業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は以下のとおりであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による影響が長期化する中、ワクチンの普及や政府による経済対策の効果により、経済活動は緩やかに持ち直しの動きが続きました。しかしながら、変異株による感染リスクの再拡大、ウクライナ危機の発生による市況価格の更なる高騰、急激な円安の進行やインフレ懸念の高まりなどから、先行きは依然として不透明な状況であります。

 このような状況の中、当社は、「セルフストレージ(トランクルーム)業界のプラットフォーム」として、ビジネスソリューションサービス(セルフストレージ事業者向け賃料債務保証付きBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)・ITソリューションサービス等)の受託伸長とセルフストレージ施設の開発・販売及び運営施設のリーシング推進(ターンキーソリューションサービス)に向けた活動を進めてまいりました。

 当事業年度におきましては、セルフストレージ(トランクルーム)のサービス認知度、セルフストレージ運営者の業務効率化・省人化ニーズ、不動産会社等異業種によるセルフストレージビジネス参入機会などの高まりを背景に、賃料滞納保証付きBPOの新規利用件数が前期比1割増の約31,616件、WEB上でセルフストレージ利用予約決済や在庫管理を実施できるITツール「クラリス」の導入室数が65,000室超となるなど、ビジネスソリューションサービスの受託は堅調に推移しました。

 また、セルフストレージ施設の開発投資事業量は前事業年度に比べ減少となりましたが、新たにパイプライン契約を締結したシンガポール大手のセルフストレージ企業StorHubグループの投資会社や、国内セルフストレージ事業者に「Keep it」等のセルフストレージ施設4棟を販売いたしました。

 以上の結果、当事業年度の売上高は2,778,169千円(前事業年度比23.6%減)、営業利益は7,085千円(同94.7%減)、経常利益は1,053千円(同99.1%減)、当期純利益は29,492千円(同63.5%減)となりました。

 

 なおセグメントの経営成績は以下のとおりであります。

 

(ビジネスソリューションサービス)

 既存顧客のセルフストレージ事業者からの堅調な申込や異業種からの起業者も含め新規提携も進展し、賃料滞納保証・管理、収納代行、契約受付代行等のBPOサービスやWEB予約決済・在庫管理システム「クラリス」の受託が伸長、当事業年度末時点の主力サービスの賃料債務保証付きBPOサービス受託残高は103,514件(前事業年度比9.3%増)当事業年度の新規契約件数は31,616件(前事業年度比10.2%増)となりました。

 以上の結果、売上高は1,082,133千円(前事業年度比8.7%増)、営業利益は388,667千円(前事業年度比8.6%増)となりました。

 

(ターンキーソリューションサービス)

 当事業年度は、「大田区雪谷」・「江戸川区松江」など4棟のセルフストレージ施設を開発販売いたしました。賃貸運営面においては、過年度販売物件の賃料借り上げ額増加等の影響により支出先行の収支となっておりますが、施設ごとの利用動向・反響を反映した弾力的な賃料設定や広告施策・集客オペレーションの見直し、収納物運搬サポート等のオプションサービスの導入等を推進したことにより、下半期より前事業年度を上回るペースでの新規利用者の獲得が進みました。

 以上の結果、売上高は1,696,036千円(前事業年度比35.8%減)、営業損失は223,247千円(前事業年度は22,594千円の営業損失)となりました。

 

 総資産は、前事業年度末に比べ668,860千円減少し、3,632,399千円となりました。主な要因はセルフストレージ施設の売却により販売用不動産等が986,439千円減少したこと、および販売用不動産の販売による収入が借入金の返済等の支出を上回った結果、現金及び預金が298,699千円増加したことによるものであります。

 負債は、前事業年度末に比べ677,966千円減少し、1,443,150千円となりました。主な要因は、借入金返済による減少641,875千円によるものであります。

 純資産は、前事業年度末に比べ9,105千円増加し、2,189,249千円となりました。これは主に新株予約権行使による資本金の増加3,149千円、資本準備金の増加3,149千円、剰余金の配当26,610千円、及び当期純利益が29,492千円計上されたことによるものであります。

 

②キャッシュ・フローの状況

 当事業年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果獲得した資金は907,649千円(前年同期に獲得した資金は246,955千円)となりました。これは主に税引前当期純利益29,199千円、棚卸資産の減少986,439千円があった一方で、求償債権の増加50,261千円、未払金の減少39,900千円、法人税等の支払額47,222千円があったことによるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果獲得した資金は53,274千円(前年同期に使用した資金は27,149千円)となりました。これは主に関係会社株式の売却による収入57,260千円があった一方で、固定資産の取得による支出12,131千円があったことによるものです。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は662,226千円(前年同期に使用した資金は808,969千円)となりました。これは株式の発行による収入6,298千円、長期借入れによる収入597,800千円があった一方で、配当金の支払額26,609千円、短期借入金の純減額120,000千円、長期借入金の返済による支出1,119,675千円があったことによるものです。

 

 以上の結果、当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて298,698千円増加して2,976,831千円となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社の事業は、セルフストレージに関連したサービスの提供であり、提供するサービスには生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b.受注実績

 当社は、受注生産を行っていないため、受注実績の記載はしておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

サービスの名称

当事業年度

(自 2021年10月1日

    至 2022年9月30日)

前期比

ビジネスソリューションサービス

1,082,133千円

8.7%

ターンキーソリューションサービス

1,696,036

△35.8

合 計

2,778,169

△23.6

 

 

2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2020年10月1日

    至 2021年9月30日)

当事業年度

(自 2021年10月1日

    至 2022年9月30日)

金額(千円)

割合

(%)

金額(千円)

割合

(%)

株式会社イエローハット

643,700

17.7

有限会社やまほん

(他 個人2名)

617,580

17.0

スターアセットコンサルティング株式会社

494,500

13.6

BlueWood株式会社

371,000

10.2

ルートエス・ジェイ合同会社

585,000

21.1

ハウジング・ジャパン株式会社

305,000

11.0

  (注)総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①経営成績の分析

(売上高)

 当事業年度における売上高は2,778,169千円(前事業年度比23.6%減)となりました。ビジネスソリューションサービスの取扱件数が堅調に推移した一方で、ターンキーソリューションサービスによる売上高が前事業年度に比して売却件数が減少したことにより、前事業年度と比較して、減収となりました。

(売上総利益)

 当事業年度における売上総利益は717,359千円(前事業年度比26.2%減)となりました。ビジネスソリューションサービスは堅調な売上増加となりましたが、ターンキーソリューションサービスの売上総利益は前事業年度と比較して、減益となりました。

(営業利益)

 当事業年度における営業利益は、セールスプロモーションの見直しにより広告活動費が圧縮や支払手数料等の減少により、販売費及び一般管理費は前事業年度と比べ減少し710,273千円(前事業年度比15.2%減)となりましたが、営業利益は7,085千円(前事業年度比94.7%減)となりました。

なお、売上高営業利益率は、前事業年度と比較して、3.4ポイント減少の0.3%となりました。

(経常利益)

 当事業年度における経常利益は、営業外収益12,281千円、営業外費用は借入利息等を計上し18,313千円となった結果1,053千円(前事業年度比99.1%減)となりました。

(税引前当期純利益)

 当事業年度における税引前当期純利益は、特別利益で関係会社株式売却益を30,060千円計上し、特別損失で固定資産除却損を1,913千円計上した結果29,199千円(前事業年度比75.5%減)となりました。

(当期純利益)

 当事業年度における当期純利益は、法人税、住民税及び事業税9,451千円、法人税等調整額△9,743千円を計上した結果、29,492千円(前事業年度比63.5%減)となりました。

(自己資本利益率)

 自己資本利益率は、前事業年度と比較して、2.4ポイント減少の1.4%となりました。

 

②財政状態の分析

(流動資産)

 当事業年度における流動資産の残高は、前事業年度末と比べて643,485千円減少し、3,414,829千円(前事業年度末比15.9%減)となりました。これは主にセルフストレージ施設の売却により販売用不動産等が986,439千円減少したこと、および販売用不動産の販売による収入が借入金の返済等の支出を上回った結果、現金及び預金が298,699千円増加したことによるものであります。

 

(固定資産)

 当事業年度における固定資産の残高は、前事業年度末と比べて25,375千円減少し、217,569千円(前事業年度末比10.4%減)となりました。これは主に関係会社株式の売却による減少27,200千円によるものであります。

(流動負債)

 当事業年度における流動負債の残高は、前事業年度末と比べて519,762千円減少し、844,205千円(前事業年度末比38.1%減)となりました。これは主に借入金の減少483,671千円、未払金の減少39,900千円、未払法人税等の減少33,253千円によるものであります。

(固定負債)

 当事業年度における固定負債の残高は、前事業年度末と比べて158,204千円減少し、598,945千円(前事業年度末比20.9%減)となりました。これは長期借入金の減少158,204千円によるものであります。

(純資産)

 当事業年度における純資産の残高は、前事業年度末と比べて9,105千円増加し、2,189,249千円(前事業年度

末比0.4%増)となりました。これは主に新株予約権行使による資本金の増加3,149千円、資本準備金の増加

3,149千円、剰余金の配当26,610千円、及び当期純利益が29,492千円計上されたことによるものであります。

 なお、自己資本比率につきましては前事業年度末より9.5ポイント増加し60.2%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べて298,698千円増加して2,976,831千円となりました。前事業年度に引続き、当事業年度についても販売予定のセルフストレージ売却が進み、棚卸資産が減少した結果、営業活動によるキャッシュ・フローがプラスとなり、十分な手元流動性を確保できました。

 当社は、持続的な企業価値の向上とそれを通じた株主還元の向上を実現するために、資本効率を向上させつつ、財務の健全性・柔軟性も確保された最適な資本構成を維持・追求することを基本方針としております。

 当社の主な所要資金は、ターンキーソリューションサービスにて取り組むセルフストレージ施設の開発用地取得・施設建築や、経常の運転資金であり、これら所要資金については、適宜、自己資金及び銀行からの借入により調達しております。

 なお、当事業年度末において借入金の残高は1,124,049千円、現金及び預金3,016,837千円を保有しており、必要な資金は確保されていると認識しております。更に11行の金融機関との間に当座借越契約を締結していることにより、急な資金需要や不測の事態にも備えております。

 

④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しております。

 また、新型コロナウイルス感染症の影響については、⑤翌事業年度(2023年9月期)の見通し及び「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。

 

⑤翌事業年度(2023年9月期)の見通し

 2023年9月期の見通しにつきましては、新型コロナウイルスの感染状況が緩やかに収束し、経済の正常化が進む中、地政学的リスクの増大、資源需給のひっ迫、円安の進行等、外部環境変動による日本経済の先行きについては不確実性が増大しており、セルフストレージ・不動産関連業界を主要な事業ドメインとする当社の事業推進や業績への短期的影響は軽微と考えておりますが、引き続き状況を注視してまいります。

 このような経済状況の中、サービス認知度の向上を背景に、生活・就業形態が変化する中でのインフラの一つとして、不動産有効活用・用途転用先としてのセルフストレージの活用促進の流れは今後もさらに増加することが見込まれるとともに、投資対象資産としてのセルフストレージ物件に対する興味は利用需要の拡大による投資収益顕在化の進展や、投資先開拓意欲の拡大傾向と相まって、国内・海外のさまざまな投資家層から引き続き期待できるものと見込んでおります。

 さらに、セルフストレージ業界も含めた国内産業において年々大きな課題となっている人材確保・生産性向上を目的とした、業務の抜本的見直しやノンコアの業務の省力化ニーズも一層拡大していくものと想定しております。

 2023年9月期は、上記のような想定される事業環境や市場の変化を着実に捉え、各事業の更なる成長を目指してまいります。

 ビジネスソリューションサービスは、既存顧客事業者や、業務プロセスの外部委託ニーズや他社サービスからの切り替えによる当社サービスの新規導入需要など、セルフストレージ事業者向け滞納保証付きBPOサービスや、空室検索・在庫管理・オンライン決済システム等の堅調な受託伸長を見込んでおります。さらに、セルフストレージ新規事業者創出・事業参入支援サービスの拡販や、滞納保証・管理、収納代行などの基幹サービスの異 業種向けサービス展開を推進、事業領域・収益源の拡大も強化してまいります。

 ターンキーソリューションサービスは、シンガポール大手セルフストレージ企業グループとのパイプライン契約締結や、国内大手セルフストレージ企業のストレージ王との業務提携など、協業体制の強化により、施設開発投資機会の多様化・物件供給チャネルの拡大が期待できます。この事業基盤を活かし、施設開発投資事業量の拡大、運営施設の賃貸力向上に向けた効果的なマーケティング施策の開発やユーザビリティの向上を加速化することにより、事業者・利用者・投資家層の満足度をさらに高め、セルフストレージ市場の拡大に寄与してまいります。

 2023年9月期の見通しといたしましては、売上高4,097百万円、営業利益174百万円、経常利益150百万円、当期純利益90百万円を見込んでおります。

 今後新型コロナウイルス感染症の再拡大もしくは長期化により、先行き不透明な経済環境や雇用環境等が長期化した場合、消費・投資の減退を起因としたセルフストレージ利用・投資の低迷の可能性や施設開発の長期化などの可能性が想定されますが、これらの影響については、有価証券報告書提出日時点で入手可能な情報をもとに判断しておりますが、新型コロナウイルス感染症に起因する重大な影響は顕在化しておりません。引き続き当社への影響を慎重に見極め、今後、2023年9月期の業績見通しに修正の必要が生じた場合は速やかに公表いたします。

 

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