事業等のリスク

2【事業等のリスク】

 当社の事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

 なお、当該リスクが顕在化する可能性の程度や時期、当該リスクが顕在化した場合に当社の経営成績等に与える影響につきましては、合理的に予見することが困難であるため記載しておりません。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業内容に関するリスクについて

①モバイルゲーム市場について

 当社の事業領域であるモバイルゲーム市場は、当面は世界的に市場拡大が続いていくものと見込んでおります。しかし、予期せぬ法的規制や通信事業者の動向により、市場全体の成長が大きく鈍化した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②プラットフォーム運営事業者等の動向

 当社のモバイルゲーム事業は、大手プラットフォーム事業者を中心とした複数のSNSプラットフォームや「App Store」「Google Play」上において、それぞれ各社のサービス規約に従いサービスを提供しており、当該プラットフォーム事業者等に対して、回収代行手数料、システム利用料等の支払いを行っております。

 また、当社の売上高に関しネイティブアプリケーションゲームの比率が高まっていることから、Apple Inc.及びGoogle Inc.の2社への収益依存が大きくなっております。これらプラットフォーム運営事業者等の事業戦略の転換や動向によっては、手数料率の変動等何らかの要因により、当社への事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③技術革新について

 当社の事業領域であるモバイルゲーム市場は、インターネット環境やネットワーク技術等に密接に関連しており顧客ニーズの変化や新しいサービスの導入などにあわせて、通信技術やデバイス等の技術革新の速度が極めて速いという特徴があります。当社はそうした技術革新に対応できる体制づくりに努めており、当面の課題としてスマートフォン対応を進め、スマートフォンにおける収益の拡大を図っていく所存でありますが、今後において技術革新のスピードに適時に対応出来ない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

④モバイルゲーム事業のビジネスモデルについて

 当社のモバイルゲームにおいては、アプリ内でのアイテム課金による収益が主たる収入となっており、ユーザーに継続してアイテム課金を利用してもらえるよう、ユーザーの嗜好にあった課金アイテムの提供を行っています。しかし、ユーザーの課金アイテムの利用が継続して促進されない状況になった場合、想定していた課金アイテムの販売による収益が得られない可能性があります。この結果、当社の事業及び業績に重要な影響を与える可能性があります。

 

⑤制作・開発コストの増加について

 当社では、新規のタイトル及び既存タイトルを含め、大量のアイテム、キャラクター(イラスト)制作が発生します。限られた期間内に一定の質・量を維持するために、社内での制作に加え、制作を社外に委託しております。また、定常化した特定の制作委託先に依存することの無いよう、複数の制作委託先への分散化に努めています。しかし、モバイルゲーム業界においては、新規参入企業の増加に伴い、制作委託先の確保が困難になる場合や、委託費用が上昇することが想定されます。この結果、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑥競合の動向について

 当社のモバイルゲーム事業については、現時点で競合他社が多数存在しております。また、ユーザーがモバイルゲームを利用する環境は、スマートフォン等の高機能情報端末に移行しておりますので、高機能な端末を利用することで、よりユーザーを惹きつける本格的なゲームの機能や表現が実現できるため、現在の競合に加え、パソコンや専用端末におけるゲームメーカーとの競合も予想されます。

 当社としましては、これまで培ってきたモバイルゲーム運営のノウハウを生かして、ユーザーのニーズに合致した独自性の強いタイトルの投入を継続していく所存ではありますが、競争環境の更なる激化等、競合の状況によっては、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑦ブラウザタイトルへの依存について

 「ぼくのレストランⅡ」「ガルショ☆」など女性ユーザーが多くライフタイムバリューが高いブラウザタイトルを運営しており、現時点では、依然としてブラウザタイトルの売上高の割合が高くなっております。今後ユーザーの嗜好性の変化等により、ブラウザゲーム市場が縮小した場合には、当社の業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧システム障害について

 当社の事業は、サービスの基盤をインターネット通信網に依存しており、自然災害や事故などにより通信ネットワークが遮断された場合には、サービスを提供することが不可能な場合があります。また、アクセスの一時的な増加による負荷増大によって、当社のサーバーが停止し、サービス提供に支障が出る場合があります。

 更には、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入等の犯罪や当社担当者の過誤等によって、当社のシステムに重大な影響が出る場合があります。当社としましては、定期的なシステムのバックアップを実施するとともに、外部のデータセンターを利用することでセキュリティ強化や安定的なシステム運用が出来るような体制の構築に努めておりますが、前述のような状況が発生した場合には、当社への損害賠償等により直接的な損害が生じる可能性のほか、当社及び当社システムへの信頼の低下により、間接的に当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑨個人情報の管理

 当社は、当社が運営するモバイルゲームの利用者の個人情報を取得する場合があります。当社では、セキュリティポリシーを定めるとともに、社内教育を通じて関連ルールを周知徹底し、「個人情報の保護に関する法律」の遵守に努めております。また技術的対応として、専用サーバーに保管しアクセス制限を設けるなど、システムの強化等に努め、個人情報の厳格な管理を行っております。しかしながら、このような対策にも関わらず個人情報の漏えい等の事態が発生した場合には、当社に対する信用の失墜、損害賠償の請求等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩サイトの健全性、安全性の維持

 当社がネイティブアプリケーションのタイトル展開を行う「App Store」「Google Play」においては、不特定多数の個人会員が各会員間においてコミュニケーションが取れる掲示板を当社が設置し、監視・管理を行う必要があります。当社としましては、健全なコミュニティを育成するべく、ユーザーに対して利用規約で不適切な利用の禁止を明示しております。また、常時適切なモニタリングを行い、規約違反に対しては厳重に対処していく所存でおります。しかしながら、会員によるアプリケーション内の行為を完全に把握することは困難であることから、会員の不適切な利用に起因するトラブル等が生じた場合には、利用規約の内容にかかわらず当社が法的責任を問われる可能性があるほか、当社及び当社アプリケーションへの信頼の低下により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(2)事業運営・組織体制に関するリスク

①人材の採用と育成について

 当社は、継続して優秀な人材の確保・育成が重要な課題となります。現在も採用による人材の獲得に加え、テレワークや福利厚生の充実等の環境改善、社員の育成及び人材の流出に対応した各種施策を推進しております。しかし、新規の採用や社内における人材の育成が計画通りに進まず、適正な人員配置が困難になった場合は、増強を要する部門に業務委託契約による委託先や派遣社員を投入することが必要な場合も想定されます。これにより、一時的な業務委託費等の発生、必要な能力を有した人材の適所への配置の困難、社内に知見等のノウハウが蓄積されないことなどが当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

②内部管理体制について

 当社は、内部関係者の不正行為が発生しないよう、法令や企業倫理に沿った各種規程や行動指針を制定するとともに、内部通報制度や内部監査室・監査役会の設置等、内部統制の充実を図っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為等、不測の事態が発生した場合、当社の業績及び事業展開に重要な影響を与える可能性があります。

 

③知的財産権の管理

 当社は、自社で提供しているサービスに関して、第三者が保有する知的財産権を利用する場合には、当該第三者の使用許諾を得ており、今後も第三者が保有する知的財産権を利用する場合は、同様に使用許諾を得る方針であります。また、当社役職員・従業員による知的財産権の持ち出しがリスクとして考えられますが、社内の管理体制を強化し、社員教育の強化を図っております。現時点で、第三者より知的財産権に関する侵害訴訟を提起または通知されている事実はなく、一切他者の知的財産権を侵害していないという認識ではありますが、万一、当社の認識外で、第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求や使用差止請求を受け、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

 当社は、取締役及び従業員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブとしてストック・オプションを付与しているほか、今後も優秀な人材確保のためストック・オプションを発行する可能性があります。また、資金調達と資本の充実を目的として、ストック・オプション以外の新株予約権も発行しております。現在付与されている、または今後付与又は発行する新株予約権の行使が行われた場合、発行済株式数が増加し、1株当たりの株式価値を希薄化させる可能性があります。2021年12月末現在、これらの新株予約権による潜在株式数は467,000株であり、発行済株式総数13,843,560株の3.4%に相当しております。なお、2022年1月11日付で第三者割当による行使価額修正条項付第15回新株予約権を発行しております。この潜在株式数は3,400,000株であり、これは発行済株式総数13,843,560株の24.6%に相当しております。

 

⑤配当政策について

 当社は、株主に対する利益還元について経営の最重要課題の一つとして位置づけており、剰余金の配当については総配分性向を重視しつつ、より高い水準に引き上げることを目指しております。

 当社は、今後も事業展開に備えた内部留保の充実に努め、成長を継続させることで企業価値を高めてまいりますが、あわせて、当社株式を保有する株主の皆様に対する利益還元として、総配分性向20%を目途とした業績に応じた株主配当を継続的に実施させていただく方針です。しかしながら、配当政策が業績に連動しているため、業績が悪化した場合、これにともなって配当が減少し又は無配となる可能性があります。

 

⑥新型コロナウイルス感染症について

 新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、我が国経済への影響は依然として厳しい状況が続いており、ワクチン接種が進み回復の兆しがみられたものの、新たな変異ウイルスの感染症の急速な拡大により、先行きは極めて不透明な状況が続いております。当社におきましては、従業員の感染を防止するために、テレワーク(在宅勤務)の導入、徹底した衛生管理を行っております。スマートフォン等を利用したオンライン型のビジネスを展開していることから、現時点では売上高への重要な影響はなく、当社に与える影響は軽微であると判断しております。しかし、新型コロナウイルス感染症の拡大が長期に渡った場合、個人消費の冷え込みに繋がることが懸念され、当社の業績への影響が大きくなる可能性があります。

 

(3)重要事象等について

 当社は、前事業年度まで6期連続となる営業損失及び7期連続となるマイナスの営業キャッシュ・フローを計上しており、当事業年度においても、営業損失257百万円、マイナスの営業キャッシュ・フロー526百万円となりました。

 これにより、継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社は、当該事象又は状況を解消し事業基盤及び財務基盤の安定化を実現するために、以下の対応策を講じております。

a.事業基盤の安定化

 徹底的なコスト削減や、事業の選択と集中により、事業基盤の安定化を図ってまいります。具体的には、既存タイトルについては、各タイトルの収益状況に応じた人員配置を行うなど運営体制の見直しを継続的に行うことによりコスト削減を図るほか、その中においても収益が見込めない既存タイトルについては、それらの事業譲渡・配信終了も視野に対応する方針であります。また、他社IPタイトルとのコラボレーションを実施するなど、他社IPの協力を得ることによりユーザーのログイン回数や滞留時間の増加を図り、売上収益の拡大を進めてまいります。今後の新規タイトルにつきましては、運営にオフショア(中国/ベトナム)を活用することにより、国内人材が新規開発に特化できる体制を構築いたします。人員体制及び協力企業の制作力・技術力を踏まえ、過去事例を参考に慎重に工数を見積

もることで、開発スケジュールの遅延等による開発費の増加が生じないよう努めてまいります。また、IPの価値と経

済条件を踏まえ収益性が高く見込まれるタイトルに対して優先的に開発・運営人員を配置することにより、当社の収

益改善を図ってまいります。

b.財務基盤の安定化

 財務面につきましては、財務基盤の安定化のため、複数社の取引金融機関や協業先と良好な関係性を築いており、引き続き協力を頂くための協議を進めております。なお、2022年1月11日付で発行した第三者割当による行使価額修正条項付第15回新株予約権が2022年2月28日までに7,322個行使された結果、238,282千円の資金調達をしており、財務基盤の安定化が図られております。売上高やコスト等の会社状況を注視し、必要に応じてすみやかな各種対応策の実行をしてまいります。

 しかしながら、既存タイトルの売上動向、新規タイトルの売上見込及び運営タイトルの各種コスト削減については将来の予測を含んでおり、引き続き業績の回復状況を慎重に見極める必要があること、今後の新株予約権の行使に関しては株価下落などにより当初想定した資金調達額を確保できない可能性があることから、現時点では継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められます。

 なお、財務諸表は継続企業を前提として作成しており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。

 

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