課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社グループは、「感謝・感恩・感動の三感を源にして、縁ある方々の期待を超える感動の流れを生み出し、社会の進化と未来の環境に貢献し続ける」ことを経営理念として掲げております。

 この理念のもと、医療関連データベースをコアコンピタンスにした、医療情報関連のサービスと製品を通して、日本の医療費の適正化と国民のQOL(Quality of Life)向上に貢献することを経営の基本方針としております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは、医療関連データベース、レセプトデータ分析および重症化予防指導などの独自技術をもとに、保険者にデータヘルスのPDCAサイクルのPlan(データヘルス計画の立案)、Do(保健事業の実施)、 Check(保健事業の検証)、Act(改善、次年度の計画へ)を一貫して提供するサービスを通じて、医療費適正化とQOL向上に貢献しております。

 

 2018年度から国民健康保険の財政運営が都道府県単位となり、都道府県・市町村が連携し医療費適正化を進めることが求められてきました。

 また、2022年6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2022(骨太の方針)」には、データヘルス改革の着実な実行や、医療・介護分野でのDXを通じた医療情報の利活用推進が記載されており、保険者からのレセプトを用いたアウトカムが分かるデータヘルスへの需要は継続するとともに、医療情報の活用への期待も高まっております。さらに、2024年6月期に第3期データヘルス計画の作成が始まる等、データヘルスの需要はますます広がりつつあります。

 このような経営環境のもと、当社グループは積極的な営業活動によりこれらの需要を受注につなげ、シェアおよび売上高の拡大を目指します。また、新サービスの開発や既存サービスの機能強化を目的とした将来に向けての研究開発投資を売上高研究開発費率5%程度の水準で行った上で、経常利益の増加を目標とします。

 当社グループの主力であるデータヘルス関連サービスについては、地域シェアと販売地域の拡大、介護予防の事業化、分析力強化による都道府県ヘルスアップ事業の拡大、重症化予防の指導体制強化による拡大を進め、売上高前年比20%増を継続することを目標とします。

 さらに、2022年8月には当社は㈱ディー・エヌ・エーの連結子会社となり、2022年10月には現在㈱ディー・エヌ・エーの連結子会社であるDeSCヘルスケア㈱が当社の連結子会社となります。DeSCヘルスケア㈱とは医療情報の更なる利活用を推進するデータ利活用事業で協業を進めており、同社が連結子会社となることで、新規事業であるデータ利活用事業の取組みを加速化させます。

 なお、当社グループにおいては新型コロナウイルス感染症が拡大した場合、自治体の予算削減や事業中断、重症化予防事業での指導時の感染リスクを理由とした指導人数の減少、新規の受注減少などの影響が想定されます。今後、新型コロナウイルス感染症拡大による経済活動への影響が長引く場合は当社グループの経営成績および今後の事業展開に重大な影響をおよぼす可能性があります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、経営の効率性を高め、持続的な成長と企業価値の増大を図るため、売上高経常利益率を重要な経営指標と位置づけ、経営課題に取り組んでまいります。期首の計画値では9.3%を目標としておりましたが、当連結会計年度は経常損失となり、目標を大きく下回りました。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① サービスラインアップの強化

 (イ)成果を上げる重症化予防指導の全国展開

 糖尿病性腎症をはじめとした生活習慣病の重症化予防の継続的な実施は着実な成果を生んでおり、需要は全国に拡大しております。そのため、2022年5月より当社グループ内の業務分担を見直すとともに、タブレット端末を活用した遠隔重症化予防指導業務の人員強化を行うことで、重症化予防指導量の増加に対応してまいります。

 また、引き続き全国の自治体職員や保健指導会社社員などの保健師・看護師を重症化予防の指導員として教育する事業も拡大してまいります。

 

 (ロ)データ利活用事業の推進

 医療情報の更なる利活用が求められる中、当社とDeSCヘルスケア㈱の協業をさらに強化することで、当社とDeSCヘルスケア㈱のデータベースを統合し公益性のあるデータ利活用事業の取組みを加速化することを目的として、当社は2022年10月1日にDeSCヘルスケア㈱を子会社化する予定であります。

 (ハ)保険者機能強化をサポートするサービス提供

 国民健康保険の保険者機能強化を促す観点から、保険者の取組み状況や実績を点数化し、それに応じて国から交付金を交付する保険者努力支援制度が実施されております。当社グループは、個々の国民健康保険の保険者に応じた実績向上が期待されるサービスを展開してまいります。

 (ニ)保健事業と介護予防の一体的な実施に貢献するサービス提供

 加齢に伴い、壮年期とは異なる健康課題を抱えている高齢者について、疾病予防・介護予防双方の観点から保健事業と介護予防の一体的な実施が求められております。当社グループは、豊富なレセプト分析実績に基づき、骨折・骨粗しょう症重症化予防事業等の新たなサービスを展開してまいります。

 (ホ)多様化する都道府県ヘルスアップ事業へのサービス提供

 2018年度から、都道府県が国民健康保険の財政運営の責任主体となり、都道府県が行う医療費適正化への取組みは、保険者努力支援制度によって評価され、その達成状況に応じて交付金が支給されております。
 当社は、レセプトの高い分析技術と着実に成果を上げてきた国民健康保険向け医療費適正化サービスを様々な外部サービスと連携させることで、多様化する都道府県ヘルスアップ事業に応えてまいります。

 

② サービス提供体制の強化

 当社グループは、常にお客様の潜在的なニーズを掴み、新しいサービスを開発・提供してまいりました。県単位での大規模受注も進むなか、これからも保険者のニーズに対応したサービスを短納期で大量に提供するため、研究開発投資を積極的に進めるとともに、効率的な業務を行えるよう社内体制を整備してまいります。

 

③ データ作成・分析・抽出技術の向上

 当社グループのレセプトに関する強みは、特許(注1,2,3,4)も認められたレセプト情報の高度な分析能力および処理能力の高さであります。

 今後は、各サービスに必要な分析能力をさらに向上させるための研究開発や大学を中心とした研究機関の求めに応じレセプトをもとにしたビッグデータの提供を行うなか、医療情報の活用検討を行ってまいります。

 

(注1)「医療費分解解析装置、医療費分解解析方法およびコンピュータプログラム」に関する特許(特許第4312757号)

レセプトに記載された複数の疾病に対応する医薬品や診療行為について、いずれの疾病に対応するかを特定することができ、疾病ごとの医療費を正確かつ効率的に把握することが可能となります。

(注2)「傷病管理システム」に関する特許(特許第5203481号)

レセプトに記載された傷病識別情報、医薬品識別情報および診療行為識別情報に基づき、傷病のステージ別の患者を抽出・階層化するものです。この技術により、傷病ごとの重度・軽度を判定し、将来の重症化予測を行うことが可能となります。

(注3)「レセプト分析システムおよび分析方法」に関する特許(特許第5992234号)

レセプトに記載されている病名のうち、現在治療中の病名だけを判定することができ、高精度な保健事業対象者の抽出が可能となります。

(注4)「服薬情報提供装置、服薬情報提供方法およびコンピュータプログラム」に関する特許(特許第6409113号、特許第6619113号)

レセプトより取得した患者ごとの全服薬情報のリスト作成や薬剤師から医師等に提供する服薬情報レポートを生成することができ、ポリファーマシー解消のための服薬指導の支援が可能となります。

 

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