課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社グループは「報恩」「革新」「統合」を経営理念とし、「地域コミュニティの中核となるドラッグストアチェーン」を社会的インフラとして確立するため、「楽・美・健・快」(より楽しく、美しく、健康で、快適な生活)の未来を創造し、企業価値の向上を図ることを経営の基本方針としています。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、持続的な成長と企業価値の向上を実現し、社会的使命を果たすことを企業目標としています。そのためには健全な収益を安定的に計上し続ける必要がありますが、現状においては、当社グループの収益性は競合する同業他社と比較して劣後しており、改善が求められています。2021年2月期から2023年2月期までの3期間を対象とする第3次中期経営計画を策定し、最終年度である2023年2月期において、本業の収益性を示す売上高営業利益率3.2%を達成することを目指しています。その後はさらに高い目標を目指して努力を続けます。

第3次中期経営計画の経営数値目標は以下のとおりです。

 

2023年2月期

売上高

148,500百万円

営業利益

4,780百万円

経常利益

5,610百万円

親会社株主に帰属する当期純利益

2,840百万円

ROE

13%以上

 

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び対処すべき課題

超高齢社会のなか、政府の方針として「国民の健康寿命の延伸」が掲げられており、地域に密着した健康情報の拠点として、ドラッグストア・調剤薬局が担う役割はますます重要になると考えております。

一方、ドラッグストア業界は、引き続き市場規模が拡大するものの、業種・業態を超えた出店や価格競争は激化しており、企業の統合や再編の動きも強まっています。

このような経営環境において、当社グループは、創業以来培ってきた「未病」の考え方を活かし、地域の皆様に「楽・美・健・快」を提案し、長寿社会の明るい未来に貢献することが、当社グループの価値の源泉であると考えています。その実現のために、当社グループのスタッフの専門性を高め、地域のお客様との関係性をさらに強化し、しっかり寄り添い続けることが重要です。その一方、地域のお客様の日々の生活における利便性を高めることも同じく重要な要素です。専門性と利便性の二つを一層強化し、お客様の満足度を高め、地域にとってなくてはならない存在になることで、中長期的な企業価値を創造します。

2018年2月期から2020年2月期までの第2次中期経営計画は、連結売上高1,370億円、連結営業利益40億円、連結営業利益率3%を当初目標としてスタートしましたが、既存店の改装効果が高いことから、2年目に、新規出店による売上高成長よりも既存店の収益性改善を優先する方針に変更しました。その結果、第2次中期経営計画の最終年度である2020年2月期の連結業績は、売上総利益率は27.1%となり当初計画の27.2%に近い水準に達しましたが、売上高は1,332億79百万円となり、当初の目標に届きませんでした。また、業務システム改善による生産性の向上に取り組みましたが、効果が現れるまで想定以上の時間がかかり、販管費の上昇の抑制が不十分となりました。その結果、営業利益率は2.1%となり、当初計画に届きませんでした。しかし、増収増益を3期間継続し、2020年2月期の売上高、利益額とも過去最高を更新することができ、収益性の改善は着実に進んでいます。

 

当社グループは、2021年2月期から2023年2月期までの3年間を期間とする第3次中期経営計画を策定しました。「地域の皆様が健康生活を営むための絆づくりの拠点となる」ことをテーマとし、お客様の日常生活を豊かにする利便性と、健康生活を営むための専門性を併せ持った店舗、薬局の実現を目指します。そのための以下の6つの重点課題に取り組んでまいります。

 

①キリン堂公式アプリを活用した顧客戦略

競合他社の出店加速や地域の人口減少により、1店舗当たりのお客様の人数は減少しています。そのような環境で業績を拡大させるためには、一人のお客様が来店される回数を増やし、お客様一人あたりのお買い上げ金額を増やすこと、すなわちロイヤルカスタマーを増やすことが必要になります。そのためのツールとして、キリン堂公式アプリの活用を促進します。

自社電子マネー付きポイントカード「KiRiCa」は、公式アプリに搭載されている機能のひとつですが、2020年2月期では、「KiRiCa」を利用するお客様の来店回数は、前期比5.5%増、客単価は1.6%増となりました。利用率は、2020年2月時点で既存店の会員のうちの21.6%となり、想定を超えるスピードで広がっています。今後も「KiRiCa」会員を拡大し、顧客ロイヤリティ向上を図ります。

2019年10月に導入したキリン堂公式アプリの登録者数は、2020年2月時点で32万人となりました。さらに、アプリの機能を拡充して、One to Oneマーケティングの実現、店舗でのカウンセリングのサポート、店舗以外での接点づくりを行い、繰り返しご来店いただけるようなロイヤルカスタマーを増やします。中期経営計画の最終年度におけるアプリ登録会員100万人を目標とします。

 

未病対策提案を軸とした ヘルス&ビューティの強化

当社グループは創業以来「未病」を事業の柱として、地域のお客様の健康と美容に貢献することを基本としてきました。健康・美容に関わる未病対策のためのカウンセリング販売と、そのために必要なPB(プライベート・ブランド)商品の開発や改良、リブランディングを行います。当社グループが長年培ってきた「未病」のノウハウを活かし、お客様の立場に立った商品を提供できる体制を作ります。それによってヘルス&ビューティ分野の商品構成比を向上させ、粗利率の改善に貢献します。中期経営計画の最終年度における売上高のうちPB商品の構成比率は12%、ヘルス&ビューティ分野の商品に限った売上高のPB商品比率については14%を目指します。

 

③作業の効率化

店舗における作業を見直し、無駄をなくし、ドラッグストア、調剤薬局の作業の標準化を徹底し、お客様により丁寧なサービスを提供できるようにします。そのためのシステム機器導入による作業の合理化や、動画マニュアル等によるオペレーション教育の徹底を行います。生産性を高めることで販管費の適正化を進めます。

 

お客様の「利便性」向上の売場 改装

時代の変化や環境の変化によりお客様のニーズも変わります。お客様のニーズの変化を的確に見極めて、ニーズに応じた形の店舗づくりをする必要があります。そのためにも、地域のお客様のニーズに応じた店舗フォーマットを開発して、店舗の改装を行い、お客様のニーズに合ったものを作っていきます。

新たな中期経営計画においては、お客様のニーズに合わせた売場改装を3年間で135店舗行います。効率的に改装作業を進め、お客様の利便性を一層高めることを推進します。

 

処方箋取扱い店舗数の拡大

調剤薬局の出店やドラッグストアへの併設により、増加する処方箋薬の需要にお応えします。そして、処方箋薬以外の健康相談にもお応えできる、地域に密着したかかりつけ薬剤師を拡充し、在宅や健康サポート薬局の機能の強化を進め、地域医療に貢献します。調剤事業売上高を拡大し、中期経営計画の最終年度には調剤事業売上高200億円を目指します。

 

⑥関西ドミナントの深耕

当社の創業の地である関西地区でのドミナントを推進します。中期経営計画の3ヵ年でドラッグストアを40店舗、処方箋取扱店舗を60店舗(ドラッグストアへの併設店舗を含む)出店します。ドミナントを強化することでお客様の利便性を向上させ、関西エリアのシェア拡大に向けて取り組みます。

 

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