(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループの主力事業が属するインターネット広告市場について、㈱電通の調べによれば、2020年のインターネット広告費は、新型コロナウイルス感染症拡大による消費の低迷および広告出稿減少の影響を受けたものの他メディアよりも早く回復基調となり、2兆2,290億円(前年比5.9%増)となりました。
運用型広告費は、巣ごもり需要によってSNSやEC、動画配信サービスへの接触機会が増え、大手プラットフォーマーを中心とした運用型広告の需要が高まったことにより、1兆4,558億円(同9.7%増)となりました。また、マスコミ四媒体由来のデジタル広告費は、運用型広告の活用がさらに進み、803億円(同12.3%増)となりました。
こうした環境のもと当社グループでは、①メディアコミュニケーションを中心に広告枠の販売及びソリューションを提供する「パートナーセールス事業」、②広告配信プラットフォームを運営する「アドプラットフォーム事業」、③自社メディアや、EC・ゲーム・人材領域でのサービスを運営する「コンシューマー事業」の3セグメントにおいて事業を展開し、持続的な成長を実現するべく当社グループ全体での垂直統合を推進してまいりました。
この結果、当連結会計年度の業績は、売上高25,821百万円(前年同期比14.8%増)、営業利益4,973百万円(同43.6%増)、経常利益5,614百万円(同68.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,104百万円(同74.3%増)となりました。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。なお、各セグメント別の売上高は、セグメント間の内部売上高及び振替高を含む数値を記載しております。
また、当連結会計年度より、組織再編に伴い、従来「アドプラットフォーム」セグメントに含まれていた一部の事業を「パートナーセールス」セグメントに区分を変更しております。そのため、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後の報告セグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
(パートナーセールス事業)
パートナーセールス事業では、メディアコミュニケーションを中心に広告枠の販売及びソリューションの提供を行っております。運用型広告や販促・EC関連サービスへの取り組み、自社商材・ソリューションの販売拡大等による、新たな収益源の獲得に取り組むとともに、業務効率化の推進により既存事業の生産性を向上してまいりました。
この結果、当連結会計年度におけるパートナーセールス事業の売上高は11,596百万円(前年同期比29.9%増)、セグメント利益は2,816百万円(同98.5%増)となりました。
(アドプラットフォーム事業)
アドプラットフォーム事業では、運用型広告プラットフォームとして「Zucks」、「PORTO」、「テレシー」等の運営を、メディア支援サービスとして「fluct」等の運営を行っております。各プラットフォーム及びサービスにおける機能の向上・拡充に取り組むとともに、顧客企業の需要を取り込み、堅調に推移いたしました。
この結果、当連結会計年度におけるアドプラットフォーム事業の売上高は7,549百万円(前年同期比6.8%増)、セグメント利益は1,844百万円(同16.0%増)となりました。
(コンシューマー事業)
コンシューマー事業では、「ECナビ」や「PeX」を中心としたポイントを活用した自社メディアの運営に加え、EC領域、HR領域を強化領域として、中長期的に次の柱となる事業を生み出すべく積極的な投資を進めております。
この結果、当連結会計年度におけるコンシューマー事業の売上高は6,695百万円(前年同期比3.1%増)、セグメント利益は312百万円(同31.3%減)となりました。
財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産の額は、前連結会計年度末より6,117百万円増加し、55,376百万円となりました。これは、主に現金及び預金の増加によるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の額は、前連結会計年度末より2,914百万円増加し、27,619百万円となりました。これは、主に未払法人税等と買掛金及びその他流動負債の増加によるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の額は、前連結会計年度末より3,203百万円増加し、27,757百万円となりました。これは、主に利益剰余金及びその他有価証券評価差額金が増加したものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ5,430百万円増加し、21,031百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは7,102百万円の増加(前年同期間は2,013百万円の増加)となりました。主な要因は、利益の計上によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは765百万円の減少(前年同期間は66百万円の増加)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得と無形固定資産の取得により資金が減少したことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは1,215百万円の減少(前年同期間は892百万円の減少)となりました。主な要因は、配当金の支払いにより資金が減少したものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績及び受注実績
当社グループの事業内容は多岐にわたっており、受注生産形態をとらない事業も多いことから、セグメント別に生産の規模及び受注の規模を金額あるいは数量で示すことが馴染まないため、記載しておりません。
b. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
前年同期比(%) |
パートナーセールス事業(百万円) |
11,596 |
+29.9% |
アドプラットフォーム事業(百万円) |
7,529 |
+6.6% |
コンシューマー事業(百万円) |
6,695 |
+3.1% |
合計(百万円) |
25,821 |
+14.8% |
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.直近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先 |
前連結会計年度 (自 2020年1月1日 至 2020年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2021年1月1日 至 2021年12月31日) |
||
金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
㈱電通デジタル |
3,013 |
13.4 |
3,919 |
15.2 |
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度末における経営成績等の状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。そのため実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。また、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等の状況
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。また、当社グループの経営成績等に重要な影響を与える要因については、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
また、2019年2月14日に公表した、2019年から2022年までの4ヶ年の中期経営計画「CARTA 2022」の初年度から3年目となる当連結会計年度までの達成・進捗状況は以下のとおりです。
期 間 |
EBITDA (百万円) |
|
計 画 |
実 績 |
|
2019年1月1日~2019年12月31日 |
3,100 |
4,084 |
2020年1月1日~2020年12月31日 |
3,700 |
4,527 |
2021年1月1日~2021年12月31日 |
4,500 |
6,703 |
※ EBITDA(利払い前・税引き前・償却前利益)は、税金等調整前当期純利益に支払利息、減価償却費、償却費、のれん償却費、固定資産除却損及び減損損失を加えた金額です。
最重要指標であるEBITDAは、初年度から3年目となる当連結会計年度までのそれぞれにおいて、当初の計画を上回る実績となり、順調に進捗しております。これは主に、パートナーセールス事業においてはブランドを重視する広告主のデジタル広告への移行が進みこの需要を取り込んだこと、アドプラットフォーム事業においては運用型広告市場の拡大やサービス・プロダクトの競争力強化を背景に堅調に推移したことによるものであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの概況につきましては、上記「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
資金需要及び資金調達につきましては、当社グループは、事業規模の拡大と収益源の多様化を進めるために、新サービス及び新規事業に取り組んでいく考えであります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本とし、必要に応じて資金調達を実施致します。
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