業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

 ①財政状態及び経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、長引く新型コロナウイルス感染症の影響により、依然として不透明な状況で推移しました。

このような状況のもと、自転車は日常生活における人との接触、いわゆる「密」を避けるための移動手段として、通勤・通学を中心に活用機会が増えたことや、運動不足の解消を目的とした健康志向の高まりから利用が増加するなど、その必要性が広く認識されるところとなりました。また、電動アシスト自転車への乗り換え需要が拡大したこともあり、自転車市場は台数ベースでは逓減したものの、金額ベースでは前事業年度同様の高い水準で推移しました。

当社におきましては、お客様と従業員の安全・安心を最優先に感染防止策を講じ、一人ひとりが社会生活のインフラを支える事業であることへの使命感を持ち、お客様のご期待に応えられるように、全社一丸となって営業継続に尽力してまいりました。販売面では、近年の高機能化、車種の拡充により幅広い世代から好評の電動アシスト自転車の商材確保に注力し「ネットで注文、お店で受取り」サービスを中心に販売を伸ばしたことで、売上高は前事業年度を上回ることができました。一方で、スポーツサイクルの分野では、世界的な需要増加に対し、パーツメーカーの供給不足や生産停止による需給の逼迫が顕在化したこともあり、人気の高い商材では品揃えの確保が困難な状況が継続しました。

販売費及び一般管理費について、前事業年度はコロナ禍に伴う急激な需要増加で人員が充分に確保できなかったことや、店舗の自主休業など企業活動の自粛により諸経費が抑えられた背景がありましたが、当事業年度は正常な状態に戻すため、計画的な人員補強を図るとともに平年並みの諸経費支出を行なったため前事業年度よりもやや高い水準で推移しました。

また、2022年2月期から新たに始動しました中期経営計画「あさひVISION2025」に沿って、当社のカルチャーモデルである「人間力」「商品力」「店舗力」の3分野を強化するとともに、「お客様との関係性強化(CRM強化)」「既存店の活性化」「新しい店舗スタイルの開発」「事業領域の拡大」の4つの重点戦略の実現及び展開に向け、「デジタル・IT」「物流」「ブランディング」の3つの成長基盤づくりに注力しました。具体的な取り組みとして、サイクルベースあさひアプリにご登録いただくお客様が大幅に増えていることに対して、お客様との関係性を一段と深めさせていただけるように、クーポンやイベント、購入後の点検のお知らせなどの情報発信を強化すると共に、システム基盤の再構築にも着手しました。既存の物流施設の整備に加えて将来にわたる物流基盤構想を再構築するなど、企業価値の向上ならびに持続的な成長に向けて、順調な滑り出しとなりました。

出店戦略では従来の郊外型店舗だけでなく「都市型店舗」の展開も進めました。売り場面積は小さいものの、「ネットで注文、お店で受取り」サービスの拠点店舗としての役割や、地域需要に応じた商材を選りすぐって展示するとともに、メンテナンスや修理のクイック対応を実施し従来の店舗と同水準のサービスをご提供できる都市部の自転車基地(サイクルベース)となるべく、新たな店舗形態の確立に向けて前進しました。

出退店につきましては、関東地域に8店舗、近畿地域に5店舗、中国地域に2店舗、九州地域に1店舗を出店し、関東地域で1店舗の店舗統合と1店舗の退店により2店舗減少しました。この結果、当事業年度末の店舗数は、直営店486店舗、FC店舗19店舗のあわせて505店舗となりました。

 

(47期業績概況)
 このような活動の結果、当事業年度におきましては、以下のとおりとなりました。
   売上高       71,398,999千円     (前年同期比   2.8%増)

    営業利益       5,221,419千円     (前年同期比 23.9%減)
   経常利益       5,512,897千円     (前年同期比 24.8%減)
   当期純利益      3,541,677千円     (前年同期比 24.9%減)

なお、当社の事業は、単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

 ②キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,562,471千円減少(前年同期は4,764,449千円の増加)し、当事業年度末には6,135,378千円となりました。

      当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 (営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は1,585,662千円(同78.3%減)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期純利益5,368,504千円、減価償却費1,352,575千円等であり、支出の主な内訳は、たな卸資産の増加額1,978,104千円、法人税等の支払額3,131,518千円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は2,414,315千円(同29.1%増)となりました。支出の主な内訳は、新規出店に係る有形固定資産の取得による支出1,933,004千円、差入保証金の差入による支出282,738千円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は733,818千円(同11.2%増)となりました。これは、配当金の支払であります。

 

  ③仕入及び販売の実績

 当社は、単一セグメントであるため、仕入及び販売の実績は品目別により記載しております。

(a) 仕入実績

当事業年度の仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自  2021年2月21日

至  2022年2月20日)

前年同期比(%)

自転車

32,061,799

107.4

パーツ・アクセサリー

5,190,419

103.8

その他

652,911

93.1

合計

37,905,130

106.6

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(b) 販売実績

当事業年度の販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

品目別

当事業年度

(自  2021年2月21日

至  2022年2月20日)

前年同期比(%)

自転車

51,547,822

103.4

パーツ・アクセサリー

12,099,056

102.6

ロイヤリティ

155,175

98.5

その他

7,596,945

99.3

合計

71,398,999

102.8

 

(注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.総販売実績に対する販売割合で10%以上の相手先はありません。

 

 

(c) 地域別販売実績

当事業年度の地域別販売実績は、次のとおりであります。

地域別

売上高(千円)

構成比(%)

前年同期比(%)

店舗数(店)

北海道・東北・
関東・甲信越

33,608,584

47.1

104.1

224

中部

7,519,987

10.5

99.0

62

近畿

16,640,598

23.3

103.8

113

中国・四国・九州

11,072,862

15.5

99.0

87

ロイヤリティ・
その他

2,556,966

3.6

108.7

合計

71,398,999

100.0

102.8

486

 

(注) 1.売上高には、消費税等は含まれておりません。

2.上記店舗数は、当事業年度末現在の直営店舗を記載しております。

3.ロイヤリティ・その他には、フランチャイズ契約締結先からのロイヤリティ収入、FC(フランチャイズ店)並びにGMS(ゼネラルマーチャンダイズストア)・HC(ホームセンター)等への商品売上、及び本社部門における外商売上を記載しております。

 

  (2)経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

     経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
    なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

    ① 財政状態の分析

   (a) 流動資産

 当事業年度末における流動資産の残高は、前事業年度末に比べて280,709千円(1.1%)増加し、24,946,534千円となりました。これは主に、商品の増加1,606,403千円、未着商品の増加275,481千円、現金及び預金の減少1,630,660千円等によるものであります。

 

   (b) 固定資産

当事業年度末における固定資産の残高は、前事業年度末に比べて905,317千円(4.4%)増加し、21,526,782千円となりました。これは主に、建物の増加506,020千円、構築物の増加130,456千円、工具、器具及び備品の増加156,263千円、繰延税金資産の増加79,716千円等によるものであります。

 

 (c) 流動負債

 当事業年度末における流動負債の残高は、前事業年度末に比べて1,611,869千円(13.8%)減少し、10,071,519千円となりました。これは主に、買掛金の増加313,322千円、未払費用の増加91,930千円、未払法人税等の減少1,257,807千円、未払消費税等の減少843,476千円等によるものであります。

 

 (d) 固定負債

当事業年度末における固定負債の残高は、前事業年度末に比べて51,628千円(4.7%)減少し、1,055,545千円となりました。これは主に、資産除去債務の増加60,198千円、株式報酬引当金の減少26,000千円、受入保証金の減少12,655千円、長期未払金の減少42,582千円等によるものであります。

 

 (e) 純資産

 当事業年度末の純資産の残高は、前事業年度末に比べて2,849,524千円(8.8%)増加し、35,346,251千円となりました。これは主に、当期純利益による増加3,541,677千円、剰余金の配当による減少734,731千円等によるものであります。

 

 

    ② 経営成績の分析

   (a) 売上高の状況

当社の当事業年度の売上高は前年同期比1,942,998千円増(同2.8%増)の71,398,999千円となりました。売上高の内訳の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」と「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③仕入及び販売の実績 (b)販売実績」をご参照ください。売上高が増加した主な要因は、新型コロナウイルス感染症の影響による生活様式の変化に伴い、前事業年度同様に自転車の需要が高い水準で推移したためであります。

 

  (b) 売上総利益の状況

当社の当事業年度の売上総利益は前年同期比213,746千円増(同0.6%増)の35,235,453千円となりました。前事業年度同様に自転車の需要が高い水準で推移したことや店舗数の増加による全社的なスケールメリットの拡大等により売上高が増加したためであります。

 

  (c) 営業利益の状況

当社の当事業年度の販売費及び一般管理費は前年同期比1,856,210千円増(同6.6%増)の30,014,033千円となりました。主に当期の16店舗の新規出店に伴う出店費用及び地代家賃、人件費等の増加によるものであります。これらの結果、営業利益は前年同期比1,642,463千円減(同23.9%減)の5,221,419千円となりました。

 

  (d) 経常利益の状況

当社の当事業年度の営業外収益は受取補償金等の減少により前年同期比158,466千円減(同27.3%減)の421,529千円となりました。また、営業外費用は為替差損の増加等により前年同期比12,798千円増(同10.9%増)の130,051千円となりました。これらの結果、経常利益は前年同期比1,813,728千円減(同24.8%減)の5,512,897千円となりました。

 

  (e) 当期純利益の状況

当社の当事業年度の特別損益については、特別損失が前年同期比125,746千円減(同46.5%減)の144,393千円発生しておりますが、内容は減損損失125,515千円等であります。法人税等(法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額)は前年同期比511,832千円減(同21.9%減)の1,826,826千円となりました。これらの結果、当期純利益は前年同期比1,176,149千円減(同24.9%減)の3,541,677千円となりました。

 

  ③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報 

 当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。

   当社は、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としています。

 短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入を基本としています。

なお、当事業年度の財政状態及びキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載したとおりであります。

 

 ④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たって、資産及び負債または損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき、合理的に判断して行なっておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりですが、特に以下の事項に関する会計上の見積りが当社の財務諸表の作成に大きな影響を及ぼすと考えております。

なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響に係る会計上の見積りの仮定については、「第5 経理の状況  1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(追加情報)(新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響に関する会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。割引前将来キャッシュ・フローは事業計画を基礎とし、将来の不確実性を考慮して見積っておりますが、将来の不確実な経済条件の変動等により見積りの見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。

なお、当事業年度においては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (損益計算書関係) ※4 減損損失」に記載のとおり、減損損失(125,515千円)を計上しております。

 

  ⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

売上高については、新型コロナウイルス感染症の影響により、日常生活における人との接触、いわゆる「密」を避けるための移動手段として、通勤・通学を中心に自転車の活用機会が増加するとともに、運動不足の解消を目的とした健康志向の高まりから自転車の需要が前事業年度同様に高い水準で推移したためであります。また、新規出店や電動アシスト自転車の販売増加に伴う客単価上昇などに伴い、計画比1,398,999千円増(2.0%増)となりました。

営業利益については、新型コロナウイルス感染症の影響による不安定な状況の中、業務に尽力した全従業員の努力に報いるため特別賞与を支給したことや、売上高が計画をやや上回ったことによる販売手数料の増加などにより、販売費及び一般管理費が計画水準を上回り、計画比228,580千円減(4.2%減)となりました。

また、経常利益は計画比12,897千円増(0.2%増)、当期純利益は計画比41,677千円増(1.2%増)となりました。

なお、ROEは当期純利益の計画達成により、計画比0.1ポイント増の10.4%となりました。

 

2022年度(計画)

2022年度(実績)

計画比(%)

売上高

70,000,000千円

71,398,999千円

1,398,999千円増(2.0%増)

営業利益

5,450,000千円

5,221,419千円

228,580千円減(4.2%減)

経常利益

5,500,000千円

5,512,897千円

12,897千円増(0.2%増)

当期純利益

3,500,000千円

3,541,677千円

41,677千円増(1.2%増)

ROE(自己資本利益率)

10.3%

10.4%

0.1ポイント増

 

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得