当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の実施により社会経済活動や個人消費等への影響があったものの、ワクチン接種が進んだことで段階的な回復に向けた動きが見られるようになりました。しかしながら、ウクライナ情勢等による不透明感がみられる中で、原材料価格の上昇や金融資本市場の変動、供給面での制約等により、景気の先行きは依然として厳しい状況となっております。
医療業界におきましては、増加し続ける医療費を背景に医療制度改革が実施されております。2022年4月の診療報酬改定では、新型コロナウイルス感染症等にも対応できる効率的・効果的で質の高い医療提供体制の構築や安心・安全で質の高い医療の実現のための医師等の働き方改革等の推進が重点課題として掲げられております。そのため、医療機関においては、更なる経営の合理化・効率化に向けた取組みが行われており、納入業者に対する値下げ要請や大学系列病院・グループ系列病院等で商品の集約化や価格の統一化の動きはますます強まってきております。また、特定保険医療材料の保険償還価格の改定の影響を受け、当社グループの主力商品である薬剤溶出型ステント、PTCAバルーンカテーテル、ペースメーカ等の販売価格が下落しております。
当社グループといたしましては、顧客が持つ課題解決に向けた付加価値の高い提案を行うことで、既存顧客の深耕と新規顧客の獲得に努めました。当連結会計年度の業績につきましては、主力の虚血性心疾患関連、心臓律動管理関連、心臓血管外科関連の販売数量が伸長した他、新型コロナウイルス感染症対策関連機器等の販売により医療機器関連の売上が伸長したこと等により、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりとなりました。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ1,377,140千円増加し、41,564,997千円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ793,572千円増加し、19,843,091千円となりました。
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べ583,567千円増加し、21,721,905千円となりました。
当連結会計年度の売上高は66,391,940千円(前期比6.9%増)、経常利益は2,765,086千円(前期比22.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失にシステム開発方針の変更に伴う固定資産除却損(110,597千円)を計上したこと等により、1,831,893千円(前期比18.9%増)となりました。
分類別の業績は以下のとおりであります。
(当連結会計年度より、「大型医療機器関連」と従来「その他」に分類していた中小型機器を合わせて「医療機器関連」としております。そのため、以下の前連結会計年度比較につきましては、前連結会計年度実績値を変更後の分類に組み替えて行っております。)
・虚血性心疾患関連
顧客の課題解決に向けた付加価値の高い提案を行うことで、既存顧客の深耕と新規顧客の獲得に努めました。この結果、主力商品であるPTCAバルーンカテーテルや薬剤溶出型ステント(DES)、血管内超音波(IVUS)診断カテーテルの販売数量が伸長したこと等により、虚血性心疾患関連の売上高は 17,167,149千円(前期比7.4%増)となりました。
・心臓律動管理関連
既存顧客の深耕と新規顧客の獲得に注力するため、人員の増強を図り営業活動を強化しました。この結果、不整脈の治療で使用するEPアブレーション関連商品やペースメーカの販売数量が伸長したこと等により、心臓律動管理関連の売上高は 16,961,318千円(前期比3.7%増)となりました。
・心臓血管外科関連
経カテーテル的大動脈弁留置術(TAVI)やステントグラフト関連商品の販売数量が伸長したこと等により、心臓血管外科関連の売上高は 9,816,674千円(前期比13.2%増)となりました。
・末梢血管疾患関連及び脳外科関連
経皮的シャント拡張術で使用するPTAバルーンカテーテルや脳外科関連商品の販売数量が伸長したこと等により、末梢血管疾患関連及び脳外科関連の売上高は 6,624,734千円(前期比7.1%増)となりました。
医療施設の新築・増改築及び医療機器の更新情報収集を早期に行い、地域の市場動向に沿った設備投資の提案を行った他、新型コロナウイルス感染症対策関連機器の販売等により、医療機器関連の売上高は 7,537,077千円(前期比3.2%増)となりました。
循環器領域以外の診療科に対する営業活動を強化し、顧客医療機関における当社グループの取扱商品の拡大を図りました。この結果、消化器関連や糖尿病関連の販売数量が伸長したこと等により、その他の売上高は 8,284,987千円(前期比8.5%増)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末に比べ1,549,182千円減少し、10,572,870千円となりました。
(現金及び預金の期末残高)
主な要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、純粋な営業活動によって得られた収入が3,213,216千円あった一方、法人税等を592,513千円支払ったこと等により2,622,058千円の収入(前期は1,850,516千円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が2,758,956千円あったこと等により2,894,928千円の支出(前期は1,276,728千円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、前期の配当金976,080千円を支払ったことや、自己株式の取得による支出が298,075千円あったこと等により1,276,312千円の支出(前期は947,371千円の支出)となりました。
当社グループは卸売業であり生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
仕入実績は次のとおりであります。なお、当社グループは医療機器販売事業の単一セグメントであります。
受注実績は次のとおりであります。なお、当社グループは医療機器販売事業の単一セグメントであります。
(注) 1.当社グループにおける受注による販売は、医療施設工事のみでありますので、上記には当該金額を記載しております。
2.上記の金額は販売価格によっております。
販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループは医療機器販売事業の単一セグメントであります。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。
その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し総合的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況」に記載しておりますが、次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に影響を及ぼすと考えております。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が会計上の見積りに与える影響に関する情報は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(追加情報)」に記載のとおりです。
当社グループの商品販売については、顧客によって受領が確認された時点で商品の支配が移転し、履行義務が充足されると判断したため、当該履行義務の充足時点で収益を認識しております。また、工事契約については、一定の期間にわたり支配が移転し、履行義務が充足されると判断したため、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を認識することとしております。
当社グループは、債権の貸倒による損失に備えるため、一般債権については、貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を勘案し、回収不能見込額を計上しております。将来、顧客の財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
当社グループの保有している株式は、時価のあるものは株式市場の価格変動リスクを負っていること、時価のないものは出資先の財政状況等が悪化する可能性があること等から、合理的な基準に基づいて有価証券の減損処理を行っております。この基準に伴い、将来、有価証券評価損を計上する可能性があります。
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するので、その見積り額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
当連結会計年度の業績につきましては、主力の虚血性心疾患関連、心臓律動管理関連、心臓血管外科関連の販売数量が伸長した他、新型コロナウイルス感染症対策関連機器等の販売により医療機器関連の売上が伸長いたしました。この結果、売上高は66,391,940千円(前期比6.9%増)、経常利益は2,765,086千円(前期比22.0%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失にシステム開発方針の変更に伴う固定資産除却損(110,597千円)を計上したこと等により、1,831,893千円(前期比18.9%増)となりました。
今後の見通しにつきましては、2022年4月に診療報酬改定が行われ、当社グループの主要取扱商品である特定保険医療材料の償還価格が引き下げられたことにより、2023年3月期は販売単価が下落することが見込まれます。このような状況において、当社グループといたしましては、顧客が持つ課題解決に向けた提案型の営業活動を一層強化し、既存顧客の深耕と新規顧客の獲得を目指してまいります。
(資産)
流動資産は前連結会計年度末に比べ1,248,541千円減少し、34,745,828千円となりました。これは主に、電子記録債権が384,878千円増加した一方、現金及び預金が1,549,182千円減少したこと等によるものであります。
固定資産は前連結会計年度末に比べ2,625,681千円増加し、6,819,169千円となりました。これは主に、土地が1,818,535千円、建設仮勘定が835,341千円増加したこと等によるものであります。
この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ1,377,140千円増加し、41,564,997千円となりました。
(負債)
流動負債は前連結会計年度末に比べ737,916千円増加し、18,698,560千円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が76,308千円減少した一方、未払法人税等が317,801千円、電子記録債務が295,896千円増加したこと等によるものであります。
固定負債は前連結会計年度末に比べ55,656千円増加し、1,144,531千円となりました。これは主に、退職給付に係る負債が55,656千円増加したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ793,572千円増加し、19,843,091千円となりました。
(純資産)
純資産は前連結会計年度末に比べ583,567千円増加し、21,721,905千円となりました。これは主に、利益剰余金が855,813千円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
(キャッシュ・フロー関連指標)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1.いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式を除く)により算出しております。
3.キャッシュ・フロー対有利子負債比率につきましては、有利子負債がないため記載しておりません。
4.インタレスト・カバレッジ・レシオにつきましては、利払がないため記載しておりません。
当連結会計年度末における現金及び預金は15,572,870千円となりました。重要な設備の新設は、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載のとおりであり、資金需要については、通常の運転資金のみとなります。運転資金は上記の自己資金で賄うことを基本とし、必要に応じて当座貸越契約等を利用する方針であります。
なお、今後、グループの成長のために発生する資金需要につきましては、資本市場での調達を含め最適な手法を適宜選択してまいります。
当社グループが属する医療機器販売業界は、償還価格の改定や、顧客である医療機関のコスト意識高揚等に伴い、販売単価が下落傾向にあることから、効率的な経営を行うことが重要課題となっております。そのため当社グループは、ROE(自己資本利益率)を重要視しております。当連結会計年度は8.5%となりましたが、中期的には15.0%以上を目標にしております。
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