課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、染色を基盤に豊富な事業領域をカバーする「化学素材メーカー」への転身を目指し、「美・健康・快適・安全・環境」の5つのテーマを軸に、人々の生活を豊かにする素材の開発・製造・販売を行います。

特に、事業環境が急激に変化する現在、こうした環境変化をいち早く感知し柔軟に対応していくための組織体制の強化と積極的な経営投資を実行します。具体的にはヘルスケア、機能性素材開発、地球環境保護の取り組みを強化してまいります。また、デジタル技術を活用した新規事業や新たなビジネスモデルをニューノーマル時代に合致させ、継続的に生み出せるような新体制を構築してまいります。このように、新規分野への開拓を通して新商品開発を積極的に進め、社会に貢献できる企業経営を目指します。

さらに、当社グループ内においては、激しい経営環境の変化に適切に対応し、グループ企業全体の事業活動の効率化、収益性の向上、キャッシュ・フロー重視の経営を行うとともに、地球環境保護、低エネルギー社会への対応やコンプライアンスを重視した経営を行ってまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは継続的な企業価値の向上を実現するためには、事業の成長性と収益性を高めることであると認識しています。なかでも収益性の追求は欠かせないものと考え、売上高営業利益率7%以上の更なる向上を目指して、たゆまぬ努力を継続してまいります。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、この2年間にわたり、新型コロナウイルス感染症拡大の影響による社会・市場・流通の大きな変化に伴い、新たなニーズに適合した技術開発及び新商品開発に努めてまいりました。あわせてトータルコストダウン等の企業体質の強化にも取り組みました。

今後の経営環境は、直近ではロシアによるウクライナ侵攻により、原燃料価格の高騰が加速し、世界経済・市場へ与える影響は必至となっております。こうした不透明な事業環境に置かれるなか、当社グループは困難な課題に直面しますが、全力で克服していかなければなりません。当社グループをとりまく事業環境の変化に耐えうる中期的な企業変革のための課題や、足元の過酷な事業環境の変化に即応する短期的な課題という両面の課題に対し、グループ一丸となって対応してまいります。

上記のような、多様な変化が渦巻く昨今の経済環境のもと、当社グループは「変化をとらえて改革実行 新たな高みへ再挑戦」をスローガンに掲げました。目まぐるしい変化を先取りするスピーディーな攻めの経営姿勢により、持続的な事業の発展を達成すべく、行動いたします。 
 

①持続可能な社会の実現に向けたSDGsの取り組み

既制定の「小松マテーレ・サステナビリティ・ビジョン(KSV)」に掲げた5つの課題への取り組みを加速させ、中でも地球環境にかかわる課題については、社会・顧客のニーズに応えるべく、優先的に取り組みます。また、老朽化が進む社会インフラの強靭化のため、「CABKOMA」、「グリーンビズ」をはじめとする先端資材・技術を活用した防災・減災事業の拡充を通じて社会貢献を図ってまいります。

KSVの取り組みにおいては、当社グループでは環境事業貢献度を示す“Komatsu Sustainable Products”(KSP)を設定しました。このKSPの売上比率を2020年度の20%に対して2030年度には50%程度にまでの拡大を目指します。特に当社が独自に開発した低温で速染性のあるWS糸 ® の適用を加速し、環境貢献度を大幅に拡大してまいります。

 

②原燃料価格の高騰による企業コスト上昇への対応

現状の原燃料価格の高騰は、企業収益に悪影響を及ぼす要因となることから、最重要課題として、以下の緊急的かつ抜本的な対応策を講じます。省エネや低価格燃料への転換を進めるための設備投資を前倒します。また、低エネルギーでの加工工程技術の適用拡大、聖域を設けないトータルコスト削減を実施いたします。これらに加えて、コストアップの影響を最大限に吸収するため、機能性を追求した付加価値商品を新たに提案し、積極的に推し進めます。また、コストアップに対して販売価格へ転嫁するなど、収益確保に向けた取り組みに努めます。

 

③新たな価値の創造による積極的な事業拡大と新規分野の開拓

商品開発に関する取り組みについては、先に設置した「商品開発推進(部)会議」において、工場間・分野間の開発情報の共有を進め、相互連携による開発体制の強化に努めました。さらに、営業主導の戦略的マーケティングおよび目的対象を明確にした攻略型マーケティングを強化するため生産・販売・技術開発が一体となった、強力かつ全社横断型の開発体制を構築します。

既存分野については一層のシェア拡大をねらい、新規分野については商品・技術開発を通じて市場開拓に挑戦してまいります。また、「機能性」と「環境負荷低減」を両立させる素材群を拡充し、新たな価値の創造を目指します。産業資材分野については、経編製造のノウハウを持つ吉田産業株式会社を子会社化し、当該事業の開拓を加速させるとともに、当社グループがこれまで蓄積してきた先端的な染色高次加工技術との融合による事業の拡大を図ります。

 

④競争力強化のためのデジタル技術の最大活用

これからの営業活動については、対面形式を再開させていきます。また、新型コロナウイルス感染症拡大の影響下で構築した、当社グループの商品・技術に関する情報を発信する「デジタルファブリックショールーム」や、従来の「ウェビナー」をはじめとする、ハイクオリティな商品・技術の紹介動画を製作するなど、販売支援コンテンツを拡充してまいります。 

また、経営および業務管理などの効率を大幅に向上させるため、社内基幹システムの高度化を継続して推進いたします。そのため経営資源を積極的に投入してまいります。

 

⑤生産性向上及びコストダウンに向けた取り組み

生産部門のみならず、前述のシステム高度化により全ての事業部門において業務効率の向上と生産納期の短縮を進め、生産性と顧客満足度の向上を図ります。

これらの目標の達成に向けて、生産工程の合理化・改善や、自動化設備の積極的な導入に加えて、IoT活用の深耕を加速いたします。また、製造現場における異常の原因解析や工程監視を強化し、工程安定化による生産性の向上と、ロスの削減を通じてコストダウンを図ってまいります。

 

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