(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の概況
全国の農業総産出額は、コメ、野菜、肉用牛等における需要に応じた生産の取組等により、近年9兆円前後で推
移しております。2020年の農業総産出額は、米や肉用牛において新型コロナウイルス感染症拡大の影響により需要減退したこと等から価格が低下した一方で、野菜や豚において天候不順や巣ごもり需要により価格が上昇したこと等から、前年に比べ432億円増加し、8兆9,370億円となりました(出典:農林水産省「生産農業所得統計」)。他方で、2020年2月時点の農業経営体のうち、個人経営体は103万7千経営体で、2015年に比べ30万3千経営体減少した一方、団体経営体は3万8千経営体で1千経営体増加しております(出典:農林水産省「農林業センサ
ス」)。農業経営体の減少が続く中、法人化や規模拡大の進展が継続し、農業集約化の動きも加速するものと予想
されます。
当事業年度は、期初において平年並みであった青果価格が、特定の品目は不作により高値で推移する一方、全体的には好天により供給過多の影響で低下トレンドの相場状況であったものの、新型コロナウイルス感染症の長期化による巣ごもり消費や内食需要の定着を背景に青果需要は堅調に推移いたしました。
このような環境のもと、特に大型生産者との取引拡大を図り、より多くの生活者に「おいしい」をお届けするために、これまで当社が進めてきた農家の直売所事業に加え、スーパー等の通常の青果売場で販売する産直卸事業を推進いたしました。また、富山中央青果株式会社との資本業務提携契約の締結を発表し、新しい農産物流通の創造に向けた取組の深化を進めた結果、同社との取引額は前事業年度の約4.0倍に拡大いたしました。さらに、国分グループ本社株式会社を割当先として約1.0億円の第三者割当増資を行い「物流」「販路拡大」「販売促進」分野でのさらなる関係の強化に加え、産直卸事業の成長のため、他社とのアライアンスも積極的に展開いたしました。一方、前年度までに実施いたしました流通総額のさらなる拡大に備えたシステム開発の減価償却の開始や事業基盤強化のための人材採用により、販売費及び一般管理費が前事業年度比で増加いたしました。
このような取組みの結果、当社の重要な経営指標である流通総額は当事業年度において13,181,839千円(前事業年度比7.0%増)、2022年8月末日時点でスーパーマーケット等の国内小売店への導入店舗数は1,934店舗(前事業年度末より160店舗増)、農産物の集荷拠点である集荷場は92拠点(前事業年度末より2拠点減)、登録生産者10,258名(前事業年度末より496名増)まで拡大いたしました。当事業年度の経営成績は、売上高は5,192,670千円(前事業年度は4,737,903千円)、営業損失は123,024千円(前事業年度は営業損失193,727千円)、経常損失は110,546千円(前事業年度は経常損失207,527千円)、当期純損失は127,093千円(前事業年度は当期純損失283,185千円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当事業年度の期首から適用しているため、経営成績に関する説明においては、売上高について前年同期比増減率を記載せず、前年同期実績を記載して説明しております。当該基準等を適用する前に比べ、当事業年度の売上高は330,710千円増加し、販売費及び一般管理費は330,710千円増加しております。また、営業損失、経常損失、税引前当期純損失については影響ありません。詳細は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当社は農家の直売所事業の単一セグメントでありましたが、経営管理体制の見直しに伴う経営資源配分の
決定方法及び業績評価方法の類似性・関連性を踏まえ、事業区分及び事業活動の実態を適切に表すとともに、事業
内容を明瞭に表現する目的で、当事業年度の期首より、報告セグメントを「農家の直売所事業」及び「産直卸事
業」の2区分に変更し、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数字で比較分析しておりま
す。
イ.農家の直売所事業
農家の直売所事業では、当社及び業務委託先が運営する集荷場で登録いただいた生産者から農産物を出荷し、原則翌日にスーパー等の「産直コーナー」で販売する独自の流通プラットフォームを提供しております。
当事業年度は、既存委託販売先との取引維持・拡大に加え、新規委託販売先の獲得に努めてまいりました。また、登録生産者獲得のため、集荷場の統廃合を進め、営業活動を行ってまいりました。
これにより、流通総額は11,946,572千円(前事業年度比4.3%増)、流通点数は64,653千点(前事業年度比0.5%減)、売上高は3,957,403千円(前事業年度は3,870,885千円)、セグメント利益は480,636千円(前事業年度比8.3%増)となりました。
ロ.産直卸事業
産直卸事業では、当社が生産者から直接農産物を買い取り、商品の「パッケージ」、売場の「POP」、生産者のおすすめ「レシピ」などで商品の付加価値を可視化し、スーパー等の通常の青果売場である「青果コーナー」で販売しております。
当事業年度は、スーパー等の取引先の旺盛なニーズに対応するため、全国の産地との連携拡大により商品供給を強化し、ブランディングを通じて販売力を強化するとともに、社内体制の整備に努めてまいりました。
これにより、流通総額及び売上高は1,235,266千円(前事業年度は867,017千円)、セグメント損失は18,722千円(前事業年度はセグメント損失62,185千円)となりました。
② 財政状態の概況
(資産)
当事業年度末における流動資産は、前事業年度末に比べ29,409千円減少し、1,977,519千円となりました。これは主に、現金及び預金の減少22,143千円、売掛金の増加36,167千円等によるものであります。
当事業年度末における固定資産は、前事業年度末に比べ42,473千円減少し、464,033千円となりました。これは主に、有形固定資産の減少21,402千円、無形固定資産の減少57,636千円、投資その他の資産の増加36,565千円によるものであります。
(負債)
当事業年度末における流動負債は、前事業年度末に比べ21,271千円減少し、1,188,477千円となりました。これは主に、買掛金の増加22,268千円、短期借入金の減少118,992千円、未払法人税等の増加23,932千円、未払消費税等の増加52,563千円等によるものであります。
当事業年度末における固定負債は、前事業年度末に比べ23,548千円減少し、354,189千円となりました。これは主に、長期借入金の減少22,998千円等によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末に比べ27,063千円減少し、898,886千円となりました。これは主に、資本金の増加50,015千円、資本準備金の増加50,015千円、利益剰余金の減少127,093千円によるものであります。
③ 当期のキャッシュ・フローの概況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、前事業年度末に比べ22,143千円減少し、1,064,091千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は53,249千円となりました(前年同期は198,900千円の支出)。これは主に、税引前当期純損失138,716千円、減価償却費64,914千円、減損損失28,170千円、投資有価証券売却益7,744千円、株式交付費6,921千円、売上債権の増加36,167千円、仕入債務の増加22,268千円、未払金の増加4,273千円、未払消費税等の増加52,563千円、法人税等の支払額2,801千円及び法人税等の還付額13,698千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は21,260千円となりました(前年同期は308,572千円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出8,113千円、無形固定資産の取得による支出12,810千円、関係会社株式の取得による支出16,873千円、投資有価証券の売却による収入14,564千円によるものであります
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は54,132千円となりました(前年同期は979,206千円の収入)。これは主に、短期借入金の純減少額118,992千円、長期借入れによる収入49,500千円、長期借入金の返済による支出77,052千円、株式の発行による収入93,108千円によるものであります。
(2)生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
② 受注実績
当社は受注による販売を行っておりませんので、該当事項はありません。
③ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
区分 |
当事業年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
農家の直売所事業(千円) |
3,957,403 |
産直卸事業(千円) |
1,235,266 |
合計(千円) |
5,192,670 |
(注)1.最近2事業年度の主な取引先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。なお、下記金額には、委託販売システムにおけるスーパー等での販売実績に応じた手数料を含めております。
取引先 |
前事業年度 (自 2020年9月1日 至 2021年8月31日) |
当事業年度 (自 2021年9月1日 至 2022年8月31日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
イオンリテール株式会社 |
517,640 |
10.9 |
426,356 |
8.2 |
株式会社ライフコーポレーション |
483,926 |
10.2 |
628,982 |
12.1 |
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1財務諸表等(1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 当事業年度の経営成績等
1.売上高
当事業年度における売上高は5,192,670千円となりました。その主な内訳は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の概況」に記載のとおりであります。
2.売上原価・売上総利益
売上原価は2,367,192千円となりました。主な内訳としては、スーパー等の需要旺盛に伴う卸販売が増加したことによるものであります。その結果、売上総利益は2,825,478千円となりました。
3.販売費及び一般管理費・営業利益
販売費及び一般管理費は2,948,502千円となりました。主な内訳としては、物流費886,794千円、給料及び手当478,873千円、販売手数料330,710千円、業務委託費288,621千円であります。これらにより、営業損失は123,024千円となりました。
4.営業外損益・経常利益
営業外収益は22,754千円となりました。営業外費用は10,276千円となりました。主な内訳としては、投資有価証券売却益7,744千円、補助金収入5,623千円、受取保険金3,139千円、株式交付費6,921千円であります。これらにより、経常損失は110,546千円となりました。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績に影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c. 資本の財源及び資金の流動性の分析
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、商品仕入高、物流費、人件費及び業務委託費であります。
また、設備資金需要といたしましては、集荷場の改修並びに補強やシステム改修等があります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としており、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金の活用及び金融機関からの短期借入金と長期借入金によっております。
d. セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の概況」に記載のとおりであります。
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