課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

  当社グループは、お客様とともに未来を創造し、ITで夢のある社会づくりに貢献することを企業理念として、多様な情報化ニーズにお応えすべく、ソフトウエア開発と運用が一体となった柔軟でスピーディーなITソリューションを基盤とした総合情報サービス企業として、お客様に満足感のあるサービスを提供することを使命として経営に努めております。

 

(2)経営戦略

  当社グループは、「IT事業を通じて社会課題の解決に取り組み、夢のある未来の創造に貢献する企業」を目指し、お客様から選ばれ続けるITパートナーであるために、弛まぬ努力と変革を続けることを「長期経営ビジョン」として掲げ、その実現のため経営目標である「持続的に成長可能な経営基盤の構築」の更なる前進を図るべく、2022年度を開始年度とする経営計画「Keep On Changing ~事業を通じて社会課題を解決し、変革し続ける~」を策定しております。

同計画においては、以下の5つの重点施策(成長戦略・経営基盤強化)に取り組んでおります。

<変革>DX・クラウドインテグレーションビジネスの推進

<挑戦>新サービス・新事業の創出

<深化>既存ビジネスの深化

<改革>構造改革による経営の効率化

<成長>人材育成及び人材成長戦略

 

(3)経営環境

① 企業構造

  当社グループは、AGS株式会社を中心に、ソフトウエア開発やシステム機器販売などを行うAGSビジネスコンピューター、システムの管理・運用や人材派遣などを行うAGSプロサービス、ITコンサルティングやBCMコンサルティングなどを行うAGSシステムアドバイザリーの4社で構成され、当社の強みの一つである「コンサルティングから、システム構築、保守・運用までのワンストップでのサービス提供」が可能な企業構造としております。こうした企業構造を基盤として、グループ全体のシナジー効果を最大限発揮し、多様な情報化ニーズに迅速かつ柔軟に対応していくことにより、企業価値の一層の向上を図っております。

 

② 市場環境

  当社グループが属します情報サービス産業におきましては、ICT(Information and Communication Technology:情報通信技術)の進化や、デジタル・ガバメント実行計画の進展、及びニューノーマル社会を意識したビジネスモデルの変革等により、官民両面でデジタルトランスフォーメーション(DX)への取組みが加速することが想定され、ビジネス環境の大きな転換期を迎えております。このような環境のもと、企業が情報サービス事業者に求めることは、ユーザー企業様のビジネスに対する深い理解を前提としたコンサルティングなどの上流工程への対応や、将来の成長、競争力強化のための新たなデジタル技術を活用したこれまでにないビジネスやサービスの創出となっております。

  一方、今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によるIT投資計画の見直し・抑制などについて、十分に注視していく必要があります。

  当社グループでは、このような事業環境の変化を積極的な成長の機会と捉え、デジタルトランスフォーメーション(DX)への取組みを強化し、更なる高品質・高付加価値のサービス提供に努めてまいります。

 

③ 顧客基盤

  当社は、株式会社りそな銀行のシステム関連の子会社であったことから、当社グループにおいて、金融関連のお客様や、自治体・諸団体様、銀行取引に関連する法人のお客様など、金融・公共・法人の幅広い分野で、優良な顧客基盤を有しており、また長年にわたってノウハウや実績を積み重ねてまいりました。こうした営業活動から、現在は、各分野の売上高の割合はほぼ均等で、市場環境に柔軟に対応できるバランスのとれた顧客ポートフォリオを構成し、安定的な成長を維持しております。

 

④ 競合他社との競争優位性

  当社グループは、データセンターを基盤として、情報処理サービスを中心に総合的なソリューション・サービスを提供しております。データセンタービジネスはクラウドサービスの需要増加などから今後も拡大を続けていくものとみられる一方、同業他社との競合が予想されますが、当社グループのデータセンターは、東京都心部から約25㎞、東京・新宿から電車で40分以内の利便性の高い「都市型データセンター」としており、また震災の影響を受けにくい強固な地盤と洪水による水害の危険性が少ない立地地盤、最新のビル免震技術を導入している点等は、競合他社比で大きな強みであると認識しております。

  また、「①企業構造」においても述べましたとおり、当社グループは、当社及び連結子会社間の緊密な連携により「コンサルティングから、システム構築、保守・運用までのワンストップでのサービス提供」が可能な企業構造としており、この点を強みとして、多様化・複雑化する情報化ニーズへの迅速かつ柔軟な対応を行うことで推進を図ってまいります。

  加えて、当社がかつて株式会社りそな銀行のシステム関連の子会社であったこともあり、当社グループは、金融機関様、自治体様、公共諸団体様といった、優良なお客様の業務に関し、長年積み重ねてきた経験や、専門性の高い業務ノウハウを生かした、システム構築・運用業務に強みを持っており、これらの強みを最大限に活かした業務運営を行ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

<変革>DX・クラウドインテグレーションビジネスの推進

お客様に選ばれ続ける真のITパートナーとなるべく、技術・業務ノウハウ・コーディネート力等、DX時代に即した「創る力」を高めることに全社を挙げて取り組むことで、お客様のDX・デジタル化、及び経営課題の解決を支援する「ソリューション型ビジネス」を推進し、既存顧客の取引拡大と新規大口先の獲得を目指してまいります。

<挑戦>新サービス・新事業の創出

マーケティング力や企画提案力を強化したうえで、研究開発投資やM&Aによる事業化への積極的な経営資源投入などによりイノベーションを加速させ、新たな収益基盤となる「サービス提供型ビジネス」を創出し、育ててまいります。

<深化>既存ビジネスの深化

当社保有の専門ノウハウ・インフラ設備・デジタル化技術の高度化により、従来からのサービスの深化とともに新たな受託業務を創出し、お客様のデジタル化支援のトータルソリューション提案を推進することでデータセンタービジネスをはじめとしたデジタル化受託業務の拡大を図ってまいります。

<改革>構造改革による経営の効率化

事業推進と経営効率化を実現すべく、DXビジネスを戦略的に推進する組織の新設や、グループ組織体制の見直しを行い、組織の強化・最適化を図ります。また、「社内事務プロセスの見直し」や「事業の選択と集中・分散」等により収益体質を強化し、資本コストを意識した経営を行ってまいります。

<成長>人材育成及び人材成長戦略

DXビジネスをはじめとした成長戦略の推進に必要な人材を計画的に育成するとともに、長く働くことを可能とするリスキリングに取り組みます。また、多様な人材が活躍できる「挑戦を重視する組織」へと変革し、全ての社員が持てる力を最大限発揮できる組織となり、社員が誇れる、最も働きがいのある企業を目指してまいります。

 

(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

  前経営計画「Challenge2021セカンドステージ」では、最終年度(2021年度)の目標値を売上高21,030百万円、営業利益1,050百万円、ROE6.0%として、達成に向けて取り組んでまいりました

  売上高においては、データセンタービジネスの成長を軸に増収を続け、期間中2021年度には21,187百万円と13.3%の成長をはたし、目標を達成いたしましたが、一方、利益面においては、営業利益948百万円と上場以来の最高益を達成したものの、設備費や人件費の増加により、目標をやや下回る結果となりました。

 

2016年度

実績

2021年度

実績

2021年度

目標

目標率達成

2016年度比

売上高(億円)

186.9

211.8

210.3

100.7%

+13.3%

販管費(億円)

31.3

36.1

32.4

+15.5%

営業利益(億円)

8.3

9.4

10.5

90.3%

+13.6%

営業利益率

4.5%

4.5%

5.0%

0.0P

EBITDA(億円)

19.0

22.2

21.0

106.0%

+16.6%

ROE

14.0%(※)

5.0%

6.0%

83.7%

※退職金給付制度変更に伴う特別利益(約12億円)を含む

 

  また、2022年度よりスタートする経営計画「Keep On Changing  ~事業を通じて社会課題を解決し、変革し続ける~」の計数目標は、以下のとおりです。

 

2021年度

実績

2024年度計画

<第一期>

2030年度計画

<第三期>

2021年度比

増減額

増減率

売上高(億円)

211.8

235.0

300.0

88.2

+41.6%

営業利益(億円)

9.4

10.0

15.0

5.6

+59.5%

営業利益率

4.5%

4.2%

5.0%

0.6P

ROE

5.0%

5.0%

6.0%

1.0P

※ 各計数はM&A等の資本提携を含みます。

※ 第二期 中期経営計画の計数目標は別途作成します。

 

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