業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 2022年4月期の業績は、売上高82億46百万円(前期比117.3%)、営業損失は7億51百万円(前期は営業損失11億34百万円)、経常利益は12億32百万円(前期は経常損失2億47百万円)となり、当期純利益は6億98百万円(前期は当期純損失61百万円)となりました。また期末総店舗数は110店舗(新規創店4店舗、閉店10店舗)で新型コロナウイルスの影響によって業績回復が著しく困難な不採算店舗を閉店しております。経常利益には主に新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴う助成金等の収入19億49百万円、当期純利益には、減損損失2億49百万円を含んでおります。

 

 新型コロナウイルス感染拡大による影響から感染予防対策に重点をおいた営業を進めておりましたが、前事業年度に続き、政府や自治体からの要請による休業や時短営業協力により厳しい状態が続き、制限なしの営業は通期で128日(全体の35.1%)のみとなりました。

 営業面では、テレワークにより減少した都心のオフィスワーカーと入国制限により消失したインバウンド需要をカバーする施策として、催事事業およびEC事業に積極的に取り組んでまいりました。特に「シャインマスカットのチーズズコット」「あまおう苺のズコット」は朝の情報番組でも取り上げられ、10万ピース以上の販売実績を残すことが出来ました。さらに椿屋創業25周年記念プロジェクトとして開発したレトルトタイプの「椿屋カレー」「椿屋ハヤシソース」も6月の販売開始から15万食以上の出荷を記録しており、売上を伸ばしております。今後もイートインメニューからテイクアウトへ繋げられるよう努めてまいります。

 

 催事事業全体では、延べ46ヶ所398日間の催事出店を展開し、戦略商品である作り立てケーキと手軽さを売りにしたスパゲッティやグラタンなどの冷凍グルメ食品を中心に販売いたしました。開催日数は前年と比べ166日増(前期比171.6%)となり、売上高80百万円(前年比273.9%)となりました。

 

 EC事業につきましては、椿屋オンラインショップでの珈琲・焼菓子ギフト商品が中心となっており、中でも父の日、母の日といったハレの日用の贈答商品の売上が伸びております。

 

 上記2つの事業に関しましては、今後も成長分野として商品開発を含めた投資を積極的に行ってまいりますが、2022年10月を目標に椿屋オンラインショップと連動してポイント付与を可能とするアプリケーションの開発を進めており、2023年4月には全店舗でもポイントの相互活用ができるように計画を進めております。

 今期は新規創店4店舗、大型改装2店舗、新型コロナウイルスの影響から今後も不採算が続くと判断した店舗やビルの耐震工事等による店舗あわせて10店舗を閉店しております。昨今の不安定な国際情勢により、原材料価格の高騰や資材・エネルギーコストの上昇を受け、グランドメニュー改定と価格改定を行わせて頂きました。

 

部門別の概況につきましては、以下のとおりです。

 

『椿屋珈琲グループ』(期末店舗数50店舗 2店舗増加)

 椿屋珈琲グループの売上高は34億18百万円(前期比122.1%)となりました。

 都心から郊外へシフトした客数の変化に対応するために、出店地域やテイクアウト販売商品などを見直し、郊外店で収益をあげるモデルの構築に努めております。

 フルサービスの喫茶では日本最大級の規模を誇る「椿屋珈琲 新宿茶寮」は、席数を102席増加し合計224席への大規模増床リニューアルを実施いたしました。またウィズコロナ時代の新たなビジネスモデル構築に向けた物販専門店「ケーキ・洋菓子 椿屋珈琲 調布パルコ店」、都心から郊外へシフトした人流へ対応すべく、フルサービスの「銀座和館椿屋珈琲 たまプラーザ店」を新規創店しております。

また椿屋カフェコレットマーレ店を「茶寮SIKI TSUBAKIYA コレットマーレ店」として椿屋珈琲と愛知西尾南山園の抹茶を組み合わせた新しいコンセプトの店舗へリニューアルを行いました。

 

『ダッキーダックグループ』(期末店舗数20店舗 増減なし)

 ダッキーダックグループの売上高は18億40百万円(前期比115.1%)となりました。

 コロナ禍においては、戦略商品である作り立てケーキの販売を中心に客数回復策に取り組み、ケーキスタジオチームを編成し製造体制の強化を図ったほか、ケーキスタジオの設置やテイクアウト販売強化に向けた店頭の改装を実施致しました。季節毎に旬のフルーツを使用したスタジオ限定「せとかのショートケーキ」や「シャインマスカットのチーズズコット」「あまおう苺のズコット」等が人気の中心となっております。

 

 

『イタリアンダイニングドナグループ』(期末店舗数22店舗 5店舗減少)

 イタリアンダイニングドナグループの売上高は13億90百万円(前期比107.9%)となりました。

 お酒を楽しめるイタリアンダイニングとして、健康志向をテーマに自社製の生パスタとピッツァを中心に、1名様からグループまで、リーズナブルな価格でお楽しみいただいております。

 営業時短協力の影響によりお酒の提供を伴う17時以降の売上が低下しているため、早い時間帯で売上を上げる施策に注力しております。メニュー改定においては食事需要を高めるため、セントラルキッチンで製造したグラタンやドリアなど内製化率の高い商品を投入し、FLコストの低減にも努めております。

イタリアンダイニングDONA新宿東口店を創店しております。

 なお、イタリアンダイニングDONAグループの「チーズエッグガーデン」2店舗はケーキのラインアップとメニュー政策の転換に伴い、ダッキーダックグループへ変更しております。

 

『ぱすたかん・こてがえしグループ』(期末店舗数13店舗 1店舗減少)

 ぱすたかん・こてがえしグループの売上高は8億円(前期比126.1%)となりました。

 セルフスタイルで美味しいお好み焼き・鉄板焼を楽しんで頂けるよう、厳選された食材と季節のフェアを展開しております。営業時短協力によりもっとも影響を受けておりましたが、UberEATSなどのフードデリバリーに適した商品開発を進め、家庭でもお店の味をお楽しみいただけるよう努めております。今後も鉄板焼の強化と地産地消などのテーマ性で、より来店頻度を上げられるような施策を展開してまいります。

 

『プロント』(期末店舗数5店舗 2店舗減少)

 プロントの売上高は3億90百万円(前期比102.9%)となりました。

 弊社がフランチャイジーとして運営するプロントでは、朝から昼はカフェとしてコーヒー・トースト・マフィンやランチパスタを、夜はバーとしてシンプルかつ美味しいフードと共にビールやハイボールをはじめとしたお酒を気軽にお楽しみ頂けます。

 プロント有楽町店を創店しております。

 

『生産部門/物販EC事業』

生産部門の売上高は2億14百万円(前期比103.0%)となりました。

コンフェクショナリーでは、季節のフルーツをふんだんに使用したズコットの開発がメディアに大きく取り上げられた効果もあり店舗、催事ともに販売量を伸ばすことが出来ております。

 カミサリーでは、自社製生麺の食感をそのままにご家庭でお召し上がりいただく電子レンジ対応スパゲッティ、グラタン、ラザニアなどテイクアウト商品の開発を中心に進めております。

物販EC事業の売上高は1億90百万円(前期比160.2%)となりました。

引き続きECサイト、催事販売で取り扱い可能な商品ラインアップの拡充と新商品開発を継続し、ウィズコロナでの売上向上に繋げてまいります。

 

『サステナビリティの取組み』SDGs ゴール3.12.14

 食品リサイクルの分野で継続している取り組みとしては、弊社工場で発生する生麺の端材を「横濱ビーフ」(株式会社小野ファーム様)の飼料として提供しております。23期は年間8.4トンの廃棄物削減に加え、廃棄物処理費用の削減にもつながっております。この取り組みを推進していくため、生麺の裁断処理速度をあげるための装置を小野ファーム様へ寄贈いたしました。この取り組みは日本SDGs協会からの事業認定を受けております。

 また23期より、小児がん治療のために寄付する社会貢献活動として売上の一部をレモネードスタンド普及協会に寄付する活動を開始しているほか、環境に配慮するためにバイオマスストローへの切り替えを実施し、2022年4月までに全店舗完了しております。今後もSDGsの取組みを推進してまいります。

 

 

(2)生産・仕入・販売実績・店舗数等の状況

① 生産実績

 当社は、フードサービス事業の単一セグメントであるため、生産実績は製品別、仕入実績は品目別、販売実績は部門別に記載しております。

 当事業年度における生産実績を製品別に示すと、次のとおりであります。

製品名

当事業年度

(自 2021年5月1日

至 2022年4月30日)

生産金額(千円)

前年同期比(%)

自社製フレッシュケーキ

474,675

123.8

スパゲッティ生麺、ソース、ドレッシング

508,215

118.3

コーヒー豆

106,393

114.7

合計

1,089,285

120.3

(注)金額は、製造原価によっております。

 

② 仕入実績

 当事業年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目

当事業年度

(自 2021年5月1日

至 2022年4月30日)

仕入金額(千円)

前年同期比(%)

飲料・食材類

1,863,239

118.2

その他

155,842

147.9

合計

2,019,082

120.0

(注)金額は、仕入価格によっております。

 

 

③ 販売実績

 当事業年度における販売実績を部門別に示すと、次のとおりであります。

 

当事業年度

(自 2021年5月1日

至 2022年4月30日)

売上金額(千円)

前年同期比(%)

椿屋珈琲

東京都

2,317,693

120.5

 

神奈川県

602,740

124.0

 

埼玉県

183,660

123.7

 

千葉県

314,445

129.3

小計

 

3,418,540

122.1

ダッキーダック

東京都

721,395

114.0

 

神奈川県

548,260

115.9

 

埼玉県

188,152

108.8

 

千葉県

382,530

119.8

小計

 

1,840,338

115.1

ドナ

東京都

841,973

108.5

 

神奈川県

254,809

102.8

 

埼玉県

229,321

110.1

 

千葉県

64,743

114.7

小計

 

1,390,848

107.9

ぱすたかん・こてがえし

東京都

490,301

140.7

 

神奈川県

175,323

128.2

 

埼玉県

64,534

110.8

 

千葉県

70,463

77.3

小計

 

800,621

126.1

その他

東京都

637,670

135.5

 

神奈川県

138,469

89.7

 

埼玉県

13,252

27.5

 

千葉県

7,030

20.6

小計

 

796,422

112.6

合計

東京都

4,990,380

120.2

 

神奈川県

1,719,603

114.8

 

埼玉県

678,921

106.7

 

千葉県

839,211

112.8

総合計

 

8,246,771

117.3

(注)ダッキーダックには、EggEggキッチン・Cheese Egg Garden・ダッキーダックカフェ・ダッキーダックキッチン

   およびダッキーダックケーキショップを含んでおります。

 

④ 地域別店舗数及び客席数の状況

 

当事業年度

(2022年4月30日現在)

期末店舗数(店)

前期末比増減

客席数(席)

椿屋珈琲

東京都

33

1

2,708

 

神奈川県

9

1

631

 

埼玉県

3

-

162

 

千葉県

5

-

269

小計

 

50

2

3,770

ダッキーダック

東京都

9

-

586

 

神奈川県

5

△1

450

 

埼玉県

2

-

177

 

千葉県

4

1

304

小計

 

20

-

1,517

ドナ

東京都

12

△3

664

 

神奈川県

5

△1

261

 

埼玉県

4

-

209

 

千葉県

1

△1

73

小計

 

22

△5

1,207

ぱすたかん・こてがえし

東京都

8

-

493

 

神奈川県

3

-

171

 

埼玉県

1

-

52

 

千葉県

1

△1

34

小計

 

13

△1

770

その他

東京都

3

1

290

 

神奈川県

2

△1

172

 

埼玉県

0

△1

-

 

千葉県

0

△1

-

小計

 

5

△2

462

合計

東京都

65

△1

4,741

 

神奈川県

24

△2

1,685

 

埼玉県

10

△1

600

 

千葉県

11

△2

700

総合計

 

110

△6

7,726

(注)1 ダッキーダックには、EggEggキッチン・Cheese Egg Garden・ダッキーダックカフェ・ダッキーダックキッチンおよびダッキーダックケーキショップを含んでおります。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、18億99百万円で前事業年度末に比較して、3億24百万円増加しました。

 当事業年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動の結果、得られた資金は18億63百万円で、前事業年度と比較して19億33百万円増加しました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動の結果、使用した資金は14億74百万円で、前事業年度と比較して16億67百万円増加しました。これは主に定期預金の預入による支出が13億円増加したことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動の結果、使用した資金は65百万円で、前事業年度と比較して1億円増加しました。これは主に長期借り入れによる収入が6億円減少し、長期借入金の返済による支出が5億円減少したことによるものです。

 

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。

 当社の財務諸表作成において、損益または資産の評価等に影響を与える見積り、判断は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的と考えられる様々な要因を考慮した上で行なっておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 経営成績について

 当社は「味覚とサービスを通して都会生活に安全で楽しい食の場を提供する」という経営理念のもと、「あったら楽しい食の場・手の届く贅沢」という脱日常と付加価値を提供することに注力しております。今期は高付加価値の提供による利益率向上を掲げて、日々の営業施策を進めてまいりましたが、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う様々な要因により、売上高の減少および利益面におきましては損失を計上する結果となりました。

 売上高は82億46百万円(前期比117.3%)、営業損失は7億51百万円(前期は営業損失11億34百万円)、経常利益は12億32百万円(前期は経常損失は2億47百万円)、当期純利益は6億98百万円(前期は当期純損失61百万円)となりました。経常利益には主に新型コロナウイルス感染症拡大に伴う助成金等の収入19億49百万円、当期純利益には「固定資産の減損に係る会計基準」に則り2億49百万円を含んでおります。期末店舗数は6店舗減少し、計110店です。

 

③ 財政状態について

 当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ14億4百万円増加し85億19百万円となりました。流動資産は前事業年度末に比べ15億45百万円増加し46億59百万円となりました。これは現金及び預金が16億24百万円増加したことが主な要因です。固定資産は前事業年度末に比べ1億40百万円減少し38億59百万円となりました。これは有形固定資産の建物(純額)が1億84百万円減少したことが主な要因です。

 当事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ7億65百万円増加し28億43百万円となりました。流動負債は前事業年度末に比べ6億28百万円増加し16億17百万円となりました。これは未払金が2億97百万円増加したこと、未払法人税等が4億39百万円増加したことが主な要因です。固定負債は前事業年度末に比べ1億37百万円増加し12億25百万円となりました。これは資産除去債務が1億35百万円増加したことが主な要因です。

 当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べ6億38百万円増加し56億67百万円となりました。これは利益剰余金が6億38百万円増加したことが主な要因です。

 

 

(単位:千円)

 

勘定科目

前事業年度

2021年4月期

構成比

当事業年度

2022年4月期

構成比

増減額

現金及び預金

2,075,033

29.2%

3,699,254

43.4%

1,624,220

有形固定資産

1,803,779

25.4%

1,570,659

18.4%

△233,119

土地

530,000

 

530,000

 

投資その他の資産

2,173,968

30.6%

2,269,730

26.6%

95,761

差入保証金

366,499

 

417,402

 

50,903

敷金

1,480,933

 

1,425,865

 

△55,068

長期借入金

600,000

8.4%

600,000

7.0%

1年内

 

 

1年超

600,000

 

600,000

 

資本金

50,000

0.7%

50,000

0.6%

資本剰余金

1,306,350

18.4%

1,306,350

15.3%

利益剰余金

3,772,897

53.0%

4,411,327

51.8%

638,430

 

④ 資金の財源及び資金の流動性についてと財政状態の改善に向けた取り組みについて

 当事業年度末におけるキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 従来、当社の資金需要はそのほとんどが新規出店と既存店改装のための設備投資資金であります。

 今後についても、通常ベースの新規出店と既存店改装は、営業活動によって得られる資金によって賄う方針に変更はございません。また、生産性向上のための製造設備の拡充や、計画外で大型出店を実施するとの判断に至った場合には、金融機関等からの借入または資本市場からの直接資金の調達によって、必要資金の確保を進めていきたいと考えております。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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