業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、中国のゼロコロナ政策による上海ロックダウンを受けたサプライチェーンの混乱や、欧米各国のインフレ抑制・利上げの動きに伴い、約20年ぶりに130円台後半まで急速に円安が進行するなど、国内外ともに景気の先行きは不透明な状況が続きました。

 ワークウェア業界におきましては、新型コロナウイルス感染症に対する活動制限の緩和により経済活動全般は回復傾向にあるものの、ユーザー企業様においては、資源・エネルギー価格の高騰や急速な円安の進行による仕入価格・物流コスト等の上昇に対応するため、経費抑制の観点から企業ユニフォームの更新を一時的に見送る動きも見受けられ、従来からの新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークの継続による企業ユニフォーム需要の減少傾向も相まって、依然として厳しい状況で推移いたしました。生産面においては、中国における上海ロックダウンによる物流網の混乱などによる入荷遅れの発生や、資源・エネルギー価格の高騰、急速な円安の進行等により、製造コストは上昇を続けており、厳しい環境が続きました。

 このような状況のもと当社グループにおきましては、機能性に富んだ保守本流のワークウェアブランドである「JICHODO(ジチョウドウ)」、「大人のおしゃれかっこいい」をコンセプトにファッション性を取り入れたワンランク上のブランド「Jawin(ジャウィン)」、スタイリッシュな「かっこいい」デザイン性とストレッチ性などワークウェアとしての機能性を兼ね備え、かつ、価格訴求力のあるブランド「Z-DRAGON(ジィードラゴン)」を中心に、ユーザー様の様々な働く環境に適応する商品を取り揃え、商品提案を強化し、売上の拡大に努めてまいりました。また、新たな商品開発も積極的に進め、昨年秋冬商戦より販売を開始した電熱ウェアブランド「FEVER GEAR(フィーバーギア)」に続き、昨今、注目を集めているSDGsに対応した商品として、熱中症対策商品の電動ファン付ウェア「空調服」や、植物由来のPET繊維を使用した商品など、環境配慮型商品についても積極的にPRし、需要の喚起を図ってまいりました。「Jawin(ジャウィン)」ブランドにおいては、今シーズンから北海道日本ハムファイターズの監督に就任し、そのスター性から高い人気で注目を浴びている新庄剛志氏の「BIGBOSS」効果を最大限活かし、「Jawin(ジャウィン)」ブランドの認知度向上とイメージアップに注力してまいりました。

 生産面においては、生産スケジュールの前倒しや、海外の協力工場との連携を強化することにより、コロナ禍における生産、物流の遅れを最小限にとどめ、社会基盤を支える「働く人」の必需品として、ワークウェア、医療・介護ウェア、セーフティシューズの安定供給に努めてまいりました。

 以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、「Jawin(ジャウィン)」、「Z-DRAGON(ジィードラゴン)」を中心に個人向け売上は好調に推移し、6月下旬からの猛暑の影響により熱中症対策商品「空調服」も順調に売上を拡大しましたが、原材料費、並びに資源・エネルギー価格の高騰に伴うコスト上昇や円安の進行の影響により企業ユニフォームの更新需要が伸び悩んだことなどにより売上高は16,983百万円(前連結会計年度比5.0%減)となりました。営業利益については、原材料費や海上輸送運賃の上昇、円安の進行により仕入コストは上昇しているものの、生産態勢の見直しを進めコスト上昇を極力抑えるとともに、在庫の適正化を進め物流経費を中心に経費削減を行ったことなどにより2,214百万円(前連結会計年度比2.6%増)となりました。経常利益は、輸入取引に係る為替変動リスクをヘッジする目的で行っております為替予約取引に係る時価評価によるデリバティブ評価益が前年同期に比べ増加したことなどにより3,016百万円(前連結会計年度比34.3%増)となりました。また、一部有形固定資産について、今後、維持・管理負担の増加が見込まれることや災害リスクの観点から資産効率の改善を図るため売却したことに伴い固定資産売却益を特別利益に計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は2,835百万円(前連結会計年度比83.6%増)となり、過去最高益を更新いたしました。

 なお、当社グループは衣料品製造販売事業の単一セグメントに該当するため、セグメント情報は記載しておりません。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は前連結会計年度より3,009百万円増加し、9,116百万円(前連結会計年度比49.3%増)となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果獲得した資金は3,620百万円(前連結会計年度は5,906百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益3,895百万円、減価償却費203百万円、売上債権の減少379百万円、棚卸資産の減少1,075百万円、仕入債務の増加652百万円等による増加と、固定資産売却益829百万円、デリバティブ評価益623百万円、法人税等の支払額893百万円等による減少によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は1,253百万円(前連結会計年度は934百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の売却による収入1,666百万円等による増加と、有形固定資産の取得による支出363百万円、保険積立金の積立による支出119百万円等による減少によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果使用した資金は1,866百万円(前連結会計年度は2,366百万円の使用)となりました。これは主に、短期借入金の純減額1,000百万円、配当金の支払額864百万円等による減少によるものであります。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループは、衣料品製造販売事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の生産実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

 

 前年同期比(%)

 

衣料品製造販売事業(千円)

4,214,141

1.7

 (注)  金額は、製造原価により算出しております。

 

b.製品仕入実績

 当社グループは、衣料品製造販売事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の製品仕入実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

 

 前年同期比(%)

 

衣料品製造販売事業(千円)

5,945,666

△6.5

 (注) 金額は、仕入価格により算出しております。

 

c.受注実績

 当社グループは、主として需要見込みによる生産を行っているため、該当事項はありません。

 

d.販売実績

 当社グループは、衣料品製造販売事業の単一セグメントであり、当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2021年7月1日

至 2022年6月30日)

 

 前年同期比(%)

 

衣料品製造販売事業(千円)

16,983,490

△5.0

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末日現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(経営成績)

 当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高につきましては、前連結会計年度に比べ898百万円減少し16,983百万円となりました。

 売上総利益は、売上高が減少したことにより、前連結会計年度に比べ136百万円減少し5,473百万円となりました。

 営業利益は、販売費及び一般管理費が減少したことなどにより、前連結会計年度に比べ56百万円増加し2,214百万円となりました。

 経常利益は、営業外収益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ770百万円増加し、3,016百万円となりました。

 親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益が増加したことなどにより、前連結会計年度に比べ1,291百万円増加し2,835百万円となりました。

(財政状態)

 当連結会計年度末の総資産につきましては、前連結会計年度末に比べ1,075百万円増加し、40,068百万円となりました。

 流動資産は29,310百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,609百万円増加いたしました。これは主に、現金及び預金が2,995百万円、原材料及び貯蔵品が272百万円それぞれ増加したことと、商品及び製品が1,345百万円減少したことなどによるものであります。

 固定資産は10,758百万円となり、前連結会計年度末に比べ534百万円減少いたしました。これは主に、投資その他の資産その他が616百万円増加したことと、建物及び構築物(純額)が417百万円、土地が524百万円、投資有価証券が131百万円それぞれ減少したことなどによるものであります。

 流動負債は3,936百万円となり、前連結会計年度末に比べ796百万円減少いたしました。これは主に、支払手形及び買掛金が652百万円、未払金が170百万円、未払法人税等が218百万円それぞれ増加したことと、短期借入金が1,000百万円、流動負債その他が772百万円それぞれ減少したことなどによるものであります。

 固定負債は1,090百万円となり、前連結会計年度末に比べ80百万円減少いたしました。

 純資産は35,041百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,952百万円増加いたしました。これは主に、利益剰余金が308百万円増加したことと、自己株式が1,716百万円減少したことなどによるものであります。

 

② 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、前述の「2.事業等のリスク」に記載した需要予測に若干の差異は生じたものの大きな影響はなく、また、海外における生産についても、新型コロナウイルス感染症により輸出入に係る港湾作業に混乱が生じるなど、一時的に資材及び製品の輸出入に影響がみられましたが、経営成績に重要な影響を与える事態には至っておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの資金状況は、営業活動によるキャッシュ・フローでは、3,620百万円の資金を獲得しております。投資活動によるキャッシュ・フローでは、有形固定資産の売却による収入などにより1,253百万円の資金を獲得しており、財務活動によるキャッシュ・フローでは、短期借入金の純減額などにより1,866百万円の資金を使用しております。これにより現金及び現金同等物は前連結会計年度に比べ3,009百万円増加し9,116百万円となりました。資金残高は当面必要と考えられる資金額として問題ない水準にあると判断しております。

 

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づいて合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。

 

(棚卸資産)

 当社グループの棚卸資産の評価については、収益性の低下による簿価切り下げの方法により評価損を計上しております。将来の事業環境の変化により、棚卸資産の評価額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 目標とする経営指標といたしましては、当社グループにおきましては、自己資本利益率(ROE)の維持・向上を重要な経営課題と認識しております。

 当社グループの主力事業であるユニフォーム事業においては、需要予測のもとメーカーである当社が製品在庫を保有し、販売代理店を経由したユーザー様からのご注文に対し、即座に納品する体制を整えています。そのため機会ロスを低減するよう豊富な在庫を準備しており、このような備蓄型ビジネスモデルが当社経営戦略の重要な柱の一つであります。この備蓄型ビジネスモデルを中長期的に実施していくためには健全な財務基盤が必要であり、ROEの向上を過度に追求することは、株主様に対する継続的かつ長期的な利益還元につながらないと考えております。ROE5%を目安としながら、更なる資本効率の向上を図ってまいります。

 なお、当社グループにおきましては、ROEの計算に際しては、「デリバティブ評価損益」を除くものとしております。当社グループでは、外貨建取引の為替ヘッジを目的としたデリバティブ取引を行っており、期末時点においてデリバティブ評価損益を計上しております。このデリバティブ評価損益は、期末日時点の時価評価であり、実現した損益ではありません。このようなデリバティブ時価評価損益を損益計上した当期純利益を基準としてROEを計算すると、当社グループの場合、実態と乖離した数値となる可能性が高くなります。従ってROE計算の前提条件としては、「デリバティブ評価損益」を除いて算出しております。以上の前提による当連結会計年度の、実質ROEは6.9%となります。

 

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