当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が継続したことで、個人消費が低迷し、企業活動にも支障が出ておりましたが、感染対策の徹底やワクチン接種が進んだこと等により、経済活動も一部正常化が進み、明るい兆しも出てまいりました。しかし、国内外で変異型のオミクロン株の感染者数が依然として減少せず、今後の感染収束が見通せないうえ、資源価格の上昇や米国の利上げによる急激な為替の変動、ウクライナ東部紛争による地政学的なリスクの上昇等もあり、先行き不透明な状況が継続しております。
当社グループ主力ユーザーの水産業界におきましては、海洋環境や気象状況の変動による漁獲量の減少や外出自粛の影響で外食産業向けの高級魚や水産物などの需要が減少し魚価が低迷したことや燃油価格の高騰により、漁業関連従事者の経営環境は引き続き厳しい状況になっております。
このような状況のもと、当社グループの漁業関連事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による影響や魚価低迷による投資意欲の減退等が重なり、主力の定置網部門の製商品の商談が一部先送りとなり、また、海外での営業活動の制約により、旋網部門も伸び悩みましたが、その他の養殖網部門、水産部門、海苔・綟網部門では受注が増加し、前期と比べ売上高は増加しました。陸上関連事業では陸上ネット部門と防虫網部門等の部門間で多少の増減はありましたが、ほぼ前期並みの売上高となり、当社グループ全体として売上高は前期と比べ増加しました。営業利益は、計画的な生産を行い、製造原価圧縮等の経費削減に努めましたが、原油価格の高騰や円安の影響による原材料費等のコストの上昇や漁業関連事業の主力の定置網部門、旋網部門の売上高が減少した影響が大きく、前期と比べ減少しました。
また、前期より継続している新事業所の建設に伴い、解体撤去費用及び固定資産の減損損失を特別損失として計上しました。
この結果、当連結会計年度の売上高は、18,373百万円(前期比3.9%増)、営業利益は370百万円(前期比52.1%減)、経常利益は544百万円(前期比37.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益190百万円(前期比54.6%減)となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
[漁業関連事業]
売上高は14,692百万円(前期比4.8%増)となりました。主な要因は定置網部門、旋網部門の売上高は伸び悩みましたが、養殖網部門、水産部門等が復調したことで、売上高は増加しました。利益面は漁業関連事業の2本柱である定置網部門と旋網部門の売上高の減少を他の部門ではカバ―しきれず、セグメント利益は232百万円(前期比65.5%減)となりました。
[陸上関連事業]
売上高は3,638百万円(前期比0.1%減)となりました。獣害防止ネットや防鳥ネット等の陸上ネット部門、施工工事部門は好調でしたが、新型コロナウイルス対策としての防虫網の需要が一段落したことなどで、売上高はほぼ前期並みとなりました。利益面は前期増加した防虫網部門の経費が落ち着いたことや施工工事部門の売上高増加により、セグメント利益は138百万円(前期比37.2%増)となりました。
[その他]
部品加工等の受注は低調でしたが、設備等の改修工事の受注の増加により、売上高は41百万円(前期比214.6%増)となりました。利益面は売上高の増加により、セグメント損失は0百万円(前期は1百万円の損失)となりました。
流動資産は、前連結会計年度末と比べ600百万円増加し15,042百万円となりました。これは受取手形及び売掛金は減少しましたが、現金及び預金やその他の流動資産が増加したこと等によるものです。
固定資産は、前連結会計年度末と比べ3,463百万円増加し、12,531百万円となりました。これは主に新事業所の工事進行に伴い、建設仮勘定が減少し、建物及び構築物等の有形固定資産が増加したこと等によるものです。
流動負債は、前連結会計年度末と比べ1,727百万円増加し、13,059百万円となりました。これは主に短期借入金や電子記録債務が増加したこと等によるものです。
固定負債は、前連結会計年度末と比べ2,326百万円増加し、8,165百万円となりました。これは主に新事業所建設に伴い、長期借入金が増加したこと等によるものです。
純資産は、前連結会計年度末と比べ9百万円増加し、6,347百万円となりました。これは為替換算調整勘定は減少しましたが、利益剰余金が増加したこと等によるものです。
当連結会計年度の現金及び現金同等物につきましては、営業活動により989百万円増加し、投資活動により3,795百万円減少し、財務活動により2,975百万円増加した結果、当連結会計年度末残高は809百万円となり、前連結会計年度と比べ173百万円の増加となりました。
(単位:百万円)
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益は439百万円となり、増加要因としては、減価償却費608百万円、売上債権の減少169百万円、仕入債務の増加457百万円等ありましたが、減少要因として未払消費税等の減少623百万円及び法人税等の支払額263百万円などにより989百万円となりました。
この結果、営業キャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ206百万円の減少となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出3,761百万円等により△3,795百万円となりました。
この結果、投資キャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ834百万円の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の借入・返済による純増額3,134百万円、配当金の支払額128百万円等により2,975百万円となりました。
この結果、財務キャッシュ・フローは前連結会計年度と比べ1,179百万円の増加となりました。
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 金額は、販売価格によっております。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(経営成績)
当連結会計年度の経営成績は、売上高については18,373百万円(前期比3.9%増)となりました。これは、漁業関連事業では、新型コロナウイルス感染症拡大の長期化による影響や魚価低迷による投資意欲の減退等が重なり、主力の定置網部門の製商品の商談が一部先送りとなり、また、海外での営業活動の制約により、旋網部門も伸び悩みましたが、その他の養殖網部門、水産部門、海苔・綟網部門では受注が増加し、前期と比べ売上高は増加しました。陸上関連事業では、獣害防止ネットや防鳥ネット等の陸上ネット部門、施工工事部門は好調でしたが、新型コロナウイルス対策としての防虫網の需要が一段落したことなどで、ほぼ前期並みとなりました。売上総利益は、計画的な生産を行い、製造経費の圧縮等の経理削減に努めましたが、原油価格の高騰や円安の影響による原材料費のコストの上昇等により、3,613百万円(前期比5.8%減)となりました。営業利益は、主力の定置網部門、旋網部門の売上高が減少した影響が大きく、370百万円(前期比52.1%減)となりました。経常利益は、為替差益及び受取保険金等の計上があり、支払利息及び持分法による投資損失の計上もありましたが、544百万円(前期比37.1%減)となりました。新事業所建設にあたり、解体撤去費用及び減損損失を計上しました。法人税等の計上により親会社株主に帰属する当期純利益は190百万円(前期比54.6%減)となりました。
当社グループは、独自性のある付加価値の高い製品の開発や販売を行い、他社との差別化を図り、売上高、収益の確保に努めてまいります。また、漁業関連事業部門においては、他社との競合に対応し、シェアを拡大するため、各分野の専門性を重視した体制を構築し、お客様のニーズに合った提案、製商品の提供のスピード化を図っております。
(財政状態)
当連結会計年度末の財政状態は、総資産については、前連結会計年度末と比べ4,064百万円の増加となり27,573百万円となりました。これは、新事業所の工事進行に伴い、建物及び構築物の有形固定資産が増加したこと等によるものです。在庫については前期並みの水準を維持できていると認識しており、当社グループは在庫管理を徹底することで、適正在庫を揃え、競争力強化を目指しており、引き続き在庫水準の管理に努めてまいります。
負債は、前連結会計年度末と比べ4,054百万円の増加となり21,225百万円となりました。これは主に新事業所建設のため、長期借入金が増加したこと等によるものです。
(キャッシュ・フロー)
当連結会計年度の営業活動によるキャッシュ・フローは、989百万円の収入(前連結会計年度は1,195百万円の収入)となりました。税金等調整前当期純利益は439百万円となり、減少要因として、棚卸資産の増加58百万円及び法人税等の支払額263百万円等があり、増加要因として、減価償却費608百万円、売上債権の減少169百万円及び仕入債務の増加457百万円等によるものです。
当社グループは継続的に安定した営業キャッシュ・フローを確保できるよう、売上債権の管理に努めてまいります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループの運転資金及び設備資金につきましては、自己資金及び銀行等の金融機関からの借入により充当しております。借入金による資金調達は、運転資金は短期借入金、設備投資等は長期借入金、割賦契約に基づく長期未払金及びリース契約により調達しております。
なお、当連結会計年度末における借入金、長期未払金(割賦)及びリース債務を含む有利子負債の残高は14,861百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は809百万円となっております。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、会計基準の範囲内で行われている部分があります。これらの見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果とは異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
なお、新型コロナウイルスの感染拡大の影響は不確定要素が多く、将来の影響を客観的に見積ることは困難でありますが、期末時点で入手可能な情報をもとに会計上の見積りを行っております。
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