課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

私たちは、経営理念「ライフサイエンスの進歩・発展に貢献する」のもと、研究に携わるすべての皆様との信頼関係を礎に、「新たな事業基盤の創出」と「既存事業基盤の強化」に挑戦してまいります。また、事業を通じて社会の持続的な発展に貢献することでSDGsに寄与し、それらの取り組みを企業価値の向上につなげて行くべきと理解しています。その為に、当社グループとしてサステナビリティの課題を抽出し、持続的な成長の実現に向けて、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)への取り組みを推進してまいります。

また、取締役会の監督機能を強化し、コーポレートガバナンス体制の更なる強化を図るため、第39回定時株主総会での承認を経て、監査役会設置会社から監査等委員会設置会社に移行しました。

昨年に引き続き、新型コロナウイルス感染症の拡大は、世界的な規模で続き、社会経済活動に大きな影響を及ぼしています。

大学や公的研究機関、企業等の研究施設における今後の活動状況の予測は難しく、目先の事業環境は不透明ですが、ワクチン接種の進捗に伴い、徐々に研究活動が再開されてきています。

現在、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大により、検査薬、ワクチン、治療薬の開発をはじめ、ライフサイエンス業界が果たすべき役割が注目されています。その中で、当社の主力市場である日本国内の基礎研究の動向は、国際的な競争激化の下にあり、状況判断は難しく、市場は変わらず厳しいものと考えています。

研究用試薬においては研究領域全般においてカタログ品の需要が拡大しており、また研究者に代わって試験を行う受託サービスなどの需要も増え、売上全体が好調に推移いたしました。研究用機器においては、消耗品の需要が高い水準で継続しているものの、供給が不安定な状況が続いております。

大学・公的研究機関では堅調に予算執行がなされているものの、同業他社との競争は販売価格面で市場環境は変わらず厳しいと捉え、2030年の事業規模を勘案し、今以上の成長を継続しているためには、従来のまま輸入専門商社の殻にとらわれず、活動自粛の影響で実質的に進捗が困難であった新規事業への取組みを、最重要課題と位置づけ進めていきたいと考えています。

2020年度からの中期経営計画は、2022年に最終年度に入ります。戦略等については、基本的な方針の変更はいたしません。私たちは「生命科学の研究者に信頼される事業価値を高める」ことを“成すべきこと”と位置付け、顧客からの信頼の獲得を希求することで成長して、次世代の生命科学研究を支える事業を実りとすることを経営方針とし、引き続き、中長期的な重要課題として将来を見据えた以下の活動に取り組んで参ります。

 

1.新たな事業基盤の創出

(1)既存事業の発展に加え、シーズ探索強化、産学官連携への積極参画などにより、次世代の収益の柱となり得る新規事業を開拓してまいります。

(2)市場での競争力を維持・強化、あるいは事業拡大やコスト削減の効果を客観的に評価し、他企業との協働の機会を損なうことのないように備え、資本提携や業務提携により事業を拡大することを目指します。

(3)生命科学の基礎ばかりでなく、直接的に健康にかかわる広い分野での生命科学の可能性を見据え、研究用試薬以外の市場への進出も目指していきたいと考えます。

 

2.既存事業基盤の強化

(1)提案力、情報力、商品力を更に強化し、「研究者への学術営業」や「代理店への効果的な販促」活動で、お客様の課題解決を目指す最良のサービスを提供してまいります。

(2)ペプチド合成・抗体作製受託サービス事業の成長は、販促の強化やサービスの拡充により収益性を高めつつあり、鶏卵バイオリアクター受託事業も投資のステージではなく収益のステージにあります。今後も、更に製造機能を強化し、自社製品とサービスの拡充をし、収益性の更なる向上を目指します。また、食品や化粧品の原料の提供など、広範な市場への事業拡大を検討します。そのための、新たなビジネスモデルの構築やビジネスパートナーの探索を推し進めてまいります。

 

3.企業価値の向上

(1)ビーエム機器、COSMO BIO USA,INC.、プロテインテック・ジャパンとの共同事業を進め、企業グループとしての業務効率化を図り、シナジーを生み出す工夫を進めます。

   営業活動における問合せ対応や受注関連業務のキメ細やかなサービス、有効な販促ツールの制作、ブランドごとの収益向上の検討、精緻な法令対応など、地味な業務をしっかりと継続することで営業活動を支え、研究者の力になる情報発信に努めます。グループ全社のメンバーが、株主様と同じ目線を持ちながら、事業の本質的な成長を、長期に続ける意識が持てる環境を整えてまいります。

(2)人事評価制度を常に見直し、従業員の向上心を高め、事業成長に必要となる人材を積極的に採用、育成してまいります。

(3)事業継続のための対策として、テレワークの更なる効率化を進めてまいります。

(4)譲渡制限付株式報酬制度を設けたことで、従業員が自社の株主となり、株主様と同じ目線で当社の事業経営を支える考えにつながり、就業の付加価値を高めていけると考えております。役員についても、中長期計画のインセンティブとして位置づけております。

 

このような事業環境の中で、当社グループでは、経営基盤と収益力を高めるため、売上高と経常利益を重要な経営指標と考えております。将来への投資のための的確な内部留保を行うと同時に、安定配当を念頭に置き配当性向を重視した利益還元方針を基本として、売上高経常利益率や当期純利益を意識した経営を行い、資本効率をはかる指標としてROEやROAについてもより高める努力をしてまいります。

私たちは、どのような環境の中でも、生命科学の進歩発展のすべての場面において求められる責任ある事業者として、最前線で活躍される研究者を支えるパートナーであり続けたいと考えております。

 

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