課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。

(1)経営方針

 当社は、「開発環境をイノベーションする」という経営理念(Mission)を掲げ、国内の電気電子企業のDX化を推進しております。経営理念を実践するために、以下の経営目標(Vision)、行動規範(Value)を掲げております。

 

・経営理念(Mission)
「開発環境をイノベーションする」

・経営目標(Vision)
「誰でも簡単にアイデアを具現化できるサービスの提供-GUGENプラットフォームの構築-」

・行動規範(Value)
「ワクワクするチャレンジを選ぶ」
「誠実で素直な気持ち、感謝の心とユーモア、思いやりと協調性をもち、
 努力を惜しまず、成果はみんなでわかちあう」

 

(2)経営戦略

 当社が持続的な事業成長を続けていく為には、今後2-3年の短期視点だけではなく、より長期的な世の中の変化をトレンドとして捉えた経営が必要になると考え、2021年12月10日、「長期ビジョンに基づく中期経営計画」を策定し、公表しました。今後予想される産業・技術トレンドの変化、地政学的リスク、サステナビリティ課題など幅広く検討しながら、「ピーバンドットコムが2030年のありたい姿」を明確にしました。2022年度から2030年度の9ヵ年に渡る計画期間を定め、2030年のありたい姿実現のため事業運営を進めてまいります。

 

 長期ビジョンに基づく中期経営計画の概要は以下となります。

 

・計画期間(中期経営計画全体:2023年3月期~2031年3月期の9年間)

第1次中期経営計画:2023年3月期~2025年3月期

テーマ「飛躍に向けての基盤構築」

第2次中期経営計画:2026年3月期~2028年3月期

テーマ「新たな成長の始動―GUGEN プラットフォーム構築 第2章」

第3次中期経営計画:2029年3月期~2031年3月期

テーマ「変革への挑戦-GUGENプラットフォームのその先へ」

 

・ピーバンドットコムが2030年にありたい姿

誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供

 

・第1次中期経営計画の内容

①基本方針

既存事業の拡大・強化を主体とする「地に足の着いた」事業戦略

 

②事業展開の戦略

プリント基板事業の拡大、EMS事業のテイクオフ、「第3の事業の柱」の探索と種まき

 

③戦略投資と事業提携の加速

人材育成などによる人的資本の強化、知的資本投資による仕組みの強化

思いを共にするパートナーとの事業提携検討

 

④KPIマネジメント

売上成長KPI(売上高、購入客数、単価、事業別シェア、LTV)

収益管理KPI(営業利益率、ROE(ROIC))

品質管理KPI(クレーム発生率、納期遵守率)

 

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、事業活動の成果を示す①売上高、少数精鋭で効率的な事業展開を図る指標として②営業利益率、③ROEを重要な経営指標としております。

 

(4)経営環境及び財務上の対処すべき課題等

 当社を取り巻く環境では、新型コロナウイルス感染拡大により引き起こされた半導体不足による電子部品の供給への影響が改善すれば、5GやIoT、自動車市場のCASEなどの後押しもあり、国内電子部品・デバイス産業の市場規模は一段と拡大していくものと予測されます。また、カーボンニュートラルを始めとするESGへの取組を強化しながら、事業計画を進める必要があります。

 当社は、2030年に達成する「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供」の実現のため、以下の課題に取り組んでまいります。

 

①プリント基板EC事業のシェア拡大

 現在のコア事業であるプリント基板EC「P板.com」で獲得を目指す電子回路基板、及び電子回路実装基板の国内生産額は約1兆3千億円で、市場規模を勘案すると、多くの獲得余地があります。製品開発を行うクライアントは当社の提供するGUGENプラットフォームを利用することで開発協業、生産管理、資材調達等のDX化が進み、スピーディな開発が行えます。また、提携基板メーカにおいても、当社のGUGENプラットフォームを活用することで、営業活動やマーケティング活動が効率的なものとなり複合的なものづくりの機会が増加します。

 今後、プリント基板の国内市場シェアを拡大するためには、20年間培ってきたWEBマーケティングや受発注の自動化などの「仕組み」に、「人間」の営業力を掛け合わせたハイブリッドなクライアント対応を行うことで、GUGENプラットフォームの利用促進を図ることが重要であると考え、新たな人材投資を加速いたします。そこで新たなサービスの芽生えと新しい仕組みの開発によりプラットフォームを深化させてまいります。

 クライアント、提携基板メーカの双方にとってより良いプラットフォームが提供出来るよう引き続き努めてまいります。

 

②P板.com EMSの拡販

 事業基盤の拡大のためには、既存顧客により幅広く当社サービスをご利用いただくことが重要です。2020年に開始した電子機器の一括受託生産を行う「P板.com EMS」は、製品の試作から出荷までの一気通貫したサービスで、これまで以上に当社サービスの利便性を実感していただくことができる新規事業です。とくに、近年需要が拡大しているIoT関連製品の一括受託生産を得意としており、堅調に実績を拡大しております。プリント基板ECの利用と比べ高単価で、売上規模の拡大に期待が出来ますが、半導体等一部の電子部品不足の影響を受け、当社の期待する売上拡大が見込めておりません。

 当社は独自のサプライチェーンを構築し、ファブレス形態によりEMSの受注を行っておりますが、さらなる提携を行い、部材調達力を強化することによる安定的な量産体制の構築が喫緊の課題と認識しております。

 また、P板.com EMSの拡販にはサービスのシステム化が重要で、現在、専門人員が行っているクライアント対応をWEBシステム化し、手軽に利用できる仕組みの構築を進め、幅広くサービスをご利用いただけるよう努めてまいります。

 

③第3の事業の柱の探索と種蒔き

 当社は創業よりプリント基板ECを事業の柱として、業容を拡大してまいりました。近年では、プリント基板ECサービス利用者からの需要に応える形でP板.com EMSを立ち上げ、第2の事業の柱として事業の拡大時期に差し掛かる段階にあります。当社が目指す「誰でも簡単にアイデアさえあればモノが具現化できるサービス(世界)の提供」のためには、プリント基板EC、P板.com EMSのさらなる拡大が必要不可欠で、拡大戦略の中で様々な派生した周辺サービスを立ち上げていく中で、それらを新たな事業の柱に成長させることも視野にいれております。

 当社が策定した3つの期間からなる中期経営計画において、第2次期間(2026年3月期〜2028年3月期)での事業拡大に貢献できるよう、第1次期間中から新規事業に創出に向けた活動を行ってまいります。

 新規事業の候補には、経営理念の「開発環境をイノベーションする」を念頭におき、長期的な経営環境の変化を見据えて、サステナビリティ課題への対応も考慮に入れながら選定し、企業成長と社会課題解決の同時追求、持続性あるビジネスモデルの構築を進めてまいります。

 

 

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