文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は「不動産を通じて豊かな社会を実現する」を企業理念として掲げております。不動産には、人々や企業の「資産」および活動を支える「社会基盤」としての役割があります。当社は、世界中の人々の幸せにLinkすることを使命と考え、地球環境や社会・経済課題に取り組み、不動産の新たな可能性を追求します。
(2) 経営戦略等
当社は、2020年2月に開示した中期経営計画を最終年1年残したタイミングで計画を見直すこととし、新たに「2022年中期経営計画」を策定しました。その理由としては、当社を取り巻く不動産業界の事業環境が大きく変化し、その変化に迅速に対応するためであります。中長期的な目標「GLM VISION 2030」を策定し、そのステージ1として「2022年中期経営計画」を位置付けました。
「2022年中期経営計画」では、開発する物件の資産価値の向上を図り、開発物件の販売効率を上げて利益率を高めてまいります。また、時代に即した新しいセグメントを確立し、事業エリアを拡大してまいります。
①環境配慮型建築「ZEH・ZEBへの取り組み」
開発販売する物件の環境対応により資産価値の向上を図ってまいります。現在、不動産業界においても脱炭素に向けた取り組みが進んでおり、エネルギー消費量が正味ゼロとなるようなZEH(Net Zero Energy House)・ZEB(Net Zero Energy Building)の取り組みが脱炭素社会へのカギとなっております。また、環境認証を受けた物件の成約価格や賃料が向上するというデータが出ており、ZEH・ZEBへの取り組みが資産価値の向上へと繋がっております。そこで当社が今後自社で開発する物件ではBELS4つ星以上やZEH-M Orientedなどの環境対応を標準仕様とすることで、開発販売する物件の更なる資産価値の向上を図ってまいります。
②レジデンス:1棟バルク販売(物件を複数まとめて販売)・オフバランス開発強化による営業効率改善と成長加速
1棟バルク販売とは、機関投資家に対して物件を1棟単位で複数棟まとめて販売することを言います。1棟バルク販売では、機関投資家が売却先となるため竣工前の段階で売買契約が可能となり、営業活動の効率化に繋がります。
またオフバランス開発とは、当社で物件開発の企画・検討を行い、パートナー企業に土地の購入や開発を行っていただく開発方法を言います。オフバランス開発では、当社のバランスシート上の制約を受けることがなくなるため、今後パートナー企業の数を増やすことで物件の開発速度を高め、供給量を増やすことが可能となります。
③非レジデンス:物流(ロジスティクス)のSPC開発による拡大
コロナ禍で需要の増えた物流施設の開発を展開してまいります。物流施設の開発に関しては、パートナー企業と共同出資のSPCを活用し、リスクを抑えつつ収益性を保った形で事業を展開してまいります。
④開発エリアの拡大
当社ではこれまで東京23区内中心の開発を行ってまいりました。首都圏への人口流入・世帯数増加の傾向は変わらないと思われますが、リモートワーク等の普及により人口流入先が都心だけに限定されず、周辺広域まで拡大しております。このことから1都3県にも開発エリアを拡大してまいります。また関西エリアにも挑戦してまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は中長期的な企業価値の増大を目指しております。この観点から、2024年12月期を最終年度とする「2022年中期経営計画」において、売上高500億円、経常利益50億円を2024年12月期に達成すべき数値目標として設定しております。また、2024年12月期に販売戸数1,400戸、環境対応比率自社開発物件で100%、当社取扱い全物件で50%を目指してまいります。
(4) 経営環境
<環境意識>
世界では急速にカーボンニュートラル等の環境意識が更なる高まりをみせております。日本においても、2020年10月に2050年カーボンニュートラルを目指すことを宣言しております。それを踏まえて経済産業省が中心となり策定された「グリーン成長戦略」において、住宅・建築物が成長を期待される重要分野となっております。
<レジデンス>
機関投資家は日本市場の不動産に対し、積極的な投資スタンスのポジションになってきていると認識しております。機関投資家は有望な投資先を十分確保することに課題感すら持つ状況になり、投資用コンパクトマンションの豊富なパイプラインを持つ不動産会社のプレゼンスが上昇しております。
<非レジデンス>
コロナ禍により商業施設・ホテル需要は不透明な状況にあります。一方で、EC購買の増加により物流倉庫等のロジスティクスへの需要が高まっております。
<開発エリア>
首都圏エリアへの長期的な人口流入傾向は変わらないと見ておりますが、リモートワークの普及等を通し、人口流入先は従来の東京23区内から1都3県のような首都圏域に拡大しております。
(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当社では、持続的な成長へ向けて、以下の経営課題に取り組んでまいります。
①仕入ルートの拡充
当社の主要な事業基盤である東京23区内での事業用地や仕入物件の確保は、地価の上昇に加え、他社との競合もあり、厳しさを増すものと想定されております。当社では、開発用地の継続的、安定的な確保を実現するために、新たな仕入チャネルを増やしてまいります。
②新規事業の展開
当社では、中長期での安定的な収益基盤の確立及び成長加速を目指しております。そのためには現在主力としているレジデンス以外にも中長期的には商品ラインナップを拡充する必要があると認識しており、今後ロジスティクス(物流施設)を手掛けていく予定であります。また、中長期的な成長のためには新規事業に進出する必要性を認識しており、将来に向けた研究・調査を行ってまいります。
③優秀な人材の確保と育成
当社では、お客様の信頼を獲得できる人材を確保・育成することが企業価値の源泉であると認識しております。こうした人材の採用と育成を重要な経営課題の一つとして捉え、適時適切な採用活動により優秀な人材の確保を進めるとともに、社員の教育研修制度・資格取得支援制度を充実させ、各部門での育成計画及びMBO(目標管理制度)により人材の育成に努めてまいります。
④財務体質の強化
当社の不動産ソリューション事業における販売用不動産の購入資金は、主に金融機関からの借入により賄っております。今後の事業拡大を目指すためにも、金融機関との良好な関係を維持するとともに、資金調達手段の多様化に取り組んでまいります。また、販売用不動産の早期売却を図り、運転資金の確保や財務基盤の拡充を図ってまいります。
⑤コンプライアンスへの取り組みとコーポレート・ガバナンスの強化
当社では、持続的成長を可能とする基盤の確立に向けて、コンプライアンスの徹底とコーポレート・ガバナンスの充実が重要であると認識しております。当社では、コンプライアンス教育に積極的に取り組み、コーポレート・ガバナンスの更なる強化に努めてまいります。
⑥サステナビリティの推進
当社では、「不動産を通じて豊かな社会を実現する」という企業理念を掲げております。不動産には、人々や企業の「資産」および活動を支える「社会基盤」としての役割があります。当社は、世界中の人々の幸せにLinkすることを使命と考え、地球環境や社会・経済課題に取り組み、不動産の新たな可能性を追求します。このような理念の下、環境配慮物件の開発やレジデンス・ロジスティクスといったインフラ構築を通して、首都圏No.1のサステナブルな不動産業者を目指してまいります。また、プライム市場で求められるESG情報開示も段階的に進めてまいります。
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