業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当事業年度(2021年4月1日~2022年3月31日)における国内の電子工業は、計測・測定機器、通信機器、半導体設備関連等の産業機器の生産額が前年比で増加した一方、世界的な半導体等一部の電子部品の不足が続いております。経済活動は新型コロナウイルス感染拡大の影響から徐々に持ち直しの動きがみられるものの未だ収束の兆しが見えず、さらにウクライナ情勢の緊迫化が加速し依然として経済の見通しは不透明であります。

 当社では今後2-3年の短期視点だけではなく、より長期的な世の中の変化をトレンドとして捉えた経営が必要になると考え、当事業年度において2022年度から2030年度に渡る、「長期ビジョンに基づく中期経営計画」を策定し、公表しました。今後予想される産業・技術トレンドの変化、地政学的リスク、サステナビリティ課題など幅広く検討しながら、「ピーバンドットコムが2030年のありたい姿」を明確にし、「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供」の実現を目標に事業運営を進めてまいります。

 当社の主力事業であるプリント基板EC「P板.com」事業では、中堅・大手企業の利用が増加傾向にあり、さらなる利用拡大のためには、従来のEC販売による効率的な受注システムに加え、人による顧客サポートの充実が重要な突破口になると考え、「仕組み(知的資本)×人間(人的資本)」のハイブリッドによる拡販戦略を開始しました。当期はとくに「人間(人的資本)」によるサポート強化のため個別営業プロジェクト「CSサクセス」を立ち上げ、顧客への接点強化を図るため有望顧客へ直接コンタクトし、顧客ニーズの深堀を進めました。このことは受注拡大への地盤作りに貢献しました。また、並行して従来のカスタマーサポート業務の業務効率の見直しを行い、「CSサクセス」に人材シフトする取り組みを実施しました。

 潜在顧客開拓の活動は、Google等検索エンジンへのインターネット広告(リスティング広告)による新規ユーザー獲得が中心ですが、当事業年度中に実施した有望ハードウェアスタートアップ企業への投資を手掛けるファンドへの投資により、注目技術を有する企業と連携し、技術者向けのオンラインセミナーのラインナップを刷新し、新規ユーザー登録の誘導を図りました。また、自動車関連事業を後押しするファンドへの投資を実行するとともに、当社サービスへの誘致を行い、その結果、累計ユーザー登録数は前期末61,559名から、66,238名(前期末比7.6%増)となりました。

 しかし、電子機器の一括受託生産を行う「P板.com EMS」においては、世界的な半導体等一部電子部品不足の影響を受けて生産台数に制限が出るなど、受注計画への影響が発生しております。

 以上の結果、当事業年度の売上高は1,932,744千円(前年同期比2.8%減)、販売費及び一般管理費は462,573千円(前年同期比3.5%増)、営業利益197,877千円(前年同期比3.3%減)、経常利益は199,020千円(前年同期比5.0%減)、当期純利益は137,363千円(前年同期比3.8%減)となりました。

 

当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ145,476千円増加し、1,153,042千円となりました。キャッシュ・フローの状況とその要因は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における営業活動による資金の増加は228,573千円となりました。これは、税引前当期純利益199,020千円の計上、減価償却費17,931千円の計上、株式報酬費用の計上7,761千円、仕入債務の増加△36,085千円、売上債権の減少84,012千円、棚卸資産の減少14,736千円、法人税等の支払額△57,338千円等によります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における投資活動による資金の減少は57,064千円となりました。これは、無形固定資産の取得による支出△25,942千円、投資有価証券の取得による支出△27,500千円等によります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度における財務活動による資金の減少は26,039千円となりました。これは、株式の発行による収入11,592千円、配当金の支払による支出△37,631千円によります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は、生産活動を行っていないため、生産実績は記載しておりません。

 

b.商品仕入実績

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における仕入実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

1,257,556

93.4

(注)金額は仕入価格によっております。

 

c.受注状況

 当社は受注から販売までの期間が短く、販売実績と近似するため記載を省略いたします。

 

d.販売実績

 当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は次のとおりであります。

当事業年度

(自 2021年4月1日

至 2022年3月31日)

金額(千円)

前年同期比(%)

1,932,744

97.2

(注)主要な仕入先については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略いたします。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 なお、当社はプリント基板のEコマース事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載を省略しております。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっての会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりです。なお、この財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。

 財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

② 財政状態の分析

a.資産の部

 当事業年度末における総資産は1,608,084千円となり、前事業年度末と比較して80,548千円の増加となりました。主な要因は、現金及び預金145,476千円、ソフトウェア10,162千円、保険積立金2,292千円、投資有価証券27,500千円が増加した一方、売掛金82,681千円、商品14,736千円が減少したこと等によります。

 

 

b.負債の部

 当事業年度末における負債合計は307,160千円となり、前事業年度末と比較して37,428千円の減少となりました。主な要因は、未払法人税等3,865千円が増加した一方、買掛金36,085千円、未払金3,280千円が減少したこと等によります。

 

c.純資産の部

 当事業年度末における純資産合計は1,300,924千円となり、前事業年度末と比較して117,976千円増加となりました。主な要因は、利益剰余金が当期純利益を計上したことにより137,363千円増加、配当金の支払により利益剰余金が37,562千円減少したことに加え、新株予約権の行使により、資本金が5,853千円、資本剰余金が5,853千円増加し、自己株式の処分により自己株式が7,962千円減少したこと等によります。

 

 資金の運用は安全性の高い商品による運用方針としており、現状は現金及び預金が総資産の中心です。当期末時点の自己資本比率80.9%、また流動比率484.4%と、安全性の高い財務体質を目指しております。

 

③ 経営成績の分析

a.売上高

 当事業年度の売上高は、1,932,744千円と前事業年度と比べ56,538千円(2.8%)の減収となりました。主力事業であるプリント基板ECは前年比で増加しましたが、半導体不足の影響によりP板.com EMSの売上高が減少したことによるものです。

 詳細は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

b.売上原価

 当事業年度の売上原価は、1,272,293千円と前事業年度と比べ65,140千円(4.9%)の減少となりました。主な要因としては、売上高が前事業年度と比べ減少したこと等によるものです。

c.販売費及び一般管理費

 当事業年度の販売費及び一般管理費は、462,573千円と前事業年度と比べ15,427千円(3.5%)の増加となりました。主な要因としては、受注拡大に向けたマーケティング分析等により広告宣伝費が5,096千円、当社WEBサイトの利便性向上促進により減価償却費が1,853千円増加したこと等によります。

d.営業外収益、営業外費用

 当事業年度の営業外収益は、2,236千円と前事業年度と比べ2,825千円(55.8%)の減少となりました。主な要因としては、協賛金収入が1,800千円減少したこと等によるものです。

 当事業年度の営業外費用は、1,093千円と前事業年度と比べ922千円(541.4%)の増加となりました。主な要因としては、為替差損が923千円増加したこと等によるものです。

 

 これらの結果により、当事業年度の営業利益は197,877千円、経常利益は199,020千円、当期純利益は137,363千円となりました。

 

④ キャッシュ・フローの分析

 当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。

 当社の資本の財源及び資金の流動性については、次のとおりであります。

 当社の運転資金需要のうち主なものは、提携仕入先への仕入原価のほか、人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。なお、これらの資金需要に対しては、内部資金によりまかなっており、有利子負債による資金調達は行っておりません。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載しております。

 

⑥ 経営戦略の現状と見通し

 経営戦略の現状と見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
 当社は、「開発環境をイノベーションする」という経営理念を掲げ、国内の電気電子企業のDX化を推進するサービスを提供しております。IoTや5Gといった市場が今後本格化していき、様々な業界の新規参入が見込まれております。当社が展開しているEコマース事業の形態は、新規参入の企業にとって利用しやすい形態であり、市場の成長と共に当社の事業も拡大していくものと見込んでおります。

 

⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を行うために、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題に対処していくことが必要であると認識しております。今後の市場拡大のニーズを取り込むためには、コア事業の「P板.com」、サービス領域を拡大した「P板.com EMS」の事業の成長が不可欠であり、さらに、それらの受発注を少数精鋭で効率的に行うことにより、事業の成長を図っていく方針であります。

 

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得

お知らせ

tremolo data Excel アドインサービス Excel から直接リアルタイムに企業の決算情報データを取得