業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の概要

(1)経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が進展したことにより、経済活動の正常化が進み、企業の設備投資や企業収益に持ち直しの動きは見られたものの、新たな変異株による感染再拡大、世界的な半導体等の部品不足、地政学的リスクの高まりや原材料価格の高騰など、先行きは依然として不透明感の強い状況が続いております。

当社グループが属するIT業界は、政府によるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進や新型コロナウイルス感染症の世界的な広がりを背景として、ECサイト構築及びECクラウドサービスへの投資需要が拡大しております。また、テレワークや在宅勤務等の飛躍的な拡大により、従来のセキュリティ対策も「社内」「社外」という境界を設けた対策が困難となり、新たにゼロトラストネットワークへの実現に向けたセキュリティ構築需要が拡大するなど、企業のIT投資は順調に推移いたしました。

このような状況の中で、当社グループはリアル店舗を展開している企業等のECサイト構築及びクラウドサービスへの投資需要の拡大により、ECサイト構築パッケージ「ecbeing」及びECクラウドサービス「メルカート」の売上拡大や、ECサイトの売上拡大の施策となるビジュアルマーケティング「visumo」、レビュー最適化ツール「ReviCo」、オムニチャネル分析ツール「Sechstant」等のクラウドサービス(SaaS型)の売上拡大を推進し、ECソリューション事業の拡大に注力いたしました。そのほか、テレワーク及び在宅勤務等への働き方の変化により、インターネット上で稟議書等を電子化するためのワークフローサービス「X-pointクラウド」、「AgileWorks」の売上拡大や、インフラ及びセキュリティ構築の売上拡大を推進し、ITソリューション事業の拡大に注力してまいりました。

これらの結果、売上高は212億26百万円、営業利益は40億30百万円(前期比24.9%増)、経常利益は41億61百万円(同28.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は23億63百万円(同30.0%増)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、従来の方法と比較して、当連結会計年度の売上高は71億9百万円減少しております。そのため、当連結会計年度における売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。

 

 当連結会計年度におけるセグメントの経営成績の概要は、次のとおりであります。

 なお、当連結会計年度より、「ECソリューション事業」、「システムインテグレーション事業」、及び「物品販売事業」の3区分から、「ECソリューション事業」及び「ITソリューション事業」の2区分に変更しております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較分析しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。

① ECソリューション事業

ECサイト構築パッケージ「ecbeing」の販売、カスタマイズ及びデータセンターでのホスティングサービスの提供に加えて、Webマーケティングサービス等の付加価値サービスを提供し、トータル的なECソリューションを提供しております。

ECソリューション事業は、ECサイト構築パッケージ「ecbeing」及びECクラウドサービス「メルカート」やECサイトの売上拡大の施策となるビジュアルマーケティング「visumo」、レビュー最適化ツール「ReviCo」、オムニチャネル分析ツール「Sechstant」等のクラウドサービス(SaaS型)の販売、保守及びホスティング売上高が伸長したことにより、売上高は115億88百万円、セグメント利益(経常利益)は31億22百万円(前期比30.5%増)となりました。

 

② ITソリューション事業

当社グループが開発した3つのプロダクト製品(「X-pointクラウド」、「AgileWorks」、「L2Blocker」)の販売、ネットワーク構築を提供しております。

ITソリューション事業は、ワークフローサービス「X-pointクラウド」、「AgileWorks」、不正アクセス端末検知・遮断システム「L2Blocker」のプロダクト売上高が伸長しました。また、ネットワーク構築売上高及び当社独自のサービスである「SCクラウド」のクラウドサービス売上高の伸長により、売上高は96億38百万円、セグメント利益(経常利益)は24億1百万円(前期比22.0%増)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して3億63百万円減少し、93億18百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は、38億59百万円(前期は32億98百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益が40億76百万円あったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、16億95百万円(前期は4億6百万円の使用)となりました。これは、主に有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入が3億26百万円あったものの、投資有価証券の取得による支出が10億97百万円、有形・無形固定資産の取得による支出が7億74百万円あったこと等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、25億28百万円(前期は4億7百万円の使用)となりました。これは、主に自己株式の取得による支出が19億51百万円、配当金の支払額が4億56百万円あったこと等によるものであります。

(3)生産、受注及び販売の実績

 当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品もあるため、セグメントごとに生産規模、受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

 

 販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

販売高(千円)

前期比(%)

ECソリューション事業

11,588,004

ITソリューション事業

9,638,799

合計

21,226,804

(注)セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 

(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 なお、新型コロナウイルス感染症につきましては「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、リスクは存在しておりますが、現時点においても、リモートで製品・サービスの導入を行い、かつ重大な弊害なくサービス提供が継続して行えており、会社の業績に影響を与えていないことから、会計上の見積り等に重要な影響はありません。

 当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が、連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。

1 貸倒引当金の計上基準

 当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能となる見積額を貸倒引当金として計上しておりますが、将来顧客の財務状況が悪化し、支払能力が低下した場合、追加引当または貸倒損失が発生する可能性があります。

2 有価証券の減損処理

 当社グループは、取引先との関係維持や効率的な資金運用を目的として、株式等の有価証券を保有しております。これらの有価証券は、市場価格がある上場株式や市場価格のない非上場株式等があります。当社グループでは、時価または実質価額が著しく下落し、かつ回復の可能性が認められないと判断した場合には減損処理を行っており、将来の市況または投資先の業績不振等により、取得原価に比べて著しく価値が下落した場合は減損処理が必要となる可能性があります。

3 固定資産の減損

 当社グループでは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しております。現時点では減損処理の必要な固定資産はございませんが、将来の事業環境の変化、業績の動向等により減損の兆候が生じた場合には、減損処理の計上が必要となる可能性があります。

4 繰延税金資産の回収可能性の評価

 当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、その見積額が減少した場合、繰延税金資産は減額され税金費用が計上される可能性があります。

5 システム開発等に係る収益認識

 システム開発等に係る収益認識について、契約の履行において、一定の要件を満たし進捗度を合理的に測定できる場合には、履行義務の充足に応じて、一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の見積りの方法は、見積総原価に対する発生原価の割合(インプット法)で算出しております。売上高はプロジェクトの総収益及び見積総原価の進捗度に基づき測定され、進捗度は見積総原価に対する連結会計年度末までの発生原価の割合に基づき算定しております。システム開発等に係る収益認識による収益の計上の基礎となる見積総原価は、プロジェクトごとの実行予算により見積られておりますが、ECサイトの構築や顧客のニーズに合わせたカスタマイズのため、実行予算の策定にあたっては、プロジェクト完成のために必要となる作業内容及び工数の見積りに不確実性が伴っております。システム開発等は、ECサイトの構築や顧客のニーズに合わせたカスタマイズのため、個別性が強く、当初想定していなかった仕様変更等により、見積総原価の見積りが変更された場合には、各連結会計年度の売上高の計上額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 当連結会計年度の財政状態、経営成績の分析

1 財政状態の分析

 (資産)

流動資産は、前連結会計年度末に比べ0.6%増加し、147億72百万円となりました。これは、主に現金及び預金が3億59百万円、有価証券が3億3百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が7億5百万円増加したこと等によるものであります。

固定資産は、前連結会計年度末に比べ24.3%増加し、80億21百万円となりました。これは、主に投資有価証券が15億76百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて7.8%増加し、227億94百万円となりました。

 (負債)

流動負債は、前連結会計年度末に比べ15.6%増加し、59億19百万円となりました。これは、主に買掛金が4億35百万円、未払法人税等が1億72百万円増加したこと等によるものであります。

固定負債は、前連結会計年度末に比べ3.2%増加し、16億80百万円となりました。これは、主に役員退職慰労引当金が51百万円増加したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べ12.6%増加し、75億99百万円となりました。

 (純資産)

純資産合計は、前連結会計年度末に比べ5.6%増加し、151億94百万円となりました。これは、主に自己株式が19億45百万円増加したものの、利益剰余金が19億18百万円、その他有価証券評価差額金が3億54百万円増加したこと等によるものであります。

 

2 経営成績の分析

 経営成績の分析については、「第2 事業の状況  3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載してあるとおりであります。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況  1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク」に記載してあるとおりであります。

 

④ 経営戦略の現状と見通し

   経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況  1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載してあるとおりであります。

 

⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載してあるとおりであります。

 当社グループは、事業運営上必要な資金を確保するとともに、経済環境の急激な変化に耐えうる流動性を維持する事を基本方針としております。

 資金調達については、運転資金、設備資金及び業務・資本提携に伴う所要資金等で、手元資金を上回る資金ニーズが生じた場合、用途、金額、期間、コスト等を総合的に勘案して調達方法(銀行借入(短期・長期)、社債発行、公募増資)を決定する方針であります。

 なお、営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な運転資金及び設備投資等については、当面の間は自己資金で賄っていく予定であります。

 

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

   経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況  1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載してあるとおりであります。

 

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