業績

3【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルスの感染症の影響により、依然として厳しい状況が続いており、ワクチン接種が進み回復の兆しがみられたものの、新たな変異ウイルスの急速な拡大により、先行きは極めて不透明な状況が続いております。

 当社においては、従業員の安全性を考慮し、前事業年度より恒久的なテレワーク(在宅勤務)制度を導入いたしました。テレワーク(在宅勤務)制度導入により、通勤時間が不要になるなど、従業員満足度の向上が図られたとともに、場所を問わずチーム体制が有効に機能したこともあり、ゲームアプリの運用・開発面での生産性向上につながりました。

 当社の事業領域であるモバイルゲーム事業を取り巻く環境につきましては、2021年に世界のモバイルゲーム市場の収益規模は907億ドルに達し、前年比4.4%の増加が予測されています。モバイルゲームはPCや家庭用ゲームに比べて、新型コロナウイルスの影響が小さく、その収益は世界のゲーム市場の半分以上を占めるとされております。日本国内ゲーム市場においては、2020年に市場規模が2兆円を突破し、なかでもオンラインプラットフォームの大半を占めるゲームアプリ市場は1兆3,164億円と前年比8.4%増加しており、今後も拡大傾向が続くことが期待されます。(出典:newzoo「グローバルゲームマーケットレポート2021」、株式会社角川アスキー総合研究所「ファミ通ゲーム白書2021」)

 このような事業環境の中、当社では、リリース1周年を迎え、累計700万ダウンロードを突破しましたアニメ『五等分の花嫁』初のゲームアプリ「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」が、業績に大きく貢献いたしました。1周年施策や出演人気声優を起用した公式放送を行い、番組とゲームで連動した企画の実施や、書き下ろしイラストの充実など、引き続き魅力的な施策の実施を行い収益寄与につなげてまいります。

 リリース後11年目を迎えた「ぼくのレストラン2」「ガルショ☆」は、11周年施策やコラボレーション施策等が好調に推移し、引き続き当社の売上収益に貢献しております。今後も、よりきめ細やかな対応を図り、ユーザーの皆様の満足度向上に努めてまいります。

 2021年9月にはコミック累計800万部を突破し、アニメ2期制作も決定した『彼女、お借りします』初となるゲームアプリ「彼女、お借りします ヒロインオールスターズ」をリリースいたしました。

 また、足元の状況としては、世界累計発行部数1億部を突破し、2022年1月にTVアニメの放送を開始している大人気作品『進撃の巨人』のスマートフォンゲーム最新作「進撃の巨人 Brave Order」を2022年2月11日にリリースいたしました。リリース後3日間で100万ダウンロードを突破しており、今後の収益寄与が期待されます。なお、当事業年度において、これらの新規IPタイトルの開発コストが計上されております。

 当事業年度においては、既存タイトルの安定運営を目的にオフショア(中国/ベトナム)を強化し、新規IPタイトル開発に国内人材を投入しております。有力案件を確保し、年1~2本ペースでの新規タイトルリリースを行うことで利益を積み上げ、企業価値向上を図ってまいります。

 この結果、当事業年度の業績は、売上高は3,892百万円(前事業年度比4.4%の減少)、営業損失は257百万円(前事業年度は596百万円の営業損失)、経常損失は267百万円(前事業年度は641百万円の経常損失)、当期純損失は279百万円(前事業年度は1,044百万円の当期純損失)となっております。

 なお、当社はエンターテインメント事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

②財政状態の状況

(資産)

 当事業年度末の資産につきましては、前事業年度末に比べて510百万円減少し、1,536百万円となりました。これは主に、現金及び預金の減少(前事業年度末比460百万円の減少)、売掛金の減少(前事業年度末比173百万円の減少)があった一方で、前渡金の増加(前事業年度末比55百万円の増加)、長期前渡金の増加(前事業年度末比66百万円の増加)によるものであります。

 

(負債)

 当事業年度末の負債につきましては、前事業年度末に比べて231百万円減少し、974百万円となりました。これは主に、短期借入金の増加(前事業年度末比115百万円の増加)があった一方で、買掛金の減少(前事業年度末比72百万円の減少)、移転損失引当金の減少(前事業年度末比229百万円の減少)によるものであります。

 

(純資産)

 当事業年度末の純資産につきましては、前事業年度末に比べて279百万円減少し、561百万円となりました。これは主に、当期純損失を279百万円計上したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の残高は、前事業年度末と比べ748百万円減少し、365百万円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において営業活動により使用した資金は、526百万円となりました。これは主に、税引前当期純損失275百万円、移転損失引当金の減少額229百万円、その他の資産の増加額104百万円があった一方で、売上債権の減少額173百万円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において投資活動により使用した資金は、49百万円となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出24百万円、貸付による支出15百万円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当事業年度において財務活動により使用した資金は、172百万円となりました。これは主に、短期借入れによる収入550百万円があった一方で、短期借入金の返済による支出435百万円、その他財務活動による支出287百万円があったことによるものであります。

 

④生産・受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社は、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績は記載しておりません。

 

b.受注実績

 当社は、受注生産を行っていないため、受注実績は記載しておりません。

 

c.販売実績

 当事業年度の販売実績は次のとおりであります。

事業の名称

当事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

前年同期比(%)

エンターテインメント事業(千円)

3,892,929

95.6

合計(千円)

3,892,929

95.6

(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおり

     であります。

相手先

前事業年度

(自 2020年1月1日

至 2020年12月31日)

当事業年度

(自 2021年1月1日

至 2021年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Apple Inc.(注)3

1,309,868

32.2

1,312,917

33.7

グリー株式会社(注)3

815,976

20.0

773,461

19.9

Google Inc.(注)3

678,144

16.6

657,792

16.9

  2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

  3.相手先は決済会社又はプラットフォーム事業者であり、ユーザーからの代金回収を代行しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計方針及び見積り

 当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、資産・負債や収益・費用に影響を与える見積りを必要とする箇所があります。これらの見積りについては、経営者が過去の実績や取引状況を勘案し、会計基準の範囲内で合理的に判断を行っております。なお、新型コロナウイルス感染症については、収束時期が予測できないため、影響の及ぶ期間を正確に把握することが困難であります。このような状況を踏まえ当社は、会計上の見積りにあたって当該感染の影響が及ぶ期間が長期にわたる可能性があると考えております。これらの見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。

 当社の財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。

 

②財政状態の分析

 財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。

 

③経営成績の分析

 当事業年度の業績は、売上高3,892百万円(前事業年度比4.4%の減少)となりました。売上原価は3,387百万円

(前事業年度比9.4%の減少)、販売費及び一般管理費は763百万円(前事業年度比18.1%の減少)となり、この結果、営業損失は257百万円(前事業年度は596百万円の営業損失)、経常損失は267百万円(前事業年度は641百万円の経常損失)、当期純損失は279百万円(前事業年度は1,044百万円の当期純損失)となりました。

 

a.売上高

 既存タイトル「欅のキセキ/日向のアユミ」「HiGH&LOW THE GAME ANOTHER WORLD」の配信を終了したことによる売上高の減少があったこと、2021年9月にリリースをした新規タイトル「彼女、お借りします ヒロインオールスターズ」が効果的なプロモーションや魅力的なイベントが実施できず継続率が低下し、収益貢献が限定的であったため、売上高が減少しました。この結果、売上高は3,892百万円となりました。

 

b.売上原価、売上総利益

 売上高減少に伴い支払手数料等の変動費の減少はあったものの、売上原価は3,387百万円となりました。これは主に労務費719百万円、既存・新規タイトル制作に伴う外注費582百万円及びプラットフォーム事業者等への支払手数料1,653百万円となり、この結果、売上総利益は505百万円となりました。

 

c.販売費及び一般管理費、営業損益

 販売費及び一般管理費は763百万円となりました。これは主に、労務費214百万円、広告宣伝費308百万円、カスタマーサポート等の外注費38百万円となり、この結果、営業損失は257百万円となりました。

 

d.営業外収益、営業外費用及び経常損益

 営業外収益は32百万円、営業外費用は42百万円となりました。営業外収益は主に償却債権取立益15百万円、債務免除益9百万円、営業外費用は主に支払利息37百万円であり、この結果、経常損失は267百万円となりました。

 

e.特別損失及び当期純損益

 特別損失は7百万円となりました。特別損失は当社の有形固定資産についての減損損失4百万円、人員の適正化に伴う特別退職金3百万円となり、この結果、税引前当期純損失は275百万円となり、法人税、住民税及び事業税の計上により、当期純損失は279百万円となりました。

 

④キャッシュ・フローの状況の分析

 キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑤経営戦略の現状と見通し

 当社では、創業以来モバイルゲームの企画、開発及び運営を行うことに重点をおき、質の高いサービスをユーザーに提供することで収益基盤を拡大してまいりました。

 今後の見通しにつきましては、既存タイトルの売上高の維持と効率的な運営体制の見直しを行い収益力の強化を図ってまいります。また、売上収益の拡大を目的に、新規で年間1~2タイトルをリリースしていく方針です。今後の新規タイトルにつきましては、運営にオフショア(中国/ベトナム)を活用することにより、国内人材が新規開発に特化できる体制を構築することで、開発の長期化や開発費の高騰など各種リスクの低減を図りながら、開発費の増加が生じないよう努めつつ、高品質なIPタイトルの開発を行ってまいります。

 

⑥経営成績に重要な影響を与える要因

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑦資本の財源及び資金の流動性

 当社の資金需要のうち主な内容は、モバイルゲームの開発・運営に係る人件費及び外注費並びに広告宣伝費等の運転資金であります。当社では、運転資金につきましては、自己資金及び借入金等により資金調達をしておりますが、必要に応じて資本性の資金調達を実施しております。なお、2022年1月11日付で発行した第三者割当による行使価額修正条項付第15回新株予約権が2022年2月28日までに7,322個行使された結果、238,282千円の資金調達をしております。

 当事業年度においては、営業活動により526百万円、投資活動により49百万円、財務活動により172百万円を使用しております。

 各項目の主な要因については、「第2 事業の状況 3経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

 

⑧経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、売上高及び営業利益を継続的に成長させ、企業価値向上を目指してまいりたいと考えております。このため、売上高及び営業利益を重要な指標として位置付けております。

 売上高については、ブラウザタイトルが引き続き堅調に推移したこと、前期にリリースした「五等分の花嫁 五つ子ちゃんはパズルを五等分できない。」が通年で業績に寄与した一方、「欅のキセキ/日向のアユミ」「HiGH&LOW THE GAME ANOTHER WORLD」の配信停止、新規タイトル「彼女、お借りしますヒロインオールスターズ」の継続率が低いことからアクティブユーザーの減少もあり、収益貢献が限定的でありました。コストについては、新規IPタイトルの開発コストが計上された一方、前期のリストラクチャリングの効果、広告宣伝費のコントロール等を行いました。これらの結果、当事業年度の業績は、減収増益となりました。

 当事業年度における売上高は3,892百万円(前事業年度比4.4%の減少)、営業損失は257百万円(前事業年度は596百万円の営業損失)となっております。引き続き当該指標の改善に邁進していく所存であります。

 

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