案の上、不足が生じる場合には、長期借入金による調達で賄っております。ただし、設備資金の不足が生じる期間が短期間である場合には、短期借入金による調達で賄っております。

長期資金の調達に際しては、金利動向を注視し、株式の発行に関しては、資本政策に基づき、株式価値の希薄化や配当金の負担等を考慮して実施しております。

資金の流動性については、利益の確保に加え、棚卸資産管理及び売掛債権の管理を行うことにより、営業活動によるキャッシュ・フローの安定的確保に努めております。

 

④財政状態の分析

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は224億89百万円となり、前連結会計年度末に比べ18億70百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、現金及び預金が5億30百万円減少した一方で、売上債権が8億64百万円、前渡金が6億47百万円、未収消費税等が8億1百万円増加したことによるものであります。固定資産は32億35百万円となり、前連結会計年度末に比べ2億14百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、有形固定資産が1億51百万円増加したことによるものであります。

この結果、総資産は257億25百万円となり、前連結会計年度末に比べ20億84百万円増加いたしました。

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は139億61百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億11百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、未払法人税等が7億51百万円減少した一方で、短期借入金が21億29百万円増加したことによるものであります。固定負債は25億44百万円となり、前連結会計年度末に比べ35百万円増加いたしました。

この結果、負債合計は165億6百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億47百万円増加いたしました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は92億18百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億37百万円増加いたしました。その主な要因といたしましては、利益剰余金が2億98百万円、その他有価証券評価差額金が1億37百万円増加したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は35.8%(前連結会計年度末は36.7%)となりました。

 

⑤キャッシュ・フローの状況の分析

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により使用した資金20億68百万円及び投資活動により使用した資金3億43百万円を財務活動により獲得した資金16億66百万円で賄った結果、前連結会計年度末に比べ6億30百万円減少し、当連結会計年度末の資金残高は7億70百万円となりました。なお、各キャッシュ・フローの増減要因につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑥重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められている会計基準に従って作成されております。当社グループは、連結財務諸表の作成に際し、連結決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務の開示並びに連結会計期間における収益・費用の決算数値に影響を与える見積りを、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づいて行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、当社グループは、特に以下の重要な会計方針に関して、使用される当社グループの重要な判断、見積りが当社グループの連結財務諸表の作成において大きな影響を及ぼすと考えております。

 

a.棚卸資産の評価減

当社グループは、棚卸資産の市場需要に基づく将来の消費見込み又は販売見込み並びに市場状況に基づく時価の見積額を測定し、棚卸資産が将来に獲得可能なキャッシュ・フローを見積り、必要な評価減を計上しております。具体的には製品及び原材料等の評価は非鉄金属相場等で変動する直近月の平均販売単価や平均再調達単価等を時価とした評価を実施しており、実際の市場における将来需要又は時価が当社グループの見積りより悪化した場合、期末に計上した評価減を超える損失が発生する可能性があります。

 

b.有形固定資産及び無形固定資産の減損

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、主として事業部門単位をもとに資産のグルーピングを決定しております。営業損益が継続してマイナスであるなどの減損の兆候が見られた資産グループについて、割引前将来キャッシュ・フローの見積額が帳簿価額を下回り、減損損失を認識すべきと判断された場合、当該損失額を特別損失として計上します。資産グループの回収可能額は正味売却価額と使用価値のいずれか高い方の金額を採用しており、正味売却価額は主に不動産鑑定評価額により算定し、使用価値は将来キャッシュ・フローの現在価値に基づいて算定しております。減損損失の判定を行う事業単位において、損益状況の悪化や事業内容の変化によって減損処理が必要となる状況が生じた場合には、減損損失の計上が必要となる可能性があります。

 

c.繰延税金資産の回収可能性

当社グループは、繰延税金資産の計上にあたり、将来の利益計画に基づいた課税所得の十分性やタックスプランニングの存在の有無などにより繰延税金資産の回収可能性を判断しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

 

新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、第5「経理の状況」(追加情報)に記載のとおりであります。

 

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