(1)経営成績
当連結会計年度(2021年5月21日~2022年5月20日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染再拡大に伴い、対象地域への度重なる緊急事態宣言の発令やまん延防止等重点措置の適用により、企業活動や個人消費が収縮した状況が続いております。ワクチン接種の進行に伴い経済活動の活発化が期待されておりますが、新たな新型コロナウイルスの変異株の流行により収束が見通せず、また、エネルギー価格や原材料価格の高騰に伴うインフレ圧力の高まりなどを背景に先行きが不透明な状況は今後も継続すると想定されます。
ドラッグストア業界におきましては、マスクや手洗い等の習慣化による消費行動の変化に伴い、衛生関連商品等の需要が増加する一方、化粧品や一般用医薬品の需要の落ち込み等の影響は現在も続いております。このような消費行動の著しい変化に加え、異業種を含む競合他社との熾烈な出店競争や価格競争、さらには業界上位企業による経営統合やM&A等の寡占化が進んでおり、経営環境は一層厳しさを増しております。
当社グループでは、このような環境のもと、従業員のマスク着用の義務付けや店舗出入口への消毒用アルコールの常設、レジへの飛沫防止パーテーションの設置等、感染予防対策を徹底し、お客様が安心して来店できる店舗づくりに注力いたしました。また、新型コロナウイルス感染症の感染不安を感じる地域の皆様に向けて、PCR・抗原検査キットの無料検査事業に参加いたしました。引き続き、地域のかかりつけ薬局として調剤併設率の向上を図るとともに、生鮮食品等の品揃え強化を行うことで「フード&ドラッグ」を実現し、お客様により一層、利便性を提供できるよう努めてまいります。
店舗の新設につきましては、ドラッグストアを北信越に33店舗、東北に10店舗、関東に25店舗、東海に13店舗、関西に21店舗の合計102店舗の出店を行い、さらなるドミナント化を推進いたしました。
また、ドラッグストア併設調剤薬局を北信越に25薬局、東北に9薬局、関東に41薬局、東海に20薬局、関西に5薬局の合計100薬局を新規に開設いたしました。一方、ドラッグストア5店舗(スクラップ&ビルドによる退店)・スーパーマーケット7店舗を閉店いたしました。
なお、2021年5月21日付で、当社の子会社である株式会社クスリのアオキが食品スーパーを展開する有限会社サン・フラワー・マリヤマ(石川県)を吸収合併いたしました。また、同年6月1日付で、当社の子会社である株式会社ナルックスが食品スーパーや飲食店等を展開する株式会社スーパーマルモ(茨城県)のスーパーマーケット事業を会社分割(吸収分割)により承継いたしました。これに伴い、スーパーマーケット3店舗が新規増加店舗となります。
さらに、2022年3月1日付で、当社の子会社である株式会社クスリのアオキが食品スーパーを展開する株式会社一二三屋(福島県)、株式会社ホーマス・キリンヤ(岩手県)及び株式会社フードパワーセンター・バリュー(岩手県)を吸収合併いたしました。
これにより当連結会計年度末の当社グループの店舗数は、ドラッグストア819店舗(うち調剤薬局併設460店舗)、調剤専門薬局6店舗、スーパーマーケット1店舗の合計826店舗となっております。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上高3,283億35百万円(前年同期は3,058億80百万円)、営業利益140億70百万円(前年同期は166億19百万円)、経常利益157億85百万円(前年同期は173億44百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益98億39百万円(前年同期は120億62百万円)となりました。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を、当連結会計年度の期首から適用しております。これにより、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、経営成績に関する説明において前年同期比(%)は記載しておりません。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表注記事項(会計方針の変更)」をご参照ください。
当社グループは、当連結会計年度を含む、直近3連結会計年度において、過去最高の売上高を更新し、安定した財務基盤の構築と収益性の向上に努めてまいりました。今後も持続的な成長の実現に向けて、企業価値の向上を引き続き推進してまいります。
商品部門別の売上高の概況は次のとおりです。
① ヘルス部門(医薬品や健康食品等)
セルフメディケーション(自己治療)意識の高まりに応え、専門性の強化と品揃えの充実を行ってまいりました。その結果、ヘルス部門の売上高は364億9百万円(売上構成比11.1%、前年同期は359億83百万円)となりました。
② ビューティ部門(カウンセリング化粧品やフェイスケア商品等)
お客様の健康と美に対する関心の高まりに応え、品揃えの拡充やカウンセリング化粧品・フェイスケア商品・ヘアケア商品の販売強化を行ってまいりました。その結果、ビューティ部門の売上高は482億41百万円(同14.7%、同473億6百万円)となりました。
③ ライフ部門(ベビー関連商品、家庭用品、衣料品等)
お客様の利便性の向上を図るために、主として家庭用品の品揃えの充実に、より一層努めてまいりました。その結果、ライフ部門の売上高は690億91百万円(同21.0%、同647億41百万円)となりました。
④ フード部門(食料や飲料等)
お客様の日常生活を支えるために、食品や飲料の品揃えの充実に、より一層努めてまいりました。その結果、フード部門の売上高は1,390億59百万円(同42.4%、同1,273億65百万円)となりました。
⑤ 調剤部門(薬局にて処方する医療用医薬品)
新規にドラッグストア併設調剤薬局100薬局を開局するとともに、接遇の充実に努めてまいりました。その結果、院外処方箋の枚数が増加し、調剤部門の売上高は355億31百万円(同10.8%、同304億85百万円)となりました。
(2)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は2,342億1百万円となり、前連結会計年度末に比べ382億83百万円増加いたしました。主な増加要因は、新規出店等による建物及び構築物の増加170億7百万円、現金及び預金の増加106億13百万円、建設仮勘定の増加24億94百万円、リース資産の増加20億61百万円等によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は1,472億70百万円となり、前連結会計年度末に比べ290億円22百万円増加いたしました。主な増加要因は、新規店舗の設備投資を使途とする長期借入金(1年以内返済含む)の増加213億98百万円、支払手形及び買掛金の増加27億10百万円、リース債務の増加16億82百万円、資産除去債務の増加16億81百万円によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は869億30百万円となり、前連結会計年度末に比べ92億61百万円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益98億39百万円の計上によるものです。
(3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は263億48百万円(前年同期比67.5%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、202億86百万円(前年同期は138億50百万円の収入)となりました。
これは主に、税金等調整前当期純利益145億79百万円に対して、収入の主な内訳は非資金費用である減価償却費87億86百万円であり、支出の主な内訳はポイント引当金の減少27億19百万円、売上債権の増加22億54百万円、法人税等の支払額46億86百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、277億71百万円(前年同期は255億28百万円の支出)となりました。
これは主に、新規出店等による有形固定資産の取得による支出265億42百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は180億98百万円(前年同期は81億2百万円の収入)となりました。
これは主に、新規店舗の建物建築資金等を使途とする長期借入れによる収入301億円88百万円、長期借入金の返済による支出92億23百万円、リース債務の返済による支出17億41百万円、配当金の支払額7億80百万円等によるものであります。
(4)仕入及び販売の実績
当社グループは医薬品・化粧品等の小売業という単一セグメントであるため、仕入実績は商品部門別に、販売実績は商品部門別及び地域別に記載しております。なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を、当連結会計年度の期首から適用しております。これにより、前連結会計年度と収益の会計処理が異なることから、前年同期比(%)は記載しておりません。
① 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績を商品部門別に示すと、次のとおりであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2021年5月21日 至 2022年5月20日) |
構成比(%) |
|
ヘルス |
(百万円) |
23,771 |
9.9 |
ビューティ |
(百万円) |
32,161 |
13.4 |
ライフ |
(百万円) |
51,470 |
21.4 |
フード |
(百万円) |
109,918 |
45.8 |
調剤 |
(百万円) |
22,817 |
9.5 |
合計 |
(百万円) |
240,140 |
100.0 |
(注)1.上記の金額は、物流益等(店舗への直送受託収入から直送委託費用を控除した物流益及び発注にかかるデ
ータ収入)を控除しておりません。
2.ヘルス、ビューティ、ライフ、フード、調剤の主な取扱品目は以下のとおりであります。
ヘルス …医薬品、ビタミンサプリメントやダイエットサプリメント等の健康食品、救急用品や健康管理用品等の医療用品
ビューティ…カウンセリング化粧品、洗顔料等のフェイスケア商品、ボディソープ等のボディケア商品、シャンプー等のヘアケア商品、歯磨等のオーラルケア商品
ライフ …菓子・飲料等の食品、オムツ等のベビー関連商品、介護用品、生理用品、洗剤、家庭用品、ペットフード、靴下や肌着等の衣料用品、家電用品
フード …加工食品、日配食品、生鮮食品、調味料、菓子、飲料、酒等の食品
調剤 …薬局にて処方する医療用医薬品
② 販売実績
a.商品部門別販売実績
当連結会計年度の販売実績を商品部門別に示すと、次のとおりであります。
区分 |
当連結会計年度 (自 2021年5月21日 至 2022年5月20日) |
構成比(%) |
|
ヘルス |
(百万円) |
36,409 |
11.1 |
ビューティ |
(百万円) |
48,241 |
14.7 |
ライフ |
(百万円) |
69,091 |
21.0 |
フード |
(百万円) |
139,059 |
42.4 |
調剤 |
(百万円) |
35,531 |
10.8 |
合計 |
(百万円) |
328,335 |
100.0 |
b.地域別販売実績
当連結会計年度の販売実績を地域別に示すと、次のとおりであります。
区分 |
店舗数(店) |
当連結会計年度 (自 2021年5月21日 至 2022年5月20日) |
構成比(%) |
|
北信越 |
(百万円) |
334 |
161,991 |
49.3 |
東北 |
(百万円) |
47 |
14,642 |
4.5 |
関東 |
(百万円) |
237 |
81,816 |
24.9 |
東海 |
(百万円) |
148 |
50,669 |
15.4 |
関西 |
(百万円) |
60 |
19,214 |
5.9 |
合計 |
(百万円) |
826 |
328,335 |
100.0 |
(注)店舗数は当連結会計年度末現在のものであります。
(5)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、必要と思われる見積りを合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(固定資産の減損処理)
当社グループは重要な店舗資産を有しており、市場価額の著しい下落又は収益性の悪化により、回収可能価額が帳簿価額を下回った資産グループについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として特別損失に計上しております。回収可能価額の算定にあたっては、決算時点で入手可能な情報に基づき合理的に判断しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の業績は、売上高3,283億35百万円、営業利益140億70百万円、経常利益157億85百万円、親会社株主に帰属する当期純利益98億39百万円となりました。
なお、この詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績」に記載しております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
ドラッグストア業界におきましては、出店・価格競争に加え、経営統合や業務・資本提携の動きがさらに進み、より一層激しい企業間競争が予想され、客数の減少や売上総利益率の低下、物件の確保など懸念材料が存在しております。これらは当社の業績や財政状態に影響を与える可能性があります。これらに加えて法的規制等の影響も受けております。
なお、この詳細は「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。
④ 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は2,342億1百万円、負債の合計は1,472億70百万円、純資産は869億30百万円となりました。
なお、この詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)財政状態」に記載しております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは主に営業活動によって得られた資金により、また必要に応じて、経済動向、金融市況を踏まえた調達手段によって得られた資金により、新規出店及び既存店舗の改装に係る設備投資をおこなっています。
なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細は「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (3)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
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