業績

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当連結会計年度(2021年1月1日~2021年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が徐々に緩和される中で、持ち直しの動きがみられました。先行きについては、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、景気が持ち直していくことが期待される一方で、供給面での制約や原材料価格の動向による下振れリスク、感染症による内外経済への影響、金融資本市場の変動等の影響を注視する必要があります。
 当社グループの属する不動産業界におきましては、金融緩和政策の継続や、働き方の変化によるニーズの変化もあり、需要は堅調に推移し取引価格は上昇基調となりました。新型コロナウイルス感染症による業界への影響は、資材の高騰や供給不足を引き起こし、需給バランスが逼迫したことも取引価格が上昇する一因となりました。居住用不動産は、生活様式や働き方の変化により都心以外の需要も増加しております。新築価格が高い水準を維持しているため、中古マンションの需要は引き続き高い水準で推移しました。東日本不動産流通機構(東日本レインズ)によれば、2021年度の首都圏の中古マンション成約件数は39,812件(前年比11.1%増)で過去最高となり、成約平米単価は59.81万円(同8.4%増)、成約価格は3,869万円(同7.5%増)と共に9年連続の上昇となりました。投資用不動産は、都心エリアのオフィス空室率上昇や賃料下落が進みましたが、金融緩和政策の継続により投資意欲は高い水準で推移しました。
 このような事業環境の下、当社グループの主力事業である不動産売買事業のうち、投資用不動産に関しましては、稼働率向上やバリューアップによる商品の付加価値を高め、販売強化することにより、在庫回転率の向上に努めたものの、収益性を重視した販売活動により投資用不動産は前期比で減収となりました。居住用不動産に関しましては、エリアの深耕や仕入・販売の決済スピードを高める事を目的として、2021年9月に北千住営業所、10月に船橋営業所、11月に荻窪営業所・赤羽営業所、12月に池袋営業所と計5店舗を開設し、仕入・販売の強化に努めました。その結果、売上・利益共に前期を上回る業績となっております。一方で、投資用不動産の仕入を厳格化したことにより、在庫が減少となり、それに伴い賃料収入は減少しております。また、2020年度より取り組みを始めた不動産特定共同事業においては、2件の組合組成を実施し順調に運用を開始しております。

以上の結果、当連結会計年度における売上高は339億56百万円(前期比2.6%減)、営業利益は23億42百万円(同5.0%減)、経常利益は17億70百万円(同0.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は12億76百万円(同113.0%増)となりました。

 

セグメントの業績は、次のとおりであります。

(不動産売買事業)

不動産売買事業におきましては、投資用不動産の販売が142件(前期比42件減)、平均販売単価は173百万円(同23.3%増)となり、売上高は246億38百万円(同4.9%減)となりました。また、居住用不動産の販売は、189件(前期比41件増)、平均販売単価は37百万円(同5.0%減)となり、売上高は70億51百万円(同21.4%増)となりました。

以上の結果、売上高は318億42百万円(前期比0.1%減)、セグメント利益(営業利益)は31億19百万円(同10.9%増)となりました。 

(賃貸その他事業)

賃貸その他事業におきましては、不動産賃貸収入が20億8百万円(前期比31.0%減)となりました。

以上の結果、売上高は21億13百万円(前期比29.4%減)、セグメント利益(営業利益)は7億36百万円(同33.3%減)となりました。

(注)「投資用不動産」は、一棟賃貸マンション及び一棟オフィスビル等の賃貸収益が発生する物件を購入者が主に投資用として利用する不動産として区分し、「居住用不動産」は、区分所有マンションを中心に購入者が居住用として利用する不動産として区分しております。

 

② 財政状態の状況

当連結会計年度末における財政状態は、総資産627億78百万円(前連結会計年度末比0.5%増)、負債392億32百万円(同1.6%減)、純資産235億46百万円(同4.2%増)となりました。また、自己資本比率は37.4%(前連結会計年度末は36.0%)となっております。

(資産)

総資産の主な増加要因は、現金及び預金が15億円、有形固定資産が37億76百万円及びその他の流動資産が4億86百万円増加した一方、販売用不動産(仕掛販売用不動産も含む)が55億26百万円減少したことによるものであります。

(負債)

負債の主な減少要因は、短期借入金が26億89百万円増加した一方、長期借入金(1年内返済予定を含む)が27億31百万円、未払法人税等が2億85百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

純資産の主な増加要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が12億76百万円増加した一方、剰余金の配当により2億39百万円減少したことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ14億66百万円増加し、161億16百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動の結果、獲得した資金は、33億7百万円(前連結会計年度は、109億81百万円の獲得)となりました。これは主に、たな卸資産の減少22億70百万円、税金等調整前当期純利益17億76百万円の収入があった一方、法人税等の支払額7億88百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動の結果、使用した資金は、12億18百万円(前連結会計年度は、19億44百万円の使用)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入19億34百万円があった一方、有形固定資産の取得による支出11億62百万円、定期預金の預入による支出19億67百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動の結果、使用した資金は、6億21百万円(前連結会計年度は、66億56百万円の使用)となりました。これは主に、借入金による収入202億69百万円、社債の発行による収入6億84百万円があった一方、借入金の返済による支出203億11百万円、社債の償還による支出9億21百万円があったことによるものであります。

 

④ 仕入及び販売の状況

(生産実績)

当社グループは、中古不動産の売買事業及び賃貸その他事業を主体としており、生産実績を定義することが困難であるため、該当事項はありません。

(受注実績)

当社グループは、受注生産を行っていないため、該当事項はありません。

(販売実績)

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

区分

当連結会計年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

 

 

 

セグメントの名称

 販売件数

前年同期比

(%)

 販売高(百万円)

前年同期比

(%)

不動産売買事業

331

99.7

31,842

99.9

賃貸その他事業

2,113

70.6

合計

331

99.7

33,956

97.4

 

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

① 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度と比較して9億2百万円減少339億56百万円(前連結会計年度比2.6%減)となりました。これは、不動産売買事業の売上高が23百万円減少の318億42百万円(同0.1%減)と前期並みであったのに対し、賃貸その他事業が8億79百万円減少の21億13百万円(同29.4%減)となったことによります。

これは、主力事業である不動産売買事業は前期並みであったものの、賃貸その他事業の賃貸収入が減少したためであります。賃貸収入は、投資用不動産の仕入から販売までの保有期間中、及び当社が固定資産として保有する物件から計上されますが、投資用不動産に関しましては、市況の影響を受けやすいため、比較的影響の受けづらい居住用不動産の仕入及び販売に注力しました。その結果、投資用不動産の在庫が減少したため、賃貸その他事業の売上高が減少しております。
 詳しくは「(1)経営成績等の状況の概要①経営成績の状況」をご参照ください。

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度と比較して8億26百万円減少281億68百万円(前連結会計年度比2.8%減)となりました。また、売上総利益は前連結会計年度と比較して76百万円減少57億88百万円(同1.3%減)となりました。なお、売上総利益率は、0.2ポイント上昇して17.0%(前連結会計年度は16.8%)と上昇しました。

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、前連結会計年度と比較して46百万円増加34億45百万円(前連結会計年度比1.4%増)となりました。仕入に係る消費税を含めた租税公課が1億51百万円、営業所開設に関連する費用が65百万円、及び人員採用に伴う人件費及び採用教育費が21百万円増加した一方で、広告宣伝費の削減により1億63百万円減少したことによります。営業利益は売上高の減少に伴って1億23百万円減少23億42百万円(同5.0%減)となりました。なお、売上高営業利益率は0.2ポイント低下して6.9%(前連結会計年度は7.1%)となりました。

(営業外損益、経常利益)

営業外収益は、前連結会計年度と比較して41百万円減少の35百万円(前連結会計年度比54.5%減)となりました。これは主に前連結会計年度に計上した雇用調整助成金23百万円が当連結会計年度に計上されなかったこと、解約違約金収入が9百万円減少したことによります。

営業外費用は、前連結会計年度と比較して1億50百万円減少の6億6百万円(同19.9%減)となりました。これは主に、借入金の利率の低減効果により、支払利息が1億50百万円減少したことによります。

以上の結果、経常利益は、前連結会計年度と比較して14百万円減少17億70百万円(前連結会計年度比0.8%減)となりました。なお、売上高経常利益率は0.1ポイント上昇して5.2%(前連結会計年度は5.1%)となりました

(特別利益、親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度と比較して6億77百万円増加の12億76百万円(前連結会計年度比113.0%増)となりました。これは主に、前連結会計年度において繰延税金資産の一部を取り崩し、法人税等調整額を5億35百万円計上したこととの差によるものであります。なお、売上高当期純利益率は2.1ポイント上昇して3.8%(前連結会計年度は1.7%)となりました。

 

 

② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。

また、当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 (1)連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載されているとおりであります。

 

③ 資本の財源および資金の流動性

当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、不動産買取再販事業に係る販売用不動産の仕入れであります。販売用不動産の仕入れは、個別の販売用不動産を担保とした金融機関からの借入金及び販売活動で獲得した資金によって行っております。当該販売用不動産は一年以内を目途に販売することとし、借入金は、月例約定返済を織り込みつつ、販売用不動産の販売時に一括返済することを基本方針としており、資金の流動性は十分に確保されております。
 また、上記のほか資金調達の手段として、社債の発行、不動産特定共同事業の運営及びクラウドファンディングを活用したファンドの組成等を行い、資金調達の補助的な役割を担っております。これらで得た資金については、安定した賃貸家賃収入を獲得するための長期保有目的不動産の購入等に充てられております。
 

④ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2019年12月期に第1次中期経営計画を開始し、以下のとおり2021年12月期に終了しております。

 

 第1次中期経営計画の経営指標(2019年12月期~2021年12月期)

経営指標

目標数値(当初)

目標数値(修正後)

当連結会計年度

連結売上高

630億円

354億円

339億円

連結経常利益

55億円

13億円

17億円

自己資本比率

30.0%以上

30.0%以上

37.4%

 

 

 2022年12月期からは、新たに第2次中期経営計画を策定し、以下のとおりの計画数値・経営指標を掲げております。

 

 第2次中期経営計画の経営指標(2022年12月期~2024年12月期)

経営指標

目標数値

当連結会計年度

成長性

売上高成長率

15.0%以上

▲2.6%

EPS成長率

30.0%以上

113.2%

効率性

ROE

11.0%以上

5.6%

棚卸資産回転率

1.5回/年以上

0.8回/年

健全性

自己資本比率

30.0~35.0%

37.4%

ネットD/Eレシオ

1.2倍~1.5倍

0.8倍

株主還元

配当性向

30%以上

28.2%

自己株式取得

機動的に対応

203,400株(※)

 

(※)2021年11月12日開催の取締役会において自己株式取得を決議しており、2021年12月31日までに取得した株式数となります。

 

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