当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウィルス感染症に係るまん延防止等重点措置が2022年3月に終了し、経済活動の制限が徐々に緩和されつつあるものの、ロシアによるウクライナ侵攻に伴い資源価格が高騰しているのみならず、円安が急進しており、様々な物価が高騰し、2022年7月にはオミクロン株がBA.5に置き換わり新型コロナウィルス第7波が到来する等、先行き不透明な状況が続いております。
外食業界におきましても、同様にロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰や円安、様々な物価の高騰、新型コロナウィルス第7波の到来等により引き続き厳しい状況になっております。
このような状況の中、当社グループでは、「変えよう、毎日の美味しさを。広めよう、世界に喜びを。」をVISIONとして、日々の食を美味しくすることで、お客様の生活や人生までゆたかにしたいという願いに向けて、商品開発、店内調理、安心・安全の取り組み及びサービスの向上に取り組んでまいりました。
また、業態別店舗数は以下のとおりであります。
[当社グループ業態別店舗数]
( )内は内数でテイクアウト専門店・FCの店舗数
以上の結果、財政状態及び経営成績の状況は以下のとおりとなりました。
(資産)
総資産の残高は、前連結会計年度末に比べ35,981百万円増加し、331,982百万円となりました。
流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ19,151百万円増加し、67,993百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が21,270百万円増加したこと等によるものであります。
非流動資産の残高は、前連結会計年度末に比べ16,830百万円増加し、263,990百万円となりました。これは主に、新店出店等により有形固定資産が15,937百万円増加したこと等によるものであります。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末に比べ34,420百万円増加し、266,848百万円となりました。
流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ5,793百万円減少し、54,067百万円となりました。これは主に、リース負債が2,535百万円増加した一方で、未払法人所得税が6,641百万円、引当金が1,030百万円それぞれ減少したこと等によるものであります。
非流動負債の残高は、前連結会計年度末に比べ40,213百万円増加し、212,781百万円となりました。これは主に、社債及び借入金が30,027百万円増加したこと等によるものであります。
(資本)
資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,561百万円増加し、65,134百万円となりました。これは主に、配当金の支払により2,612百万円、自己株式の取得により2,020百万円それぞれ減少した一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上により3,607百万円増加し、為替換算調整額が2,188百万円増加したこと等によるものであります。
当連結会計年度の経営成績は、売上収益281,301百万円(前連結会計年度比16.8%増)、営業利益10,123百万円(前連結会計年度比55.8%減)、税引前利益7,564百万円(前連結会計年度比65.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益3,607百万円(前連結会計年度比72.6%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
(国内スシロー事業)
まん延防止等重点措置が2022年3月に終了し、店内飲食は徐々に回復に向かっております。国内スシローでは、「うまいすしを、腹いっぱい。うまいすしで、心も一杯。」を使命に、1984年の創業以来38年間続けておりました1皿100円(税抜き)のすしを提供し続けられるよう、食材の多様化や店舗でのIT化による効率化をはじめ様々な施策を実施してまいりました。
その一方で、円安や水産資源の減少等による食材の調達コスト、物流費、地代、人件費、設備・建設資材の高騰など、飲食業を含めた事業会社を取り巻く環境の変化はこれまでに無いほど急激で大きなものがあり、この度2022年10月1日より、国内におけるスシロー全店において、価格の改定を行っております。
価格改定前の大盤振る舞いとして、「スシロー100円祭」を第一弾から第五弾まで開催し、大切りうなぎや大切りびんちょう、生サーモンなどの人気商品を販売しました。
なお、国内スシロー事業におきましては、2022年6月に消費者庁より景品表示法に関する措置命令を受け、また同年7月には生ビールジョッキ半額の店内告知を一部店舗においてキャンペーン開始前に掲出するなど、お客様の信頼を損ねる事態を招きました。今後は同様の問題を起こさないために、コンプライアンスを遵守し、お客さまの声により耳を傾け、改善すべき点は徹底的に改善し、これまで以上にお客さまから愛されるお店作りを全社一丸となって追求し、お客さまの信頼回復に向けて取り組んでまいります。
以上の結果、国内スシロー事業の売上収益は218,058百万円(前連結会計年度比2.3%増)、セグメント利益は8,828百万円(前連結会計年度比65.8%減)となりました。
(海外スシロー事業)
新型コロナによる飲食店への営業規制が各国・地域において続いておりましたが、次第に緩和され、回復に向かっております。そのような中、アフターコロナを見据えて、中国大陸においては、広州で7店舗をオープンし、新たに深センにおいては1号店をオープンしました。また、成都においても出店を計画しております。その他の地域では、台湾4店舗、香港6店舗、シンガポール2店舗、タイ8店舗と、新規出店を継続しました。
また、来店客数の維持・拡大に向けて、スシロー一周年祭り(広州)、海老フェア(韓国)、大とろ40台湾ドルフェア(台湾)、とことん北海道三陸フェア(香港)、てんこ盛り祭り(シンガポール)、三貫盛りフェア(タイ)等、魅力的な販促・マーケティング施策を各地域で継続的に実施いたしました。
以上の結果、海外スシロー事業の売上収益は38,298百万円(前連結会計年度比125.5%増)、セグメント利益は2,191百万円(前連結会計年度はセグメント損失1,208百万円)となりました。
(京樽事業)
京樽ブランドにおいては、コロナ影響により、上期の売上回復は遅れたものの、マルチブランドのトライアルや、主要上方鮨および一部弁当商品の常温化(2022年9月)などの転換施策を継続的に実施いたしました。今後、セントラルキッチンを更に活用し、商品ラインアップを拡げ、陳列方法を工夫することで、目新しさの演出を強化し、更なる客数改善を図ります。
また、みさきブランドにおいても、上期のリブランディング後、コロナ影響による売上回復の遅れは見られましたが、全店のグランドメニュー刷新や、新皿会計システムの導入など、転換施策を継続的に実施いたしました。クイックに食事がしたいというお客様の声に応える、特急レーンと職人カウンターの両方を兼ね備えたハイブリッド店舗も2022年9月にオープンいたしました。お客様の求めるサービスの更なる検証を進めます。
以上の結果、京樽事業の売上収益は21,411百万円、セグメント損失は3,023百万円となりました。
なお、当事業につきましては、株式会社京樽の連結子会社化に伴い前第3四半期連結会計期間より連結の範囲に含めたことから、前年同期との比較が困難であるため、前年同期比を記載しておりません。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ21,270百万円増加し、50,637百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、29,514百万円(前連結会計年度比6.8%減)となりました。
これは主に、税引前利益7,564百万円、減価償却費及び償却費22,902百万円、減損損失6,821百万円、営業債権及びその他の債権の増加6,025百万円があった一方で、棚卸資産の増加が1,339百万円、法人所得税の支払額が12,775百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、19,647百万円(前連結会計年度比13.7%増)となりました。
これは主に、新規出店等に伴う有形固定資産の取得による支出が16,093百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は、10,539百万円(前連結会計年度比400.3%増)となりました。
これは主に、リース負債の返済による支出が14,905百万円、長期借入金の返済による支出が4,009百万円、配当金の支払額が2,609百万円あった一方で、長期借入による収入が34,000百万円あったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1) 仕入実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて「仕入実績」を記載しております。
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 京樽事業につきましては、株式会社京樽の連結子会社化に伴い前第3四半期連結会計期間より連結の範囲に含めたことから、前年同期との比較が困難であるため、前年同期比を記載しておりません。
(2) 受注実績
当社グループは、最終消費者へ直接販売する飲食業を行っておりますので、受注実績は記載しておりません。
(3) 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1 セグメント間取引については相殺消去しております。
2 京樽事業につきましては、株式会社京樽の連結子会社化に伴い前第3四半期連結会計期間より連結の範囲に含めたことから、前年同期との比較が困難であるため、前年同期比を記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、連結財務諸表の報告日の資産、負債、収益及び費用の金額に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
新型コロナウイルス感染症の当社グループの影響については、緊急事態宣言は解除され落ち着きを取り戻しつつあり、当社グループとしては、新型コロナウィルス感染症は2023年9月期以降には重要な影響を及ぼす可能性は低いとの仮定を置いて、将来キャッシュ・フローの見積りを行っております。
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 イ.財政状態」に記載しております。
(売上収益・売上総利益)
売上収益は、前連結会計年度に比べ40,497百万円増加(前連結会計年度比16.8%増)し、281,301百万円となりました。これは主に、国内88店舗及び海外28店舗の新規出店、2021年4月における株式会社京樽の買収、話題性の高いサイドメニューの提供や各種キャンペーンが売上に貢献したこと等によるものであります。
売上原価は、130,287百万円となり、売上原価率は前連結会計年度に比べ0.4ポイント上昇し46.3%となりました。これはロシアによるウクライナ侵攻に伴う資源価格の高騰や円安等によるものであります。
この結果、売上総利益は、前連結会計年度に比べ20,787百万円増加(前連結会計年度比16.0%増)し、151,014百万円となりました。
(販売費及び一般管理費・その他の収益・その他の費用・営業利益)
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ22,357百万円増加(前連結会計年度比19.3%増)し、138,025百万円となりました。これは主に、店舗数の増加に伴う人件費及び減価償却費及び償却費が増加したこと等によるものであります。
その他の収益は、前連結会計年度に比べ6,561百万円減少(前連結会計年度比59.0%減)し、4,558百万円となりました。これは主に、新型コロナウィルス感染症の補助金収入が減少したこと等によるものであります。また、その他の費用は、前連結会計年度に比べ4,646百万円増加(前連結会計年度比167.3%増)し、7,423百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に比べ減損損失が4,460百万円増加したこと等によるものであります。
この結果、営業利益は、前連結会計年度に比べ12,778百万円減少(前連結会計年度比55.8%減)し、10,123百万円となりました。
(金融収益・金融費用・持分法による投資損益・親会社の所有者に帰属する当期利益)
金融収益は、前連結会計年度に比べ431百万円増加(前連結会計年度比637.7%増)し、499百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に比べ為替差益が432百万円増加したこと等によるものであります。また、金融費用は、前連結会計年度に比べ159百万円増加(前連結会計年度比18.9%増)し、1,003百万円となりました。これは主に、前連結会計年度に比べ支払利息が165百万円増加したこと等によるものであります。
持分法による投資損益は、前連結会計年度に比べ損失が1,515百万円増加(前連結会計年度比280.3%増)し、2,056百万円となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度に比べ9,578百万円減少(前連結会計年度比72.6%減)し、3,607百万円となりました。
(経営成績に重要な影響を与える要因の分析について)
当社グループの売上及び費用は、経済情勢、他社との競合、消費者の嗜好の変化、食材価格、水道光熱費、新規出店、不動産賃料、自然災害、人件費等による影響を受けます。これらの変動要因が発生し、当社グループが適切に対応できなかった等の場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える他の要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループは、設備投資や運転資金のために、最適な資金確保と流動性の保持及び健全な財政状態を維持することを財務方針としております。
資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、銀行とコミットメントライン契約を締結しており、成長を維持するために必要とされる十分な流動性を確保していると考えております。
資金の流動性の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
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