(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響が長期にわたる中、ワクチン接種率の向上などにより感染者数は大幅に減少し、段階的に経済活動再開の兆しが見られましたが、足元では新たな変異株の出現や、ウクライナ問題の激化・長期化により、景気の先行きには依然として不透明感が漂っております。
当社の属する不動産業界におきましては、「ウッドショック」と呼ばれる世界的な木材需給の逼迫による価格高騰や供給不足の長期化懸念、住宅設備機器等のサプライチェーンの混乱、良質な事業用地を巡る競争の激化、職人の高齢化、新型コロナウイルス感染症の拡大による消費マインドや雇用・所得環境への影響などネガティブ要因はあるものの、低金利融資の継続や住宅取得に係る税制優遇策、在宅勤務の浸透など、ライフスタイルの多様化による消費者の住宅に対する関心の高まりが追い風となり、住宅需要は前事業年度に引き続き堅調に推移いたしました。
このような事業環境のもと、当社は引き続き良質な事業用地の取得に注力するとともに、自社設計・自社施工管理によるデザイン性・機能性に優れた戸建住宅の供給に努め、お客様に対する商品訴求力の更なる強化を目的に、SNSを積極的に活用するなど自社販売手法のブラッシュアップに努めてまいりました。
また、2021年4月に、たまプラーザ支店(神奈川県横浜市青葉区)を東京都世田谷区へ移転し、「自由が丘支店」として新たに営業を開始いたしました。既存の神奈川エリアでの業容を保持しつつ、本格的に東京都城南エリアに進出することにより、戸建販売事業の更なる拡大と併せてアセットソリューション事業の情報収集に寄与することを企図しております。
これにより、コア事業である戸建販売事業は新宿本店、吉祥寺支店、東京支店、自由が丘支店の4拠点体制となりました。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高23,763,786千円(前年同期比16.0%増)、売上総利益4,067,950千円(同34.5%増)、営業利益2,252,117千円(同72.5%増)、経常利益2,040,363千円(同79.4%増)、当期純利益1,411,695千円(同80.2%増)と、売上高・各段階利益ともに過去最高値を更新いたしました。
セグメント別の業績を示しますと、次のとおりであります。
なお、当事業年度より報告セグメントを従来の単一セグメントから「戸建販売事業」と「アセットソリューション事業」の2区分に変更しております。以下の前年同期比較につきましては、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組替えた数値で表示しております。
(戸建販売事業)
戸建販売事業においては、自社ブランドである「アグレシオ・シリーズ」を中心に戸建住宅343棟、戸建用地20区画、その他6棟(注文住宅4棟・法人建築請負2棟)の引渡しなどにより、売上高22,662,183千円(前年同期比15.5%増)、経常利益2,535,732千円(同48.0%増)を計上いたしました。
なお、内容別の引渡件数・売上高は以下のとおりであります。
(アセットソリューション事業)
アセットソリューション事業においては、投資家向け収益マンション1棟、マンション等の建設を目的とする事業用地4区画の引渡しなどにより、売上高1,101,603千円(前年同期比27.6%増)、経常利益108,842千円(同468.6%増)を計上いたしました。
なお、内容別の引渡件数・売上高は以下のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比較して1,447,958千円増加し、6,012,610千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における営業活動によるキャッシュ・フローは1,645,160千円の資金の減少(前年同期は2,013,304千円の資金の増加)となりました。これは主に、税引前当期純利益2,040,363千円を計上した一方、事業用地の仕入れの進捗に伴い棚卸資産が3,966,760千円増加したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における投資活動によるキャッシュ・フローは64,490千円の資金の減少(前年同期は9,064千円の資金の増加)となりました。これは主に、2023年3月期に予定している事務所移転に係る敷金保証金の返還に伴う収入46,268千円、及び敷金保証金の差入による支出102,847千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度末における財務活動によるキャッシュ・フローは3,157,609千円の資金の増加(前年同期は140,762千円の資金の増加)となりました。これは主に、長期借入れによる収入が11,151,500千円あった一方、長期借入金の返済による支出が8,005,575千円あったことによるものであります。
当社の運転資金需要のうち、主なものは戸建住宅の分譲用地の取得資金のほか、土地の造成や建築等の製造原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等によるものであります。
当社は、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は12,060,026千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は6,012,610千円となっております。
a 生産実績
当事業年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)の生産実績は次のとおりであります。
(注)当事業年度中に完成した物件の販売価格をもって生産高としております。
b 受注実績
当事業年度(自 2021年4月1日至 2022年3月31日)の受注実績は次のとおりであります。
c 販売実績
当事業年度(自 2021年4月1日 至 2022年3月31日)の販売実績は次のとおりであります。
(注)主たる販売先は不特定多数の一般消費者であり、相手先別販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
当社の当事業年度の事業全体及びセグメントごとの経営成績につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであり、経営者の視点によるこれらの経営成績等に関する知識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、当社のセグメントは、「第5.経理の状況 1.財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 セグメント情報」に記載のとおり、「戸建販売事業」「アセットソリューション事業」の2つを報告セグメントとしており、セグメントごとの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりです。
(i)戸建販売事業
戸建販売事業は、当社の主力事業であり、成長戦略の骨子は東京都心の希少エリアへの供給注力と千葉・埼玉を含む国道16号沿線へのエリア拡大であり、当事業年度は東京23区を中心に分譲棟数を拡大いたしました。2020年9月に開設した新宿本店、吉祥寺支店、自由が丘支店、東京支店の計4拠点にて戸建住宅を供給しておりますが、YouTubeやInstagramといったSNSや、オウンドメディアでの有益な投稿やメルマガ会員への物件情報の優先配信などを積極的に行うことで広告宣伝費を圧縮を図り、また、これまでの以上に拠点内・他拠点間の情報共有を図ってまいりました。
以上の結果、売上高は22,662,183千円(前年同期比3,040,306千円増)、引渡し件数は戸建分譲343棟(同21棟増)・土地分譲20区画(同1区画減)、その他6件(同5件減)、セグメント利益は2,535,732千円(同822,435千円増)となりました。
なお、戸建販売事業における戸建住宅の平均単価は59,254千円(前年同期比54,635千円)であります。
(ⅱ)アセットソリューション事業
アセットソリューション事業は、主に都心部において希少エリアでの投資用収益マンションの建設・販売を行う事業であります。当事業は2021年4月に都心部における戸建販売事業以外の不動産ニーズへの対応を企図して新設しましたが、これまでマンション等事業用地の販売に留まっていましたが、当事業年度において初となる渋谷区代々木に収益マンションの建設・販売を行い、引渡しをしました。
以上の結果、売上高は1,101,603千円(前年同期比238,096千円増)、引渡し棟数は収益マンション1棟(同1棟増)・マンション等事業用地4区画(前年同4区画)、セグメント利益は108,842千円(同89,701千円増)となりました。
(財政状態)
当事業年度における総資産は19,491,581千円となり、前事業年度末と比較して5,531,864千円・39.6%増加いたしました。
流動資産は19,197,585千円となり、前事業年度末と比較して5,470,849千円・39.9%増加いたしました。これは主に、事業用地の仕入れの進捗に伴い棚卸資産が3,966,760千円、現金及び預金が1,441,258千円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は293,995千円となり、前事業年度末と比較して61,014千円・26.2%増加いたしました。これは主に、差入敷金保証金が48,951千円、繰延税金資産が18,414千円それぞれ増加したことによるものであります。
流動負債は9,469,257千円となり、前事業年度末と比較して4,361,336千円・85.4%増加いたしました。これは主に、事業用地の仕入れが順調に推移したことにより1年内返済予定の長期借入金が3,045,728千円、造成工事や建築工事の進捗により工事未払金が779,311千円、短期借入金が417,190千円それぞれ増加した他、業績の伸長により未払法人税等が203,797千円増加したことによるものであります。
固定負債は5,316,695千円となり、前事業年度末と比較して13,774千円・0.3%減少とほぼ横這いで推移いたしました。
純資産は4,705,628千円となり、前事業年度末に比べ1,184,301千円・33.6%増加いたしました。これは主に、前事業年度末日を基準日とする剰余金の配当239,439千円を実施した一方、当期純利益1,411,695千円を計上したことによるものであります。
以上の結果、自己資本比率は、前事業年度末の25.2%から24.1%となりました。
なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
また、当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
② 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告金額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響は「第5 経理の状況 1 財務諸表等(1)財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
お知らせ