業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、ワクチン接種の進展とともに新型コロナウイルス感染症の感染者数が減少し、2021年9月末には緊急事態宣言の解除に伴う行動制限の緩和と経済活動の再開により、一時は持ち直しの動きが見られましたが、2022年1月以降、新たな変異ウイルスの急拡大に伴う経済活動の足踏みに加え、ウクライナ情勢の緊迫化等による地政学的リスクの懸念等もあり、先行きは極めて不透明な状況で推移しました。

 繊維業界においては、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う断続的な商業施設の臨時休業・営業時間短縮による消費活動の制限や衣料品の消費マインドの低下等により、依然として厳しい環境が続いております。

 このような状況において当社グループは、2019年度から取り組んでいる「事業構造改革」、「業務構造改革」、「コスト構造改革」の3つの構造改革を引き続き推進していくとともに、「売上高の回復」、「株式会社レナウンインクスとのシナジー創出」、「国内基幹工場のアツギ東北株式会社の収支改善」の3つの課題を掲げて、足元の業績回復と赤字からの脱却を図るための取り組みを進めてまいりました。しかしながら、依然として新型コロナウイルス感染症の収束が見通せず、在宅勤務の拡大や外出自粛に伴う「新しい生活様式」が社会に広く浸透したことにより、当社の主力商品であるストッキングの需要の回復が想定を下回るなど、当社グループを取り巻く事業環境は厳しい状況で推移しました。

 この結果、当連結会計年度の売上高は21,445百万円(前年同期比32.2%増)、営業損失は2,293百万円(前年同期は2,593百万円の損失)、経常損失は1,804百万円(前年同期は1,995百万円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は1,827百万円(前年同期は3,826百万円の損失)となりました。

 

 セグメントの経営成績は、次のとおりであります。

[繊維事業]

 レッグウエア分野は、2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大による取引先店舗の臨時休業や営業時間の短縮、在宅勤務や外出自粛の広がりを背景とした個人消費の冷え込み等の影響を大きく受けました。2021年度はそのような状況から一部持ち直しの動きが見られたものの、生活様式の変化等の影響によるストッキング需要の減少が継続したほか、タイツなどの季節商品やソックスも伸び悩み、同分野の売上高は11,431百万円(前年同期比15.5%増)に留まりました。

 インナーウエア分野は、レッグウエア同様、2020年度は新型コロナウイルス感染症の拡大による取引先店舗の臨時休業や営業時間の短縮、外出自粛等の影響を大きく受けましたが、2020年10月にインナーウエア分野を主力とする株式会社レナウンインクスを完全子会社化したことが寄与し、同分野の売上高は8,743百万円(前年同期比72.3%増)となりました。

 これらの結果、繊維事業の売上高は20,174百万円(前年同期比34.7%増)、営業損失は2,614百万円(前年同期は2,922百万円の損失)となりました。

 

[不動産事業]

 保有資産の有効活用を進めておりますが、当事業の売上高は537百万円(前年同期比5.9%減)、営業利益は391百万円(前年同期比0.1%減)となりました。

 

[その他]

 その他の事業につきましては、太陽光発電による売電は順調に推移したほか、介護用品の販売や認知症高齢者向け介護施設であるグループホームも外出自粛影響などによる苦戦から回復し堅調に推移しました。これらの結果、当事業の売上高は733百万円(前年同期比7.3%増)、営業利益は49百万円(前年同期比57.3%増)となりました。

 

②財政状態の状況

 当連結会計年度末における総資産は42,234百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,108百万円減少いたしました。主な増減内容は、現金及び預金の減少1,802百万円、棚卸資産の減少890百万円、投資有価証券の減少807百万円、有形固定資産の増加435百万円および無形固定資産の増加292百万円等によるものであります。

 負債の部は10,088百万円となり、前連結会計年度末に比べ298百万円減少いたしました。これは主に、長期借入金の減少470百万円、繰延税金負債の減少195百万円および仕入債務の増加336百万円等によるものであります。

 純資産の部は32,145百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,810百万円減少いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純損失1,827百万円の計上による減少や、収益認識に関する会計基準等の適用に伴う期首剰余金の減少233百万円およびその他の包括利益累計額の増加370百万円等によるものであります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度における生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前年同期比(%)

繊維事業

8,484

100.7

合計

8,484

100.7

(注)1.セグメント間取引については、内部振替前の数値によっております。

2.金額は、製造原価によっております。

 

b.受注状況

 当社グループ(当社及び連結子会社)は見込生産を行っているため、該当事項はありません。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

金額(百万円)

対前年同期比(%)

繊維事業

20,174

134.7

不動産事業

537

94.1

その他

733

107.3

合計

21,445

132.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

㈱しまむら

3,373

20.8

5,924

27.6

 

④キャッシュ・フローの状況

科目

前連結会計年度

(百万円)

当連結会計年度

(百万円)

増減(百万円)

営業活動によるキャッシュ・フロー

△2,949

△748

2,201

投資活動によるキャッシュ・フロー

522

△1,043

△1,565

財務活動によるキャッシュ・フロー

2,069

△616

△2,686

現金及び現金同等物に係る換算差額

299

505

206

現金及び現金同等物の増減額

△58

△1,902

△1,844

現金及び現金同等物の期末残高

7,403

5,500

△1,902

 

 

[営業活動によるキャッシュ・フロー]

 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純損失1,794百万円の計上や棚卸資産の減少1,025百万円等により、748百万円の支出となりました。

 

[投資活動によるキャッシュ・フロー]

 投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出1,016百万円等により、1,043百万円の支出となりました。

 

[財務活動によるキャッシュ・フロー]

 財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による支出470百万円、連結の範囲の変更を伴わない関係会社出資金の取得による支出131百万円等により、616百万円の支出となりました。

 

 この結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ1,902百万円減少し、5,500百万円となりました。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの経営成績等の詳細については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」をご参照下さい。

 当社グループの経営に影響を与える大きな要因の詳細については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等、2 事業等のリスク」をご参照下さい。

 当社グループにおける資金需要は、製品製造のための原材料費、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備新設、維持改修等に係る投資であります。これらの資金需要につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて、金融機関からの借り入れによる調達を行っております。また、当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、資金調達に関し、低コストかつ安定的な資金の確保を基本に、財務状況や金融環境に応じ、最適と思われる調達手段を選択しております。

 

 

③経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは、2018年度から2020年度までの3年間を実行期間とする中期経営計画『ATSUGI VISION 2020』ならびに当該計画を達成するための補強策として3つの構造改革(事業構造改革、業務構造改革、コスト構造改革)において、「更なる利益率の向上」に重点を置き、持続的な成長を可能とする強固な事業基盤の構築を目指してまいりました。しかしながら、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う生活様式の変化等により、当社の主力商品であるストッキングの需要が急減するなど、当社グループを取り巻く経営環境は急激に変化し、コロナ禍において今後も厳しい状況が続くことが想定されます。新たな中期経営計画『ATSUGI VISION 2024』では、このような厳しい経営環境において、顧客ニーズの変化と多様性に的確に対応したうえで、「事業ポートフォリオの強化」、「生産体制の再編による収益基盤の強化」、「資本の効率化」の3つの重点課題に取り組むことにより収益性を高めることに注力し、将来の持続的成長のための安定した財務基盤の確立を目指してまいります。目標とする財務指標は以下の通りです。

 

2022年度

2023年度

2024年度

連結売上高

238億円

255億円

272億円

連結営業利益

1億円

6億円

16億円

連結営業利益率

0.4%

2.3%

5.9%

ROE

1%

2%

4%

 

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