当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) 経営成績
当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展や、行動制限の緩和により徐々に持ち直しの動きが見られたものの、感染状況が拡大と収束を繰り返す等、依然として厳しい状況が続いております。先行きについては、ウィズコロナの新たな段階への移行が進められる中、各種政策の効果もあり、景気が持ち直していくことが期待されております。しかしながら世界的な金融引締め等が続く中での物価上昇、供給面での制約に加え、金融資本市場の変動等の影響による経済の下振れリスクが当社グループに与える影響は不透明であり、今後も引き続き注視し、適切な対応を講じてまいります。
当社グループの経営環境としましては、遊休不動産活用事業に主として関連する駐車場業界において、インターネットを活用した月極駐車場の紹介依頼需要は増加しており、オフィスビルや分譲マンション等における駐車場空き区画の収益化に対する需要も依然として拡大しております。さらに新型コロナウイルス感染症の影響により、従来は店舗型の不動産仲介業者にて月極駐車場を探していたユーザーが、当社が運営するポータルサイトを通じてインターネット経由で流入するケースがより増えてきており、月極駐車場の問い合わせ件数の増加要因となりました。また、ビジュアライゼーション事業においては、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が徐々に緩和されたことにより、当社グループが提供する不動産画像に対する需要は回復してきております。さらに非対面での営業ツールとして、VR技術を用いたバーチャルショップの開発・制作を行い、事業規模を拡大しております。
このような経営環境のもと将来的な収益力の強化を目的として、引き続き既存社員の育成や新規の営業人員の獲得に努め、新規案件の獲得のための積極的なアプローチを行えるような営業体制の強化に注力するとともに、ベトナム子会社(AZOOM VIETNAM INC.)でのシステム開発・グラフィックデータ制作の体制を強化するための投資やリモート環境等の制約に関わらず営業活動を継続できるようIT面での新たな技術の開発を行うほか、月極駐車場特化型の賃料保証サービスへの事業領域を拡大するため、株式会社鉄壁を設立し2021年11月より事業を開始いたしました。また、株式会社ダイバースは当社グループへの人材紹介を中心に事業を行っております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,417,326千円(前連結会計年度比29.0%増)、営業利益は878,341千円(前連結会計年度比73.1%増)、経常利益は872,245千円(前連結会計年度比72.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は597,669千円(前連結会計年度比83.2%増)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
① 遊休不動産活用事業
遊休不動産活用事業セグメントは、当社がインターネット上で運営する月極駐車場のポータルサイト「CarParking」(以下、「カーパーキング」といいます)を経由して、駐車場の紹介を行う「月極駐車場紹介サービス」と、駐車場オーナーから空き駐車場を当社がマスターリース(一括借り上げ)し、月極駐車場としてユーザーにサブリース(貸し付け)を行う「月極駐車場サブリースサービス」を中心として事業を行っております。当連結会計年度においては、カーパーキングを通じたインターネット経由でのユーザーの流入増加を背景に、引き続き既存社員の営業力強化やリモート環境下での営業活動推進に努め、カーパーキングへの問い合わせ件数、マスターリース台数及びサブリース台数のいずれも堅調に推移し、当連結会計年度における駐車場問い合わせ件数は266,713件となり、当連結会計年度におけるマスターリース台数(受託台数)は18,323台、サブリース台数(稼働台数)は16,626台となりました。また、顧客による貸し会議室やジム、スタジオ等のレンタルスペースの運営をサポートするWEB予約システム「スマート空間予約」(2021年10月に「スマート会議室」からサービス名称を変更)においては、広告宣伝活動の効果向上に注力した結果、問い合わせ件数やシステムの新規導入室数が増加しております。
加えて当社100%出資の新規連結子会社である株式会社鉄壁を設立し、月極駐車場特化型の賃料保証サービスを新たに開始いたしました。
その結果、当連結会計年度の売上高は6,232,284千円(前連結会計年度比28.7%増)、セグメント利益は865,784千円(前連結会計年度比72.5%増)となりました。
② ビジュアライゼーション事業
ビジュアライゼーション事業セグメントは、不動産の可能性をより視覚的に伝えることを可能にするため、3DCG技術等の専門的なスキルを活用し、建物や空間の利用方法及び完成イメージをグラフィックデータとして制作し、販売するとともにVR技術を用いて顧客の要望に応じた空間デザインのサービスを提供しております。当連結会計年度においては、既存社員の技術力や営業力の強化に注力しつつ、多様な営業提案が可能となるように事業基盤の拡大に努めました。これにより、グラフィックデータ作成の発注元であるディスプレイ業者の景気回復と消費者行動のオンライン化に伴うVR技術の普及を背景に、事業規模は拡大しております。
その結果、当連結会計年度の売上高は185,042千円(前連結会計年度比39.9%増)、セグメント利益は12,556千円(前連結会計年度比128.2%増)となりました。
当連結会計年度における生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
a.生産実績
当社グループが営む遊休不動産活用事業及びビジュアライゼーション事業は、提供するサービスの関係上、生産実績の記載になじまないため、記載しておりません。
b.受注実績
当社グループが営む遊休不動産活用事業は、提供するサービスの関係上、受注実績の記載になじまないため、また、ビジュアライゼーション事業は受注から売上高計上までの期間が短いため、記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
前期比(%) |
遊休不動産活用事業(千円) |
6,232,284 |
128.7 |
ビジュアライゼーション事業(千円) |
185,042 |
139.9 |
合計(千円) |
6,417,326 |
129.0 |
(注)1 セグメント間の取引はありません。
2 主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、いずれの販売先についても当該割合が10%未満のため記載を省略しております。
(2)財政状態に関する説明
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は2,291,268千円となり前連結会計年度末に比べて406,655千円増加しております。その主な要因は、業績が堅調に推移したことに伴い現金及び預金が293,201千円増加したこと、ならびに、月極駐車場の受託台数の増加に伴い前払費用が86,353千円増加したことによるものであります。固定資産は744,738千円となり、前連結会計年度末に比べて153,991千円増加しております。以上の結果、総資産は前連結会計年度末に比べて560,647千円増加し、3,036,006千円となっております。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は842,164千円となり、前連結会計年度末に比べて278,177千円増加しております。その主な要因は、稼働台数及び株式会社鉄壁との賃料保証委託契約の増加に伴い月極駐車場サブリースユーザーからの前受収益が63,000千円、契約負債が89,947千円増加したことによるものであります。固定負債は425,828千円となり、前連結会計年度末に比べて190,391千円減少しております。その主な要因は、株式会社鉄壁との賃料保証委託契約への切替に伴い月極駐車場サブリースユーザーからの預り保証金が153,266千円減少したことによるものであります。以上の結果、負債合計は前連結会計年度末と比べて87,785千円増加し、1,267,993千円となっております。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,768,013千円となり、前連結会計年度末に比べて472,861千円増加しております。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益を597,669千円計上したことにより利益剰余金が同額増加したことによるものであり、自己資本比率は57.6%(前連結会計年度末は51.9%)となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は1,774,447千円となり、前連結会計年度末から293,201千円増加しました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果獲得した資金は620,279千円(前連結会計年度は518,744千円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益872,245千円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果支出した資金は143,786千円(前連結会計年度は114,347千円の支出)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出97,607千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果支出した資金は188,460千円(前連結会計年度は2,128千円の支出)となりました。これは主に自己株式の取得による支出100,999千円によるものであります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(5) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、安定した収益と成長性を確保するために必要な運転資金について、自己資金及び金融機関からの借入金を充当しております。また、余剰資金については、安全性の高い預金等に限定して運用を行っております。
(6) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積りを用いております。会計上の見積りには、その性質上不確実性があり、実際の結果と異なる可能性があります。重要な会計上の見積りの詳細については「第一部 企業情報 第5 経理の状況 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。
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