経営成績等の概要
(1)経営成績
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用が断続的に実施され、厳しい状況が続きました。ワクチン接種が進行し、9月30日には各地で発令されていた緊急事態宣言やまん延防止等重点措置が解除され、10月以降は徐々に日常生活が取り戻されるに伴い、持ち直しの動きが見えつつありました。しかしながら、足元では、変異株の出現や、世界的なサプライチェーンへの懸念、原材料の高騰、エネルギー価格の上昇など、依然として先行き不透明な状態が継続しております。
このような状況下、当社グループでは、主力ブランドの「築地銀だこ」事業を中心に、収益チャネル・収益構造の多層化を図る取り組みを推進してまいりました。
築地銀だこ事業においては、政府からの緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用に伴う自治体・商業施設等からの各種要請により、休業や営業時間短縮等への対応を取りながら事業を推進いたしました。10月以降、各種要請が徐々に解除されるに伴い、他社とのコラボレーションキャンペーンなどを含む販売促進施策を積極的に実施し、来店促進への取り組みを推進いたしました。12月に実施した、TVアニメ「呪術廻戦」とのコラボレーションキャンペーンは、客数・売上高に大きく寄与いたしました。また、年々需要が高まるデリバリーサービスの拡充にも継続して取り組み、デリバリーサービス導入店舗数は12月末には235店舗となりました。こうした取り組みが奏功した一方で、緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用が年度を通して断続的に行われた影響もあり、当連結会計年度における既存店売上高前年比は98.5%となりました。
店舗出店においては、引き続きロードサイド型店舗の展開を推進いたしました。12月にオープンした小山ドライブスルー店は、「たこめし弁当」を武器にメニューを絞り込んだ生産性の高い店舗モデルとして、今後の出店モデルの一つと考えています。12月末においてはロードサイド型店舗の店舗数は13店舗となり、今後も積極的に出店を進める予定です。
酒場業態においては、緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用に伴う自治体・商業施設等からの各種要請により、休業や営業時間の短縮、酒類提供の制限等の影響が大きく、厳しい状況でありました。その中において当社は、コロナ禍でも成長が見込まれる「もつやき・ホルモン・焼肉」市場で、「日本再生酒場」や「もつやき処 い志井」等の業態を展開している運営会社の株式を12月に取得し、同月にはグループ化後初の出店となる「日本再生酒場」新大久保店を出店いたしました。一方で、不採算店舗の積極的な閉店や業態変更等も実施いたしました。引き続き、今後を見据えた業態開発や店舗運営に取り組んでまいります。
製販事業においては、冷凍たこ焼の大手コンビニエンスストア向け販売のほか、大手スーパーマーケット向けの販路が拡大し、好調に推移いたしました。また、アイスクリーム製品のギフト販売や卸販売も好調に推移いたしました。
海外事業では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による諸規制の影響により、東南アジア地域では厳しい状況が続きました。香港においても新型コロナウイルス感染症の影響は大きかったものの、直営店舗は営業黒字を維持しており、家賃下落等の外部環境の変化を商機と捉え、積極的な出店を行っております。
また、当連結会計年度は、グループ全体の今後を見据えた新業態の開発にも積極的に取り組みました。ロードサイド型の主食マーケットをターゲットにした新業態「野郎めし」の1号店となる太田50号バイパス店を11月にオープンいたしました。「野郎めし」は、しょうが焼定食をコアメニューとし、テイクアウト・デリバリー需要にも対応可能な業態で、非常に好調に推移しています。今後、当業態を軸に主食マーケットの開拓にも積極的に取り組んでまいります。
この結果、当社グループの当連結会計年度末の店舗数につきましては、出店76店舗(国内64店舗・海外12店舗)、退店45店舗(国内37店舗・海外8店舗)により、676店舗(国内608店舗・海外68店舗)となりました(業態変更による出退店は含んでおりません)。
以上の結果、当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症による影響等により、売上高は29,678百万円(前連結会計年度比3.3%増)、営業利益は970百万円(前連結会計年度比14.4%減)となりました。また、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金及び為替予約の時価評価による為替差益等の計上により、経常利益は3,603百万円(前連結会計年度比199.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,079百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,138百万円)となりました。
店舗数の推移は、以下のとおりであります。
(店舗数の推移)
区分 |
ブランド |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
国内 |
築地銀だこ |
429 |
432 |
銀だこハイボール酒場・銀だこ酒場・ギンダコハイボール横丁 |
63 |
55 |
|
油そば(東京油組総本店) |
13 |
22 |
|
日本再生酒場・もつやき処い志井 |
0 |
19 |
|
銀のあん |
16 |
16 |
|
大釜屋 |
9 |
10 |
|
ごっつい |
11 |
10 |
|
おでん屋たけし |
5 |
9 |
|
日本橋からり |
5 |
8 |
|
COLD STONE CREAMERY |
7 |
3 |
|
その他 |
23 |
24 |
|
小計 |
581 |
608 |
|
海外 |
築地銀だこ |
41 |
44 |
銀カレー |
14 |
15 |
|
銀のあん |
2 |
4 |
|
銀だこハイボール酒場 |
1 |
1 |
|
その他 |
6 |
4 |
|
小計 |
64 |
68 |
|
合計 |
645 |
676 |
(2)キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は953百万円増加し、3,021百万
円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は5,151百万円であります。この増加は主に税金等調整前当期純利益3,184百万円、減価償却費1,185百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は2,398百万円であります。この減少は主に有形固定資産の取得による支出が1,514百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は1,815百万円であります。この減少は長期借入金の返済による支出が1,121百万円、短期借入金の純減少額が325百万円あったことによるものであります。
生産、受注及び販売の実績
(1)仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
仕入高(千円) |
前年同期比(%) |
飲食事業 |
11,021,957 |
98.3 |
合計 |
11,021,957 |
98.3 |
(注)1.金額は仕入価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)販売実績
当連結会計年度の販売実績を契約形態ごとに示すと、次のとおりであります。
|
契約形態 |
販売高(千円) |
前年同期比(%) |
国内 |
直営・PC |
21,726,536 |
102.8 |
FC |
4,282,452 |
109.7 |
|
その他 |
2,003,270 |
104.2 |
|
小計 |
28,012,260 |
103.9 |
|
海外 |
直営 |
1,507,969 |
95.2 |
FC |
91,243 |
68.9 |
|
その他 |
67,354 |
132.7 |
|
小計 |
1,666,567 |
94.3 |
|
合計 |
29,678,827 |
103.3 |
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成におきましては、経営者による会計方針の選択適用、合理的な見積りが必要とされます。当該見積りにあたりましては、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に判断しておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループが採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、財政状態及び経営成績に特に重要な影響を与える会計方針と見積りは、以下のとおりと考えております。
① 固定資産の減損処理の測定基準
当社グループは、店舗、工場及び賃貸物件など多くの固定資産を有しております。これら固定資産につきまして減損の認識が必要とされた場合の回収可能価額は、「固定資産の減損に係る会計基準」等に従い合理的に算定しておりますが、前提が異なることとなった場合には、将来追加で減損処理が発生する可能性があります。
② 繰延税金資産の計上基準
当社グループは、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金を有しております。これらにかかる繰延税金資産の計上にあたりましては、「税効果会計に係る会計基準」等に従い回収可能性を判断しており、将来の課税所得見積りは、その実現可能性について十分な検討を行い、必要に応じて評価性引当額を計上しております。しかし、将来の経営環境の変化などにより回収可能見込額が変動した場合には、繰延税金資産の取崩又は追加計上が発生する可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(2) 財政状態に関する分析
資産、負債および純資産の状況は下記のとおりであります。
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して3,146百万円増加し21,313百万円となりました。その主な要因は、現金及び預金が979百万円、有形固定資産が1,190百万円、無形固定資産が333百万円、投資その他の資産が472百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比較して555百万円増加し12,187百万円となりました。その主な要因は、未払法人税等が734百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比較して2,591百万円増加し、9,125百万円となりました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益2,079百万円を計上したこと等によるものであります。
(3)経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、本報告書の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要(1)経営成績」に記載しておりますが、その主な要因は次のとおりです。
①「築地銀だこ」の既存店舗における売上高の推移
当連結会計年度の上半期におきましては特に酒場業態において新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けましたが、下半期は、積極的な販促キャンペーンの再開や外部コンテンツとのキャンペーン等により、売上高と営業利益が回復に向かいました。
その結果、「築地銀だこ」事業の既存店舗における売上高は前年比98.5%(築地銀だこ業態:前年比100.0%、酒場業態:前年比87.3%)となりました。
②製販事業
製販事業においては、冷凍たこ焼の大手コンビニエンスストア向け販売のほか、大手スーパーマーケット向けの販路が拡大し、好調に推移いたしました。
③海外事業
海外事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響を引き続き受けたこと等により売上高が減少しました。
④特別損失の計上
新型コロナウイルス感染症の影響に伴い、474百万円の特別損失を計上しました。
その内訳は、減損損失333百万円、固定資産除売却損45百万円、店舗整理損失95百万円であります。
以上の結果、当連結会計年度の経営成績は下記のとおりとなりました。
(売上高)
当連結会計年度の売上高は29,678百万円となり、前連結会計年度に比べ3.3%の増加となりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業利益は970百万円となり、前連結会計年度に比べ14.4%の減少となりました。
(経常利益)
当連結会計年度の経常利益は3,603百万円となり、前連結会計年度に比べ199.1%の増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は2,079百万円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失1,138百万円)となりました。
(4)キャッシュ・フローの状況についての分析
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高(以下「資金」という)は953百万円増加し、3,021百万
円となりました。
各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は5,151百万円であります。この増加は主に税金等調整前当期純利益3,184百万円、減価償却費1,185百万円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は2,398百万円であります。この減少は主に有形固定資産の取得による支出が1,514百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、減少した資金は1,815百万円であります。この減少は主に長期借入金の返済による支出が1,121百万円、短期借入金の純減少額が325百万円あったことによるものであります。
(5)キャッシュ・フローの状況についての分析に基づく資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、本報告書の「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の概要(2)キャッシュ・フロー」に記載の通りであります。
なお、当社グループの事業活動における運転資金の需要の主なものは、生産に必要な運転資金(原材料・人件費及び外注費)、従業員給与等の販売費及び一般管理費があります。また、設備資金需要としましては、海外子会社を含む新規店舗の出店及び既存店舗の改装およびМ&A等があります。
これらの事業活動に必要な資金は、内部資金の活用を基本としておりますが、必要に応じて資本市場からの資金調達及び金融機関からの借入による資金調達も行っております。十分な手元流動性資金と金融機関の借入枠を有しているため、今後の運転資金及び投資資金需要にも十分対処できる状況であります。
(6)経営戦略の現状と見通し
外食市場におきましては、消費者の低価格志向・節約志向・中食需要の拡大等により大変厳しい環境となっておりますが、今後もコンビニや中食各社を含めた企業間競争の激化や新型コロナウイルス感染症の影響などもあり、厳しい状況は続くことが想定されます。
このような状況において、当社グループは、2022年1月1日付で、グループ内の組織再編により、2つの新たな子会社「株式会社オールウェイズ(旧株式会社ギンダコスピリッツ)」、「株式会社ホットランドネクステージ」を立ち上げました。前者は「銀だこハイボール酒場」、「銀だこ酒場」、「おでん屋たけし」、「日本再生酒場」等の酒場業態を展開していく会社として、後者は「油そば」、「野郎めし」等の主食業態を展開していく会社として、それぞれ事業を推進してまいります。
2022年12月期につきましては、当社の主力事業である「築地銀だこ」の安定的な成長に加え、好調なロードサイド型業態の出店、冷凍たこ焼の卸販売事業の拡大、そして、子会社「株式会社オールウェイズ」による酒場業態の展開、「株式会社ホットランドネクステージ」による主食マーケットの開拓に取り組んでまいります。
(7)経営者の問題認識と今後の方針について
当社を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により著しく経済活動が停滞するなど、先行きが見えない極めて厳しい事業環境が続いております。当社はこのような時代だからこそ「企業個性」を磨き、さらに強く発揮することが最も重要であると考えております。
当社は、創業以来、挑戦と失敗を繰り返し、その失敗から学び、成長を遂げてまいりました。その中で培った個性が「自由な発想力」、「行動力」、「スピード感」、「現場力」、そして、何よりも大切にしているものは「人を想う心」です。これらの「企業個性」には、時代や環境の変化への「対応力」があると信じております。「人を想う心」を持った人材を育て上げ、日本の良き「共食」文化を世界に広げてまいります。
また、世界のマーケットでは、「和食」は日本の重要輸出品目であり、健康食としての和食ブームは今後もますます拡大していくことと考えております。
当社グループの店舗へのお客様の支持を獲得し続けていくために、当社グループは本来食事の持つ「おいしさ」、「あたたかさ」、「楽しさ」を大切にし、安全で美味しい商品を提供し続けてまいります。
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