事業等のリスク

2【事業等のリスク】

当社は、経営の健全性と事業の効率性を確保しつつ、当社グループの永続的な維持・発展のため、事業継続に関わる各種リスクの適切な管理に取り組んでいます。この取り組みにより認識されたリスクのうち、リスクが顕在化する可能性の程度や時期及び影響の程度を踏まえて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある主要なリスクを以下に記しています。ただし、これらは、当社グループに関するすべてのリスクを網羅したものではなく、記載された事項以外の予見しがたいリスクも存在します。また、これらのリスクはそれぞれ独立したものではなく、ある事象の発生により、他の様々なリスクが増大する可能性があります。なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において、当社グループが判断したものです。

 

<リスクの定義>

当社グループのリスク管理プロセスでは、管理すべきリスクをガバナンスリスク、業務リスク、B/Sリスク及び事業リスクの4つの大分類に分けて管理しております。有価証券報告書においては、投資者の判断に資する情報開示を目的に、リスクを戦略リスクとオペレーショナルリスクに分類し、それぞれ以下のように定義いたします。

「戦略リスク」・・・事業戦略の計画及び遂行により期待する成果に対して実現する成果が上振れまたは下振れする程度及びその発生可能性であり、戦略に大きく影響するリスク、または健全な範囲で敢えて選択して取るリスク。

「オペレーショナルリスク」・・・戦略遂行を支えるオペレーションに起因する損失額及びその発生可能性であり、発生を回避・低減すべきリスク。

 

<グループリスク管理体制>

当社グループは、自社のリスク管理全体を統括する部署を事務局とするリスクマネジメント委員会等の会議体を設置しています。リスクマネジメント委員会は、原則半期に1回開催され、各種リスク管理統括部署より自社のリスク管理状況に関する報告を受け、リスクの網羅的な把握、その評価・分析及び対策について協議し、今後の方向性を定めています。

一方、各種リスクについては、当社リスク管理統括部署を主体とするグループ横断の会議体等を通じて、該当するリスクに係わる対応の方向性や各社リスク低減の取り組み、さらにリスクが顕在化する兆候を示す社内外の各種事例等の共有を図っています。

 

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<リスク管理のPDCA>

当社グループでは、グループ共通のリスク調査票をもとに、網羅的なリスクの洗い出しと定量化を行い、「リスクの評価と改善策の立案」「優先順位付け」「改善活動とモニタリング」を実施しています。

また、各社監査室は、自社のリスク管理全体を担当する部署及び各種リスク管理統括部署に対する定期的な内部監査を通じ、独立した立場で、リスク管理が効果的に実施されていることを検証し、必要に応じて各部署に対し、リスク管理向上のために必要な助言を行っています。

 

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<グループの主要な成長戦略>

当社グループは5つの事業戦略を定めております。

① 海外コンビニエンスストア事業戦略

② 国内コンビニエンスストア事業戦略

③ グループ食品戦略

④ 大型商業拠点戦略

⑤ DX・金融戦略

以下に記載するリスク毎に、関連する戦略を①から⑤の数字で示しています。

 

<主要なリスク>

■ 戦略リスク

1.新型コロナウイルス感染症のリスク 関連する戦略:①②③④⑤

新型コロナウイルスの新たな変異による感染拡大等、今後も中長期にわたって当社グループの事業活動へ影響が発生することが想定されます。ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループとしては、会社レベルでは時差出勤・在宅勤務の実施やオンライン会議の活用、外出・出張ルールの変更等、従業員レベルでは出勤前及び出社時の検温、通勤時・勤務時におけるマスク着用や手洗い・アルコール消毒の実施等の新型コロナウイルス感染症対策を徹底し、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で、地域及び社会への責任を果たすため、営業継続に努めてまいります。なお、営業継続に対してはお取引先様との緊密な連携体制の構築等によりサプライチェーンの維持を図り、合わせて感染拡大による差別や不当解雇の有無についても確認し、人権保護を推進いたします。

しかしながら、感染拡大や蔓延状況に応じて、店舗営業時間の短縮、店舗営業の停止、営業店舗の限定等の措置をとる可能性やサプライチェーンの操業中断等により商品を提供できない状況も想定され、そのような場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループは、新型コロナウイルス感染症によるお客様の消費行動の変化、サプライチェーンに与える影響は一過性のものではなく、今後へとつながる「消費の潮目」であるととらえ、新型コロナウイルス感染症によって生じた消費・価値観・労働環境・産業構造の変化を徹底的に分析し、グループ全体で迅速な対応に向けた取り組みを進めておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響によりお客様の購買力又は消費意欲の減退、予想外の消費行動の変化等が生じた場合、売上の低下につながり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

2.グループの成長戦略に関わるリスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、「常にお客様の立場に立って、新たな体験価値を提供することで、国内外の地域社会に貢献したい」を当社グループの基本姿勢と定め、2030年の目指すグループ像として「セブン‐イレブン事業を核としたグローバル成長戦略と、テクノロジーの積極活用を通じて流通革新を主導する世界トップクラスのグローバル流通グループ」の実現を目指し、2021年7月に公表した「中期経営計画2021‐2025」に基づいた中長期的な企業価値創造と持続的成長の具現化に傾注してまいります。

海外コンビニエンスストア事業戦略について、当社グループの海外コンビニエンスストア事業の中心である7-Eleven, Inc.は、米国Marathon Petroleum Corporation(以下、「MPC社」といいます。) から、同社が主にSpeedwayブランドにて運営するコンビニエンスストア事業及び燃料小売事業 (但し、MPC社の小売部門のうちダイレクト・ディーラーに対する燃料小売事業等を除きます。) を運営する複数の会社の株式その他持分を取得するとともに、取得した店舗への今後15年間におけるガソリン供給契約を同社と締結いたしました。

 

上記統合後の事業において、事業環境や競合状況の変化等により本件取引により取得した事業から得られる成長機会もしくは統合によるシナジー効果等が当初の想定通りに実現されない場合、統合に係る追加的かつ不測の費用が発生した場合、多額ののれんや減損損失などの計上により、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、上記取引に必要な資金の調達のための金融機関からの多額の借入れを含め、当社は多額の債務を負っております。当初想定した利益の創出、その他資産の処分等を通じて、レバレッジの低下が速やかに実現されない場合には、信用格付けが引き下げられる可能性があり、その結果、既存の債務の借り換えや新規借入れの条件にも影響を及ぼす可能性があります。さらに、当社グループの債務には財務制限条項が付されているものがあり、かかる財務制限条項に抵触した場合には、債務の早期返済等により当社の財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

7-Eleven, Inc.は、店舗にガソリンスタンドを併設したガソリンの小売りと卸売事業を運営しておりますが、本件取引によりガソリン売上の同社チェーン全店売上に占める比率は上昇することが想定されます。ガソリン事業のリスクについては、サプライチェーンの垂直統合等により、ガソリン小売価格の変動に伴う利益率の低下リスクをヘッジしていますが、急激な価格の変動等、事業環境の予期しない変化により、売上低下や原価率上昇を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、米国における自動車排出ガス規制や一部州での中長期的なガソリン車販売規制の方針等の影響及び電気自動車等の浸透等により、米国市場におけるガソリン需要が縮小する場合、ガソリン販売量の減少を招き、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

7-Eleven, Inc.は、当社グループに属さないエリアライセンシー及び当該エリアライセンシーが展開する店舗において、不祥事その他の事由により、ロイヤリティの減少・売上の減少が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、7-Eleven, Inc.と株式会社セブン‐イレブン・ジャパンの連携強化を通じて、グローバル戦略の展開を推進するために2021年に7-Eleven International LLCを設立しました。このグローバル戦略は、第一に既存ライセンシーとの連携強化、第二に戦略的JV・M&Aも取り入れることで新規エリアへの出店機会の拡大、第三に原材料調達やSDGs施策等に関するシナジーの最大化を戦略の柱としています。世界各国における事業活動は、法令や規則の変更、政情不安、経済動向の不確実性、商慣習の相違、パートナー選定その他のリスクに直面する可能性があり、その結果当初想定した買収効果や利益が実現されない可能性があります。買収後も統合によるシナジー効果を最大限発揮する事業モデルを構築し、統合の進捗状況をモニタリングしていますが、取得した資産の価値が下落し、評価損発生などが生じた場合や、買収した事業の統合から得ることが期待されている利益が実現されない場合には、当社の業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

国内コンビニエンスストア事業戦略について、当社グループにおいて国内コンビニエンスストア事業の中核を担う株式会社セブン‐イレブン・ジャパンは、主にフランチャイズ・システムにて事業を展開しています。同システムは、加盟店と当社グループが対等なパートナーシップと信頼関係に基づき、それぞれの役割を担う共同事業であり、加盟店オーナーの皆様とともに持続可能な成長を実現するため、加盟店オーナーの皆様のお考えや加盟店の実態をお伺いする加盟店全店を対象にしたアンケートに加えて、オーナー様専用窓口の設置、オーナー様意見交換会の実施により加盟店オーナーの皆様のご意見やご相談など生の声をしっかりと伺い、より良い経営環境を築いていくための様々な取り組みを実施しております。

しかしながら、加盟店及び当社グループ間の信頼関係が適切に構築・維持できないことにより、多くの加盟店との間で契約が維持できなくなった場合、もしくは加盟店のパフォーマンス・生産性及び「セブン‐イレブン」ブランドの支持が損なわれた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

従来から起きている少子高齢化や単身世帯の増加、働く女性の増加といった国内の社会構造変化に加え、コロナ禍による消費行動の変化に対応するために、商圏を踏まえた商品の選定や陳列、店内の体制づくり、売場レイアウトの刷新、グループ力を活用した商品調達、次世代型店舗の開発やテストなどを進め出店を再加速させていく基盤を構築していきます。また、DXの推進による新たな体験価値としてセブン‐イレブン ネットコンビニは新たに「7NOW」としてブランドを統合し本格稼働していきます。

しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しており、新たな価値を提供できなかった場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

グループ食品戦略について、当社グループでは食品事業の競争力強化により食品市場におけるシェア拡大を目指しており、業態を越えてグループ総力を結集し、ブランドの育成強化を図っています。とりわけ、2007年より展開しているグループのプライベートブランド商品「セブンプレミアム」は、革新性及び認知度の高さ、お客様からのご支持等の点で、競争力の源泉となっています。また、セントラルキッチンやプロセスセンター等のグループインフラやノウハウを構築・共有することによる、高効率な商品供給体制の構築にも挑戦しております。商品開発においては、直輸入を含む海外調達の促進、原材料やレシピの共有、ミールキットなどの差別化商品の開発を通じ、グループ商品力を強化してまいります。

しかしながら、気候変動や政治・経済・社会的混乱等の影響により商品の原材料及び仕入価格の高騰や調達が困難となった場合等の要因により、当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。また、セントラルキッチンやプロセスセンター等のグループ共通インフラの構築においては、建築資材の価格高騰や工期の延長、計画通りの人財確保が困難となる等の要因により、結果として当初期待した効果が得られず戦略目的が達成できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

大型商業拠点戦略について、当社グループではお客様の購買行動が大きく変化するなかで、大型商業施設を展開するスーパーストア事業、百貨店事業の事業構造改革を一段と加速させる必要があります。事業構造改革では、不採算店舗の閉店や収益性の精査、人員の適正化を図るとともに、商圏分析をもとに優良な立地を見極めながら既存店舗網の見直しを行っております。店舗構造改革では、一店一店の商圏の徹底的な分析を行い、これに基づいて商品構成・フロアレイアウトの見直しを行っています。株式会社イトーヨーカ堂では生活シーン別の買い回りしやすい売場展開と、新しい生活様式に応じた商品政策・テナント拡充を進めています。これらの改革はwithコロナで高まるワンストップショッピングのニーズにも合致し、集客力の向上、収益性の改善といった成果をあげています。

しかしながら、建築内装資材の価格高騰などによって改装投資コストが増大した場合、或いは、構造改革による効果が計画通りに達成出来なかった場合などにおいては、投入した投資に対して回収が出来ず収益性が低下する可能性があります。 また、株式会社そごう・西武では、店舗改革による業務・要員の見直しや人員適正化、店舗構造改革として、郊外店舗で実施してきたPM(プロパティマネジメント)化で得たノウハウを2025年度までに基幹店にも広げていきます。同時に商圏分析精度を向上し、より商圏特性に合わせた館づくりを進め、各館の魅力向上とDXを活用した顧客接点の拡大、及び非店舗事業として、外商の強化による富裕層ビジネスや、商事事業を拡大していきます。

しかしながら、事業環境の変化等予期しない要因により、その目的を完全には達成できない場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

DX戦略について、当社グループではグループDX戦略マップを策定し、グループ全社で横断的に取り組む領域を定め、そのために必要な施策を推進しています。グループのお客様、ひいてはグループ全社を守るDX施策として、グループ共通でのセキュリティ対策やグループ共通インフラの整備等に取り組みながら、一方で運用の効率化やグループシナジーの発揮を目的とした基盤構築に向けた施策も推進しております。グループ各社のビジネスを加速させるDX施策としては、急速に変化する環境を捉えた対応を行うため、PoC(Proof of Concept)による新たなサービスの実現性や競争力の検証を行い、案件の推進にあたっては段階毎にゲートを設け、投資判断等の組織としての意思決定を経て実行しています。そうしたDX戦略を支える体制の更なる強化に向け、内製化の推進及び専門性の高い人財の獲得に継続的に努めております。

特に、当社グループではあらゆる食のニーズに対応するため、店舗にお客様をお迎えすることを前提とした販売だけでなく、お客様が希望する日時と場所に商品をお届けするラストワンマイルへの対応が今後ますます重要性を増すと考えております。当社グループの持つ安全・安心・新鮮な商品提供力と店舗を持つ強みを活かして、ネットスーパーにおいては大型センター化による事業規模拡大、専用アプリを活用したお客様との接点の拡充と買物体験の向上、店頭受取や店内ロッカー等の受取方法の多様化に挑戦しております。食材・定期宅配においては鮮度と質にこだわった生鮮商品や子育て世帯向け商品の展開にも挑戦しております。移動販売においては株式会社とくし丸と連携し、日常のお買物にお困りの方へ、お買物体験を提供することで社会的意義・役割を果たすとともに、当社グループの価値向上を図っております。飲食店による出前においては、実店舗に頼らない宅配専用店舗の設置や、出来立て惣菜を始めとした品揃え豊富で高品質な中食のお届けに挑戦しております。

しかしながら、お客様のニーズは絶えず変化しております。また、競合他社においてもそれぞれの顧客基盤や新しい技術を活用し、ラストワンマイルへの対応を強化しております。そのような環境下において、当社グループが現在の競争力を維持できない場合、売上の低下等により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

金融戦略においては、お客様の利便性に資する金融商品・サービスの開発を推進するため、グループ共通のID「7ⅰD」の活用を軸としたDX戦略や事業会社と緊密に連携する金融戦略室を新設し、小売・金融を横断したお客様への新たな価値の提供を目指しております。

当社グループの金融・決済関連システムについては、各種情報管理に関する規程類の整備やセキュリティ対策を講じておりますが、特に金融事業においては、お客様にご提供をいただく情報の重要性を踏まえ、グループの基準も遵守し、各金融事業会社においては各種法令、ガイドライン等に基づく規程類の整備並びに十分な対策の構築・運用に努めております。

しかしながら、このような対策を行ったとしても、外部からの攻撃は日々多様化・高度化しており、また内部の人為ミスや委託先への管理不備などにより重要な情報が外部に流出するリスク、改ざんされるリスクは完全に回避できるものではなく、被害の規模によってはお客様やお取引先様などからの損害賠償請求や信用の失墜により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

3.既存事業リスク 関連する戦略:①②③④⑤

<商品調達・価格変動リスク>

当社グループの事業活動にとって、十分な品質の商品・原材料等を適時に必要なだけ調達することが不可欠であり、特定の地域・取引先・製品・技術等に大きく依存しないよう、その分散化を図っています。特に、気温上昇や降水・気象パターンの変化等の気候変動により、今後中長期的に農畜水産物の収量の減少や品質の低下、農産品の栽培適地や漁場の変化が生じる可能性もあります。これら変化への対応として分散調達と一次生産者との収穫量向上に向けた協働等に努めていますが、気温上昇や気象パターンの変化等の気候変動により、仕入ルートの一部が寸断した場合、それにより当社グループの事業が影響を受ける可能性があります。

当社グループの取扱商品の中には、商品生産国や地域または事業展開国や地域における、政治・経済情勢の変動、テロ・紛争などによる治安状態の悪化や社会的混乱、天候による需給の変化や原油等原材料価格変動の影響を受ける商品等、外的な要因により仕入価格が変動する商品があります。加えて、将来的に、商品製造段階における電力をはじめとするエネルギー価格が、気候変動に伴う規制・政策・紛争などにより高騰した場合にも仕入価格が影響を被る可能性があります。これら仕入価格の変動が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

<ビジネスモデルリスク>

当社グループは、日本国内において主要な事業を行うほか、世界各地で事業を展開しています。そのため、日本及び事業を展開している国または地域の景気や個人消費の動向などの経済状態が悪化した場合、お客様の購買力又は消費意欲が減退し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。この点、当社グループは、地域の特性を重視した商品開発と品揃えを強化し、お客様のニーズに的確に対応するべく、販売戦略に基づいて様々な分野のメーカー様やベンダー様とチームMD(マーチャンダイジング)による商品開発を行うほか、各社アプリ等を通じてグループ共通のID「7ⅰD」に登録されたお客様のお買物に関する様々なデータの収集・分析を行い、販促活動等を効果的に行っておりますが、経済政策や異常気象等により予想外の消費行動の変化が生じた場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、当社グループでは、お客様のニーズの変化に的確に対応していくため、より高品質で魅力的な商品開発を推進するとともに、お客様とのコミュニケーション強化、生産性の向上に取り組んでおります。また、スーパーストア事業や百貨店事業においては事業構造改革にも取り組んでおります。

しかしながら、日本では少子高齢化による労働力人口減少などといった厳しい雇用環境が続くなど、店舗経営を取り巻く環境は激化しております。そのような環境下において、競合他社との価格競争に伴う商品・サービス価格低下圧力及び人件費を始めとしたコスト上昇圧力に晒されることにより、当社の競争力が減退し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

4.環境リスク 関連する戦略:①②③④

当社グループは、これまでさまざまな社会環境の変化に対応し、価値ある商品やサービスの提供を通じて、お客様の豊かで便利なくらしへの貢献に努めてまいりました。一方、世界では気候変動、プラスチック問題などのさまざまな環境問題や人権問題などの社会課題が顕在化しています。2015年の第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)において「パリ協定」が採択され、産業革命前からの世界の気温上昇を2℃より充分低く保ち、1.5℃に抑える努力を追求することが決まりました。さらに2021年の第26回気候変動枠組条約締約国会議(COP26)の成果文書に、産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑える努力を追求することが明記され、「1.5℃目標」を目指すことが、世界的潮流となっています。こうした社会の動きに対応するべく、当社グループは環境宣言『GREEN CHALLENGE 2050』を策定し、「脱炭素社会」「循環経済社会」「自然共生社会」を目指すべき社会の姿と定めて、取り組みを推進しています。特に喫緊の課題である気候変動に関しては、2050年のCO2排出量ネットゼロを目指し、TCFDへの賛同と情報開示、RE100への参画、水素バリューチェーン推進協議会への参画等、お客様やお取引先様をはじめ、すべてのステークホルダーの皆様と連携して取り組んでいます。

一方で、当社グループは、エネルギー使用の削減やCO2排出量の削減など気候変動対策をはじめとして、食品廃棄物、プラスチック等の容器包装リサイクル、廃棄物処理などに関する様々な環境関連法令の適用を受けています。将来、これらの法令による規制は、例えば気候変動対策では、温室効果ガス排出規制が強化されたり、炭素税などの新しい法規制・政策が導入されたりする可能性があり、当社グループにとって、法令遵守に係る追加コストが生じたり、事業活動が制限されたりする可能性があります。加えて、規制強化によって電力・ガスなどエネルギー費用が変動することで、店舗運営に関わる費用が増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

5.人事・労務関連リスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループが主要な事業を行う日本では、少子高齢化による労働力人口減少への対応が社会的課題である中、多くの店舗を展開する当社グループでは、店舗従業員の人数を確保することに加え、多様な人財に意欲をもって能力を発揮していただくために一人ひとりの従業員の主体的な能力向上を支援していくこと、さらには、これらを通して企業としての生産性の向上に結び付けていくことが重要な課題であると捉えております。人財育成にあたっては、「人財とともに成長する企業」という考え方に立ち、積極的に社員に成長機会を提供して、自ら学び続け、つねにスキルアップを図り続ける人財の育成を図り、社員と会社の相互成長を目指しております。また、ダイバーシティ&インクルージョンの推進を掲げ、働く人々の多様性や違いを認め合う環境づくりや柔軟な働き方の実現に向けて積極的に取り組んでおります。

しかしながら、法令や制度の改正など何らかの事由により、その目的を達成できない場合に当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの各事業には、お客様を始めとする様々なステークホルダーとの良好なコミュニケーション力を有する人財が不可欠ですが、今後、各事業分野及び地域における人財獲得競争の激化等により、人財を確保するため従業員の報酬・賃金水準が上昇し相応しい人財の獲得が困難となる場合や、人財の社外流出が生じた場合、長期的観点から業務運営の効率性が損なわれ、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

6.人権に関するリスク 関連する戦略:①②③④⑤

企業活動のグローバル化が進み、企業の人権への取り組みに対して、社会からの関心が高まっています。当社グループではセブン&アイグループ企業行動指針、お取引先サステナブル行動指針をベースに人権尊重に取り組んでまいりましたが、2021年10月、国際人権章典(世界人権宣言と国際人権規約)、労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関の宣言、「国連ビジネスと人権に関する指導原則」などをもとに、「セブン&アイグループ人権方針」を定めました。当社グループは、人権デュー・ディリジェンスの仕組みを構築し、人権への悪影響を防止または軽減することに努めます。

しかしながら、これらの方針を逸脱した行為が発生した場合には、当社グループに対するお客様及びお取引先様の信頼低下などにより、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

7.市場リスク(為替・金利等) 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループでは、為替・金利等の変動リスクの軽減、資金調達コストの低減、将来のキャッシュフローを最適化するために為替予約及びスワップ等のデリバティブ取引を行っておりますが、金利の変動は受払利息や金融資産・負債の価値に影響を与え、当社グループの業績や財務状況に影響を与える可能性があります。

海外のグループ会社の現地通貨建ての資産・負債等は、連結財務諸表作成のために円換算されます。また、当社グループの販売商品の中には、為替変動の影響を受ける海外開発商品があるため、為替相場の変動により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

8.法務リスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、日本及び米国をはじめとする世界各地で、それぞれの国・地域における消費者保護、公正競争、食品衛生、労働環境、環境等に法規制を遵守し、必要な許認可を得て事業を遂行しております。これらの法規制の改正動向については目を配り、必要な対応を適切に実施するべく、体制を整えておりますが、関係する法解釈の相違等により、行政機関・司法機関から当社グループに不利な判断が下された場合等には、課徴金、損害賠償金その他の金銭負担の発生やブランドイメージの悪化等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

また、より厳格な法規制が導入されたり、行政機関・司法機関の法令解釈が厳格化の方向に変更されることなどにより、法令遵守するためのコストが増加する場合、当社グループの事業活動や業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループの店舗出店についても、各国で様々な法規制が存在し、例えば日本においては「大規模小売店舗立地法」「都市計画法」「建築基準法」に基づく法規制を受けています。店舗出店に際してはこれらの関連法令を遵守して実施しておりますが、これらの法令の改正やこれらに関して各都道府県等が定めた規制の変更に伴い、当初策定した計画通りの新規出店や既存店舗の改装等を行うことが困難となった場合や、新たな対応コストが発生した場合は、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

9.資産リスク(固定資産等) 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、有形固定資産やのれん等多くの固定資産を保有しており、減損会計を適用しています。店舗等の収益管理を実施しておりますが、今後、店舗等の収益性が悪化したり、保有資産の市場価格が著しく下落したこと等により、減損処理が必要になった場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

■ オペレーショナルリスク

10.情報管理リスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、小売業や金融事業を始めとする各種事業において、お客様に新たな価値やサービスを

提供するために、お客様やお取引先様などの個人情報や営業秘密情報など、業務に必要な重要情報を取り扱っております。これらの情報を正しく管理するため、情報管理に関する規程をグループ全体として整備するとともに、各社において情報管理統括責任者を任命し、情報管理委員会による重要情報の整備、及び人的、組織的、物理的、技術的な安全対策を統合的に実施しております。

当社グループではサイバー攻撃など情報セキュリティの脅威に対して、セキュリティに関するポリシー、ガイドライン等の環境の変化に応じた見直し、セキュリティについて専門性を有する人財のさらなる拡充を行いながら、セキュリティ意識をグループ内に浸透させるために階層別や専門教育、情報セキュリティマネジメントシステムのフレームワークの展開等の取り組みを進めております。特に、サイバーセキュリティへの対策強化として、サイバーセキュリティを担う専門組織において、情報システム及びその運用のセキュリティレビューを行うとともに、第三者機関による脆弱性診断や不正アクセスの監視、脆弱性への対応、標的型攻撃メール訓練など、セキュリティ事故を防ぐためのサイバーセキュリティ対策の強化に努めています。

また、グループの情報セキュリティに関する業務を統括する「セキュリティ統括室」においては、各社の推進事務局と連携して、国際規格であるISO27001や改正個人情報保護法への準拠に取り組んでいます。

当社グループでは、情報セキュリティが、お客様に提供するサービスとして欠かせないものであるという認識を踏まえ、情報セキュリティの強化をより一層図ってまいります。

しかしながら、このような対策を行ったとしても、外部からの攻撃は日々多様化・高度化しており、また内部の人為ミスや委託先の管理不備などにより重要な情報が外部に流出するリスクや改ざんされるリスクは完全に回避できるものではなく、被害の規模によってはお客様やお取引先様などからの損害賠償請求や信用の失墜により当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

11.事業継続リスク(災害、パンデミックを含む) 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループの本社及び主要な事業の店舗等は日本にあるほか、世界各地で事業を展開しています。また、ライフラインの一翼を担う小売業を中核事業とする当社グループでは、大地震・風水害などによる被害が発生した場合、お客様や従業員等の人命・安全を確保した上で早期の店舗復旧及び営業再開が求められます。当社では大地震・風水害・富士山噴火・新型コロナウイルス感染症対策などの対策書を策定しており、当社及び当社の連結子会社一体となって事前対策会議を実施し、想定する被害状況、対策本部の設置及び営業継続判断等を検討する仕組みを運用しております。

しかしながら、地震、台風、洪水、津波、気候変動に伴う異常気象の頻発等の自然災害、火災、停電、原子力発電所事故、戦争、テロ行為等の違法行為により、サプライチェーンの寸断や店舗営業停止などの事業活動の停止、施設の改修に係る多額の費用の発生など、当社グループの事業運営に重大な支障が生じた場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。特に、コンビニエンスストア事業やスーパーストア事業を始め主要な事業の店舗等が集中している首都圏において大きな災害等が発生した場合、その影響も大きくなることが予想されます。

 

12.商品の品質管理・表示リスク 関連する戦略:①②③④

当社グループは、関係法令の規制に基づき、食品衛生に関わる設備の充実、QC説明会、CSR監査のチェック体制の確立等、お取引先様を含む一貫した商品管理を徹底し、お客様への安全な商品の供給と正確な情報の伝達に努めております。当社グループの取り組みを超えた問題が発生した場合には、それによる当社グループの商品に対する信頼の低下、対応コストの発生等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループでは、セブンプレミアムやグループ各社のオリジナル商品をさらに拡大して、新しい価値、上質の商品やサービスをお客様に提供し続けることに挑戦していますが、当社グループの取扱商品について重大な事故等が発生した場合、商品回収や製造物責任賠償が生じることもあり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

13.システムリスク 関連する戦略:①②③④⑤

当社グループは、事業活動を遂行するために多数のITシステムを保有しております。各種システムが適切に管理され安定的に稼働できるように、要件定義・設計段階からのレビュー、リリース前の十分なテスト、リリース後の運用状況のモニタリング等を実施しております。加えて、SOC(Security Operation Center)によるサイバー攻撃の監視、監視結果に基づく対応、セキュリティ専門組織による定期的なセキュリティリスク評価等を実施しております。また、事業を継続するための体制の整備、グループ全体のシステムリスク管理状況の定期的な確認に取り組んでおります。

しかしながら、これらの対策を講じていたとしても、台風、地震等の自然災害、高度なサイバー攻撃等の不測の事態や人的なミスにより、システム障害やセキュリティインシデント等が起こりえます。これらのシステムリスクが顕在化した場合、事業運営に支障をきたすことになり、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

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