業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

①財政状態及び経営成績

 当連結会計年度における我が国経済は、ワクチン接種の進捗や、新型コロナウイルス感染症が弱毒化傾向であることから、長きにわたって適用されていたまん延防止等重点措置が全面解除され、海外からの観光客の受け入れ再開などが行われるなど、経済活動の再開に向けた機運が急速に高まってまいりました。

 当社グループが属する不動産業界においては、コロナ禍でも安定的なパフォーマンスを見せた首都圏の住居系賃貸不動産に対する国内外の投資家による投資意欲は依然として旺盛な状況が継続しました。国内の良好な資金調達環境、利回りの高さに加え、その供給の少なさから物件取得競争は激しくなっているものの、特に東京圏における不動産は市場流通性が高く、不動産への投資環境は良好に推移いたしました。

 このような状況の下、当社は中期経営計画「Go For The Future 2022」の最終年度として、引き続き東京都心エリアに厳選した住居系不動産用地の仕入を積極的に行い、同時に投資案件の大型化を進めてまいりました。加えて、品川区・大田区に地盤を持つ総合不動産会社であるアイディグループの子会社化、新株予約権の第三者割当により資本の拡充を進めるなど、更なる成長のための基盤を整えてまいりました。

 人材サービス分野においても、昨年子会社化した株式会社DLXホールディングスを成長軌道に乗せるべく、新規事業の拡大、派遣人材の採用強化に向けた投資を積極的に行ってまいりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 

a.財政状態

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より8,718百万円増加し、36,457百万円となりました。

負債合計は、前連結会計年度末より、3,070百万円増加し、15,198百万円となりました。

純資産合計は、前連結会計年度末より5,648百万円増加し、21,259百万円となりました。

 

b.経営成績

 当連結会計年度の経営成績は、不動産開発・投資を展開するリアルエステート事業が好調に推移したことを主因に、売上高は51,905百万円(前期比96.9%増)、営業利益は5,736百万円(前期比42.8%増)、経常利益は5,666百万円(前期比37.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,199百万円(前期比56.3%増)となりました。

 

 セグメントの概況は次のとおりであります。

(リアルエステート事業)

 当連結会計年度におきましては、不動産投資会社・デベロッパー・不動産販売会社、海外事業者など幅広い需要に対応いたしました。その結果、「DeLCCS 両国Front(東京都墨田区)」「神楽坂矢来町Ⅱプロジェクト(東京都新宿区)」「清澄白河Ⅱプロジェクト(東京都江東区)」などの自社開発の都市型レジデンスと、「東中野プロジェクト(東京都中野区)」「水天宮前Ⅱプロジェクト(東京都江東区)」などのアセット・デザイン&リセール(土地の開発適地化)と合わせて、合計47件を売却いたしました。

 加えて、管理コストの見直しやリノベーションなどにより収益価値を高め、「DeLCCS 千駄木(東京都文京区)」「DeLCCS 田園調布(東京都世田谷区)」「DeLCCS 山吹神楽坂Ⅱ(東京都新宿区)」などの東京都心部に立地する収益不動産を37棟売却いたしました。

 また、仕入に関しましては、より需要の見込めるエリアを中心として、「月島(東京都中央区)」「表参道(東京都渋谷区)」など42件の都市型レジデンス開発用地並びに商業店舗開発用地や、「DeLCCS 山吹神楽坂Ⅲ(東京都新宿区)」などの23件の収益不動産の仕入を行いました。

 以上の結果、売上高47,621百万円(前期比92.8%増)、営業利益6,568百万円(前期比39.5%増)となりました。

 

(セールスプロモーション事業)

 連結子会社の株式会社DLXホールディングスが展開するセールスプロモーション事業におきましては、株式会社N-STAFFにおいて、引き続き業容拡大に向けた本社移転や、運営強化のための採用強化をはじめとする先行投資を行ってまいりました。また、堅調な既存事業に加え、更なる事業領域の拡大に向けて、新規事業の拡大、他業界での需要喚起等を行ってまいりました。

 なお、株式会社DLXホールディングス及び株式会社N-STAFFの業績につきましては、前連結会計年度においては6か月間の業績のみを取り込んでいたところ、当連結会計年度より1年間の業績を取り込んでおります。

 以上の結果、売上高4,283百万円(前期比157.6%増)、営業損失84百万円(前期は営業損失15百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ4,960百万円増加し、当連結会計年度末には19,677百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は5,045百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益が6,012百万円、棚卸資産の減少が685百万円あった一方で、法人税等の支払額が1,606百万円あったことによるものです。

 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は1,104百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出が136百万円、子会社株式の取得による支出が1,001百万円あったことによるものです。

 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は1,019百万円となりました。これは主に、新株予約権の行使による株式の発行による収入が1,564百万円、長期借入れによる収入が25,826百万円あった一方で、長期借入金の返済による支出が26,024百万円、配当金の支払いによる支出が1,130百万円あったことによるものです。

 

③生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

当社グループは、リアルエステート事業、セールスプロモーション事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績の記載はしておりません。

 

b.受注実績

当社グループは、受注生産を行っておりませんので、受注実績の記載はしておりません。

 

c.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメント

当連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

前年同期比

販売高(百万円)

(%)

リアルエステート事業

47,621

92.8

セールスプロモーション事業

4,283

157.6

合計

51,905

96.9

(注) 1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。当連結会計年度につきましては、連結損益計算書の売上高の10%以上を占める相手先がないため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

(自  2020年10月1日

至  2021年9月30日)

当連結会計年度

(自  2021年10月1日

至  2022年9月30日)

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

住協建設株式会社

3,200

12.1

レジデンス・エイト特定目的会社

2,756

10.5

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成に当たり、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断していますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。

また、新型コロナウイルス感染症の影響については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。

 

②当連結会計年度の経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は、51,905百万円(前期比96.9%増)となりました。

 セグメント別の売上高は、リアルエステート事業につきましては、新型コロナウイルス感染症が経済に与える影響はありましたが、比較的好況な不動産市況において、当社開発による都市型マンション、アセット・デザイン&リセール(開発適地化)や収益不動産等の売却により47,621百万円(同92.8%増)、セールスプロモーション事業につきましては、堅調な既存事業に加え、更なる事業領域の拡大に向けて、新規事業の拡大、他業界での需要喚起等を行った結果、4,287百万円(同157.4%増)となりました。

 なお、各セグメントの状況の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績」をご覧ください。

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は43,186百万円(前期比105.6%増)となりました。これは主に、リアルエステート事業における販売用不動産の売却によるものであります。

(売上総利益)

 以上の結果、売上総利益は、8,718百万円(前期比62.6%増)となりました。

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、2,982百万円(前期比121.8%増)となりました。主な内訳は、給料手当605百万円、役員報酬272百万円、支払手数料643百万円及び租税公課367百万円であります。

(営業利益)

 以上の結果、営業利益は、5,736百万円(前期比42.8%増)となりました。

(営業外損益)

 当連結会計年度における営業外収益は、224百万円(前期比4.4%増)となりました。これは主に、有価証券運用益119百万円、受取手数料42百万円、持分法適用会社である株式会社パルマの持分法による投資利益11百万円によるものであります。また、営業外費用は、294百万円(前期比151.4%増)となりました。これは主に、支払利息191百万円及び支払手数料67百万円によるものであります。

(経常利益)

 以上の結果、経常利益は5,666百万円(前期比37.7%増)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は6,012百万円(前期比49.7%増)となりました。これに法人税、住民税及び事業税や法人税等調整額を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は4,199百万円(前期比56.3%増)となりました。

 

③当連結会計年度の財政状態の分析

(流動資産)

  当連結会計年度末における流動資産の残高は、34,085百万円(前連結会計年度末比32.6%増)となりました。これは主に、リアルエステート事業における不動産の売却が進捗したため、現金及び預金が5,165百万円増加した一方で、開発した物件の竣工、中古収益不動産の仕入進捗により、販売用不動産が3,454百万円増加、仕掛販売用不動産が283百万円減少したことによるものです。

 (固定資産)

  当連結会計年度末における固定資産の残高は、2,371百万円(前連結会計年度末比16.7%増)となりました。

 (流動負債)

  当連結会計年度末における流動負債の残高は、4,426百万円(前連結会計年度末比12.3%増)となりました。これは主に未払法人税等が372百万円増加した一方で、不動産の売却により一年以内返済予定の長期借入金が311百万円減少したことによるものです。

 (固定負債)

  当連結会計年度末における固定負債の残高は、10,771百万円(前連結会計年度末比31.6%増)となりました。これは主に、不動産の仕入により長期借入金が2,298百万円増加したことと、社債が170百万円増加したことによるものです。

 (純資産)

  当連結会計年度末における純資産の残高は、21,259百万円(前連結会計年度末比36.2%増)となりました。これは主に、新株予約権の行使などにより自己株式を909百万円処分し、親会社株主に帰属する当期純利益を4,199百万円計上した一方で、剰余金の配当を1,132百万円行ったことによるものです。この結果、自己資本比率は、57.2%となりました。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資金需要のうち主なものは、主力であるリアルエステート事業における開発用地や収益不動産の仕入や開発に係る建築費や設計等の業務委託料であります。これらの資金需要に対し当社では金融機関等からの長期借入による資金調達を基本としております。

 

⑥経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、「中期経営計画 “Go For The Future2022”」における2022年9月期の定量目標として、連結経常利益50億円、連結ベースのROE(株主資本利益率)15%以上、ROA(総資産利益率)10%水準、自己資本比率30%以上を目標として掲げております。

 当連結会計年度においては、主力のリアルエステート事業において当社開発による都市型マンション、アセット・デザイン&リセールや収益不動産の販売が好調に推移したことにより、連結経常利益56億円、ROE23.3%、ROA17.7%、自己資本比率57.2%となり、全ての指標で超過達成いたしました。

 

第16期実績

(2020年9月期)

第17期実績

(2021年9月期)

第18期実績

(2022年9月期)

経常利益

27億円

41億円

56億円

ROE

13.8%

18.5%

23.3%

ROA

10.8%

15.6%

17.7%

自己資本比率

54.9%

54.8%

57.2%

 

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