文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1) 経営方針
当社は不動産×ITを軸に、企業理念である「世界から「もったいない」をなくそう」にしていくことで、顧客と都市を豊かにしていきます。
この企業理念に基づき、不動産業界の既成概念にとらわれず、顧客が真に求めているものを追求し、ITを用いたソリューションを提供することで、企業としての持続的な成長を図ってまいります。
(2) 経営戦略等
(遊休不動産活用事業)
① 駐車場サービスのさらなる強化・拡大
当社の月極駐車場検索ポータルサイト「カーパーキング」への問い合わせ件数増加を背景に、月極駐車場紹介サービス及び月極駐車場サブリースサービスの取引件数が拡大しております。
従来、ユーザーが月極駐車場を探す際には、不動産業者への訪問や現地で募集看板を見つけて電話等で問い合わせを行う方法が主たるものであり、月極駐車場の情報を集めることや満足できる駐車場を借りることには、時間と労力がかかっておりました。しかし、当社の有するカーパーキングを利用することによって、ユーザーは真に求めている駐車場をより効率的かつ効果的に見つけることができるようになっております。当社は、引き続きデータベースの強化を行い、カーパーキングをより魅力的なものにすることで、駐車場サービスをさらに強化・拡大してまいります。
加えて当社100%出資の新規連結子会社である株式会社鉄壁を設立し、月極駐車場特化型の賃料保証サービスを新たに開始いたしました。
月極駐車場サブリースサービスにおいては、現在関東圏を主たる営業エリアとしているほか、福岡、大阪、名古屋、札幌にも営業拠点を有しておりますので、その拠点における営業活動の強化、さらには未開拓エリアへの拠点設置も検討し、事業規模の拡大を図ってまいります。
このように不動産(空き駐車場)×IT(ポータルサイト)を軸に、駐車場紹介に伴う手数料収入及びサブリースによる賃料収入を安定的に積み上げていくことにより、手数料収入(フロー)と賃料収入(ストック)を兼ね合わせた、盤石の収益基盤を確立してまいります。
② 駐車場サービス以外への進出
予約、決済、入金管理、鍵の自動付与などの機能により、貸し会議室やジム、スタジオ等のレンタルスペースの運営サポートを提供するWEB予約システム「スマート空間予約」(2021年10月に「スマート会議室」からサービス名称を変更)をはじめとして、従前の駐車場サービスのみならず、WEBシステムを利用した遊休スペースの有効活用も推進しております。また、当社100%出資の新規連結子会社である株式会社ダイバースを設立し、当社グループへの人材紹介を中心に事業を行っております。このように、顧客が真に求めているものは何かを考え、ITを用いたソリューションを提供していきます。月極駐車場以外の収益基盤を生み出していき、たとえ厳しい経済環境下においても永続して安定的に発展し続ける企業を目指しております。
(ビジュアライゼーション事業)
3DCG技術・VR技術を活用し事業領域の拡大を図っております。360°VR内覧やバーチャル店舗の開発・制作を行うことにより、非対面型の営業ニーズに対するソリューションを提供しております。また、家具やプロダクト製品の精巧な動画を制作することにより、Webサイト掲載、製品プロモーション用動画の制作が可能となり、取引先の拡大に寄与いたします。
また、ベトナム子会社でのCGグラフィックデータのオフショア制作を行うことでコストを削減し、利益の最大化を図ってまいります。
(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は持続的な成長に向けて、売上高、営業利益及び成長率を重視しております。また、月極駐車場紹介サービスに関してはポータルサイトにおける問い合わせ件数及び掲載物件情報数が事業の根幹であるため、その推移を重要な指標としており、月極駐車場サブリースサービスに関しては、マスターリース台数及びサブリース台数(稼働率)を重要な指標としております。
(4) 経営環境及び対処すべき課題
当社グループは、遊休不動産活用事業及びビジュアライゼーション事業を軸として経営を推進しております。新型コロナウイルス感染症や世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっておりますが、市場動向をはじめとしたサービスに対する需要についてのモニタリングを強化する等、適切な対応を講じてまいります。なお、緊急事態宣言が再度発令されるなど、当社グループの想定を上回る新型コロナウイルス感染症の長期化・深刻化があった場合には、当連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。
駐車場業界については、月極駐車場と時間貸駐車場に大別されますが、サービスが多様化し、ITを活用した駐車場状況を提供するシステム等が普及してきております。またビジュアライゼーション事業については、グラフィックデータ制作の発注元であるディスプレイ業界が、経済活動の制限が緩和されたことにより、市場環境に回復の兆しがみられております。このような経営環境下において、以下の4点を今後のさらなる事業拡大・展開における特に重要な対処すべき課題と認識し、解決に向けて取り組んでまいります。
① 継続的な成長について
当社グループは、上記の経営環境の変化をビジネスチャンスと捉え、遊休不動産活用事業においては、これまで蓄積した駐車場オーナー・ユーザー情報等の駐車場運営ノウハウをもとに、自社運営サイトである「カーパーキング」のブランディング及び集客力アップを図り、駐車場紹介件数、受託台数、稼動台数の増加に取り組んでまいります。また、当連結会計年度より新たに開始しました賃料保証サービス契約件数の増加に取り組み、継続的な成長を目指してまいります。
ビジュアライゼーション事業においては、グラフィックデータのクオリティ向上に取り組んでまいります。また、コロナ禍での経済活動が継続する中、リアルとバーチャルのすみ分けも進みつつあり、バーチャル関連サービスの需要も高まっておりますので、VR技術を用いた開発・制作を行い、顧客へのサービスを広げることで継続的な成長を目指してまいります。
② 組織体制及び内部管理体制の強化について
当社グループは、少人数で効率的な組織運営を行ってまいりましたが、事業のさらなる成長のためには、ノウハウの蓄積とともに、営業力や技術力など様々な能力を高めていく必要があります。そのため、優秀な営業人材の確保及び人材育成が重要な課題であると考えており、採用力向上と社内研修の充実等に取り組んでまいります。また、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、経営の公正性・透明性を確保するため、より強固な内部管理体制の構築に取り組んでまいります。
③ システムの向上
当社グループの提供するサービスにおきましては、インターネット上でサービスを提供している関係上、安定したサーバー環境や通信環境を維持し、サイバー攻撃に対するセキュリティー対策を行う必要があります。
そこで当社グループでは、エンジニアの確保及び育成、利用者数の増加に伴うアクセス数増加を考慮したサーバー機器の整備、負荷分散システムの導入、セキュリティー診断等が重要となります。今後も設備投資等を継続的に行い、システムの安定性確保に取り組んでまいります。
④ 新型コロナウイルス感染症の影響
ワクチン接種の効果もあり、新型コロナウイルス感染症の収束に向けた明るい兆しもありますが、依然として先行きは不透明であり、引き続き社員とその家族及び関係者の安全を考慮し、感染予防の徹底などを周知することで、従業員の意識を高めるとともに、必要に応じて時差出勤やテレワークを実施するなどの対策を行ってまいります。今後も動向には注視し必要に応じて然るべき対応を講じてまいります。
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