課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

当社グループは、「皆様のお役に立つ企業」「存在感のある企業」として「挑戦」「創造」「貢献」を経営方針としております。当社グループは、金属資源のリサイクルを通じて低炭素化社会・循環型社会の実現に向け、社会的、環境的、倫理的付加価値の創造を行うことによって、社会的責任を果たせる企業グループを目指します。

 

(2) 経営戦略等

当社グループは、非鉄金属事業につきましては、非鉄金属のリサイクルをコアビジネスとして競争力の強化を図るべく業務体制の変革を行ってまいります。世界的な資源需要の増大、価格の上昇等による資源に対する意識の高まり、また、自然環境の破壊や汚染等による環境への意識の高まりから循環型社会や脱炭素化社会の実現が志向されている今日、当社グループの事業環境は中長期的に見て良好であることが予想されます。しかしながら、短期的には、世界経済の変動や非鉄金属の需給関係により、当社グループの事業環境は大きく影響を受けることから、当社グループとしては、弾力的な政策運営を行うとともに、常に、将来を見据えた最適事業ポートフォリオの確立を目指した施策を実行してまいります。

美術工芸事業に関しましては、長期的に安定的利益を確保できるように、企画提案力、製造技術力のより一層の強化を図ってまいります。

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、企業価値の向上及び財務体質の強化を図るため、具体的な数値目標は設定しておりませんが、自己資本比率、自己資本利益率、有利子負債比率を重要な経営指標としております。

 

(4) 経営環境

ようやくコロナ禍から抜け出ようとしていた矢先に、ロシアがウクライナに侵攻したことでエネルギーや金属などの商品価格が急騰、元々インフレ傾向が強かったところにさらに物価上昇圧力が強まり、先進主要国中心に景気よりインフレ重視の政策がとられ、また、中国でもゼロコロナ政策継続の動きから世界経済は減速への動きとなっています。

ウクライナ情勢による民主主義と専制主義の対立(欧米対中国・ロシア)、エネルギー等商品価格の上昇により景気より物価対策としての主要中央銀行の高金利政策とドル高など、不確定が要因多く各市場のボラティリティーも高まり先行き不透明感が非常に強くなっております。

・二極化

 先進国と新興国による経済格差拡大や業種間格差拡大と資源、原材料の供給制約

 先進国の金融引締めによる新興国債務の負担増加やインフレと食糧危機

・欧米対中露対立激化による安全保障上の問題

 世界の二極化と地政学リスクの増大(台湾・ウクライナ等)

 ポピュリズムの拡大

・脱炭素化社会、SDGsなど持続可能な社会の実現

 Reduce(リデュース)、Reuse(リユース)、Recycle(リサイクル)の拡大

 経済のグリーン化によるエネルギー問題や原材料価格への影響

このように当社グループを取り巻く経営環境は、アフターコロナもしくはウィズコロナへと変化してきているなか、様々な分野での影響を受けております。当社グループにおいても社会的使命を果たしながら、以下の課題を克服することによって当社グループの企業としての価値を高めて行きたいと考えております。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

①優秀な人材の確保

当社グループは、非鉄金属スクラップを世界及び日本全国から集荷し、それを原材料として各種インゴットを製造し販売している事業と、集荷したスクラップを選別・加工し販売する事業を主に行っており、あらゆる産業分野の基幹素材としての幅広いニーズに応えております。近年の多種多様な合金開発、市況の変化や営業戦略の多様化など当社グループを取り巻く環境の変化に迅速に対応していくためには、海外営業や商品市場取引等に精通した人材確保が必要であります。

そのために、採用制度の多様化を図り、中途採用と新卒採用の併用を行いながら、入社後の研修制度の整備をはじめとして、人材育成制度の強化を行います。また、公平な人事制度の確立を目指すとともに、魅力ある職場作りの一環として福利厚生制度の充実も図っていきます。

②海外市場への進出

我が国においては、長期間にわたった円高や電力問題等から工場の海外移転が進み、加えて、少子高齢化の進行で、銅スクラップ市場の今後の大きな拡大が見込めない環境となっております。

一方、新興国をはじめとした海外では、今後の成長が期待できる市場が数多くあり、当社グループの成長には、海外戦略が重要であると考えております。

以上のことから、当社グループでは、まず2012年7月に世界最大の市場である米国に当社初の海外拠点を設立し、2014年8月には東南アジアの拠点としてタイで現地企業との合弁会社を設立いたしました。今後は、米国現地法人及びタイ合弁会社の業務拡大を図るとともに、海外での営業基盤を構築し業容拡大を目指してまいります。

③リスク管理体制の強化

当社グループの取り扱っている製・商品は、非鉄金属相場や為替相場等市場の変動に大きく影響を受けます。特に、近年の新興国等のインフラ整備拡大の影響による非鉄金属需要の増大に加え、主要国金融政策の変化に伴う投機資金の流出入もあって、非鉄金属価格や為替相場の変動率は高まっております。また海外需要の高まりや、国内でのスクラップの発生量及び流通量が減少傾向にあることで輸出入取引も増加傾向が見込まれます。

このように、当社を取り巻く状況は大きく変化してきており、特に市場リスクの管理が重要になっております。

このため、ロンドン金属取引所(LME)や為替取引等、ヘッジ手段の多様化、情報収集能力の強化を図り、また市場関連知識を持った人材の採用や育成を行うことによって、市場リスクの管理能力を高めていきます。

また、海外子会社及び海外関連会社を有していることから、海外拠点の管理体制の整備、強化も行っていきます。

④事業分野の拡大

当社グループは、銅系商品を中心とした製品を中心に事業展開を行っておりますが、更なる業容拡大のためには、銅系以外の分野の強化が必要であります。

そのために、銅系以外の分野に強い人材の育成や当該分野に強い業者との関係強化が必要です。

現状、必要知識の修得や銅系以外の集荷を重点項目として営業活動を行っており、今後も銅系以外の分野の取扱量の拡大を目指します。

また、美術工芸事業では、販路拡大のためキャラクター商品を用いた金製品の開発をはじめとした企画型営業に取り組み、企画から製造引き渡しまでの一貫体制をとっております。精密鋳造技術による原型に忠実な再現力と金工技術による最終仕上げの完成度の高さやEC取引を活用してビジネスチャンスの拡大に努めております。当社グループ全体における美術工芸事業のシェアは非常に小さいものではありますが、今後も、市場・顧客に対し存在感のある製品を提供し、更なる事業拡大に努めていく予定です。

⑤新型コロナウイルス感染症影響

新型コロナウイルス感染拡大はワクチン接種効果と変異株出現で一進一退の動きながら、各国の経済政策効果により落ち着きを取り戻してきております。しかしながら、コロナ禍に対する抜本的な解決策はでておらず、また、社会的距離の確保・移動制限などによる社会構造、産業構造の変化による我々を取り巻く外部環境は大きく変わってきているため、その影響は大きくなっております。

今後、新型コロナウイルスの影響を回避すべく対策を実施し、取引先や従業員の安全を最優先にして事業活動を行っていく予定です。

 

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