①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国の経済は、長期化する新型コロナウイルスの感染拡大による外出自粛要請や飲食店等の営業自粛等により経済活動が制限され、旅行業や飲食業を中心に大きな打撃を受けました。特に新型コロナウイルスの影響による在宅需要の追い風を受けた業種と、移動の制限や時短営業等のあおりを受けた業種との二極化が鮮明となりました。
また、新型コロナウイルスの感染収束に向けて政府や自治体が主導しワクチンの大規模接種会場の設置や職域接種などの推進に取り組んでいるものの、依然として経済活動の先行き不透明な状況は続いております。
ホームセンター業界におきましても、新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、ライフスタイルの変化に伴う在宅需要、テレワーク需要を取り込み、ペット・レジャー、ガーデン・ファーム、インテリア・リビングなどの商品グループを中心に業績を下支えする状況が続いております。
このような経営環境下、当社は、今年度の基本方針「エッセンシャルワークを、全ての人が支える」のもと「『必要必在』と『生活提案』で地域社会の喜びと夢を共創する」をミッションに掲げ、国内No.1の「Living Space Innovator」企業を目指し取り組みを強化してまいりました。
それらの取り組みの一つとして、中核事業の競争力を強化すべくグループ内の組織再編を行い、3月に非連結子会社であった株式会社ジョイフルアスレティッククラブの株式の一部をスポーツクラブ「ゴールドジム」を運営する株式会社THINKフィットネスに譲渡し、株式会社ジョイフルアスレティッククラブの収益改善とホームセンター事業とのシナジー効果の一層の創出を図りました。
また、4月には同じく非連結子会社の株式会社ジョイフル車検・タイヤセンターの全株式を、自動車整備事業等を展開する株式会社オートバックスセブンへ譲渡し、同社とのアライアンス体制の検討とともにお客様にご提供する新たな付加価値の創出と競争力のある店舗開発・運営を通じた当社の企業価値の向上に努めております。
さらに中核事業の強化の一環として潜在マーケットの開拓・深耕にも注力し、「職人の店」をコンセプトに工具、金物、作業服等のプロユースに対応する専門店として事業展開している「本田屋」を2店舗出店いたしました。昨年9月に2号店として「本田屋 船橋夏見台店」を千葉県船橋市に、今年3月には3号店として「本田屋 柏豊四季店」を千葉県柏市にそれぞれ出店しております。今後も当社のホームセンターとも連携して地域ドミナント化を図りながら、千葉県下に限定することなくプロ需要の多い地域への出店を継続してまいります。
営業面の強化におきましては、高付加価値商品の推奨販売や、商品グループ・部門をまたいだ関連商品販売など売場・売り方の見直しを図りました。また、販促面においてInstagram、LINE、TwitterなどのSNSを通してお得なイベント情報等を随時配信し集客を強化するとともに、売場においてもホームセンター15店舗にデジタルサイネージを設置しホームページ・SNS等と連動した販促強化を図りました。
店舗におけるオペレーション改革では、業務効率化により総労働時間数が減少したほか、デジタル広告へのシフトなど販促媒体を見直すことにより広告宣伝費が減少しました。また、決算棚卸業務の効率化のため新たにスマートフォンを利用した棚卸システムを導入し棚卸期間を2日間から1日に短縮することで営業日数を確保したほか、棚卸の実務をペーパーレス対応にすることにより事務管理負担が軽減しコスト削減にもつながりました。
また、ESGに関する取り組みとしては、1月には犬猫保護団体の活動をサポートすべく、保護犬、保護猫との出会いの場づくりに豊富な実績を持つ一般社団法人RENSA、ペット保険のSBIプリズム少額短期保険株式会社とともに、保護犬・保護猫譲渡会の開催場所の提供や開催告知、運営補助等の活動支援を始めました。
さらに、株式会社茨城新聞社の創刊130周年記念事業「いばらき防災キャンペーン2021」の趣旨に賛同し協賛企業・団体に参加、地震や水害などの自然災害に備えるため各店舗に「防災用品コーナー」を設置し非常時の持出品や備蓄品などの防災用品を充実させるとともに、もしもの時に役立つアイテムや利用方法をホームページで紹介しております。
営業概況といたしましては、新型コロナウイルスの感染拡大により経済活動が大きな影響を受ける環境においてもマーチャンダイジングを強化し「新たな必需」を取り込み、また、DX(デジタルトランスフォーメーション)によるマーケティングやIT活用によるオペレーションの合理化、本部機能の統合・スリム化等による収益構造改革が奏功したほか、潜在マーケットの開拓・深耕推進によるプロショップの出店等により業績は順調に推移いたしました。
これらの施策に取り組んでまいりました結果、当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(イ) 財政状態
当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ28億39百万円増加し、1,606億6百万円となりました。
当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ36億27百万円減少し、479億21百万円となりました。
当事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ64億66百万円増加し、1,126億84百万円となりました。
(ロ) 経営成績
当事業年度の売上高は1,324億99百万円(前事業年度比6.1%増)、営業利益は115億6百万円(同比25.2%増)、経常利益は127億73百万円(同比20.6%増)、当期純利益は89億85百万円(同比17.9%減)となりました。
なお、ホームセンター事業の主要分野別および商品グループ別の売上状況は以下のとおりとなっております。
(主要分野別および商品グループ別の売上状況)
(a)「住まい」に関する分野
当事業年度における「住まい」に関する分野の売上高は、前事業年度に比べ、139億11百万円増加しました。
2020年3月21日に吸収合併により承継しましたリフォーム事業部は、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により受注が大きく減少しましたが、前事業年度比較では計上期間の違いから124億99百万円の増加となりました。
資材・プロ用品は前事業年度の大型台風上陸に伴う復旧需要等により僅かに前事業年度には及ばなかったものの、コロナ禍による外出自粛に伴う在宅需要によりインテリア・リビングにおいては主に生活家電などが、ガーデン・ファームにおいては主にグリーン、屋外園芸、ガーデン資材などの需要が増加しました。
結果として、売上高は、673億60百万円(同比26.0%増)となりました。
(b)「生活」に関する分野
当事業年度における「生活」に関する分野の売上高は、前事業年度に比べ、63億22百万円減少しました。
ガソリン・灯油は前事業年度における事業譲渡により、前事業年度と比較して108億18百万円減少しました。
デイリー・日用品は前事業年度の消費税増税の駆け込み需要と新型コロナウイルスの感染拡大防止需要によるマスクや消毒液等の販売増加、外出自粛要請に伴い買いだめ需要によるトイレットペーパーやティッシュペーパー等の販売増加があり、それらの反動で減少いたしましたが、ペット・レジャーは生体販売、ペット関連商品、アウトドア関連商品の販売が堅調に推移し増加しました。
2020年3月21日に吸収合併により承継しましたアート・クラフト事業部は、前事業年度比較では計上期間の違いから62億73百万円の増加となりました。
結果として、売上高は、651億38百万円(同比8.8%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前事業年度末に比べ76億20百万円増加し454億95百万円(同比20.1%増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は、124億12百万円の収入となりました。これは主に税引前当期純利益128億98百万円、減価償却費28億5百万円、法人税等の支払額39億46百万円、仕入債務の減少4億30百万円によるものであります。
投資活動の結果得られた資金は、20億74百万円の収入となりました。これは主に投資有価証券の売却による収入27億51百万円、定期預金の払戻による収入10億円、関係会社株式の売却による収入6億0百万円、有形固定資産の取得による支出18億58百万円、無形固定資産の取得による支出3億30百万円によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は、68億65百万円の支出となりました。これは主に長期借入金の返済による支出43億97百万円、配当金の支払額22億98百万円によるものであります。
仕入実績を主要分野別および商品グループ別に示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.百万円未満の端数は切り捨てにより表示しております。
4.従来の住宅資材・DIYを資材・プロ用品、住宅インテリアをインテリア・リビングへ名称変更、また、ガーデンライフとアグリライフおよび「生活」に関する分野の生活雑貨のうち切花を統合し、ガーデン・ファームといたしました。
5.従来の生活雑貨をデイリー・日用品へ名称変更、また、生活雑貨のうちカー・レジャーとペットを統合し、ペット・レジャーといたしました。
6.前事業年度のリフォームの仕入高は、株式会社ジョイフル本田リフォームを吸収合併したことにより、2020年3月21日から2020年6月20日までの実績となります。
7.ガソリン・灯油は、前事業年度において事業譲渡いたしました。
8.前事業年度のアート・クラフト、ホームセンター周辺の仕入高は、株式会社ホンダ産業を吸収合併したことにより、2020年3月21日から2020年6月20日までの実績となります。
販売実績を主要分野別および商品グループ別に示すと、次のとおりであります。
(単位:百万円)
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.百万円未満の端数は切り捨てにより表示しております。
4.従来の住宅資材・DIYを資材・プロ用品、住宅インテリアをインテリア・リビングへ名称変更、また、ガーデンライフとアグリライフおよび「生活」に関する分野の生活雑貨のうち切花を統合し、ガーデン・ファームといたしました。
5.従来の生活雑貨をデイリー・日用品へ名称変更、また、生活雑貨のうちカー・レジャーとペットを統合し、ペット・レジャーといたしました。
6.前事業年度のリフォームの売上高は、株式会社ジョイフル本田リフォームを吸収合併したことにより、2020年3月21日から2020年6月20日までの実績となります。
7.ガソリン・灯油は、前事業年度において事業譲渡いたしました。
8.前事業年度のアート・クラフト、ホームセンター周辺の売上高は、株式会社ホンダ産業を吸収合併したことにより、2020年3月21日から2020年6月20日までの実績となります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、主なものは以下のとおりであります。
・固定資産の減損会計
当社は、「固定資産の減損に係る会計基準」を適用しております。損益報告などの企業内部情報と、経済環境や資産の市場価格など企業外部情報に基づき、資産または資産グループごとの減損の兆候を判定し、将来の経済環境や市場環境の変化を加味した上でその資産の帳簿価額の回収が見込めるかを考慮し、減損損失の認識を判定しております。減損損失を認識すべきと判断した場合には、資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損処理しております。回収可能価額の算定に当たっては、外部の情報源に基づく情報等を含む、財務諸表作成時において入手可能な情報や資料に基づき合理的に判断しておりますが、新型コロナウイルスの影響による店舗の臨時休業など、将来の不確実な経済条件の変動等により、将来キャッシュ・フローの見積額や回収可能価額の見直しが必要となった場合、翌事業年度以降の財務諸表において追加の減損損失が発生する可能性があります。
なお、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(イ)財政状態
資産は、前事業年度末に比べ28億39百万円増加し、1,606億6百万円となりました。これは主として、現金及び預金の増加66億27百万円、売掛金の増加2億8百万円、流動資産その他の増加2億86百万円、繰延税金資産の増加2億6百万円、投資有価証券の減少33億61百万円、有形固定資産の減少9億72百万円、商品の減少1億10百万円によるものであります。
負債は、前事業年度末に比べ36億27百万円減少し、479億21百万円となりました。これは主として、長期借入金の減少44億1百万円、買掛金の減少4億30百万円、未払金の増加10億13百万円、未成工事受入金の増加3億57百万円によるものであります。
純資産は、前事業年度末に比べ64億66百万円増加し、1,126億84百万円となりました。これは主として、当期純利益89億85百万円の計上および配当金の支払い22億98百万円、その他有価証券評価差額金の減少2億28百万円によるものであります。
(ロ)経営成績
売上高は、前事業年度の吸収合併が2020年3月21日付であったためリフォーム事業部およびアート・クラフト事業部の計上対象期間が伸びた(前事業年度:3ヶ月間、当事業年度:12ヶ月間)こと、営業面・集客面・販促面の強化を図ったこと、プロショップ本田屋を2店舗(「本田屋 船橋夏見台店」「本田屋 柏豊四季店」)出店したことなどから、前事業年度に比べ75億89百万円増加し、1,324億99百万円(前事業年度比6.1%増)となりました。
売上総利益は、マーチャンダイジングの強化等の収益構造改革に取り組み、売上総利益率が改善したことで、前事業年度に比べ69億6百万円増加し、418億46百万円(同比19.8%増)となりました。
営業利益は、販売費及び一般管理費が前事業年度に比べ41億6百万円増加(同比13.0%増)したものの、前述の売上総利益の増加により、前事業年度に比べ、23億19百万円増加し、115億6百万円(同比25.2%増)となりました。
経常利益は、前事業年度に比べ、21億80百万円増加し、127億73百万円(同比20.6%増)となりました。
当期純利益は、抱合せ株式消滅差益の減少83億62百万円、事業譲渡益の減少15億50百万円、減損損失の減少47億60百万円、投資有価証券評価損の減少9億53百万円などにより、前事業年度に比べ、19億63百万円減少し、89億85百万円(同比17.9%減)となりました。
当社における資金需要の主なものは、運転資金(商品の仕入、販売費及び一般管理費の営業費用)および設備投資資金であります。
当社の資金の源泉は主として、営業活動によるキャッシュ・フローおよび金融機関からの借入による資金調達となります。
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