業績

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(経営成績等の状況の概要)

(1) 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、2020年から続く新型コロナウイルス感染症の拡大が依然として収まらず、国内の経済は厳しい状況が続きました。新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、経済活動回復の兆しが見え始めたものの、感染再拡大の懸念もあり、依然として先行きは不透明な状況にあります。

 当社グループの主力取引先である飲食業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の収束が見えず、政府・自治体による緊急事態宣言やまん延防止等重点措置によって、飲食店舗の休業及び営業時間短縮要請、さらに酒類提供自粛要請が断続的に続いており、来店客数の落ち込みが戻らないなど、全体として売上高が減少し、先行きの見通せない厳しい状況が続きました。一方で、新型コロナウイルスの蔓延により、消費者のテイクアウト・デリバリーの需要が高まっていることや、それを受けた飲食店の新規出店におけるベッドタウン立地のニーズが上昇するなど、国内飲食店の業態や立地のトレンドが大きく変化しており、飲食業界においてもニューノーマルに対応した事業構造の転換が進んでおります。

 そのような状況下、当社グループは、国内の飲食店をはじめとするサービス業の成長をサポートすることを第一に、「夢をカタチに!和食を世界に!」という企業スローガンを掲げ、新型コロナウイルス感染症が収束したのち、日本国内の和食文化を世界の様々な地域へ輸出する架け橋となれるよう努めてまいりました。主な取り組みとしては、国内物件情報サポートなどのストックビジネスの安定化を図るため、営業体制基盤の再構築を行い、人材の採用、育成、環境の整備に注力してまいりました。また、飲食業界のニューノーマルに対応すべく、当社直営店「名代 宇奈とと」のライセンス販売を促進してまいりました。

その結果、当連結会計年度の売上高は3,641,946千円(前連結会計年度比8.1%減)、営業損失は9,971千円(前連結会計年度は営業損失9,664千円)、経常損失は14,221千円(前連結会計年度は経常損失12,204千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は292,941千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失229,076千円)となりました。

 


 セグメントの業績は次のとおりであります。

 ① 経営サポート事業

当連結会計年度においては、飲食店への助成金の継続で飲食店の出退店が停滞し、物件情報サポート及び内装設備サポートの新規案件の獲得が伸び悩みました。一方で、「名代 宇奈とと」のライセンス加盟店数は堅調に増加傾向であり、ライセンス収入の増加が増益に貢献しました。

その結果、当セグメントの売上高は2,030,069千円(前連結会計年度比0.0%増)、営業利益は285,701千円(前連結会計年度比12.2%増)となりました。


  ② 飲食事業

当連結会計年度においては、当社グループが展開する「名代 宇奈とと」においては、政府・自治体の要請を受けて休業及び営業時間の短縮等の対応をとったことで来店客数は低い水準で推移しました。一方で、強化を進めてきたデリバリー・テイクアウトへの対応が寄与し、売上高を下支えしました。また、「名代 宇奈とと」のライセンス加盟店は全国への展開を続けており、ロイヤリティ収入及び食材卸売上が増加しました。

株式会社M.I.Tにおいても、政府・自治体の要請を受けて、臨時休業及び営業時間の短縮、さらに酒類提供自粛の対応をとったことで来店客数は低い水準で推移し、客単価も低下しました。

 その結果、当セグメントの売上高は 1,611,877 千円(前連結会計年度比16.7%減)、営業利益は 20,494 千円(前連結会計年度比55.7%減)となりました。

 

 

(2) 財政状態の状況

 ① 資産の部

当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末より544,008千円増加して4,672,117千円となりました。これは主に、リース投資資産が65,958千円、のれんが54,080千円減少した一方で、現金及び預金が395,300千円、売掛金49,377千円、建設仮勘定130,103千円、差入保証金が46,836千円増加したことによるものであります。

 ② 負債の部

当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末より414,319千円増加して3,130,963千円となりました。これは主に、流動負債のその他が44,335千円減少した一方で、1年内返済予定の長期借入金が71,976千円、未払法人税等が155,739千円、長期借入金が78,595千円、長期預り保証金が69,410千円、長期前受収益が79,952千円増加したことによるものであります。

 ③ 純資産の部

当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末より129,668千円増加して1,541,154千円となりました。これは主に、資本剰余金が44,862千円、非支配株主持分が149,563千円減少した一方で、利益剰余金が292,941千円、為替換算調整勘定が29,444千円増加したことによるものであります。

 

(3) キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ 430,950 千円増加し、 2,237,987 千円となりました。

  当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。


 (営業活動におけるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は、543,511千円(前連結会計年度は224,219千円の収入)となりました。この内訳は主に、税金等調整前当期純利益444,335千円、減価償却費94,198千円、のれん償却額54,080千円、売上債権の増加額49,328千円、経営サポート事業におけるリース投資資産の減少額65,904千円、未払金の減少額51,526千円、長期前受収益の減少額44,431千円であります。


 (投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は、35,023千円(前連結会計年度は33,055千円の支出)となりました。この内訳は主に、有形固定資産の取得による支出259,250千円、差入保証金の差入による支出113,171千円、差入保証金の回収による収入59,499千円、経営サポート事業における長期預り保証金の返還による支出89,093千円、長期預り保証金の受入による収入305,374千円であります。


 (財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は、98,118千円(前連結会計年度は563,493千円の収入)となりました。この内訳は、金融機関からの長期借入れによる収入320,000千円、長期借入金の返済による支出169,429千円、長期未払金の返済による支出48,239千円、連結範囲の変更を伴わない子会社株式の取得による支出198,617千円であります。

 

 

(生産、受注及び販売の状況)

(1) 仕入実績

当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

仕入高(千円)

前年同期比(%)

経営サポート事業

1,541,561

△0.5

飲食事業

504,649

△17.2

合計

2,046,211

△5.2

 

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。

  2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 受注実績

  該当事項はありません。

 

(3) 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

経営サポート事業

2,030,069

0.0

飲食事業

1,611,877

△16.7

合計

3,641,946

△8.1

 

  (注) 1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため記載を省略しております。

  

 

(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討の内容)

文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、経営者より一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なることがあります。

当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

なお、新型コロナウイルス感染症の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載のとおりであります。

 

(2) 財政状態の分析

財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (経営成績等の状況の概要)(2)財政状態の状況」に記載のとおりであります。
 

(3) 経営成績の分析

① 売上高

当連結会計年度における売上高は3,641,946千円(前連結会計年度比8.1%減)となりました。報告セグメント別の売上高は、経営サポート事業2,030,069千円(同0.0%増)、飲食事業1,611,877千円(同16.7%減)となっております。

経営サポート事業では、新型コロナウイルス感染症の影響により退店希望顧客が増加すると同時に、好立地の空き物件情報を出店希望顧客に提供することができるようになりました。また、顧客に代わり物件所有者との賃料減額交渉を行い、顧客のサポートを行いました。さらに、当社直営店「名代 宇奈とと」のゴーストレストランによるライセンス販売を進めるに当たり、経営サポート事業の顧客を中心にライセンス加盟募集を行ってまいりました。

飲食事業では、2017年から宅配サービスの強化を進めており、当連結会計年度においては新型コロナウイルス感染症の影響を受けて高まった中食需要を獲得することができました。一方で、新型コロナウイルス感染症の世界的な拡大を受けて、海外及び国内の店舗において、営業自粛や海外観光客の減少に伴い来店客数が減少し、売上高が減少しました。

② 売上原価

当連結会計年度における売上原価は2,046,211千円(前連結会計年度比5.3%減)となりました。報告セグメント別の売上原価は、経営サポート事業1,541,561千円(同0.5%減)、飲食事業504,649千円(同17.3%減)となりました。

③ 売上総利益

当連結会計年度における売上総利益は1,595,735千円(前連結会計年度比11.5%減)となりました。報告セグメント別の売上総利益は、経営サポート事業488,507千円(同1.7%増)、飲食事業1,107,227千円(同16.4%減)となりました。

④ 販売費及び一般管理費

当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,605,706千円(前連結会計年度比11.5%減)となりました。報告セグメント別の販売費及び一般管理費は、経営サポート事業202,805千円(同10.1%減)、飲食事業1,086,733千円(同14.9%減)となりました。主な要因は、飲食事業における販売費及び一般管理費のうち固定費の一部を特別損失に振り替える処理の金額が増加したためであります。

⑤ 営業利益

当連結会計年度における営業損失は9,971千円(前連結会計年度は営業損失9,664千円)となりました。報告セグメント別の営業利益は、経営サポート事業285,701千円(前連結会計年度比12.2%増)、飲食事業20,494千円(同55.7%減)となりました。なお、報告セグメント別の営業利益と当連結会計年度の営業利益との差異については全社費用であります。

⑥ 営業外収益

当連結会計年度における営業外収益は12,972千円となりました。主な内訳は、受取保険金8,345千円であります。

⑦ 営業外費用

当連結会計年度における営業外費用は17,222千円となりました。主な内訳は、支払利息8,350千円、為替差損8,856千円であります。

⑧ 経常利益

当連結会計年度における経常損失は14,221千円(前連結会計年度は経常損失12,204千円)となりました。

⑨ 特別損益及び当期純利益

当連結会計年度における特別利益は、705,566千円となりました。一方、特別損失は、247,009千円となりました。内訳は、特別利益は、固定資産売却益4,726千円、投資有価証券売却益5,010千円、受取和解金26,345千円、臨時休業等助成金収入669,484千円、特別損失は、固定資産売却損37,309千円、減損損失21,786千円、和解金20,196千円、臨時休業等関連損失167,717千円であります。このうち、新型コロナウイルス感染症の拡大に起因する項目は、臨時休業等助成金収入、減損損失、臨時休業等関連損失であります。

この結果、税金等調整前当期純利益444,335千円(前連結会計年度は税金等調整前当期純損失247,831千円)、親会社株主に帰属する当期純利益292,941千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失229,076千円)となりました。

 

(4) 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容、法的規制、事業運営等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、優秀な人材の採用と組織体制の整備、内部統制システムの強化等により、これらのリスク要因に対応するように努めてまいります。

 

  (5) 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの所要資金は、大きく新規契約に伴う敷金及び保証金の支払と店舗造作等の有形固定資産の取得のための資金、新規出店並及び店舗運営のための資金並びに納税資金等が経常の運転資金であります。

当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染症の拡大及び長期化に備えて、手元資金を厚くし、経営の安定性を高めるために、金融機関からの借入による資金調達を行っております。

現状、ただちに資金が不足する状況にはありませんが、今後も新規案件の獲得及び新規出店を加速させてまいりますので、事業運営に伴う売上代金等を含めて、必要な資金の流動性を確保していく所存であります。

なお、当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 経営成績等の状況の概要 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

なお、直近5連結会計年度におけるキャッシュ・フロー関連指標は、以下のとおりであります。

 

2017年12月

2018年12月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

自己資本比率(%)

53.8

52.7

39.7

30.4

32.8

時価ベースの自己資本比率(%)

230.2

63.2

69.4

63.4

55.4

キャッシュ・フロー対有利子
負債比率(%)

87.6

442.7

237.6

627.3

285.5

インタレスト・カバレッジ・
レシオ(倍)

127.8

18.6

72.1

36.0

65.7

 

 自己資本比率:自己資本/総資産

  時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

 インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しています。

 (注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。

 (注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しています。

 (注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としています。

 

(6) 経営者の問題認識と今後の方針について

飲食店を中心としたサービス業を取り巻く環境は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受け、依然として厳しい環境が想定されます。また、消費者の多様化による業種・業態を超えた企業間競争の激化、人材獲得の難化による人件費の上昇、原材料価格の高止まり、消費税率引き上げによる消費マインドの変化などにより、経営環境は依然として厳しい状況が続いております。

そのような状況の中、当社グループが継続的に成長・発展していくため、「夢をカタチに!和食を世界に!」を企業スローガンに、新型コロナウイルス感染症が収束したのち、迅速に日本と海外の架け橋になれるよう、体制を整備・充実させてまいります。

経営サポート事業においては、国内需要の出退店サポートを中心として飲食企業を支援することによる国内事業の営業体制基盤の充実と拡大が重要と認識しております。新型コロナウイルス感染症の影響により退店希望顧客が増加すると同時に、好立地の空き物件情報を出店希望顧客に提供することができるようになり、飽和状態にあった国内外食産業の新陳代謝が進み、当社のビジネス機会は増加していると考えております。また、当社直営店「名代 宇奈とと」のゴーストレストラン(コラボ店舗)によるライセンス販売を進めるに当たり、経営サポート事業の顧客を中心にライセンス加盟募集を行ってまいります。
 飲食事業においては、新型コロナウイルス感染症拡大の中、獲得した宅配・テイクアウトサービスの利用客数を維持・向上するとともに、人材採用及び教育などによる店舗オペレーションの強化、衛生管理・品質管理の徹底に取り組むことで店内売上高を回復させてまいります。また、コロナウイルス感染症による影響から、飲食店舗支援需要や新たな店舗支援ノウハウの蓄積余地が出現しており、宇奈とと及びM.I.Tの両ブランドの国内外での直営店およびライセンス店の出店を進めてまいります。

なお、問題意識に対する今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

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