文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社は、「持続可能な農産業を実現し、生活者を豊かにする」をビジョンに掲げ、「農業に情熱を」を合言葉に、日本から世界から農業がなくならない仕組みを構築することを目的としております。そのためにまずは、ミッションである「ビジネスとして魅力ある農産業の確立」を実践しております。具体的には、当社の主な事業のうち「農家の直売所事業」において、生産者とスーパー等の産直コーナーをつなぐプラットフォームを構築しております。また、「産直卸事業」では、商品の付加価値の見える化をしてスーパー等の「青果コーナー」で販売しております。今後も、両事業を日本全国や海外に広げ、企業価値及び株主価値の向上を目指してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社の売上高は流通総額の手数料が主であることから、流通総額及び流通総額成長率を重要な経営指標と定めております。流通総額を向上させる参考指標として、スーパー等への導入店舗数と登録生産者数も重視しております。
流通総額成長率10%を継続的に維持していくことを目標とし、企業価値及び株主価値の向上を目指してまいります。
(3)中長期的な会社の経営戦略
当社は、ビジョンである「持続可能な農産業を実現し、生活者を豊かにする」を達成するため、中長期的な視点で事業に取り組んでいくことが重要であると考えております。ビジネスとして魅力ある農産業の確立に向けて、農家の直売所事業においては、当社が展開しているプラットフォームをソフト面及びハード面での改善を徹底し、それらの仕組みを重層化させます。また、産直卸事業においては、全国の産地との連携拡大により商品供給を強化し、当社の強みであるブランディングを通じて販売力向上を目指します。これらにより、安心・安全な農産物を提供するとともに、適正な収益の獲得を心掛けて、事業を進めてまいります。
この基本方針のもと、以下の3点をプラットフォームのさらなる拡大・強化のために取り組んでまいります。
a.仕入力強化
生産者や大規模生産法人のみにとどまらず、全国の産地との連携拡大を進めてまいります。全国の青果市場と連携し、販路及び産地を相互活用し、特に産直卸事業での仕入力を強化いたします。さらに、拡大が見込まれる有機農産物について、農家の直売所事業及び産直卸事業での取扱いを拡充いたします。
b.物流機能の拡充
大田市場(東京都大田区)内の当社の物流センターと大田市場近郊に開設した当社の流通加工センターを始めとするセンター機能を活用し、中・大規模生産者からの集荷拡大を狙い、物量の安定化、調達の効率化、取引先の拡大を図ります。また、他の地域への展開や他社とのアライアンスを積極的に進めることで、物流プラットフォームのさらなる機能強化と物流効率の向上に取り組みます。
c.ITプラットフォームの高度化
蓄積された生産・販売データからなるビッグデータとAI等の先端技術を活用し、受発注業務のシームレス化と需給バランスの最適化を図っていきます。消費者動向等の情報を分析・予測し、需給調整機能の高度化により、全国の農産物流通全体を支えるプラットフォームの構築を目指します。
今後もスーパー等を中心とした小売店での展開を軸としつつ、流通総額のさらなる拡大と成長スピードを加速していくため、ECやドラッグストア販売等、新規事業への応用も見据え、物流、IT及び人材への投資を積極的に整備・拡充してまいります。
(4)経営環境及び対処すべき課題
当社が展開している農家の直売所事業及び産直卸事業は、食の安心・安全への生活者の意識の高まりもあり、今後も引き続き高い成長が続くと見込んでおります。
そのような環境の中、当社は、持続的かつ安定的な成長を維持すべく、以下の事項を対処すべき課題として事業を進めてまいります。
① 農家の直売所事業における新規委託販売先の獲得と既存委託販売先の取引拡大
当社は、農家の直売所事業において、特定の委託販売先に対する依存度が高い傾向にありますが、当社が継続的に成長・発展していくためには、既存委託販売先との取引の維持・拡大に努めるとともに、新規委託販売先の獲得が必要と考えております。
このため、営業体制の強化を図るとともに、委託販売先のニーズに合った農産物の供給等のサービス強化も図ってまいります。
② 登録生産者へのサービスの拡充・新規登録生産者の獲得
当社は、登録生産者に対して、日々の売上情報や農産物ごとの相場情報等を提供しておりますが、今後、新規の生産者の確保や既存の生産者の離反を防ぐためにもさらなるサービスの拡充を図ってまいります。また、当社は、農家の直売所事業において、集荷場を開設し営業活動を行うことで、新規登録生産者を獲得しておりますが、今後、当社が継続的に成長・発展していくために、ポータルサイト等を活用した方法により、新規登録生産者を獲得していく方針であります。
③ 農産物の安全性
当社は、登録生産者等が持ち込む農産物の安全性については、登録生産者との間で、「農産物は、新鮮でかつ農薬安全使用基準を守って栽培されたもの(栽培履歴の明示ができるもの)であること」、「食品加工物についてはJAS法、食品衛生法等関連法規を守っていること」、「商標法等法令に抵触する商品でないこと、また、当社の事業理念や企業イメージに抵触する商品でないこと」といった規定を設けておりますが、スーパー等や生活者に、より「安心・安全」であることを訴求するために、今後さらなる農産物の安全性管理の強化を図っていく方針であります。
④ 海外展開
当社は、農家の直売所事業において、現在は日本国内を中心として展開しておりますが、少子高齢化の問題により、日本国内の市場は今後縮小していくものと予想されております。また一方で、「安心・安全」な日本産農産物の需要は海外でも高まっております。当社が継続的に成長・発展していくために、関連会社の株式会社世界市場を通じて、海外への事業展開を推進してまいります。
⑤ 経営管理体制の強化
当社では、コーポレート・ガバナンス体制及び内部管理体制の強化、災害対策及び事業継続計画等、経営管理体制の強化が重要であると考えております。
このため、社員教育、組織体制や規程の整備・見直し等を定期的に実施することにより、経営管理体制の強化に努めてまいります。
⑥ 人材の確保と育成
当社は、事業の継続的な拡大のために、事業の規模や質に合わせた優秀な人材の確保、組織体制の整備及び従業員のモチベーションの維持・向上に努めていく方針であります。
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