研究開発活動

5 【研究開発活動】

 (1) 研究開発活動の目的

 ①既存事業にて培われた技術基盤
  当社グループは、主に精密電子機器、事務機器及び自動車部品等のメーカーを顧客として、顧客の製品開発及び生産活動に貢献する試作品、金型、量産品の製造を行っております。これら製造に用いられる金型設計・製作、板金加工、機械加工、成形加工、プレス加工等の各技術は、先端製造設備と当社創業以来培ってまいりました「匠の技」の融合によって構築されております。

 
②「匠の技」の活用による自社製品創出
  当社グループにおいて、創業より培ってまいりましたものづくりのノウハウ、すなわち「匠の技」は競争力の源泉であります。当社はこれを既存事業に活用するのみならず、新規事業(自社製品)の開発に投入し、次世代の収益源として育むべく「ものづくりメカトロ研究所」を社内に設置し、研究開発活動を推進しております。大学や研究機関で生み出された先端の要素技術やアイデアは、それを具現化するマーケティングや実証なども含めたプロセスが重要であり、このプロセスに対し「“匠の技”によるものづくり」を施すことによって、開発側の思いだけで製品化するのではなく、ユーザーのニーズに即した運用性に優れた革新的な製品の創出を図っております。
 


   (2) 研究開発体制(組織、人員)

  当社「ものづくりメカトロ研究所」は、「ものづくり」によって培われた「匠の技」を有する技術者、そして 機械工学に精通した技術者、合計23名によって運営されております。更に、高度先端シード技術の導入等を目的として、国内外の大学、研究機関との提携関係を構築しております。そのうえ、研究開発が進展した場合には、ものづくりの実践として先端製造設備を有する当社工場を活用いたします。これらの体制をもって研究開発活動を運営しております。

 

   (3) 研究開発テーマ

     ①ロボット開発

 当社は、分野毎にそれぞれ秀でた技術を有する大学、ならびに当社グループ関係会社との連携において、以下の各種ロボット開発を推進しております。また、注力して推進するスタートアップ企業への包括的事業化支援事業「プラットフォーム構想」と「WORLD ROBOTEC」の取り組みにおいて、多くのスタートアップ企業の開発を支援しております。

 

   a. マッスルスーツ

 東京理科大学が開発した腰痛防止・疲労軽減を目的とした筋力補助装具「マッスルスーツ」につき、持分法適用関連会社の株式会社イノフィスより、継続的に開発・試作を受託しております。当連結会計年度には、株式会社イノフィスは、軽量化及び低価格化を実現した「EVERYモデル」の販売を推進するとともに、腕を補助する「GSアーム」の販売を開始しました。また、更なる機能向上を目指し、より軽量で狭い場所や動き回る作業に適した「GSバック」や次世代マッスルスーツなど新規製品の開発に取り組み、販売開始を予定しております。

 

   b. ドローン

当連結会計年度には、イームズロボティクス株式会社は、高精度GPSユニットや有人地帯目視飛行(レベル4)の解禁を念頭にした2022年6月から導入が義務化される機体認証装置「リモートID」の販売を開始いたしました。また、イームズロボティクス株式会社は、ドローン市場拡大に寄与する安全性・信頼性の高い、安価な量産機体の開発に取り組み、国産ドローンの標準化を志向しており、当社はOEM量産提供を連携して実施できる体制構築に取り組んでおります。

 

   c. 歩行支援ロボット

東京工業大学が開発した「WALK-MATE ROBOT」は、パーキンソン病患者の歩行安定化や高齢者の歩行促進を目的とした歩行支援ロボットです。当連結会計年度には、連結子会社であるWALK-MATE LAB株式会社と共同でロボットの効果測定センサを保険診療が可能な「歩行分析 WM GAIT CHECKER PRO」として、医療機器認証を取得して製品化、販売開始し、当社において受託製造をしております。また、共同でロボットの歩行支援アルゴリズムとセンサ技術を組み合わせて、スマホアプリなどと連動する「GAIT CHECKER コンシューマ」の開発に取り組んでおります。

 

   d. 案内ロボット 

当連結会計年度には、SOCIAL ROBOTICS株式会社を連結子会社化いたしました。SOCIAL ROBOTICS株式会社は、「働くサービスロボット」として、当連結会計年度に、自律移動ロボット「BUDDY」の量産製品の生産を開始し、当社において製造を受託しております。飲食店での配膳・下膳の他、宿泊施設や工場・物流センターでの運搬作業補助、医療・介護施設・アミューズメント施設等での間接業務補助などで、滅菌装置との連動によるコロナ対応機器、AIカメラとの連動による警備機器として活用、画像認識、音声認識、エレベータや呼び出しボタン連動など、SIerと連携してユーザビリティの高度化に取り組みました。

 

   e. 手術支援ロボット

臨床外科手術について、遠隔操作、微細操作を可能とするための手術支援ロボットの開発を推進しております。連結子会社であるTCC Media Lab株式会社、電気通信大学、九州大学、早稲田大学、福島県立医科大学等との共同開発を推進しており、当連結会計年度には、AIを活用した麻酔科用神経ブロック支援ならびに鍼灸用超音波画像支援モニターシステムの試作品を製作し、臨床データの蓄積に取り組みました。

 

  f.高効率モータ

株式会社マグネイチャーは、高出力・高効率を実現する「マグネイチャーモータ」を開発しております。「マグネイチャーモータ」は、コアレス構造の「軽量かつ鉄損が発生しないというメリット」を生かしながら、トルクが小さいという弱点を「強電界を発生させることができるハルバッハ配列を生かしたロータを設置すること」で克服した、いずれの速度域でも、安定したトルク性能と高出力を発揮することを実現するハイブリッドモータです。当連結会計年度には、可変速度での使用が前提となるドローンや電気自動車に搭載する第4世代サンプルモデルを試作して、性能試験に取り組みました。

 

    ② その他

   当社の微細加工技術を生かしたデバイス開発、新たな加工技術の創出にも取り組んでいます。

 

   a. ホットチャンバ式アルミダイカスト

   純度の高いアルミを鋳造する技術の開発を推進しております。本技術で製造された部品は、従来品に比べ、放熱性、表面加工性が高く、微細構造が可能となります。当連結会計年度には、製造装置の量産性向上の開発を推進するとともに具体的な適用分野に対しテストサンプルを多数製作し、適用範囲の拡大に取り組みました。

 

(4) 研究開発費

当連結会計年度において支出した研究開発費は352,241千円であります。

ただし、販売費及び一般管理費における研究開発費は245,359千円となっております。これは、研究開発に係る助成金収入を、販売費及び一般管理費の控除項目として処理したことによるものです。

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