課題

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営方針

当社は、創業者の鈴木雄介が出版社勤務時代に、返本の山が断裁・焼却されることに地球環境への影響を危惧し、「SAVE TREES!」を事業コンセプトに電子書籍による解決を目指して2000年5月に設立されました。以来、電子書籍の普及に努め、デバイスの進化や通信環境の進歩など事業環境の変化を的確にとらえ、常に市場での優位性を確保できるよう事業運営に取り組んでまいりました。今後も、ヤフーとの事業連携を積極的に推進し、サービスを飛躍的に発展させることで「電子コミック国内取扱高No.1」に向けて継続的な事業成長を実現してまいります。

 

(2)目標とする経営指標

当社は、2016年6月に資本業務提携したヤフーとの事業連携を積極的に推進し、「電子コミック国内取扱高No.1」を達成することを中期ビジョンとして掲げております。成長を続ける電子書籍市場において、さらなる事業規模の拡大に注力するため、「売上高」および「営業利益」を重要な経営指標として位置付けております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略及び優先的に対処すべき課題

出版業界においては、2020年(1月~12月期)の紙書籍市場が前年比1.0%減の1兆2,237億円となった一方で、電子出版市場が同28.0%増の3,931億円となり、紙と電子を合算した出版市場は同4.8%増の1兆6,168億円と大きく成長しました。当社が主力と位置付ける電子コミックの推定販売額は同31.9%増の3,420億円となり、巣ごもり需要や人気作品のヒットもあり、大きく伸長しました(出所:公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所「出版月報」2021年1月号)。当社は、このような事業環境のもと、「電子コミック国内取扱高No.1」を達成することを中期ビジョンとして掲げ、ヤフーとの事業連携を積極的に推進し、持続的な事業成長を実現してまいります。

一方で、当社が主力事業として営む電子書籍市場は、市場の急速な拡大に伴って新規の参入企業も多く、競合各社による激しい競争が続いております。このような状況下において、当社は市場での優位性を確保し、企業としての成長を高めるため、下記事項を優先的に対処すべき課題と認識し、これらの課題に対処していくための経営戦略を推進し、以下のとおりの取り組みを実施しております。

 

① 市場環境、市場動向への機敏かつ的確な対応

電子書籍市場は引き続き拡大が見込まれるなか、特に電子コミックにおいては消費者の認知が急速に広がり、今後も大きな市場成長が期待されます。また、デバイスの進化や通信環境の進歩により、電子コミックを購入・閲読する環境も年々変化を続けております。このような変化の速い市場においては、技術革新やプラットフォームの進化、新たなビジネスモデルの出現などが発生しやすいため、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、新型コロナウイルスの影響による、いわゆる巣ごもり需要の高まりによって、電子書籍に対する市場ニーズが拡大する一方で、感染の再拡大や収束の見通しが立たない等の状況によっては経済活動全般への影響も懸念されます。このような事業環境の変化を的確にとらえ、機敏に対応し、常に市場での優位性を確保できるよう、経営基盤を強固なものとし、迅速な意思決定により、継続的な事業成長を実現してまいります。

 

② ヤフー株式会社との事業連携の推進

ヤフーは当社の親会社であり、当社の主力事業である電子書籍事業にて協力してサービスを運営しているため、当社の事業に影響力を及ぼしうる立場にあります。2016年6月のヤフーとの資本業務提携以来、両社が保有するアセット、知見、ノウハウを持ち寄り、2019年6月には当社とヤフーが協力して運営する「ebookjapan」へのサービス統合を完了しました。今後も電子コミック分野における国内取扱高No.1の実現に向けて、ヤフーおよびZホールディングス株式会社のグループ各社との連携をより一層強化し、事業の拡大に努めてまいります。また、ヤフーおよびZホールディングス株式会社のグループ会社が提供するサービスプラットフォームや決済サービスの利用比率が高まっているため、安定的なサービスの提供についてもグループ連携を強化してまいります。親会社との連携を強化しつつも経営の独立性を確保するため独立社外役員を選任し、少数株主の利益を保護するためのガバナンス体制の整備に努めております。

 

 

③ 競合他社との差別化、効果的なマーケティング活動による新規利用者の獲得拡大

当社が主力事業として営む電子書籍事業は、参入障壁が低く、大規模なマーケティング投資を行うことで新規利用者を獲得し事業拡大を図ることが可能であることから、競合他社との新規利用者の獲得競争は激しさを増しております。当社においても新規利用者の増加が引き続き事業成長の要であることから、優れた顧客基盤およびマーケティングノウハウを有するヤフーおよびZホールディングス株式会社のグループ各社との連携をより一層強化することを軸に、競合他社との差別化ならびに効果的な広報・広告宣伝を含めたマーケティング活動を実施してまいります。

 

④ 出版社および取次会社との良好な関係構築および維持

当社は事業の特性により、大手出版社からの作品の仕入が相対的に高くなっており、当面はこれらの大手出版社への依存度が高い状態が継続すると考えております。また、電子書籍の販売および紙の書籍の販売において、コンテンツや商品の仕入等を特定の取次会社に依存しております。そのため、取引先である大手出版社や取次会社と何らかの事由により関係が悪化した場合、当社の業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。大手出版社との取引は、今後も安定的に良質な作品の取扱いを維持するための根幹であることに鑑み、出版社向けの営業体制を整備し、関係維持・良好化のための取り組みを引き続き強化してまいります。また、サービスの継続性に支障がないよう電子書籍事業、クロスメディア事業ともに取次会社との良好な関係の維持等に努めてまいります。

 

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