業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度における世界経済は、国内において新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和等により緩やかな回復基調で推移する一方で、原油高による原材料価格の高騰、ウクライナ情勢の緊迫化や中国での新型コロナウイルス感染症の拡大による経済活動の低迷等に加え、急速な円安の進行により依然として不透明な状況が続いております。

当社グループの主要得意先であります自動車部品業界におきましては、半導体・部品供給不足の長期化で得意先の生産調整が相次ぐ中、鋼材価格の高騰、急速な円安の進行により先行きが見通しにくい状況が続いております。

このような経営環境の中、当社グループでは経営理念であります「絶えざる技術革新」と「ニーズを先取りした製品」の「スピードある提供」を通じ、お客様の「揺るぎない信頼のもとグローバル企業」を実現するために、当期より新たに策定した中期経営計画「ビジョン2021」の第1年目として、対処すべき課題の解消に取り組んでまいりました。

しかしながら、得意先の生産調整の影響もあり、当連結会計年度における当社グループの売上高は124億48百万円(前年同期比9.7%減)となりました。利益面につきましては、営業利益は3億54百万円(前年同期比17.8%減)、為替差益等の営業外収益があったことから経常利益は5億36百万円(前年同期比13.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は3億95百万円(前年同期比4.9%減)となりました。

なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、売上高は19億89百万円、売上原価は20億22百万円それぞれ減少しております。営業利益は32百万円増加しておりますが、経常利益及び税金等調整前当期純利益に与える影響は軽微であります。連結株主資本等変動計算書及び1株当たり情報に与える影響についても軽微であります。

 

セグメントごとの業績は次のとおりであります。

〔日本〕

半導体・部品供給不足による得意先の生産調整による減産を受け、売上高は102億24百万円(前年同期比16.2%減)営業利益は2億32百万円(前年同期比41.4%減)となりました。なお、収益認識会計基準の適用による影響額として、当連結会計年度の売上高は19億92百万円減少し、営業利益は29百万円増加しております。

〔米国〕

新型コロナウイルス感染症拡大の影響が大きかった前年度に比べ、得意先からの受注は回復してきており、売上高は10億34百万円(前年同期比10.0%増)となりました。しかしながら輸入製品の増加による利益率の低下等もあり、固定費を賄うことができず、1億18百万円の営業損失(前年同期は44百万円の営業損失)となりました。

〔タイ〕

景気回復による得意先からの受注増加により、売上高は20億99百万円(前年同期比33.7%増)となりました。利益面につきましても、増収効果により、営業利益は1億75百万円(前年同期比203.2%増)となりました。

〔中国〕

得意先からの受注は堅調に推移し、売上高は7億2百万円(前年同期比29.5%増)となりました。利益面につきましても、増収要因により、営業利益は63百万円前年同期比347.9%増)となりました。

 

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ2億16百万円減少し、37億90百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益5億35百万円減価償却費7億40百万円、売上債権の減少額6億26百万円等による資金増があり、一方で棚卸資産の増加額3億31百万円、仕入債務の減少額3億17百万円等による資金減により、8億41百万円の収入(前連結会計年度比42.2%減)となりました。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の払戻による収入3億46百万円等の資金増があり、一方で有形固定資産の取得による支出3億87百万円定期預金の預入による支出3億35百万円等による資金減により、3億65百万円の支出(前連結会計年度比63.1%減)となりました。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、短期借入金の増加額5億円長期借入れによる収入1億円の資金増があり、一方で長期借入金の返済による支出9億51百万円社債の償還による支出2億9百万円等による資金減により、7億98百万円の支出(前連結会計年度は61百万円の支出)となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

生産高(千円)

前年同期比(%)

日  本

9,641,404

△20.9

米  国

1,186,975

+40.6

タ  イ

2,141,321

+33.3

中  国

785,893

+34.9

合  計

13,755,595

△9.7

 

(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

b. 受注状況

当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

日  本

9,982,663

△19.8

531,609

△31.3

米  国

1,033,099

+21.8

16,524

△7.8

タ  イ

2,115,601

+26.7

156,273

+11.3

中  国

682,369

+10.6

48,455

△29.3

合  計

13,813,734

△11.4

752,863

△24.8

 

(注) 金額は、販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。

 

 

c. 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

日  本

8,972,969

△18.1

米  国

1,032,778

+11.1

タ  イ

1,744,987

+28.2

中  国

697,595

+29.0

合  計

12,448,330

△9.7

 

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。

2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相 手 先

前連結会計年度

(自 2020年7月1日

 至 2021年6月30日)

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

 至 2022年6月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

シロキ工業株式会社

3,125,634

22.7

1,954,089

15.7

 

(注)「収益認識会計基準」を当連結会計年度の期首から適用しております。

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成にあたって、期末日における資産・負債並びに報告期間における収益・費用の報告金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる場合があります。

なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の連結財務諸表の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」を、当社グループの連結財務諸表で採用する会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第一部 企業情報 第5 経理の状況」の連結財務諸表の「重要な会計上の見積り」をご参照下さい。

 

② 経営成績の分析

a.売上高

売上高は、米国、タイ及び中国では増収となったものの、日本において減収となった結果、売上高は124億48百万円(前年同期比9.7%減)となりました。なお、収益認識会計基準の適用による影響額として、当連結会計年度の売上高は19億89百万円減少しております。

b.売上原価

売上原価は、材料費の減少、消耗工具費の減少等により102億9百万円(前年同期比11.7%減)となりました。売上原価率は費用の減少により前年同期の83.9%から82.0%となりました。なお、収益認識会計基準の適用による影響額として、当連結会計年度の売上原価は20億22百万円減少しております。

c.販売費及び一般管理費

販売費及び一般管理費は、人件費の増加及び運搬費の増加等により、18億84百万円(前年同期比5.2%増)となりました。

d.営業利益

営業利益は、売上総利益が16百万円増加、販売費及び一般管理費が93百万円増加したことにより、76百万円減少3億54百万円(前年同期比17.8%減)となりました。

 

e.経常利益

経常利益は、減収及び販売費及び一般管理費の増加による営業利益の減少等により、81百万円減少5億36百万円(前年同期比13.2%減)となりました。

f.親会社株主に帰属する当期純利益

親会社株主に帰属する当期純利益は、経常利益の減少等により、3億95百万円(前年同期比4.9%減)となりました。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループは、主要顧客である自動車関連業界の動向やそれらの企業の設備投資動向と密接な関係にあり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

なお、事業に係るリスクについては「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しておりますが、これらリスクの発生の可能性を認識した上で、リスク発生の回避及びリスク発生時の対応に努めながら積極的な経営を心掛けていく所存であります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

a.キャッシュ・フロー

キャッシュ・フローについては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの運転資金需要のうち主要なものは、販売のための商品仕入、原材料費、製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用、税金の支払、及び当社グループの設備投資等であります。

短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資等の調達につきましては、自己資本及び金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度において実施した設備投資の総額は、4億61百万円となりました。その主なものといたしましては、株式会社三ツ知及び株式会社創世エンジニアリングにおける機械装置の増設であり、資金の調達につきましては、自己資金及び借入金によっております。

b.財政状態

当連結会計年度における総資産は、前連結会計年度末に比べ5億98百万円減少し、164億11百万円となりました。

資産の部では、流動資産が受取手形及び売掛金の減少、現金及び預金の減少等により前連結会計年度末に比べ3億50百万円減少し、100億27百万円となりました。また、固定資産については、機械装置及び運搬具の減少、建物及び構築物の減少等により前連結会計年度末に比べ2億48百万円減少し、63億83百万円となりました。

負債の部では、流動負債は支払手形及び買掛金の減少等があったものの、短期借入金の増加等により前連結会計年度末に比べ88百万円増加し、47億78百万円となりました。また、固定負債については、長期借入金の減少、社債の減少等により前連結会計年度末に比べ11億23百万円減少し、25億65百万円となりました。

純資産の部では、利益剰余金の増加、為替換算調整勘定の増加等により前連結会計年度末に比べ4億36百万円増加し、90億67百万円となりました。この結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の50.7%から55.3%となりました。

 

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループの課題としましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しておりますが、特に以下の事項が当社グループの成長に大きな影響を及ぼすと考えております。

a.自動車業界の生産動向

当社グループは、自動車用カスタムファスナー製品の製造・販売を主な事業としており、主要取引先は自動車部品一次メーカーであります。このため、自動車メーカー並びに自動車部品メーカーにおける生産状況、海外への拠点展開等これら業界の動向と密接な関係があり、当社グループの経営成績に影響を与える可能性があります。

b.グローバル化の推進

当社グループの主要得意先であります自動車部品メーカーは、海外での現地調達化を加速させております。その為、当社グループといたしましては、最適地での最適設備による高付加価値生産体制実現のために、海外戦略として、第1に海外拠点の収益力向上のための現地化及び最適設備の導入、第2に国内の海外拠点バックアップ体制強化、第3に人財採用、育成の強化を推進してまいります。

 

当社グループでは、企業価値及び経営効率の向上を図るため、第60期(2022年6月期)より中期経営計画(ビジョン2021)をスタートし、下記の数値を主要な目標としております。

                                  (千円)

 

2022年6月期実績

2024年6月期目標

売上高

12,448,330

13,000,000

営業利益

354,383

650,000

営業利益率

2.8%

5.0%

 

 

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