(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。この結果、当連結会計年度の損益に与える影響は軽微であります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による落ち込みから持ち直しの動きが見られるものの、ウクライナを巡る情勢により先行きは不透明な状況です。
当社は2022年3月期から3ヶ年の中期経営計画を策定し、その初年度となる当期は、グループ経営方針として「グローバルIPの創造と展開」を掲げ、各種施策に取り組みました。
パッケージゲームでは、当社が開発を担当した『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』、『刀剣乱舞無双』が発売されました。また、自社パブリッシングタイトルの新作やリメイクタイトルを複数発売し、前年度までに発売したタイトルのリピート販売も堅調でした。スマートフォンゲームでは、『三國志 覇道』などの自社開発タイトルと、『三国志・戦略版』をはじめとしたIP許諾タイトルが収益に貢献しました。3月には当社初のオフィシャルショップ「KOEI TECMO SPOT」を渋谷にオープンし、IP事業の展開に注力しました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ291億32百万円増加し、2,198億3百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ561億60百万円増加し、817億1百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ270億28百万円減少し、1,381億1百万円となりまし
た。
b.経営成績
当社グループの当期業績は、売上高727億59百万円(前年同期比20.5%増)、営業利益345億27百万円(同41.5%増)、経常利益486億96百万円(同23.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益353億59百万円(同19.7%増)となり、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益ともに過去最高の業績で、当期純利益は12期連続となる増益を達成しました。また、3ヶ年の中期経営計画の最終年度の利益目標(営業利益300億円、経常利益400億円)を初年度で上回る結果となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
エンタテインメント事業
「シブサワ・コウ」ブランドでは、国内及び台湾・香港・マカオ地域で配信中の自社開発スマートフォンゲーム『三國志 覇道』が、3月に国内でキャンペーンやTVCM放映を行い、堅調に推移しました。IP許諾タイトルでは、国内及びアジア各地域で配信中の『三国志・戦略版』(国内では『三國志 真戦』)等の収益が、引き続き高い水準となりました。2月には、新作『新信長の野望』(※)が台湾・香港・マカオ地域で配信開始されました。
「ω-Force」ブランドでは、DMM GAMESとニトロプラスの『刀剣乱舞-ONLINE-』と「無双」シリーズがコラボレーションした『刀剣乱舞無双』(Nintendo Switch、PC(DMM GAME PLAYER)用)が2月に国内・アジア向けに発売されました。IP許諾タイトル『真・三國無双 覇』は1月に台湾・香港・マカオ地域でサービスが開始されました。
「Team NINJA」ブランドでは、株式会社スクウェア・エニックスと共同で開発した『STRANGER OF PARADISE FINAL FANTASY ORIGIN』(PS5、PS4、Xbox Series X|S、Xbox One、PC(Epic Games Store)用)が3月に全世界で発売されました。
「ガスト」ブランドでは、『ソフィーのアトリエ2 ~不思議な夢の錬金術士~』(PS4、Nintendo Switch、Windows(Steam)用)を全世界で発売し、20万本の販売となりました。
「ルビーパーティー」ブランドでは、国内で配信中の『金色のコルダ スターライトオーケストラ』において、サービス開始1周年記念イベントを実施しました。
「midas」ブランドでは、新規スマートフォンゲームの開発に注力しております。
以上の結果により、エンタテインメント事業の売上高は688億1百万円(前期比21.1%増)、セグメント利益は338億27百万円(同41.1%増)となりました。
(※)当社がIPを許諾し、Guangzhou Black Beard Game社が開発・運営を担当しています。
アミューズメント事業
アミューズメント施設は、プライズゲームの売上が好調で、前年同期を上回って推移しました。2月に2店を閉店し、店舗数は8店となりました。スロット・パチンコでは、『P真・北斗無双 第3章 ジャギの逆襲』など2タイトルが稼働開始しました。
以上の結果により、アミューズメント事業の売上高は28億円(前期比5.9%減)、セグメント利益は2億81百万円(同23.6%減)となりました。
不動産事業
ライブハウス型ホールKT Zepp Yokohamaは、コロナ禍においても有観客イベントを中心に稼働しました。その他の賃貸用不動産は高い稼働率を維持しています。
以上の結果により、不動産事業の売上高は10億61百万円(前期比34.4%増)、セグメント利益は2億24百万円(同125.8%増)となりました。
その他事業
ベンチャーキャピタル事業で分配金による収益が発生しました。
以上の結果により、その他事業の売上高は4億77百万円(前期比98.9%増)、セグメント利益は1億93百万円(前期はセグメント損失44百万円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して80億63百万円増加し、195億3百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、獲得した資金は248億19百万円(前連結会計年度は297億26百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益486億38百万円の計上の一方で、法人税等の支払額160億50百万円の減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、支出した資金は131億68百万円(前連結会計年度は122億91百万円の支出)となりました。これは主に有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入1,347億9百万円の増加要因の一方で、有価証券及び投資有価証券の取得による支出1,466億30百万円の減少要因によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、支出した資金は45億61百万円(前連結会計年度は193億96百万円の支出)となりました。これは主に転換社債型新株予約権付社債の発行による収入484億15百万円の増加要因の一方で、自己株式の取得による支出385億35百万円、配当金の支払額149億29百万円の減少要因によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
前年同期比(%) |
エンタテインメント(百万円) |
7,820 |
109.9 |
合計(百万円) |
7,820 |
109.9 |
(注)金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
b.受注実績
当社グループでは一部個別の受託開発を行っておりますが、金額的重要性が低く、また受注状況の記載が営業の状況に関する実態を表さないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
前年同期比(%) |
エンタテインメント(百万円) |
68,716 |
121.4 |
アミューズメント(百万円) |
2,797 |
94.1 |
不動産(百万円) |
1,059 |
135.3 |
報告セグメント計(百万円) |
72,572 |
120.2 |
その他(百万円) |
186 |
- |
合計(百万円) |
72,759 |
120.5 |
(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。
なお、前連結会計年度におけるApple Inc.及び当連結会計年度における任天堂株式会社については、
総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。
相手先 |
前連結会計年度 (自 令和2年4月1日 至 令和3年3月31日) |
当連結会計年度 (自 令和3年4月1日 至 令和4年3月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
ALIBABA CULTURE MEDIA CO., LTD. |
8,641 |
14.3 |
14,409 |
19.8 |
Apple Inc. |
- |
- |
9,089 |
12.5 |
任天堂株式会社 |
8,836 |
14.6 |
- |
- |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成にあたっては、連結会計年度末日における財政状態並びに連結会計年度の経営成績に影響を与えるような見積り・予測を必要としております。当社グループは、過年度の実績や現状を踏まえ、合理的と判断される前提・仮定に基づき、かかる見積り・予測を行なっておりますが、実際の結果はこれと異なる場合があります。
当社グループは、主として以下の会計方針において、連結財務諸表に重要な影響を及ぼす可能性のある見積り・予測が内包されていると認識しております。
a.繰延税金資産の計上
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して将来の課税所得を合理的に見積もっております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、課税所得がその見積り額を下回る場合、繰延税金資産が取崩され、税金費用が計上される可能性があります。
b.有価証券の減損
当社グループの保有する有価証券については、市場価格のある有価証券、市場価格のない有価証券ともに、合理的な判断基準を設定の上、減損処理の要否を検討しております。従って、将来、保有する株式及び債券の時価や投資先の財務状況が悪化した場合には、有価証券評価損を計上する可能性があります。なお、減損処理に関する基準については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(有価証券関係)」をご参照ください。
c.固定資産の減損
当社グループは、固定資産につき、固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日)及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日))に基づき、その資産性について営業損益、事業計画や時価等を元に検討しております。
d.受注損失引当金の計上
当社グループは、顧客より受注済みの案件のうち、当該受注契約の履行に伴い、翌連結会計年度以降に損失の発生が見込まれ、かつ、当該損失額を合理的に見積ることが可能なものについては、将来の損失に備えるため翌連結会計年度以降に発生が見込まれる損失額を受注損失引当金として計上しております。
e.退職給付に係る負債の計上
当社及び一部の子会社は、従業員の退職給付制度として、確定給付制度を採用しております。確定給付制度については、退職給付債務の現在価値と制度資産の公正価値との純額を負債又は資産として認識しております。退職給付債務は、割引率、退職率及び死亡率など年金数理計算上の基礎率に基づき見積もられています。また、退職給付債務の現在価値を算定するために使用する割引率は、原則として、退職給付債務の見積期間と整合する期末日時点の優良社債の市場利回りを参照して決定しております。年金資産の長期期待運用収益率は、現在及び将来期待される長期の収益率を考慮しております。 経営者は、これらの前提条件は適切であると考えていますが、実績との差異や仮定の変動は将来の退職給付費用や退職給付債務に影響します。なお、退職給付債務の残高、使用している割引率等については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(退職給付関係)」をご参照ください。
f.受注制作のソフトウエアに係る売上高及び売上原価
当社グループは、受注制作のソフトウエアに係る収益につき、係る契約の履行義務が一定の期間にわたり充足されるものについては、ゲームソフト・コンテンツ開発の進捗によって履行義務が充足されていくものと判断しており、履行義務の完全な充足に向けた進捗度の測定に基づいて、収益を認識しております。なお、契約における取引開始日から完全に履行義務を充足すると見込まれる時点までの期間がごく短い受託開発については、「収益認識に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第30号 2021年3月26日。以下「収益認識会計基準適用指針」という。)第95項に定める代替的な取り扱いを適用し、一定の期間にわたり収益を認識せず、完全に履行義務を充足した時点で収益を認識しております。収益総額、見積総原価及び決算日における進捗率について、当初の見積りが変更された場合、認識された損益に影響を及ぼす可能性があります。
②当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度における経営成績は売上高727億59百万円(前連結会計年度比20.5%増)、営業利益345億27百万円(同41.5%増)、経常利益486億96百万円(同23.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益353億59百万円(同19.7%増)となりました。
これらの要因については、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
③当連結会計年度の財政状態の分析
資産、負債及び純資産の状況
(資産の部)
当連結会計年度末における資産合計は、2,198億3百万円(前連結会計年度比15.3%増)となりました。うち流動資産は720億75百万円(同113.6%増)、固定資産は1,477億27百万円(同5.9%減)であります。
流動資産の主な内訳は有価証券251億85百万円、現金及び預金202億35百万円、売掛金及び契約資産130億72百万円であります。
固定資産の主な内訳は投資有価証券1,029億40百万円であります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債合計は、817億1百万円(前連結会計年度比219.9%増)となりました。うち流動負債は326億16百万円(同55.2%増)、固定負債は490億85百万円(同986.2%増)であります。
流動負債の主な内訳は未払金96億46百万円、未払法人税等64億70百万円、その他流動負債に含まれる預り金101億37百万円であります。
固定負債の主な内訳は転換社債型新株予約権付社債481億46百万円であります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は、1,381億1百万円(前連結会計年度比16.4%減)となりました。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループでは、新規タイトルの創出による特定タイトルへの依存度低下、最適な製品発売時期を見据えた開発スケジュール管理の徹底により、年間ベースでの業績目標を達成すべく努力しております。しかしながら、市場動向や、やむをえない開発スケジュールの変更による製品発売時期変動のため、業績に影響を与える可能性があります。
⑤資本の財源及び資金の流動性についての分析
a.資金需要
当社グループの事業活動における運転資金需要の主なものは、エンタテインメント事業におけるゲームソフトの開発費、各事業における販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。
b.財務政策
当社グループは自己資金による財務調達を基本方針としておりますが、不足が生じた場合は、外部借入による資金調達を実施しております。また、当社グループの収益性向上に資するべく、余剰資金による投資有価証券等の運用を継続的に実施しております。
当連結会計年度においては、プライム市場の上場維持基準である「流通株式比率35%以上」に適合することを目的として、自己株式の公開買付け資金に充当するため、令和3年12月20日に2024年満期ユーロ円建転換社債型新株予約権付社債の発行により484億15百万円の資金調達を実行しております。
⑥経営上の目標の達成状況について
当社グループは更なる成長性と収益性の実現に向けて売上高営業利益率30%以上を重要な経営指標として位置付けております。当連結会計年度における売上高営業利益率は前期より7.1ポイント向上し、47.5%となりました。引き続きこの指標を達成するよう取り組んでまいります。
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