(1)綿半の歴史と経営方針
1500年代、「合」の旗印を掲げた織田信長の武将の一人は、民家臣とともに力を合わせ、地域を守り、地域の発展に邁進しておりました。本能寺の変の後は、民家臣の生活を守るために刀を捨て、綿商いを始めました。これが「綿半」の始まりです。
明治の世の大変動時には、綿から鉄へ変革を遂げました。ここが分岐点となり、金物販売からホームセンター・スーパーセンター・インターネット通販へ変革した小売事業、建材販売から下請工事、メーカーへ発展した建設事業に分かれました。時代の変化に合わせて輸入販売を行う貿易事業も開始し、現在の3事業が形成されております。このように綿半は常に時代の流れを読み、形を変え、多様性ある企業グループへ変革を続けてまいりました。
これらの歴史を背景に、当社は力を合わせ、分かち合い、響き合う「合才の精神」を経営理念に掲げ、1500年代から現在に至るまで経営者と社員の隔てなく、社員全員による企業を目指しております。また、「絶え間なき暮らしの変革」を事業理念に、時代の変化に対応し、地域社会の活性化と人々のより良い地球環境と生活環境構築のために邁進しております。
綿半グループでは、未来を担う子どもたちのために持続可能な社会の実現に取組んでおり、SDGsの達成に意欲的な長野県の企業として、「長野県SDGs推進企業」に登録されております。子どもたちの成長が地域の発展に繋がるという想いから、1953年に始めた奨学金制度を皮切りに、子どもたちの教育支援や、事業活動を通して、地域社会の活性化等に取組んでおります。
綿半グループでは、これからも、子どもたちの未来のために持続可能な社会の実現に取組んでまいります。
(2)経営環境と綿半のめざす姿
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種が進み、経済活動に緩やかな回復の兆しがみられましたが、新たな変異株の蔓延による感染拡大の波が断続的に訪れるなど、総じて厳しい事業環境で推移いたしました。海外経済においては、新型コロナウイルス感染症による影響が緩和されるなかで、経済活動の持ち直しの動きが続いております。一方で、世界的な半導体不足、原油価格の高騰に加えて、ウクライナ情勢の緊迫化による経済活動への影響が懸念されるなど、予断を許さない状況が続いております。
このような状況の中、経営理念である「合才の精神」に基づき、人々の暮らしに寄り添う企業を目指すべく、中期経営計画として「地域に寄り添い地域と共に新しい価値を創造する」を掲げております。数値目標としては、2025年3月期に売上高1,350億円、経常利益40億円と定めました。
綿半グループは、今一度、420年続いた信用・信頼がどのように培われたのかを見つめ直し、「暖簾」「地域」「環境」の3つの柱をもとにより一層の成長を目指し、長野県はもちろん、新たにグループ入りした各事業会社の地域経済に貢献していく所存であります。今後も「地域」との繋がりを大切にしながら、地域の発展に尽くしてまいります。
経営指標としては、売上高経常利益率を指針として定めております。事業の成長・差別化・高収益化を図り、長期的には5%以上を目標としております。
なお、当連結会計年度における売上高経常利益率は、2.6%でした。
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2019年3月期 |
2020年3月期 |
2021年3月期 |
2022年3月期 |
ROE |
11.5% |
10.0% |
11.5% |
12.0% |
自己資本比率 |
24.7% |
25.4% |
29.8% |
27.8% |
(3)対処すべき課題と戦略の実施状況
①グループ全体の取組み
AI、ロボット化、МaaS等、第4次産業革命の到来により、世の中は急激な変化が予想されております。また、新型コロナウイルス感染症の流行による働き方の変化も起こるとともに、女性や高齢者、外国人労働者など労働者属性の多様化も進んでおります。
当社は働き方改革が提唱される以前から、テレワーク制度やフレックス制度、パパ産休の導入や、それに伴うデジタル化にいち早く取組み、生産性向上を図ってきました。今後も加速する世の中の変化に対応するため、さらなるICT化と時代に沿った人的資源管理施策に取組んでまいります。
○ICT化のさらなる推進による事業価値の向上
・適切かつ迅速な情報共有の仕組み化及び、情報通信技術の活用のためICT室の設置
・グループ会社間、取引先との協働、連携体制の構築
・働き方改革に向けたICT関連の整備
○時代に沿った人的資源管理施策の実行
・次世代経営者育成研修や新規事業研究会等グループ共通研修の継続
・ライフサイクルステージやライフスタイルに合わせた働き方改革の継続
・事業特性と個々人のキャリアパスに即した専門研修の拡大
・ITスキルや英語力、創造力、対人関係能力など未来に必要なスキルや能力の開発
②各事業の取組み
<小売事業>
小売事業は、業種・業態を超えた販売競争が激化する中、お客さまとの「信頼」を築き、「地域」の新たな価値を創造し、人々の暮らしに寄り添った事業展開を進めてまいります。
○暖簾:信頼に応える商品開発 当社のPB商品は、実際に使い・食べて納得できるものだけを商品化し、お客さまへお届けしております。今後は、より一層当社の製品を安心してお使いいただけるよう、家電の「品質保証」や「延長保証」、食品の「おいしさ保証」等の拡充を図る方針です。これからも、お客さまにご満足いただけるよう、品質・味に自信を持った商品開発を推進してまいります。
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○地域:全国の良いものを「地域」へ 綿半グループの流通網を活かし、新潟や富山、静岡、名古屋等、直接仕入の漁港を開拓して「地域」のお客さまへ鮮魚を提供してまいりました。 今後も漁港直送の仕入を拡大し、各地の新鮮で美味しい魚をお届けすることで、「地域」に新しい価値を提供してまいります。
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○地域:「地域」の良いものを全国へ
全国に張り巡らされている拠点を活用して、長野県の強みである「木」を原料とした家具のほか、農作物や畜産
物を全国へ流通する仕組みを構築し、循環型社会を形成してまいります。
○地域:地域特性を活かした店舗づくり 愛知県一宮市に、漁港直送の鮮魚に特化した「綿半魚類 一宮漁港」をリニューアルオープンしたほか、ホテルやレストランなどで腕を磨いてきたシェフを採用し、鮮度の高い食材で店内調理したお料理の販売を行っております。今後も各店舗それぞれがお客さまの声を聴き、地域特性を活かした店舗づくりを展開してまいります。 |
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○出店・改装について
今後の出店については、出店用地の確保や許認可の取得に長期の時間を要することから、居抜き物件の活用やM&Aを推進し、売場面積の拡大を図ってまいります。また、既存のホームセンターにおいてもガーデニング等の強みをさらに強化しながら食品を導入し、スーパーセンターへのリニューアルを進めてまいります。
○環境:環境に配慮した店舗づくり
私たちが住んでいる地域を地球規模でとらえ、リサイクル可能な商品パッケージを採用するほか、自社の家電商品をリサイクルするところまで考えて商品開発を行ってまいります。また、食品ロスの削減や、店舗に太陽光パネルを設置するなど、環境に配慮した店舗づくりに取組んでまいります。
<建設事業>
建設事業は、世界情勢の不安定化を要因とする資材価格の高騰や資材調達の困難化等、引続き厳しい事業環境が続くものと予測しております。お客さまとの信頼関係を構築するとともに、グループ内の相互連携を強化しながら独自の技術力を活かした製品開発を推進し、地域経済の活性化に取組んでまいります。
○暖簾:お客さまとの信頼関係を構築する
お客さまの課題を正確に把握したうえで、納得できる価格・想定以上の価値を提供し、リピート率100%を目指してまいります。また、鉄構工場機能を集約した飯田工場の自動化により、生産性・品質の向上につとめ、お客さまとの信用・信頼を構築してまいります。
○地域:地域資源の有効活用 夢ハウスでは原木の仕入からプレカットまで木材の製造機能を有しております。長野県の豊富な「森林資源」をサイエンスホーム・夢ハウスの全国の加盟店へ供給するとともに、家具製造の原材料としても活用し、地域経済に貢献してまいります。 |
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○地域:協力業者との永続可能な関係を構築
建設事業は全国展開をしており、地域の協力業者さまとの協力が必要不可欠であります。共に成長してゆくため、協力業者さまの育成や仕入の支援を行い、永続可能な関係を構築してまいります。
○環境:環境に配慮した商品開発
工場の屋根に設置する軽量化太陽光パネルの開発を行うなど、環境に配慮した商品開発を行い、CO2排出量の削減に取組んでまいります。
<貿易事業>
貿易事業は、主に天然原料を取扱っているため、限りある資源を有効活用し、自然環境やコミュニティへの配慮を行いながら、いつまでも続く地球環境を地域住民と共に構築してまいります。
○暖簾:世界情勢に対応した、原料調達による安定供給率100%
世界情勢が不安定な中でもお客さまへの安定的な商品供給を行うため、在庫管理を徹底するとともに、新たな仕入ルートの開拓にも取組み、どのような状況下でも安定的にお客さまの要望に応えられる体制を構築してまいります。
○地域:人々の健康を支える原料提供率100%
化粧品だけでなく食品にも幅を広げ、継続的に人の健康にやさしい自然派オーガニック商品の開拓を進めてまいります。
○環境:全ての原料へのSDGs付加率100%
今までも、化粧品や健康食品等の原料生産地の「自然保護法律」に準じて資源調達を行うほか、地域住民の雇用創出に取組む等、地域住民と自然環境の保護に貢献してまいりましたが、今後は、すべての取扱商品でSDGsの取組みを実施してまいります。
(4)今後の発展に向けて
創業500年へ向けて、常に時代の先を読み、既存事業との関係性が高い事業領域への展開や、既存事業の販路拡大、ノウハウ転用による事業展開を図るなど、引続き事業ポートフォリオの変革に努めてまいります。
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