当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度現在において判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の停滞により、企業業績の悪化や個人消費の落ち込みなど、厳しい経済環境となりました。足元では、持ち直しの動きも見られますが、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、依然として先行きは不透明な状況となっております。
不動産売買市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が停滞する中にあっても、低水準にある資金調達コストを背景に、国内外の投資家の投資意欲は旺盛であり、底堅い状態が継続しております。また、当社グループが投資対象とする賃貸不動産の賃貸市場におきましても、値崩れは見られず比較的安定しております。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の先行きは不透明であり、引き続き留意する必要があります。
このような事業環境の中、当社グループは、不動産投資案件に対する目利きやバリューアップの実績を活かし、十分な投資リターンが見込める投資案件を取得するとともに、保有する賃貸不動産の賃貸収益を向上させる施策を実施しました。これらの活動により、賃貸不動産ポートフォリオは簿価ベースで61,953百万円(前期比10.3%増)となり、賃貸収益も順調に増加しました。また、当社グループは、ポートフォリオ入れ替えの観点から一部の賃貸不動産の売却も進めており、売却額、売却利益ともに前期を上回る結果となりました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高26,685百万円(前期比70.6%増)、営業利益4,940百万円(前期比94.4%増)、経常利益4,379百万円(前期比141.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,795百万円(前期比20.8%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(投資運用事業)
投資運用事業につきましては、不動産管理・運営に係る報酬が増加した一方、取得・売却に係る一時的な報酬が減少したこと等から、売上高は1,104百万円(前期比67.9%増)、営業利益は197百万円(前期比40.0%減)となりました。
(投資銀行事業)
投資銀行事業につきましては、賃貸不動産ポートフォリオの拡充が進み賃貸収益が増加したこと、物件の売却額、売却利益ともに増加したこと等から、売上高は25,392百万円(前期比69.9%増)、営業利益は5,689百万円(前期比84.7%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
①生産実績
当社グループで行う事業につきましては、生産実績を定義することが困難であるため、当該記載を省略しております。
②仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年12月1日 至 2021年11月30日) |
前年同期比(%) |
投資銀行事業(千円) |
19,191,212 |
131.7 |
その他(千円) |
86,020 |
119.3 |
合計(千円) |
19,277,232 |
131.7 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.投資運用事業については、仕入実績がないため、記載を省略しております。
③受注実績
当社グループは、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。
④販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2020年12月1日 至 2021年11月30日) |
前年同期比(%) |
投資運用事業(千円) |
1,026,708 |
186.6 |
投資銀行事業(千円) |
25,392,891 |
169.9 |
その他(千円) |
265,875 |
181.1 |
合計(千円) |
26,685,474 |
170.6 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2019年12月1日 至 2020年11月30日) |
当連結会計年度 (自 2020年12月1日 至 2021年11月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
個人B |
4,000,000 |
25.6 |
- |
- |
㈱相鉄アーバンクリエイツ |
2,700,000 |
17.3 |
- |
- |
エムエル・エステート株式会社 |
- |
- |
4,455,000 |
16.7 |
A社 |
- |
- |
3,844,233 |
14.4 |
学校法人Adachi学園 |
- |
- |
3,706,467 |
13.9 |
エヌ・ティ・ティ都市開発株式会社 |
- |
- |
2,777,000 |
10.4 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.個人Bとの間で守秘義務契約を負っているため、顧客名の公表は控えさせていただきます。
5.A社との間で守秘義務契約を負っているため、社名の公表は控えさせていただきます。
(2)財政状態の状況
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産につきましては、前連結会計年度末に比べ9,219百万円減少し、62,655百万円となりました。
これは主に、保有目的の変更に伴い販売用不動産の一部を固定資産に振り替えたこと等から販売用不動産(賃貸不動産)が11,296百万円減少したこと等によるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産につきましては、前連結会計年度末に比べ18,009百万円増加し、19,896百万円となりました。
これは主に、保有目的の変更に伴い販売用不動産の一部を固定資産に振り替えたこと等から有形固定資産が17,545百万円増加したこと等によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2,860百万円増加し、8,870百万円となりました。
これは主に、短期借入金が1,454百万円増加したこと等によるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債につきましては、前連結会計年度末に比べ3,449百万円増加し、52,871百万円となりました。
これは主に、ノンリコース長期借入金が2,837百万円増加したこと、長期借入金が1,066百万円増加したこと等によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ2,479百万円増加し、20,809百万円となりました。
これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が2,457百万円増加したこと等によるものであります。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ4,565百万円増加し、10,767百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果増加した資金は、301百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,378百万円の計上、減価償却費828百万円の計上、販売用不動産(賃貸不動産)等の取得によるたな卸資産の増加額4,387百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果減少した資金は、399百万円となりました。これは主に、定期預金の預入による支出224百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出188百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果増加した資金は、4,752百万円となりました。これは主に、長期借入れによる収入14,064百万円、長期借入金の返済による支出13,251百万円、ノンリコース長期借入れによる収入3,654百万円等によるものであります。
(4)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
①経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、26,685百万円(前期比70.6%増)となりました。セグメント別では、投資運用事業は不動産管理・運営に係る報酬が増加したこと、投資銀行事業は賃貸不動産ポートフォリオの拡充が進み賃貸収益及び物件売却額が増加したこと等から前期比増加いたしました。経営成績の状況につきましては「3.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績の状況」に記載しております。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、賃貸不動産等の売却原価の増加等により19,844百万円(前期比74.9%増)となりました。
売上総利益は賃貸不動産等の売却利益の増加等により6,840百万円(前期比59.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、人件費の増加等から1,900百万円(前期比8.4%増)となりました。
営業利益は、前述の通り売上総利益が増加したこと等から4,940百万円(前期比94.4%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、デリバティブ評価益の計上等から85百万円(前期比559.0%増)となり、営業外費用は支払手数料の減少等から645百万円(前期比12.5%減)となりました。
経常利益は、前述の営業利益の増加や営業外損益の結果から4,379百万円(前期比141.1%増)となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における法人税、住民税及び事業税は1,802百万円となりました。また、当連結会計年度における法人税等調整額が△213百万円を計上しました。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、2,795百万円(前期比20.9%増)となりました。
②財政状態の分析
財政状態の分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)財政状態の状況」をご参照ください。
③キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(3)キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④資本の財源及び資金の流動性について
当社グループの資金需要のうち主なものは、投資銀行事業における販売用不動産(賃貸不動産)の取得資金でありますが、その財源は、株主資本及び金融機関から調達した借入金であります。当社グループは、販売用不動産(賃貸不動産)の取得にあたり、借入資金を最大限活用することにより資本効率を高めておりますが、一方で、財務リスクが高まることとなります。
これに対し、当社グループは、返済期限が超長期の借入れにより返済リスクを軽減するとともに、金利スワップ取引を用いて支払金利の一部固定化を行い、金利変動リスクを軽減しております。
なお、当連結会計年度末における借入金の残高は53,149百万円、株主資本は20,669百万円、自己資本比率25.1%、現金及び現金同等物の残高は10,767百万円となっております。
⑤重要な会計上の見積及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択及び適用を行い、決算日における資産、負債、収益及び費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
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