業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動の抑制が継続される中、新型コロナウイルスのワクチン接種が進んだことや緊急事態宣言及びまん延防止等重点措置の解除により、経済・社会活動は緩やかながら回復に向かい、徐々に景気は持ち直しの動きが見られるようになりました。一方で、昨年末より発生したオミクロン株による感染症の再拡大の懸念やウクライナ情勢等による原材料価格や資源価格の上昇、金融資本市場の変動などにより経済・社会情勢は、再び先行き不透明感が高まってきております。

当社の属するIT業界におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響から、移動制限に伴うテレワークの進展による通信インフラの増強、IT環境のクラウドシフトや利用形態のサブスクリプション化の流れがより顕著化し、ペーパーレス化や脱ハンコなどDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現するソリューションへの需要が高まり、新たなビジネスチャンスが創出されており、IT技術の発展や利用はさらに加速化するものと認識しております。

当社は、このような事業環境の中、経営理念である「お客様に最大のご満足を」を実現するため、「お客様の未来を考えビジネスを共創するICTソリューション企業」を企業ビジョンと定め、顧客企業の課題解決を図るため、「お客様の立場に立って理解を深めます」「お客様の信頼を獲得し、一番に選ばれる企業を目指します」「お客様に安心で最適なICTプラットフォームを提供します」「従業員、パートナーにとって魅力ある企業を目指します」を行動指針とし、マネージドサービスカンパニーとして顧客の持続的成長を支援するベストパートナーを目指し、営業品質を向上させることにより顧客との関係強化に努めてまいりました。また、人材の育成に注力するとともに、新たなパートナーとの協業強化に努め、「TCSマネージド・プラットフォーム・サービスの提供」と「デジタルマーケティング」を基本戦略とした営業活動を行ってまいりました。

当社が提供する「TCSマネージド・プラットフォーム・サービス」は、ロイヤリティの高い顧客に対し、従来のTCSマネージドサービスを拡張し、パブリッククラウドへの対応技術を高め、安心して利用できるハイブリッドインフラ環境の提供を行うとともに、ICTインフラだけでなく、アプリケーション開発や運用保守を含めた、ビジネスプラットフォーム全体を提供するサービスとして展開してまいりました。また、全国に存在する顧客ニーズに対し、便利さやお得感を提供するソリューションであるITte(イッテ)を提供するため、デジタルマーケティングを推進してまいりました。

当社では、長期化する新型コロナウイルス感染症予防・拡大防止対策として、顧客及び従業員の安全配慮を引き続き徹底するとともに、テレワークなどの働き方の変革が従業員にもたらす影響にも留意してまいりました。

当事業年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大影響は、第3四半期において落ちつきが見られたものの、変異株であるオミクロン株の急激な感染拡大により、期末に向けた顧客のIT投資予算は再び抑制され、当初見込んでいた受注高の獲得まで至らず、売上高については、ハードウェア、導入支援サービスといったフロー案件が減少したことから減収となりました。一方、当社の事業戦略であるマネージドサービス事業は堅調に推移するとともに、アプリケーション開発が伸長したことから、増益となりました。

当事業年度末における財政状態は、売上債権の回収等により現金及び預金残高が増加したことにより、総資産が前事業年度末に比べ189百万円増加し、5,914百万円となりました。負債については前事業年度末に比べ25百万円減少し、2,247百万円となり、また、純資産は当期純利益の計上により、前事業年度末に比べ215百万円増加し、3,666百万円となりました。

 

この結果、当事業年度の経営成績は、売上高は7,152百万円(前年同期比319百万円減4.3%減)、営業利益435百万円(前年同期比59百万円増15.7%増)となり、営業外収益に受取保険金を計上したことなどから、経常利益459百万円(前年同期比83百万円増22.3%増)となりました。また、固定資産の減損処理を特別損失に減損損失として計上いたしましたが、当期純利益293百万円(前年同期比36百万円増14.2%増)となりました。

また、受注状況につきましては、受注高は6,701百万円(前年同期は7,818百万円)、受注残高は414百万円(前年同期は865百万円)となりました。

なお、当社は「情報システム関連事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの経営成績は記載を省略しております。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度に比べ643百万円増加し、3,140百万円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動により得られた資金は777百万円(前年同期は598百万円の収入)となりました。これは、主に税引前当期純利益428百万円、減価償却費225百万円、本社移転処理に伴う減損損失34百万円及び売上債権の減少307百万円がありましたが、仕入債務の減少56百万円及び法人税等の支払額97百万円があったことによるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動により使用した資金は51百万円(前年同期は80百万円の支出)となりました。これは、主にマネージドサービス案件に伴う投資等により有形固定資産及び無形固定資産の取得による支出57百万円があったことによるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動により使用した資金は81百万円(前年同期は119百万円の支出)となりました。これは、配当金の支払による支出81百万円があったことによるものであります。

 

③ 仕入、受注及び販売の状況

当社は、生産を行っておりませんので、仕入実績、受注実績及び販売実績を記載しております。

また、当社は、情報システム関連事業を主要な事業内容とする単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

a. 仕入実績

当事業年度における仕入実績は、次のとおりであります。

 

事 業 別 名 称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金 額(千円)

前年同期比(%)

ソリューションプロバイダー事業

4,460,741

△6.4

コンピュータ用品販売事業

83,729

△7.0

合  計

4,544,470

△6.4

 

(注) 金額は、仕入価格によっております。

 

b. 受注実績

当事業年度における受注実績は、次のとおりであります。

 

事 業 別 名 称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

受 注 高

受 注 残 高

金 額(千円)

前年同期比
(%)

金 額(千円)

前年同期比
(%)

ソリューションプロバイダー事業

6,612,173

△14.4

414,236

△52.1

コンピュータ用品販売事業

89,299

△7.1

合  計

6,701,473

△14.3

414,236

△52.1

 

 

c. 販売実績

当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。

 

事 業 別 名 称

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金 額(千円)

前年同期比(%)

ソリューションプロバイダー事業

7,063,265

△4.2

コンピュータ用品販売事業

89,299

△7.1

手数料収入

97

+24.0

合  計

7,152,662

△4.3

 

(注) 1.総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。

2.金額は、販売価格によっております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。

 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当社の当事業年度の経営成績等は、以下のとおりであります。

(a) 経営成績の分析

当社は、「マネージドサービスカンパニーとしての認知度向上」「ロイヤリティの高い顧客関係の構築」「顧客ニーズにマッチしたマネージドサービスの提供」を経営戦略の基本戦略とし、顧客価値創造への貢献を目指した事業活動を行っております。当社の提供するマネージドサービス事業は、データセンター、ヘルプデスク、SEサポートといったサービスを中心に展開し、その伸長により営業利益の獲得を目指しており、マネージドサービス事業の認知度を向上させるために、顧客との関係強化を図ってまいりました。この結果、新型コロナウイルス感染症の影響により、ハードウェアを中心としたインフラビジネスが減収となったもののマネージドサービス事業は堅調に推移するとともにアプリケーション開発が伸長したことから増益となりました。

(売上高)

売上高は、顧客のIT投資予算の実行により、特にハードウェア、ソフトウェア、導入支援サービスといった売切り型案件の多寡により増減いたします。当社では、顧客との関係性強化を図った営業活動により、顧客のIT投資予算の把握から最適なソリューションの提案・受注活動を行ってまいりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響によりハードウェア、導入支援サービスといったフロー案件が減少いたしました。その結果、当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ319百万円減少し、7,152百万円(前年同期比4.3%減)となりました。また、データセンター、ヘルプデスク、保守サービス等の売上高が3,319百万円であり、売上高に占める割合が46.4%(前年同期は41.7%)となりました。

(売上総利益)

製品販売の低価格化傾向に対応するため、マネージドサービス事業の伸長による利益率向上を図った結果、当事業年度における売上総利益は、前事業年度に比べ71百万円増加し、1,268百万円(前年同期比6.0%増)となりました。

(営業利益)

販売費及び一般管理費が増加しましたが、当事業年度における営業利益は、前事業年度に比べ59百万円増加し、435百万円(前年同期比15.7%増)となりました。営業利益率は、1.1ポイント増加し、6.1%となりました。

(経常利益)

受取保険金などにより営業外収益に23百万円計上した結果、当事業年度における経常利益は、前事業年度末に比べ83百万円増加し、459百万円(前年同期比22.3%増)となりました。

(当期純利益)

法人税、住民税及び事業税を138百万円計上、繰延税金資産の計上により法人税等調整額4百万円戻入れたことにより、法人税等合計を134百万円計上した結果、当事業年度における当期純利益は、前事業年度末に比べ36百万円増加し、293百万円(前年同期比14.2%増)となりました。

 

 

(b) 財政状態の分析
(資産)

当事業年度末における資産の額は5,914百万円となり、前事業年度末に比べ189百万円増加しております。これは、主に電子記録債権が期日到来等により84百万円減少、売上高の減少及び前事業年度末における売掛金残高の回収等により売掛金が222百万円減少及び有形固定資産や無形固定資産が減価償却費の計上等により158百万円減少しましたが、現金及び預金が643百万円増加したことによるものであります。マネージドサービス案件はサブスクリプション型であるため、安定的に収益獲得ができる他、安定収入源であることから、サブスクリプション型サービスの拡販は財政状態の健全化に重要であると考えております。

(負債)

当事業年度末における負債の額は2,247百万円となり、前事業年度末に比べ25百万円減少しております。これは、主に売上高減少に伴う仕入債務の減少や前事業年度末における債務残高の支払等により、買掛金が56百万円減少及び契約負債が売掛金への充当等により61百万円減少しましたが、未払金が13百万円増加、未払費用が20百万円増加及び未払法人税等が43百万円増加したことによるものであります。

(純資産)

当事業年度末における純資産の額は3,666百万円となり、前事業年度末に比べ215百万円増加しております。これは、主に配当金の支払いによる減少が81百万円ありましたが、当期純利益の計上が293百万円あったことにより、利益剰余金が211百万円増加及びその他有価証券評価差額金が1百万円増加したことによるものであります。この結果、ROEは8.3%(前事業年度末は7.6%)となりました。

 

(c) キャッシュ・フローの分析

当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご覧ください。

 

当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご覧ください。

当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

当社の営業活動に係る資金支出のうち主なものは、商品の仕入の他、営業活動に伴う交通費や人件費などの販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資活動に係る資金支出は、老朽化対策の他、将来のキャッシュ・フローの増加に繋がるための設備投資であります。

当社は、運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保するため、マネージドサービスカンパニーとしての認知度向上に努め、「TCSマネージド・プラットフォーム・サービスの提供」と「デジタルマーケティング」を基本戦略とした営業活動に努めております。運転資金は、自己資金を基本としており、自己資金で補えられない場合は金融機関からの借入を行うことを基本としております。

なお、当事業年度末における借入残高はありません。また、事業活動の維持・拡大に必要な手許資金として、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は3,140百万円となっております。

なお、当社は「情報システム関連事業」の単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は記載を省略しております。

 

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