文中の将来に関する事項は、提出日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
①企業理念
一.私たちは信用を重んじ、社会の発展と豊かな環境づくりに貢献します。
一.私たちは時代のニーズに対応し、常に変貌する企業を目指します。
一.私たちは社員相互の信頼のもと、人材を育成し、希望に満ちた企業を創造します。
一.私たちは常に学ぶ姿勢を持ち、自己と企業の進歩、改善を目指します。
②経営ビジョン(あるべき姿)
業界に先駆けて高付加価値の製品・工法を開発し、持続的成長を可能にする企業グループ。
高度な社会インフラ整備の実現に向け、常に「オンリーワン」技術にチャレンジし、豊かな社会資本・インフラ整備に貢献する専門家集団としての責務を果たす。
③経営基本方針
ファスニング分野の新しい価値を創造する専門家集団として、「持続的成長」、「新規事業の創出」、「業務の効率化」、「内部体制の強化」により経営基盤を強化し、リーディングカンパニーとしてのあくなき挑戦を実践する。
当社グループは上記の企業理念、経営ビジョン(あるべき姿)及び経営基本方針のもと、社会インフラの整備・維持を担う企業として“ファスニング分野におけるエンジニアリングの専門家集団”を標榜し、技術力による新しい付加価値を提供することによって、活力ある国土づくりと社会の発展に貢献してまいる所存であります。
(2) 経営環境
当社は1965年、日本初の「あと施工アンカー」の専門企業として設立され、建築構造物のファスナーに関する専門業者として、また、トンネルを掘削するためのファスナーいわゆるNATM工法の先駆者として、常に新技術の導入と普及に努めてまいりました。また、専門性の高い工事においても国内外より高い評価を得ており、企業規模も順調に拡大してまいりました。1997年に大阪証券取引所市場第二部へ上場し、2015年3月には皆様のおかげをもちまして、会社設立50周年を迎えることもできました。
しかしながら、社会全体の景気低迷や建設業界における需要の絶対量不足、受注競争の激化などにより、厳しい経営環境が続いております。建設業界におきましては、各種インフラ整備やリニア新幹線などの大型プロジェクト、インフラ補修等の受注環境は一時的には追い風ではありますが相対的には減少傾向にあり、工事の対象が新設から維持・補修にシフトすることも予想されます。また、原材料価格や労務単価の上昇、少子高齢化に伴う人材不足、若年層労働者の確保や働き方改革による労働環境の多様化など業界全体としては多くの課題を抱えている状況にあります。
このような情勢のもとで当社は、公共事業を中心とした政府建設投資の需要に確実に応えるため、需要先のニーズを的確に捉えた技術提案型営業を推進し、商品の拡販と建設工事の受注に努めております。さらに、収益改善に向け総コストの圧縮や固有技術の一層の改良と新技術・新工法の開発を行うとともに管理面では情報の一元管理と共有化を目的とした社内情報システムの導入など、将来へ向けての取り組みを行っております。また、2015年3月に会社設立50周年を迎えたことを機に新たな50年、100年を目指して、今一度当社グループの原点である“現場重視”に徹し、ビジネス環境の変化に対応しお客様のニーズや市場動向などの最先端情報をいち早く経営に反映できる体制づくりを行っております。
(3) 経営戦略
上記のような経営環境の中で当社は、ファスニング分野のリーディングカンパニーとして、安全・安心を最優先とした社会インフラの新設・維持・補修を通じて社会の発展に貢献する企業を目指し2021年5月27日に「ケー・エフ・シーグループ中期経営計画(2021~2023年度)」を策定いたしました。本計画に基づき将来的に持続的成長を目指すケー・エフ・シーグループが「あるべき姿」に向かって経営資源を有効活用し、経営基盤のさらなる強化を推進してまいります。また、あらゆる社会の変化に対しても迅速に対応するとともに、経営課題にしっかりと向き合い安定した経営を目指すことによって、すべてのステークホルダーの皆様から高い信頼と評価を得ることができるよう役職員一同一丸となって本計画の目標達成に向けて取り組んでまいります。
中長期的な経営戦略としましては、低成長が続く時代にあっても、景気動向に左右されない常に安定した収益基盤を確保するために、当社グループが永年培ってまいりました技術力・営業力を結集し、社会のニーズに対応した新商品、新工法の開発に力を入れるとともに、既存事業の活性化や固定費の圧縮に取組んでおります。また、更なる企業競争力、企業体質の強化を目指し、下記の重点課題について、施策を積極的かつ継続的に推進してまいります。
ⅰ 「収益力の向上」
当社は創業以来、付加価値の高い営業活動を行い今日に至っており、ユーザー・施主のニーズに対応した技術提案型営業を強化して他社との優位性を保ち「オンリーワン」企業を目指すとともに、各現場からの意見を取り入れた新しいコンセプトのあと施工アンカー及び特殊ボルト・ナット類や効率的な工法など、新商品・新工法の普及及び既存商品・工法の更なる改良を行うとともに、持続的な成長を目指して「新規事業の創出」を行うために開発営業部を設置し、更なる「収益力の向上」を図ってまいります。
ⅱ 「技術・開発力の強化」
建設業界においてはデジタルトランスフォーメーション(DX)、技術者の不足、高齢化による技術の承継問題や環境負荷への配慮等の社会課題がある中で「技術・開発力の強化」を行い、当社の既存事業分野のみならず、新規事業分野においても積極的に研究開発を行っていき、当社独自の「オンリーワン」技術にチャンレンジしてまいります。
ⅲ 「働き方改革」
システム導入による業務の効率化や就労環境の整備により、職場環境の充実を図ることで、より良い人材の確保や従業員ひとりひとりのワーク・ライフ・バランスの向上を行い、従業員をはじめとしたステークホルダーの満足度を高める「働き方改革」を行ってまいります。
ⅳ 「経営基盤の再構築」
現在の厳しい市場環境やめまぐるしく変化する社会情勢に迅速かつ的確に対応するために、経営の効率化とスリムな経営を行い、環境や社会的責任に配慮した組織力の強化、人材の確保・育成・活用に努め、盤石な組織体系づくりを行うとともに、新たな投資戦略を通じて「経営基盤の再構築」に取り組んでまいります。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①新規事業の創出
市場環境の変化を見据え、ビジネスチャンスを最大限に活かす体制づくりを進め、「安全・安心」、「環境」、「省力化および建設DX」のニーズに対応した付加価値の高い新規事業の創出の推進に取り組んでまいります。
②研究・技術開発
建設材料・施工・点検技術までの一貫した技術開発により、インフラ構築・維持管理において社会的課題を解決できる「オンリーワン」商品の開発を行ってまいります。
具体的には、昨今課題となっているDX、技術者不足や環境負荷の軽減を解決するために、「熟練作業者不足を補う」、「省人化&ICT」、「環境」をキーワードに既存事業分野や新規事業分野において、「研究・技術開発」を加速させてまいります。
③知的財産
安心・安全・持続可能なインフラ構築・維持管理に携わる企業として、知的財産の保護を図りつつ、オープン・イノベーション戦略により蓄えた技術・経験・知的財産を抱え込むことなく社会に還元する循環型知財を目指してまいります。
④業務の効率化
働き方改革の要請への対応を強化し、「業務の効率化」による労働生産性の向上を目指してまいります。
具体的には、システム導入をはじめとした社内ITインフラの整備や新卒採用や中途採用の強化を行い、労働生産性の向上や従業員の満足度の向上に取り組んでまいります。
⑤経営基盤の再構築
環境や社会的責任に配慮した取り組みを継続して実施するとともに、活力ある職場づくりを通じて、ケー・エフ・シーグループの組織力の強化、人材の育成に努め、強固な「経営基盤の再構築」を図ってまいります。
具体的には、コンプライアンスの強化等による盤石な組織体系づくり、人材の確保・育成・活用、成長分野への投資戦略を柱として、中長期的な持続的成長の実現ができる体制を作ってまいります。
(5) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
利益配分の基本方針に従い、安定的な配当を継続するとともに、上記中期経営計画に従い、企業価値の増大による利益還元及び当社グループとして持続的成長の実現を行うため、自己資本を基盤とした財務体質の強化が必要と認識しており、2022年3月期より自己資本当期純利益率(ROE)15%以上及び配当性向30%以上を目標とする経営指標としております。毎期上記目標以上を達成できるよう企業努力を行ってまいります。
(6) 対処すべき課題
今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症対策と社会経済活動の両立を進める動きが本格化するものと見込まれ、わが国経済を取り巻く環境は回復基調となるものの、物価や金利の上昇、地政学リスクなどに、注視が必要な状況にあります。
一方、建設業界においても、建設資材価格の上昇や人材不足、若年労働者の確保や働き方改革による労働環境の多様化など、多くの課題を抱えている状況にあり、事業環境をめぐる見通しは今なお不透明な状況が続いております。
このような状況の中、当社は「ケー・エフ・シーグループ中期経営計画(2021~2023年度)」に鋭意取り組んでおり、「収益力の向上」「技術・開発力の強化」「働き方改革」「経営基盤の再構築」の基本戦略のもと、持続的成長を可能にする強固な経営基盤を構築し、豊かな社会資本・インフラ整備に貢献する専門家集団として、いかなる市場環境においてもステークホルダーの皆様のご期待に応えることができる企業力を築いてまいります。
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