業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度末における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

① 財政状態、経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルスの影響が長期化しているものの、ワクチン接種率の向上等による感染者の減少から緊急事態宣言が解除されるなど、回復傾向が見えたものの、新たな変異株(オミクロン株)の出現により感染再拡大の懸念もあり、依然として景気の先行きは予断を許さない状況にあります。

 このような長引くコロナ禍にあって、当社グループはお得意先様や従業員の健康に配慮したうえで、感染予防対策に万全を期し、消費者の多種多様なニーズを発掘し、「医薬品スタンディングの美と健康と快適な生活にウイングを持つ需要創造型の新しい中間流通業」の実現を目指し、当社グループの社会的使命である医薬品等生活必需品の供給に努めてまいりました。

 当社グループの属するヘルスケア業界におきましては、感染症予防対策としてのマスクや消毒液等の衛生関連用品は、前年度の反動により需要減となりました。反面、解熱鎮痛剤や健康食品・化粧品等の商材が寄与した一方、インバウンド需要の激減、人口減少による需要の減退、大手ドラッグストアのM&A等の生き残りをかけた再編、人件費・物流コストの上昇・販売競争の激化等、当社グループを取巻く経営環境は厳しさを増しております。

 このような状況のもと、中長期的な将来展望を踏まえ、未来に向けてチャレンジし続ける企業文化を構築するとともに、健康寿命延伸産業の中核流通となるべく、企業価値向上に取組んでまいりました。

 そのため、考え方を共有する小売店とパートナーシップを組み、医薬品・健康食品・化粧品・衛生医療用品、更には日用雑貨品に至るまで消費者が満足して購入し使って頂けるカテゴリー提案を積極的に行うとともに、店頭での販売力を強化する為の「インストアマーチャンダイジング」の展開など中長期的な企業価値向上や持続的な成長を目指し、市場シェアを拡大するべく事業を積極的に展開いたしました。

 具体的には、「新しい売上を作る!新しいお客様を作る!」べく、新しいカテゴリーへの取組を強化するとともに、広範な商品調達力の拡充と非価格競争のできる商流力アップに努めてまいりました。

 また、専売品の売上構成を高めるとともに、利益構造の改革を図り適正利益の確保に努めてまいりました。

 さらに物流部門の生産性向上による経費抑制効果や効率改善に向けたDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め業務改革に取組んでまいりました。

 この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。

 なお、「収益認識に関する会計基準(企業会計基準第 29 号 2020 年3月 31 日)等を当連結会計年度の期首から適用しております

 

a 財政状態

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ、2,994百万円増加し、113,954百万円となりました。また、負債は、3,038百万円増加の91,861百万円となり、純資産は、44百万円減少し、22,092百万円となりました。

 

b 経営成績

 当連結会計年度の売上高は278,162百万円(対前年同期比2.7%増)、経常利益は1,583百万円(対前年同期比60.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は972百万円(対前年同期比64.6%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末よりも25百万円減少し2,754百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因はつぎのとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は、1,309百万円(前連結会計年度は4,273百万円の使用)となりました。これは主として、仕入債務の増加によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は、68百万円(前連結会計年度は710百万円の獲得)となりました。これは主として、投資有価証券の売却によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は、1,403百万円(前連結会計年度は2,361百万円の獲得)となりました。これは主として、借入の返済によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a 仕入実績

 当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。

区分

金額(百万円)

前年同期比(%)

医薬品

106,523

+3.4

健康食品

55,040

+8.9

衛生医療・介護・オーラル用品

34,777

△22.2

ベビー用品

11,858

△1.8

日用品・軽衣料

13,015

△6.6

菓子・食品

8,148

△0.6

化粧品

28,248

+16.0

その他分類

5,511

+11.3

合計

263,123

+0.5

(注)1 提出会社の子会社の株式会社大木の仕入高が連結仕入高の大半を占める為、当該金額によっております。

 

b 販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a 経営成績等

財政状態

 当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末に比べ、受取手形及び売掛金が5,698百万円増加した事等により、結果として2,994百万円増加の113,954百万円となりました。また、負債は、仕入債務が4,073百万円増加した事等により、結果として3,038百万円増加の91,861百万円となり、純資産は、その他有価証券評価差額金が3,621百万円であった事等により44百万円減少し、22,092百万円となりました。

 

経営成績

 売上高は、主要な子会社である株式会社大木において、健康食品・化粧品が前年同期比10.0%超の増加であった事等により、前年同期比2.7%増の278,162百万円となりました。

 売上原価は、前年同期比3.5%増の264,437百万円となりました。

 この結果、売上総利益は、前年同期比11.5%減の13,725百万円となりました。

 販売費及び一般管理費は、前年同期比4.2%増の13,093百万円となりました。

 この結果、営業利益は、前年同期比78.9%減の631百万円となりました。

 営業外収益は、受取配当金が前年同期比43.3%減であった事等により、前年同期比10.2%減の1,071百万円となりました。

 営業外費用は、前年同期比24.1%増の119百万円となりました。

 この結果、経常利益は、前年同期比60.8%減の1,583百万円となりました。

 特別利益は、投資有価証券売却益の減少により前年同期比76百万円減となりました。

 特別損失は、貸倒損失の減少等により、前年同期比6百万円減となりました。

 この結果、税金等調整前当期純利益は、前年同期比62.3%減の1,531百万円となりました。

 法人税等(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)は、前年同期比50.1%減の605百万円、非支配株主に帰属する当期純損失は45百万円(前年同期は96百万円の利益)となりました。

 この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前年同期比64.7%減の972百万円となりました。

 

b 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの今後の経営成績に重要な影響を与えると考えられる要因は、以下のとおりです。

 

販売報奨金等及びセンターフィー

 第2 事業の状況  2 事業等のリスク (2)特有の商慣習に係るリスク に記載のとおりであります。

 

貸倒引当金

 第2 事業の状況  2 事業等のリスク (4)取引先の財務状況悪化に係るリスク に記載のとおりであります。

 

棚卸資産

 第2 事業の状況  2 事業等のリスク (5)商品在庫リスク に記載のとおりであります。

 

c 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、安定的な収益を獲得する事が、全てのステークホルダーの利益に合致するものと考え、「営

業利益率」及び「経常利益率」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「営業利益

率」は0.2%(対前年同期比0.9ポイント減)、「経常利益率」は0.6%(対前年同期比0.9ポイント減)でした。引き続きこれらの指標について、改善されるよう取り組んでまいります。

 

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末よりも25百万円減少し2,754百万円となりました。

 

a 当社のキャッシュ・フロー関連指標の推移は下記のとおりであります。

 

2021年3月期

2022年3月期

自己資本比率(%)

19.8

19.3

時価ベースの自己資本比率(%)

16.2

9.7

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

5.7

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

35.4

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

* いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

* キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

* 2021年3月期につきましては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため、キャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオは算定しておりません。

 

b 経営資源の配分に関する考え方

 当社グループは、運転資金を超えた、いわゆる余剰資金については、「追加的に配分可能な経営資源」と認識

し、新しいカテゴリーの創出等に利用する他、有利子負債の圧縮にも活用し、企業価値向上に資する経営資源の

配分に努めます。

 株主還元に関しては、株主の皆様に対する利益還元を最も重要な経営課題のひとつとして位置付け安定配当を

継続することを基本とし、業績並びに今後の事業展開等を勘案して、配当を行う方針としております。

 

c 資金需要の主な内容

 当社グループの資金需要は、営業活動に係る資金支出では、主として販売費(センターフィーや販売奨励金

等)、物流費(配送費、保管料等)、人件費、一般管理費(通信費、賃借料、償却費等)等があります。

 また、投資活動に係る資金支出は、主として物流・製造機能の維持のために不可欠な設備への投資等がありま

す。

 

d 資金調達

 当社グループの事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金および外部資金を有効に

活用しております。

 運転資金につきましては、内部資金より充当し、不足が生じた場合は金融機関からの借入金等で調達を行って

おります。

 設備投資額は、運転資金の範囲内で賄うことを基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入等を

活用しております。

 

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されてお

ります。その作成は経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響

を与える見積り及び予測を必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績などを勘案し合理的に

判断しておりますが、結果としてこのような見積りと実績が異なる場合があります。当社グループでは、特に以

下の重要な会計方針が、当社の連結財務諸表の作成に重要な影響を及ぼすものと考えております。

 

イ 棚卸資産の評価

 棚卸資産の貸借対照表価額は収益性の低下による簿価切下げの方法により算定しておりますが、今後の将来需要及び市場環境、仕入先の経営状況等により簿価切下額の追加計上が必要となる可能性があります。

 

ロ 貸倒引当金の計上基準

 売上債権等の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。将来、取引先の財務状況の悪化により売掛債権の回収が滞った場合には、引当金の追加計上が発生する可能性があります。

 

ハ 繰延税金資産の回収可能性の評価

 繰延税金資産の回収可能性の評価の判断に際しては、将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延

税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、将来において当社グループをとりまく環境に大きな変化があった場合など、その見積額が変動した場合は、繰延税金資産の回収可能性が変動する可能性があります。

 

ニ 退職給付債務等

 退職給付債務及び退職給付費用については割引率や将来の退職率等の前提条件に基づいて算出しています。

このため、実際の結果が前提条件と異なる場合や前提条件の変更が行われた場合には、将来の退職給付債務及び

費用が変動する可能性があります。

 

ホ 固定資産の減損処理

 固定資産については、資産グループの回収可能価額が帳簿価額を下回った場合に、その差額を減損損失に計

上しておりますが、回収可能価額は、資産グループの正味売却価額と割引後将来キャッシュ・フローとして算定

される使用価値のいずれか大きい方としていることから、将来、固定資産の使用方法を変更した場合又は資産グ

ループを使用している事業の損益に悪化が見られ、短期的にその状況が回復しない場合には、新たに減損損失が

発生する可能性があります。

 

 

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