当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況は以下のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国経済は、政府による経済再生に向けた各種政策の効果や海外経済の改善もあり回復傾向が見られるものの、新型コロナウイルス感染症再拡大に伴う緊急事態宣言やまん延防止等重点措置等による制限措置や、世界経済の回復に伴う原油の需要増及びウクライナ情勢等の不透明感による原油価格高騰が見られるなど、一進一退を繰り返す状況となっております。
当社グループの主要取引先であります紙パルプ業界の動向は、国内につきましては板紙及び衛生用紙等の需要は横ばいで推移しておりますが、新型コロナウイルス禍の影響、それに伴う紙のデジタル化により、新聞用紙及び印刷情報用紙は、需要の減少が見込まれております。海外につきましては、通販市場の拡大に伴う板紙及び衛生用紙の需要が旺盛なアジア地域に期待があるものの、新型コロナウイルス感染症による世界的な経済活動停滞の影響により国内同様、新聞用紙及び印刷情報用紙の需要減が見込まれる等、不安定な状況が継続しております。これを受け、当社は世界的な紙の需要減を見込み、フエルトのコスト競争力を強化するべく生産体制の最適化を図ってまいりました。また、品質面では衛生用紙向けベルトが世界的に評価され、拡販につなげるべく積極的な受注活動を図ってまいりました。
このような状況の中、当社グループの連結売上高は12,355百万円(前期比6.5%増)となりました。損益の状況につきましては、売上高の増加により、連結営業利益は531百万円(前期比64.2%増)、連結経常利益は758百万円(前期比55.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は523百万円(前期比41.7%増)となりました。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等の適用により、収益認識会計基準等の適用を行う前と比べて、当連結会計年度の連結損益計算書は、売上高及び営業利益がそれぞれ45百万円、経常利益及び税金等調整前当期純利益がそれぞれ50百万円増加しております。
セグメントの業績は次のとおりです。
<抄紙用具関連事業>
(日本)
内需につきましては、厳しい市場環境が続く中、前期に比べ需要が回復したこと及び顧客ニーズに適した製品の拡販戦略が奏功し抄紙用フエルトの販売数量は増加いたしました。輸出につきましては、懸命な受注活動が奏功し、抄紙用フエルト及び抄紙用ベルトの販売数量が増加したことに加え円安により 、 売上高は7,990百万円(前期比4.9%増)、セグメント利益(営業利益)は1,817百万円(前期比39.9%増)となりました。なお、収益認識会計基準の適用により、売上高及びセグメント利益がそれぞれ、40百万円増加しております。
(北米)
抄紙用ベルトは、南米の衛生用紙向けに新規顧客を獲得するなど受注活動を推進しましたが、厳しい市場環境が続き販売数量は減少いたしました。一方円安により 、 売上高は1,394百万円(前期比10.2%増)、セグメント利益(営業利益)は46百万円(前期比38.1%減)となりました。
(欧州)
新型コロナウイルス対策に伴うフエルト減産に応じた販売製品の選択と集中を行ったため抄紙用フエルトの販売数量は減少いたしました。抄紙用ベルトは衛生用紙向けに新規顧客を獲得するなど受注活動を推進しましたが、市場競争激化により全体の販売数量は減少いたしました。一方円安により 、 売上高は1,692百万円(前期比0.5%増)、セグメント利益(営業利益)は100百万円(前期比20.6%減)となりました。
(中国)
抄紙用フェルトの販売数量は増加いたしましたが、抄紙用ベルトの販売数量が減少したことにより、売上高は490百万円(前期比39.8%増)、セグメント利益(営業利益)は71百万円(前期比66.5%増)となりました。なお、収益認識会計基準の適用により、売上高及びセグメント利益がそれぞれ、5百万円増加しております。
(タイ)
新型コロナウイルス対策に伴うフエルト減産に応じた販売製品の選択と集中を行ったため抄紙用フエルトの販売数量は減少いたしました。抄紙用ベルトは板紙向けに新規顧客を獲得するなど販売数量は増加いたしました。この結果、売上高は273百万円(前期比9.1%増)、セグメント利益(営業利益)は44百万円(前期比3.1%減)となりました。
<工業用事業>
需要拡大が期待されている高温成型用の耐熱緩衝材の販売数量が増加いたしました。この結果、 売上高は514百万円(前期比19.1%増)、セグメント利益(営業利益)は67百万円(前期比68.6%増)となりました。
当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ439百万円増加し、25,732百万円となりました。これは主として現金及び預金が823百万円、売掛金が418百万円増加した一方、商品及び製品が214百万円、有形固定資産が590百万円減少したことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ171百万円増加し、6,964百万円となりました。これは主として未払法人税等が107百万円、賞与引当金が121百万円増加した一方、繰延税金負債が159百万円減少したことによるものであります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ268百万円増加し、18,768百万円となりました。これは主として利益剰余金が137百万円増加したことによるものであります。
なお、収益認識会計基準等の適用により、利益剰余金の当期首残高は 106百万 円減少したこと等により純資産が減少しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は前連結会計年度末に比べ821百万円増加し、4,435百万円(前年度末比22.7%増)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は以下の通りであります。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益737百万円の計上、非資金費用である減価償却費1,023百万円の計上、法人税等の支払による支出255百万円などにより1,580百万円の収入(前期比136百万円の収入減)となりました。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>
投資活動によるキャッシュ・フローは、 有形固定資産の取得による支出455百万円 などにより 457百万円の支出(前期比565百万円の支出減)となりました。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>
財務活動によるキャッシュ・フローは、 配当金の支払による支出279百万円 などにより 363百万円の支出(前期比32百万円の支出減)となりました。
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 金額は、製造原価によっております。
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 受注生産品以外に仕入商品があります。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に対し6.5%増加し12,355百万円となりました。国内売上高は前期に比べ需要が回復したこと及び顧客ニーズに適した製品の拡販活動により抄紙用フエルトの販売数量が増加したことにより、前連結会計年度に対し4.7%増の5,914百万円となりました。海外売上高は新型コロナウイルス対策に伴うフエルト減産に応じた販売製品の選択と集中を行ったため抄紙用フエルトの販売数量は減少いたしましたが、円安により前連結会計年度に対し8.3%増加し6,440百万円となり、海外売上高の比率は52.1%となりました。
当連結会計年度の売上原価は、売上高の増加、生産体制最適化の効果及び前年度の売上原価に計上した棚卸資産評価損の減少等により前連結会計年度に対し369百万円増加し7,692百万円となりました。販売費及び一般管理費は、輸送コストや出張コストの増加等により 、前連結会計年度に対し179百万円増加し4,131百万円となりました。
当連結会計年度の営業外収益は、前連結会計年度に対し109百万円増加し340百万円となりました。営業外費用は前連結会計年度に対し47百万円増加し113百万円となりました。
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に対し154百万円増加し523百万円となりました。また、1株当たり当期純利益金額は、前連結会計年度に対して33.65円増加し114.45円となりました。
※ 経営目標につきましては、計画策定時の想定を超える事業環境の変化が生じたことから、
2021年5月に修正を実施しております。
当連結会計年度を最終年度とする中期経営計画(略称:“NE-21”)では、新型コロナウイルス感染症の拡大による、経済活動の停滞により想定を超える国内紙市場ほかの需要減少があり、当初計画した市場環境とは大きく乖離したため、経営目標の修正を行いました。
こうした中、品質保証体制の強化及び新設備の導入等による品質安定化、事業環境の変化に適応するための生産体制の見直し等による製造コストの削減、顧客ニーズに適した製品の拡販を推進した結果、為替レートが円安基調で推移したこともあり、修正後の経営目標を達成いたしました。
第7次中期経営計画においては、引き続き需要の減少による競争の激化が見込まれ、原材料価格及び物流コストの増加に直面しますが、販売と生産の最適化により、更なる事業基盤強化に努めてまいります。
当社グループは、製品売上等の営業活動により多くのキャッシュ・フローを得ており、現在及び将来にわたって必要な営業活動及び設備投資などに備えるために、自己資金のほか金融機関からの借入により資金調達を図っております。グループ会社の資金については必要に応じて当社より融資しております。また、グループ会社の金融機関からの借入について当社が債務保証を行っております。
これら営業活動及び財務活動により調達した資金については、事業運営上必要な流動性を確保することに努め、機動的かつ効率的に使用することで金融負債の縮小化を図っております。また、当社グループは、流動性を確保するため取引金融機関と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、高水準で推移している現預金と併せ、中期経営計画で掲げた戦略投資を機動的に実施することが可能となっています。
今後とも入出金の厳格な管理により「営業活動によるキャッシュ・フロー」の拡大を目指し、財務体質の向上に努めてまいります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)に記載しております。
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