(業績等の概要)
(1) 経営成績に関する分析
当連結会計年度(2020年12月1日~2021年11月30日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、多くの地域で緊急事態宣言等が長期に亘り発出されるなど、依然として厳しい状況が続き、経済活動や個人消費に大きな影響を与えております。足元では国内における新型コロナワクチンの接種率が急速に向上し、今後はその効果への期待があるものの、変異株の流行など未だ事態収束の見通しは立たず、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループの主要事業が属する不動産業界では、低金利下での良好な資金調達環境を背景に、国内外の投資家の物件取得意欲は引き続き高い状況にあるものの、新型コロナウイルス感染症の影響によるワークスタイルや消費行動の変化等についての見極めも含めて、今後の新規物件の取得にあたっては、取得価格と収益性のバランスを慎重に検討することが必要となってきております。また、太陽光発電業界においては、長期間にわたって安定して高い利回りが期待できる点、残価リスクがほぼない点から、現在の良好な資金調達環境を背景とした利回り商品としての需要拡大に加え、政府のグリーン成長戦略の推進による後押しもあり、市場の拡大が期待されております。
こうした状況の下、アセットマネジメント事業では、引き続きファンド運用資産残高、不動産等受託資産残高の増加に向けて、投資家ニーズに適合した魅力的な商品開発に努めております。当連結会計年度におきましては、住宅宿泊・マンスリーマンション事業に関連した事業型ファンドである「FC事業ファンド1号」の募集・販売を行い、2021年3月に完売しております。
また、インベストメントバンク事業では、国内不動産において自社開発いたしました東京都板橋区の住宅系物件の販売が完了したほか、神奈川県横浜市においてバリューアップ施策を講じたオフィス系物件の販売が完了いたしました。海外不動産についても、米国ワシントン州のバリューアップ物件の販売が完了したほか、米国カリフォルニア州において新たな物件を取得するなど、引き続き物件のソーシングにも努めております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,195百万円(前期比43.1%増)、営業利益216百万円(前期比202.6%増)、経常利益201百万円(前期比560.9%増)、また、法人税等調整額の計上により、親会社株主に帰属する当期純利益152百万円(前期比496.1%増)となりました。
(単位:百万円)
セグメント別の業績は以下の通りであり、売上高についてはセグメント間の内部売上高又は振替高を除いた売上高で表示しております。
<アセットマネジメント事業>
当連結会計年度末において、当社グループが運用するファンド運用資産残高は196億円(一部円換算US$1.00=113.77円)、当社グループがアセットマネジメント業務を受託している不動産ファンド及び太陽光発電ファンド等の受託資産残高は173億円となりました。
不動産ファンドにつきましては、アセットマネジメントフィー及びファンド管理報酬等を計上いたしました。
証券ファンドにつきましては、外国投資信託の管理報酬を計上いたしました。また、太陽光発電ファンド事業につきましても、アセットマネジメントフィー等を計上いたしました。この結果、アセットマネジメント事業は、売上高729百万円(前期比82.3%増)、営業利益344百万円(前期比76.9%増)となりました。
<インベストメントバンク事業>
不動産投資等部門では、国内外の販売用不動産の売却や、保有不動産からの賃料収入、その他販売手数料等により1,433百万円を計上いたしました。証券投資等部門では、金融商品仲介業務による報酬等を32百万円計上いたしました。この結果、インベストメントバンク事業は、売上高1,465百万円(前期比29.3%増)、営業利益138百万円(前期比7.0%増)となりました。
(2) キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前連結会計年度末に比べ304百万円増加し、1,126百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は、1,138百万円となりました。税金等調整前当期純利益204百万円、減価償却費7百万円の計上、販売用不動産865百万円の減少等による資金増加が主な要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用された資金は、53百万円となりました。子会社の連結除外による265百万円の支出による資金減少が主な要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用された資金は784百万円となりました。借入金の借入及び返済による989百万円、配当金37百万円の支出による資金減少が主な要因であります。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績、仕入実績及び受注実績
当社グループの提供するサービスは生産・仕入・受注活動を伴わないため、記載を省略しております。
(2) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引は相殺しております。
2.最近2連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) ファンド資産残高の状況
① 不動産ファンドの運用資産残高
(注) 1.FCファンド-レジット不動産証券投資信託(「レジット」)は2003年11月に運用を開始しました。2010年11月度より「レジット」クラスC受益証券、2011年11月度より「レジット」ブラジルレアルクラス受益証券及び豪ドルクラス受益証券の運用資産残高を含めております。
2.任意組合型不動産ファンドは2015年4月に運用を開始しました。
② 証券ファンドの運用資産残高
(注) 1.FC Tトラスト-海通-アイザワ 好配当利回り中国株ファンド(「好配当利回り中国株」)(旧名称 FC Tトラスト-大福-アイザワ 好配当利回り中国株ファンド)は2005年10月に運用を開始しました。
2.FCグローバル ベトナムファンド(「ベトナム」)(旧名称 フェイム-アイザワ トラスト ベトナムファンド)は2006年9月に運用を開始しました。
3.フィリップ-アイザワ トラスト タイファンド(「タイ」)は2007年1月に運用を開始いたしました。
4.FC T トラスト-海通-アイザワ 中国ナンバーワンファンド(「中国ナンバーワン」)(旧名称 FC T トラスト-大福-アイザワ 中国ナンバーワンファンド)は2007年6月に運用を開始しました。
5.運用資産が米ドル建てで算出されているファンド(ベトナム、タイ、中国ナンバーワン)は、月末為替レート(TTM)を使用しております。
③ 事業型ファンドの運用資産残高
(注) 1.福岡川崎ソーラーファンド 福岡川崎ソーラー事業匿名組合は2014年3月に運用を開始しました。
2.福岡田川ソーラーファンド 福岡田川ソーラー事業匿名組合は2014年10月に運用を開始しました。
3.三重芸濃ソーラーファンド 三重芸濃ソーラー事業匿名組合は2015年2月に運用を開始しました。
4.栃木益子ソーラーファンド 栃木益子ソーラー事業匿名組合は2015年3月に運用を開始しました。
5.熊本明徳ソーラーファンド 熊本明徳ソーラー事業匿名組合は2015年3月に運用を開始しました。
6.福岡豊前ソーラーファンド 福岡豊前ソーラー事業匿名組合は2015年12月に運用を開始しました。
7.福島二本松ソーラーファンド 福島二本松ソーラー事業匿名組合は2016年3月に運用を開始しました。
8.和歌山新宮ソーラーファンド 和歌山新宮ソーラー事業匿名組合は2016年3月に運用を開始しました。
9.栃木那須烏山ソーラーファンド 栃木那須烏山ソーラー事業匿名組合は2017年3月に運用を開始しました。
10.民泊等宿泊事業ファンド1号は 、 2018 年6月に設定され 2018年12月に追加募集がなされました。
11.FC事業ファンド1号は、2020 年11月に設定され 2021年3月に募集が完了いたしました。
(4) アセットマネジメント事業に関する報酬
① アクイジションフィー、ディスポジションフィー等
② アセットマネジメントフィー等
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)
当社グループの当連結会計年度(自 2020年12月1日 至 2021年11月30日)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況については、以下に記載しております。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。見積り及び判断・評価につきましては、過去の実績や合理的と考えられる要因等に基づいて判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積及び仮定のうち、重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)及び(追加情報)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルス感染症拡大による影響等、不確実性が大きく、見積り、予測への反映が難しい要素もあるため、現時点において入手可能な情報を基に検証等を行っておりますが、その影響が長期化した場合には将来において損失が発生する可能性があります。
当連結会計年度末における流動資産の残高は、前連結会計年度末比267百万円減少し2,494百万円となりました。これは主として、新規物件の取得を行った一方で保有物件の売却を行ったことにより販売用不動産が865百万円減少したこと、太陽光発電設備の開発に着手したことにより未成工事支出金が329百万円増加したことなどによるものです。
また、当連結会計年度末における固定資産の残高は、有形固定資産426百万円、無形固定資産3百万円、投資その他の資産347百万円となり、前連結会計年度末比207百万円減少し777百万円となりました。無形固定資産が前連結会計年度末比215百万円減少しているのは、前連結会計年度末に新規に連結いたしました子会社の評価額と純資産額の差額をのれんとして計上いたしましたが、同子会社を連結除外したことによるものです。
当連結会計年度末における流動負債の残高は、前連結会計年度末比209百万円増加し737百万円となりました。これは主として、借入金の返済により短期借入金が171百万円減少した一方で、短期社債が250百万円増加したことなどによるものであります。
また、当連結会計年度末における固定負債の残高は、前連結会計年度末比811百万円減少し41百万円となりました。これは主として、借入金の返済により長期借入金が811百万円減少したことなどによるものです。
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度比131百万円増加し2,497百万円となりました。これは主として、配当金の支払いにより37百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益152百万円計上したことにより利益剰余金が114百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が17百万円増加したことなどによるものです。
以上の結果、当連結会計年度末における総資産は前連結会計年度比470百万円減少し3,276百万円、負債は前連結会計年度比602百万円減少し778百万円、純資産は前連結会計年度比131百万円増加し2,497百万円となり、自己資本比率は76.1%と前連結会計年度比13.1ポイント増と大きく向上いたしました。
セグメントごとの分析は、次の通りです。
(アセットマネジメント事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末比179百万円増加し1,355百万円となりました。これは主として、のれんが219百万円減少した一方で、現金及び預金が354百万円増加したことなどによるものです。
(インベストメントバンク事業)
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ523百万円減少し1,150百万円となりました。これは主として、新規物件の取得を行った一方で保有物件の売却を行ったことにより販売用不動産が865百万円減少したこと、未成工事支出金が329百万円増加したことなどによるものであす。
当社グループの主要な事業領域である不動産業界においては、低金利下での良好な資金調達環境を背景に国内外投資家の物件取得意欲は依然として高く、不動産市場は引き続き堅調に推移しております。その一方で、今後の新規物件の取得にあたっては、新型コロナウイルス感染症によるワークスタイルや消費行動の変化への影響めも含めて、物件の取得価額と収益性のバランスを慎重に見極めることが重要となってきております。また、同じく主要な事業領域である太陽光発電業界においては、長期にわたって安定して高い利回りが期待できる点、残価リスクがほぼない点、良好な資金調達環境などにより、利回り商品としての需要が拡大しております。さらに政府のグリーン成長戦略等の環境政策が後押しし、今後も市場の成長が期待されております。
当社グループの事業セグメントであるアセットマネジメント事業、インベストメントバンク事業のいずれにおいても上記の視点に基づき事業を推進しており、当連結会計年度の経営成績は次の通りです。
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度比661百万円増加し2,195百万円となりました。
アセットマネジメント事業の売上高は、不動産ファンド関連報酬が前連結会計年度比336百万円増加し690百万円となった一方で、証券ファンド関連報酬が7百万円減少し38百万円となったことにより、全体では前連結会計年度比329百万円増加し729百万円となりしました。インベストメントバンク事業の売上高は、不動産投資等部門の売上高が保有不動産の売却額等の増加により前連結会計年度比329百万円増加し1,433百万円となった一方で、有価証券運用及び金融商品仲介手数料等の証券投資等部門の売上高が4百万円減少し32百万円となったことにより、全体では前連結会計年度比325百万円増加し1,465百万円となりました。
当連結会計年度の売上原価は、主としてインベストメントバンク事業における保有不動産の売却売上高の増加に伴い、前連結会計年度比465百万円増加し1,412百万円を計上しました。この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度比195百万円増加し782百万円となりました。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、役員報酬、給与手当、賞与等の人件費320百万円、支払手数料及び支払報酬114百万円を中心に、前連結会計年度比50百万円増加し565百万円となりました。売上総利益195百万円増加し販管費が50百万円増加した結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比144百万円増加し216百万円となりました。
当連結会計年度の営業外収益は、受取配当金4百万円を中心に19百万円となりました。営業外費用は支払利息23百万円を中心に34百万円となりました。営業利益が前連結会計年度比で増加したことに加え営業外収支が改善した結果、当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度比170百万円増加し201百万円となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益が前連結会計年度比で増加したことに加え、法人税、住民税及び事業税61百万円及び法人税等調整額△9百万円を計上したことにより、前連結会計年度比127百万円減少し152百万円となりました。
「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。詳細につきましては、同項を参照願います。
① 資金調達
短期資金需要については、当社グループでは、営業活動におけるインベストメントバンク事業の投融資等の事業活動に必要な資金の確保と、財務の健全性の維持及び手元流動性の確保を基本方針としており、インベストメントバンク事業の不動産投資部門が行う投融資では、主に金融機関からの借入による資金調達のほか、当連結会計年度においてはソーシャルレンディングを活用した資金調達を実施し、適切な手元流動性の確保と資金調達方法の多様化を図っております。
中長期資金需要に対しては、当社グループでは、成長機会を捉え、より強固な事業基盤を構築するため、M&A等の実施が有効な戦略であると考えており、そのための資金調達手段として、当社は2019年5月に第8回新株予約権を発行しております。有価証券報告書の提出日現在、同新株予約権の行使による資金調達は行われておりませんが、M&A案件が具体化した際には、迅速に対応できるよう資金調達の体制を整えております。
② 資金需要
当社グループの資金需要の主なものは、アセットマネジメント事業については新規ファンド組成に係る諸費用や人件費等の販売費及び一般管理費の運転資金、インベストメントバンク事業については営業活動における不動産や太陽光発電設備等の取得及び新規開発に係る投資や企業への投融資、人件費等の販売費及び一般管理費の運転資金であります。
アセットマネジメント事業事業においては、運転資金は主として営業活動によるキャッシュ・フローで対応する方針です。インベストメントバンク事業の投融資は、不動産投資部門における不動産等投融資と、証券投資部門における成長性豊かな上場企業・未上場企業に対し投融資とからなります。インベストメントバンク事業においては投融資が収益拡大を促進するため、当社グループでは今後も金融機関からの調達した資金を中心に投融資を継続していく予定であります。
また、当社グループでは、M&A等を実施することにより成長機会を捉え、事業基盤の拡充を行うことが、当社グループの中長期的な企業価値の向上を図る上で重要な戦略と考えており、上記事業での資金需要とは別にM&A等の資金需要が発生する可能性があります。
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