文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
ニッケグループは、長期安定的に企業価値を向上させるために、「経営理念」「経営方針」に則り、株主をはじめとする多様なステークホルダーの皆さまから信頼される経営を目指しております。
<経営理念>
”人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、
わたしたちは情熱と誇りをもってチャレンジして行きます。”
・未開の分野に目を向け、「高機能商品」「地域NO.1サービス」の開発と提供へ挑戦し、みらい生活創造企業を目指します。
<経営方針>
・「全員がチャレンジ精神を持ち」「人が育つ」、生命力あふれた会社を目指します。
・お客様の声と研究開発から、独自性のある商品・サービスで市場を創造します。
・常に未来を見つめ、グローバルな視点に立ち、世界に広がるお客様と社会の発展に貢献します。
・多くの市場で勝ち抜くために、広く人財を求め、多様な「知」を結集して、事業を革新・発展させます。
・お客様や株主様、社員、取引先、地域社会をはじめとした様々なステークホルダーとの永続的な信頼関係を築くことにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。
(2) 経営環境
新型コロナウイルスの感染拡大は、変異株の出現など引き続き予断を許さない状況です。国内では緊急事態宣言の繰り返しによる企業活動への影響と国民生活の疲弊感は大きいと考えられます。経営環境の回復にはまだ時間がかかるものと考えられ、当社グループの第2次中期経営計画の2年目となる2022年度においても、その影響が残るものと想定されます。一方で、国内では自粛していた消費の反動が起こることも考えられ、海外では「アフター・コロナ」への動きも見られます。
新型コロナウイルスの影響も含めた、当社グループにおける環境認識は以下の通りです。
<衣料繊維事業>
・日本では少子化よる学生数の減少は続いていく。海外市場への取り組みは必須である。
・コロナ禍のなかで、「快適な在宅時間」「環境配慮志向の高まり」など、消費者の行動は変化しており、ユニフォーム・一般衣料向けにおいても、エコロジー・サステナブル・トレーサビリティが求められている。天然繊維であるウールの特性が見直されている。
・欧州・中国における衣料市場は今後回復に向かうものと考える。
<産業機材事業>
・自動車関連分野では、新型コロナウイルス感染拡大の影響による半導体などの部品不足などから自動車生産台数の回復は不透明ではあるものの、EV化などの技術発展によるビジネスチャンスが期待できる。
・環境関連分野では、規制強化が進む中国など環境ビジネスは拡大すると見込む。
・家電・OA分野は国内で減少傾向ではあるが、海外は拡大すると見込む。
<人とみらい開発事業>
・商業施設は今後の緩やかな回復が期待され、特に地域密着型ショッピングセンターは堅調に推移する。
・ライフサポート分野では、ゴルフ練習場など屋外施設は好調に推移する一方で、屋内施設についてはアフター・コロナにおける消費者行動の注視が必要である。介護・保育関連市場は引き続き拡大していく。
・インバウンド需要の減少は当面続く。
<生活流通事業>
・Eコマースやネット通販市場の盛り上がりは、アフター・コロナにおいて落ち着きを見せるものの、その利便性から拡大基調は変わらない。
・Eコマースによるボーダレス化から、海外勢も含めた競合が増加する。物流関連や広告宣伝費用の上昇基調も続く。
(3) 対処すべき課題
①「ニッケグループRN130第2次中期経営計画(2021~2023年度)」の進捗
(単位:百万円)
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第1次中期経営計画 |
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第2次中期経営計画(2021年度~2023年度)※1 |
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2019年度 |
2020年度 |
2021年度 |
2022年度 |
2023年度 |
||
|
実績 |
実績 |
計画 |
実績 |
計画 |
業績予想※2 |
計画 |
売上高 |
126,401 |
104,915 |
107,000 |
106,619 |
114,000 |
115,000 |
127,000 |
営業利益 |
10,472 |
9,048 |
8,600 |
9,900 |
9,500 |
10,200 |
11,500 |
親会社株主に帰属する当期純利益 |
6,520 |
7,121 |
4,000 |
8,308 |
6,500 |
7,000 |
7,800 |
※1 2021年1月14日公表
※2 2022年1月14日公表
(a) 2021年度実績
「第2次中期経営計画」の初年度となる2021年度は各利益ともに当初計画を上回り、親会社株主に帰属する当期純利益については、株式会社フジコーの完全子会社化に伴う負ののれん発生益を計上したことにより過去最高値を更新しました。
新型コロナウイルス感染拡大等の現在の環境に大きく影響を受けた事業もあれば、これをチャンスと捉え引き続き好調を持続・拡大している事業もあり、第2次中期経営計画のスタートに当たっては、今後の見通しが立たないと判断し中止や縮小をした事業、投資リスクとリターンに見合わないとして分離した事業があります。一方で、今後のニッケグループの成長に寄与すると判断した事業については大きな投資を実行しました。2021年度の業績を鑑みれば、グループ全体での事業の多様化と継続的なポートフォリオの見直し、各事業における創意工夫から、現在のような環境下でも耐えられる強靭な企業グループの構築が進んでいると認識しております。
(b) 第2次中期経営計画における基本戦略の進捗
(ⅰ) 成長事業や新規事業・合理化への資源の重点配分および海外ビジネスの拡大
・衣料繊維事業における成長ドライバーの育成は、新型コロナウイルス感染拡大の影響による行動制限から、特に海外事業の進捗に遅れが見られます。中国における学生服事業につきましては市場動向を見極めながら取り組み、安定的な成長を目指します。一方、防刃や防炎などの機能素材では拡販・収益向上に取り組んでおります。
・産業機材事業においては、環境関連分野の更なる拡大として、高機能フィルター「アドミレックス」の生産拠点として中国での生産設備を増強、2022年初めから稼働開始の予定です。また、株式会社フジコーとの連携を強化すべく完全子会社化を実施しました。
・人とみらい開発事業におきましては、ライフサポート分野の拡大として2021年春に介護施設3拠点、保育施設1拠点を新規開設いたしました。
・生活流通事業では、巣ごもり需要などによるEコマース市場の拡大を捉え、更なる収益拡大を図ることができました。
・メディカル関連事業においては、ニッケグループの技術を活用した商品開発を進めてまいりました。
(ⅱ) 資本効率の改善
・製造分野においては、棚卸資産の圧縮や、生産工程のシンプル化に向けた設備投資などを行ってまいりました。
・開発事業においては、既存施設・遊休施設の再開発・再々開発の実行、更なる検討を進めております。
・事業の選別を徹底し、非効率な事業の撤退や分離を推進してまいりました。
(ⅲ) 部内再編によるシナジー効果の創出
・人とみらい開発事業本部でのスポーツ関連会社の統合、産業機材事業本部でのアンビック株式会社と株式会社フジコーにおける不織布事業のシナジー創出、生活流通事業部におけるEコマース会社の連携など、シナジー効果の創出に向けて取り組んでまいりました。
②2022年度の施策について
2022年度は「第2次中期経営計画」の中間点であるとともに、「RN130ビジョン」への折り返し点でもあります。新型コロナウイルスの感染拡大は、変異株の出現等引き続き予断を許さない状況にあり、経済活動の回復にはまだ時間がかかるものと想定されます。一方では、これまでの消費の反動が起こることも考えられます。これからの変化・動きを注意深く捉え、これをチャンスと捉えて各種施策を実行してまいります。
グループ全体の重点方針は以下の通りです。
・新型コロナウイルスの影響を注視した事業運営と、その先の変化を捉える
・海外ビジネスの拡大
・資本効率を意識した運営
・チャレンジする人財の育成と成果に報いる人事制度の推進、多様な能力の活用
・SDGsを意識した事業活動と信頼される企業グループづくり
これらを踏まえた、各事業で取り組む施策は以下のとおりです。
<衣料繊維事業>
・国内事業においては、製造原価及びオペレーションコストの削減により、営業利益の成長を図ります。スクールユニフォーム事業では「ニッケ」ブランドの更なる向上に取り組むとともに、デジタル活用によるビジネスプロセスの変革により、顧客との接点増・経費圧縮・在庫削減に取り組みます。ビジネスユニフォーム事業では防刃・防炎などの機能素材の拡販を進めます。
・海外事業においては、マーケティング・プロモーションのインフラ構築を進めてまいります。中国学生服事業は、市場動向を見極めながら安定的な成長を目指すとともに、中国や欧州でのテキスタイル販売について具体化させていきます。
<産業機材事業>
・自動車関連、環境関連を中心として収益を拡大させてまいります。海外収益の拡大としては、中国における高機能フィルター「アドミレックス」事業の稼働、海外向け「ヒメロン」の拡販、EV関連資材の拡大を進めます。また、車載電装品他製造ラインのファクトリーオートメーション設備については、設備投資の回復を睨んだ受注獲得を進めるとともに、EV・自動運転関連などの新規設備開発に取り組みます。
・完全子会社化を実施した株式会社フジコーとアンビック株式会社とのシナジー効果を早期に創出し、不織布事業の収益拡大、海外事業の拡大を図ります。
<人とみらい開発事業>
・開発関連分野では、商業施設の一部リニューアルなど安定収益の強化を図るとともに、所有不動産の再開発に取り組みます。また、保有資産の更なる価値向上を図るため中長期的な開発を検討してまいります。
・ライフサポート分野においては、介護事業や保育事業など既存事業の安定化を図るとともに、スポーツ分野におけるスクール事業の強化を進めます。
・通信および新規サービス分野では、アフター・コロナの状況も見極めながら、事業の選択と集中、店舗展開、新規事業へのチャレンジを進めます。
<生活流通事業>
・既存事業の深耕と成長に加えて、M&Aなどにより親和性の高い事業を加え、収益の拡大を図ります。
・Eコマース事業では、グループ各社の商材について新たな市場開拓を進め、連携を強化してまいります。
・グローバル展開に向けて、グループ内商社を通した海外通販・Eコマース事業会社との取り組みを進めるとともに、海外Eコマースモールでの販売にも取り組んでまいります。
<メディカル関連事業>
・ニッケグループの技術を活用した開発商品の収益化を目指し、メーカーとしての機能強化を図ります。
現在の不確実性の大きい経営環境のなかで足元の状況だけに縛られず、これからの変化・動きを注意深く捉え、チャンスと受け止めて“情熱と誇りを持ってチャレンジ”していくことが大切であると考えております。「第2次中期経営計画」最終年度(2023年度)においては、過去最高の売上高・営業利益を再び更新するとともに、ステークホルダーから喜ばれる魅力的な事業の育成、拡大を進めてまいります。
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