課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日(2022年10月21日)現在において経営者が判断したもので、その達成を保証するものではありません。

(1) 経営方針

当社グループは、「独自性のある高品質な製品をお客さまにお届けする」という事業精神のもとで、お客さまの声に対し、従業員一人ひとりが新しいアイデアを出し合い、モノを創造していくこと、それが最高の品質を生み、最高の価値を生むものと考え、技術部門は「独自性」を、製造部門は「品質とコスト」を、営業部門は「信頼」を徹底的に追求し、「信頼に応えるモノづくりを通じて社会に貢献する」ことを経営理念としております。この経営理念のもと、鋼製物置及びオフィス家具を製造・販売し、「くらしの快適さのための機能的な収納空間の実現と快適で創造的なオフィス空間の実現」に向けて事業活動を行っております。

当社グループは創業以来、社会環境の変化に向き合いながら、開発・生産・販売の一貫体制を活かした着実な事業展開と効率的な経営を実践し続けることで、イナバらしさを追求し、企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上を目指してまいります。

(2) 経営環境

① 当社グループを取り巻く環境

翌連結会計年度の国内経済については、新型コロナウイルス感染症が収束に向かい、社会・経済活動の正常化に向け規制緩和が進みつつあるなか、半導体等の部材不足、サプライチェーン混乱の影響、ロシア・ウクライナ情勢、その影響によるエネルギー・原材料価格の動向など、引き続き不確実な状況が続くものと予想しております。

また、足元では主材料である鋼材や塗料等の価格上昇に伴う製造コストの増加が見込まれる等、利益水準を押し下げる状況が継続する見通しであり、厳しい事業環境に晒されております。

なお、新型コロナウイルス感染症による翌連結会計年度以降の当社グループの経営環境への影響は、現時点で軽微であるとの前提を置いております。

② 鋼製物置事業を取り巻く環境

当連結会計年度においては、持家・分譲一戸建住宅の新設着工戸数は増加いたしましたが、コロナ禍での巣ごもり需要が一巡したことから、物置に対する需要は弱含みで推移いたしました。他方で、ガレージ・倉庫については、お客様のニーズは高く、需要は好調に推移いたしました。また、防災意識の高まりを背景に、物置はより強さが求められるようになり、お客様のニーズが堅牢性の高い「安全」な物置から、さらに一歩進んだ「安心」できる物置へと変化しつつあります。

翌連結会計年度における新設住宅着工戸数は、ロシア・ウクライナ情勢や新型コロナウイルスの感染拡大に伴う供給制約の影響で落ち込む可能性はあるものの、現在の傾向を維持していくと予想しております。なお、ガレージ・倉庫など大型製品の需要は、引き続き高水準で推移すると予想しておりますが、当連結会計年度における価格改定の実施、価格改定前の駆込み需要の反動の影響で、小型製品・一般製品の出荷数は減少する見通しであります。

③ オフィス家具事業を取り巻く環境

当連結会計年度においては、コロナ禍での働き方の急激な変化を受け、新しいオフィスづくりへの動きが活発化しており、ワークブースやオフィスDX等に対する需要が高まりました。

翌連結会計年度においては、大規模新築オフィスビルの供給は減少するものの、中規模オフィスビルの供給は増加する見通しであります。オフィス改装需要は、堅調に推移すると予想しております。また、働き方改革など新しいオフィスづくりへの動きは活発化しており、ワークブースやオフィスDXなど新しい製品に対する需要も堅調に推移するものと予想しております。

(3) 経営戦略等

① 一貫体制の維持・強化

当社は、1940年にプレス加工メーカーとして創業して以来、鋼製物置、オフィス家具に事業領域を拡大し、新技術・新製品の開発に取り組み、鋼製物置・オフィス家具の両事業で多彩な製品を提供しております。鋼製物置事業では、イナバ物置の生産開始以降、CM「やっぱりイナバ、100人乗っても大丈夫」での認知度に加えて、ユーザーの立場にたって組み立てやすく高品質な製品づくりを心掛けてきた結果、鋼製物置市場では国内トップシェアを獲得しております。また、物置で培ったノウハウを活かしてガレージ、倉庫、自転車置場等で製品領域を拡げ、現在は大型製品のラインナップ拡充に注力するなど、快適な住環境からパブリックスペースまで多様なニーズに対応する製品を提供しております。オフィス家具事業では、ユーザーの使いやすさを徹底的に追求し、ノックダウン方式を業界で初めて採用するなど、デスク、チェア、パーテーション等を含めたオフィス空間のトータルプロデュースに心掛けております。

当社グループは、市場から求められる高品質な製品を安定的に供給し続けるため、引き続き一貫体制の維持・強化に取り組んでまいります。

技術部門では、市場ニーズに合致した競争力のある新製品を開発し、製品ラインナップの拡充に取り組んでおります。製造部門では、「製品の90%以上が自社による一貫生産」という自社生産比率の高さを強みとし、加工専用機械、金型製作、ライン編成等も自社で設計・製作し技術とノウハウを社内に蓄積することで、コスト競争力と高品質を両立させた製品づくりを行ってまいります。また、自動化・省力化に資する設備投資とより最適な生産体制の確立を継続的に進めております。営業部門では、全国展開している代理店網を活用した地域密着型の営業活動を重視し、お客様・代理店・販売店の声、市場動向等をリアルタイムで技術部門や製造部門へ伝えることで新たな製品開発を進め、お客様の信頼獲得につなげてまいります。また、全国に設置している物流拠点を営業部門が統括することで、正確な配送と納期の短縮化を目指しております。

② 翌連結会計年度の基本方針

a.基盤事業の成長と収益力の向上

当社グループは、収益性の維持・向上を実現するために、イナバ製品の「品質」「独自性」「価値」を追求し、引き続き「新製品開発」「用途開発」「職人の育成・充実」などに取り組んでまいります。

(鋼製物置事業)

鋼製物置事業においては、高収益基盤の構築に向けて、「フォルタ・シリーズ」、「ガレージ・倉庫」など主力ブランドへの集中による売上高拡大及び収益力の向上に取り組むことで、新製品開発への投資原資の安定的な創出を目指してまいります。

翌連結会計年度には、主力ブランドを中心にお客様のニーズに応える新たな製品開発や販売促進、製品供給体制の整備に取り組むことで、高収益事業の基盤を強化してまいります。

(オフィス家具事業)

オフィス家具事業においては、売上高の拡大及び効率性と収益力の改善に取り組んでまいります。これらを実現するために、お客様のニーズにマッチした製品の拡充や提案営業の強化、並びにコスト抑制の取り組みを継続してまいります。また、新製品開発においては、OEM先との共同開発を積極的に行ってまいります。

b.経営基盤の強化

当社は、業務部門の適正化・効率化を図るため、WEB受注システムを導入し、2022年8月より稼働いたしました。同システムの安定稼働により、代理店からの信頼を得るとともに、物流面の生産性を高めるための取り組みを推進いたします。また、強固な経営基盤の構築に向けて、新会計システムの安定稼働を実現するとともに、基幹システムのバージョンアップの検討を進めてまいります。

③ 新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた経営

当社グループは経済・社会環境が変化する時期をビジネスチャンスと捉えお客様の声にしっかりと耳を傾け社会や市場のニーズの変化を先取りした製品開発用途提案・用途開発を推進することにより新たな収益機会を発掘してまいります

なお新型コロナウイルス感染症に関するリスクについては、「2 事業等のリスクに記載のとおりであります

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、中長期的な経営指標として売上高経常利益率を重視しております。また、経営基盤の強化や将来の収益向上に向けて、設備投資を継続的に実施していることから、減価償却前営業利益の水準も重要な経営指標と考えております。

2023年7月期の経営目標・指標は、次のとおりであります。

売上高

41,840百万円

営業利益

1,830百万円

経常利益

2,230百万円

親会社株主に帰属する当期純利益

1,630百万円

<経営指標>

売上高経常利益率

5.3%

減価償却前営業利益

3,670百万円

売上高減価償却前営業利益率

8.8%

 

・経営指標の推移

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(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

翌連結会計年度の国内経済については、新型コロナウイルス感染症拡大が収束に向かい、社会・経済活動の正常化に向け規制緩和が進みつつあるなか、半導体等の部材不足・サプライチェーン混乱の影響、ロシア・ウクライナ情勢、その影響等によるエネルギー・原材料価格の動向等、引き続き不確実な状況が続くことが見込まれます。また、足元では材料・エネルギー価格の高騰による製造コストの増加や販売費及び一般管理費の増加が見込まれる等、利益水準を押し下げる状況が継続することが予想されます。

このような状況のもと、当社グループは、鋼製物置事業において高シェアと高収益を維持していくこと、オフィス家具事業において多様化するマーケットニーズに対応した競争力のある製品のラインナップ充実などに加え、徹底したコスト管理の強化、品質・生産性の向上などを実行することで、持続的成長を成し遂げてまいります。

鋼製物置事業については、大型製品の需要は引き続き高水準で推移し、小型・一般製品の需要は価格改定実施の影響により減少するものと予想しております。このような状況のもと、各地域で開催される展示会でのプロモーションの展開、官公庁・大企業向けのスペックイン活動・用途提案の推進、及び製品説明会・勉強会の開催により、「フォルタ・シリーズ」や「ガレージ・倉庫」の市場浸透をさらに推し進め、収益の拡大に努めてまいります。また、収益機会を逸することがないよう、お客様への安定供給責任を万全に果たしてまいります。

オフィス家具事業については、大規模新築オフィスビルの供給は減少する見込みでありますが、オフィス改装需要は堅調に推移すると予想しております。また、働き方改革など新しいオフィスづくりへの動きは活発化しており、ワークブースやオフィスDXなど新しい製品に対する需要も増加しております。このような状況のもと、引き続き、お客様のニーズにマッチした差別化製品の開発に積極的に取り組み、製品ラインナップの拡充を図ってまいります。

また、両事業の成長と収益力の向上により創出したキャッシュを、事業基盤の拡大、経営基盤の強化への設備投資や株主還元などの成長投資に活用してまいります。

そして、あらゆるステークホルダーからの信頼にお応えするために、省エネルギー・省資源、廃棄物削減、部品共通化等、持続的環境負荷低減に取り組むほか、コーポレートガバナンス、コンプライアンス体制強化による内部統制システムの充実、BCPなどリスク管理体制の整備による安定した事業継続に取り組んでまいります。

 

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