当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析内容は以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2021年12月31日)現在において当社が判断したものです。
(1) 経営成績の概況及び分析
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナワクチン接種の進展による行動制限の緩和に伴い経済活動が活性化し、総じて回復基調が続きました。一方で、新たな感染拡大が起こり、また、原燃料価格の高騰、半導体の供給不足や物流の混乱が深刻化しました。かかる環境下、当社グループの業績は、売上高は前年同期比87,573百万円(16.2%)増の629,370百万円、営業利益は27,914百万円(63.0%)増の72,256百万円、経常利益は29,024百万円(73.0%)増の68,765百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は34,691百万円(1,349.5%)増の37,262百万円となりました。なお、当連結会計年度において、2018年5月に米国子会社で発生した火災事故などに関する訴訟関連損失として4,296百万円を、2021年2月に米国南部を襲った寒波の影響により米国子会社の一部設備で生産を停止したことから災害損失として3,284百万円を特別損失に計上しました。
(単位:百万円)
[ビニルアセテート]
当セグメントの売上高は304,690百万円(前年同期比18.5%増)、営業利益は57,726百万円(同41.6%増)となりました。
① ポバール樹脂は、原燃料高の影響を受けましたが、世界的に需要回復が進み、幅広い用途で販売量が増加しました。光学用ポバールフィルムは、前年後半から続く旺盛な液晶パネル需要を背景に好調に推移しました。PVBフィルムは、第3四半期以降は半導体不足による自動車減産の影響を受けましたが、前年同期比で販売量が増加しました。水溶性ポバールフィルムは、洗濯用及び食洗器用個包装洗剤向けの販売が順調に拡大しました。
② EVOH樹脂<エバール>は、ガソリンタンク用途の需要回復や食品用途の好調な需要継続により、前年同期比で販売量が増加したものの、年初から続く原燃料高と、第3四半期以降は自動車減産の影響を受けました。
[イソプレン]
当セグメントの売上高は61,940百万円(前年同期比22.9%増)、営業利益は5,694百万円(同49.5%増)となりました。
① イソプレン関連は、ファインケミカル、熱可塑性エラストマー<セプトン>ともに、需要の回復により販売量が増加しました。
② 耐熱性ポリアミド樹脂<ジェネスタ>は、原燃料・物流費上昇の影響を受けたものの、旺盛な需要を背景に、電気・電子デバイス向け、自動車向けともに販売が順調に拡大しました。
[機能材料]
当セグメントの 売上高は139,078百万円 (前年同期比11.3%増)、営業利益は8,189百万円(同173.4%増)となりました。
① メタクリルは、好市況に加え、飛沫飛散防止用仕切板やディスプレイ向けなどの販売が堅調に推移しました。
② メディカルは、欧米を中心に歯科材料の新製品に対する需要が旺盛で、販売が拡大しました。
③ 環境ソリューションは、欧米の水処理用途を中心に需要が増え、活性炭の販売は堅調に推移しました。
[繊維]
当セグメントの売上高は61,082百万円(前年同期比12.3%増)、営業利益は5,302百万円(同146.1%増)となりました。
① 人工皮革<クラリーノ>は、シューズ用途を中心に販売が堅調に推移しました。
② 繊維資材は、ビニロン、<ベクトラン>ともに需要が拡大し、販売量が増加しました。
③ 生活資材は、<クラフレックス>で外食産業の需要が低調でした。
[トレーディング]
当セグメントの売上高は144,027百万円(前年同期比15.7%増)、営業利益は4,852百万円(同34.6%増)となりました。
① 繊維関連事業は、スポーツ衣料や人工皮革<クラリーノ>が好調に推移しました。
② 樹脂・化成品関連事業は中国市場を中心とした需要増に伴い販売が拡大しました。
[その他]
その他事業は、国内関連会社の販売が回復し、 売上高は47,615百万円(前年同期比14.2%増)、営業利益は908百万円(同324.0%増)となりました。
(2) 当期の財政状態の概況
総資産は、たな卸資産の増加24,677百万円、建設仮勘定の増加 19,868 百万円及び受取手形及び売掛金の増加 18,595 百万円等の一方、現金及び預金の減少 32,377 百万円等により前連結会計年度末比 39,429百万円増 の 1,091,014百万円 となりまし た。負債は、支払手形及び買掛金の増加 13,480 百万円、未払法人税等の増加 6,512 百万円及び長期借入金の増加6,047百万円等の一方、コマーシャル・ペーパーの償還 20,000 百万円、社債の償還 20,000 百万円及び主として未払金の減少に伴うその他流動負債の減少 13,610 百万円等により前連結会計年度末比 24,691百万円減 の 511,411百万円 となりました。
純資産は、前連結会計年度末比 64,121百万円増加 し、 579,602百万円 となりました。自己資本は 559,984百万円 となり、自己資本比率は 51.3% となりました。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
税金等調整前当期純利益58,697百万円に対して、減価償却費59,003百万円、売上債権の増加13,437百万円、たな卸資産の増加17,537百万円、仕入債務の増加12,244百万円、法人税等の支払額14,127百万円及び訴訟関連損失の支払額24,104百万円等により、営業活動によるキャッシュ・フローは78,221百万円の収入となりました。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
有形及び無形固定資産の取得による支出68,408百万円等により、投資活動によるキャッシュ・フローは65,595百万円の支出となりました。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
長期借入れ6,212百万円等の収入に対して、コマーシャル・ペーパーの償還20,000百万円、社債の償還20,000百万円及び配当金の支払額13,414百万円等の支出により、財務活動によるキャッシュ・フローは47,447百万円の支出となりました。
以上の要因に加え、現金及び現金同等物に係る換算差額等により、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より30,596百万円減少して、151,487百万円となりました。
(単位:百万円)
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標は以下のとおりです。
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値により計算しています。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しています。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しています。
4.有利子負債は短期借入金、コマーシャル・ペーパー、長期借入金及び社債の合計額を使用しています。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しています。
5.2018年12月期より、たな卸資産の評価方法を変更しています。当該会計方針の変更は遡及適用されるため、2017年12月期の数値は遡及適用後を記載しています。
当社グループの資金需要は、営業活動に必要となる運転資金や設備投資、M&A等に係る投資資金が主なものです。これらの資金需要に対しては、自己資金のほか、必要に応じ、金融機関からの借入やコマーシャル・ペーパー、社債の発行等により資金調達を行っています。
また、資金需要に応じて柔軟に資金調達ができるよう、信用格付けの維持向上や金融機関、資本市場との良好な関係維持に努めるとともに、緊急に資金が必要となる場合や金融市場の混乱に備え、金融機関とコミットメントライン契約を締結しています。
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品が多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていません。
このため生産、受注及び販売の状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績の概況及び分析」における各セグメントの業績に関連付けて示しています。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しています。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項」の(重要な会計上の見積り)に記載しています。
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