課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「最高のプロフェッショナルであり続ける」という企業理念に基づいて、「クライアントファースト」、「パフォーマンスファースト」、「コンプライアンスファースト」を行動規範とし、顧客の価値観を尊重し、地域との共生を図りながら、顧客に満足度の高いサービスを提供することを目指しております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社グループは、売上総利益、経常利益及び株主資本を重要な経営指標と捉え、これらを中長期的に成長させていくことを基本的な考え方としております。

 

(3)経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

①投資運用事業について
 当社グループは、投資運用事業において、顧客である機関投資家に対し、私募ファンドの形式で主として不動産又は不動産信託受益権に対する投資機会を提供する資産運用(アセットマネジメント)事業を行っております。一般的に、資産運用会社の規模は、その運用資産の残高で評価されるものであり、また、資産運用の対価として定期的に得られる管理報酬は、通常は運用資産の額によってその金額が決まるものであるため、資産運用会社は、運用資産残高を積み上げる方向にインセンティブが働く可能性があります。しかしながら、当社グループでは、上記の企業理念と行動規範のもと、顧客の満足を第一に考える投資サービスの提供を最重要視しており、最も利益の出るタイミングにおいて投資案件の売買を行うことこそが資産運用会社の使命であり、自らの運用資産残高にこだわるあまり、顧客の投資案件の売却機会を逃すようなことは決してあってはならないと考え行動しております。このため、不動産売買市況の変動等にあわせ、当社グループの運用資産残高も大きく変動し、運用資産残高が減少している時期においては、資産運用の対価として得られる各種フィーが減少し、投資運用事業の業績が縮小いたします。

 このように、当社グループは、中長期的に見れば、顧客にとって望ましい行動を繰り返すことにより、顧客からの信頼が増大し、当社グループのブランド力が高まり、ひいては当社グループの成長にもつながるものと考えております。したがって、今後も、当社グループは、運用資産残高を経営上の目標指標とせず、顧客の満足を第一に考える投資サービスを提供する方針を維持いたします。

 

②投資銀行事業について

 当社グループは、投資銀行事業において、自己資金により、中長期的に安定収益を見込むことができる優良な賃貸不動産の取得を積極的に行っており、複数物件からなるポートフォリオとしてこれを拡充しております。
 ポートフォリオの個々の賃貸不動産は主として市場流通数が多い中小型案件から厳選投資し、安定収益を享受しつつその価値を向上させる施策を行いながら保有する他、新規の開発も行っております。また、ポートフォリオ入れ替えの観点から賃貸不動産の一部を売却し、その価値向上施策により得られた含み益を実現することで相応の売却利益の獲得を目指しております。
 当社グループは、賃貸不動産ポートフォリオの拡充を成長戦略の柱と位置づけ、積極的に推進する方針であります。

 

③新型コロナウイルス感染症について

 不動産売買市場におきましては、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動が停滞する中にあっても、低水準にある資金調達コストを背景に、国内外の投資家の投資意欲は旺盛であり、底堅い状態が継続しております。また、当社グループが投資対象とする賃貸不動産の賃貸市場におきましても、値崩れは見られず比較的安定しているといえる状況であり、経営方針及び経営戦略の変更は行っておりません。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の終息が見通せない中、依然として先行きは不透明であり、引き続き留意する必要があります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により先行き不透明な状況が続いています。このような状況下、当社グループでは、特に下記を重点課題として取り組んでいます。

 

①賃貸不動産ポートフォリオの拡充について
 当社グループは、中長期的に安定した収益が見込める賃貸不動産を厳選して取得し、これらを積み上げることで数多くの賃貸不動産をポートフォリオとして保有運用しております。個々の賃貸不動産は、その潜在力が発揮できるよう様々な手法を駆使してバリューアップを行い、また、所在する地域の発展に資する場合等には新規の開発も行っております。賃貸不動産ポートフォリオは適宜入れ替えを実施し、バリューアップ等によって得られた含み益を顕在化させつつ、新たな賃貸不動産の取得原資に活用することでポートフォリオ全体を持続的に拡大・成長させております。
 当社グループは、長期的かつ持続的な企業成長を続けていくためには、時代の変化を見据え、経済情勢や金融情勢の動向にも留意しつつ地域との共生を図りながら、より柔軟な発想でこれらの業務に取り組んでいく必要があると考えております。

 

②事業領域の拡大について
 当社グループはこれまで、オルタナティブ投資分野において主として不動産又は不動産信託受益権を対象として投資・運用事業を展開してまいりました。しかし、今後のグループ全体の更なる発展に向けては、これまでの事業領域から、当社グループの強みを活かせる他の分野へと事業の対象を広げていく必要があると認識しております。
 これまでに培ってきた当社グループの強みとして、資産のオフバランス化や流動化、証券化手法の知識経験はもとより、不動産投資の目利きやバリューアップの実績、これらの活動を通じて築いた顧客や金融機関等関係各社からの信頼、幅広い営業チャネル等が挙げられます。当社グループは、こういった事業プラットフォームを活用し、時代背景や顧客ニーズに合わせ、既に再生可能エネルギー分野への投資や、スタートアップ企業への投資などの投資活動、さらには、事業再生支援やM&Aに係る助言等を含む各種コーポレートアドバイザリーサービスの提供を行っております。また、社会価値の創造の取り組みのひとつとして、前期において宿泊運営会社を立ち上げ、宿泊等のホスピタリティサービス事業を本格的に開始いたしました。

 これらは、中長期的には事業ポートフォリオの一翼を担う存在となると考えております。
 

 

③優秀な人材の確保と社内育成、流出の防止について
 当社グループの顧客に対する投資サービスの提供及び自己勘定投資は、オルタナティブ投資やファイナンスにかかる専門的知識はもとより、豊富な業務経験やノウハウの裏付けがあって初めて実現するものであります。当社グループには、弁護士や公認会計士、不動産鑑定士、一級建築士といった専門性の高い人材や、日本における不動産証券化ビジネスの黎明期から当該分野で活躍してきた経験豊富な人材が多数所属しており、当社グループの業務において中心的な役割を担う優秀な人材の厚みは、現在の当社グループの大きな強みであると考えております。
 今後も、継続的に質の高いサービスの提供及び自己勘定投資による利益成長を実現していくために、引き続き十分な経験を積んだ専門性の高い人材を確保するとともに、新規事業分野を中心に有望な若手を含め成長意欲の高い人材を積極的に採用し、社内において教育を行うことにより、優秀な人材を育成していくことが当社グループの重要な課題であると認識しております。また、当社グループが属する業界は比較的人材の流動性の高い業界ではありますが、従業員のモチベーションを高めるような人事制度や働きやすい職場環境を整備する等、人材の外部流出を最小限に留める工夫も継続して行ってまいります。

 

④新型コロナウイルス感染症の感染拡大への影響
 新型コロナウイルス感染症の拡大規模や終息時期は依然として不透明であり、今後のさらなる感染拡大や長期化等により、特に宿泊事業を含めた当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。当社グループは、感染防止策を徹底し、新型コロナウイルスの影響を注視しつつも、安定的な事業継続に努めます。

 

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