課題

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

 当社グループ(当社及び当社の関係会社)は「世界にインパクトを与えなければ、気がすまない」という経営理念及び「次のあたりまえを創る。何度でも」というミッションのもと、インターネット、スマートフォン等を通じた様々なビジネス領域において、多くのユーザーに支持されるサービスの企画・制作・運営を行っています。

 

(2) 経営戦略等

 当社グループは売上高・利益の更なる成長を目指しております。そのため、一事業に依存しない事業の多面展開を図り、強固で安定感のある事業ポートフォリオを構築しております。中長期での事業戦略としては積み上げ型の事業と爆発力のある事業の推進に努めております。

 積み上げ型の事業において、マッチング事業で展開する『with』のユーザー数が順調に増加し、売上高構成比は77.0%(前連結会計年度は53.2%)とより一層高まり、順調にトップラインを伸ばしております。オンライン恋活・婚活マッチングサービスのマーケットは拡大が続き2025年には市場規模1,060億円になる予測(注)もあることから、当連結会計年度の下期よりプロモーションをさらに強化しており、翌連結会計年度以降においても、効果的かつ効率的にプロモーションを実施していくことにより、『with』のユーザー数・トップラインともに成長するよう努めてまいります。なお、マッチング事業において、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、当初、『with』においてユーザーの利用頻度が低下する可能性があると予測しておりましたが、引き続き堅調に推移しており、今後も当該事業への業績に与える影響は軽微であると考えています。

  積み上げ型の事業とは別に、爆発力のある事業として、エンターテック事業において最先端技術であるVR (Virtual Reality:仮想現実) 、AI (Artificial Intelligence:人工知能)、 IoT (Internet of Things:モノのインターネット) に着目したビジネスの商業化に向けた事業投資を行ってまいりました。

  エンターテック事業では、「ライブプラットフォームの運営」と「IP(タレント等)発掘・育成・プロデュース等」の2軸展開で進めております。この2軸で展開していくという垂直統合型の運営をすることがエンターテック事業を推進していく中で大きな差別化になるものと考えております。また、 当社グループは、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い新たなエンターテインメント技術の需要が高まる中、このようなVR技術を活用したライブ展開により新しい音楽マーケットが確立され、今後数年で大きく飛躍するものと考え、事業に取り組んでおります。エンターテック事業に注力することが、中長期的に当社グループの業績向上に資するものと考えております。

 「 ライブプラットフォームの運営」については、VRを通じた新しい音楽体験を創出するためにVirtual Live Platform「INSPIX」の開発を進めVR-HMD(VR-Head Mounted Display:頭部装着ディスプレイ)の普及率に左右されず、あらゆるシーンでライブ体験が可能な仕組みの提供を掲げていましたが、2019年8月に、バーチャルライブアプリ『INSPIX LIVE』をリリースし、スマートフォンでどこからでもVR音楽ライブに参加できる仮想空間を実現しました。『INSPIX LIVE』については、現在、より理想的な顧客体験を実現するためにライブ特化型仮想空間SNS『INSPIX WORLD』への大型アップデートを行っており、積極的に投資をしております。その開発パートナーとして既に8組のパートナーが参画しており、今後もより多くの外部パートナーに参画いただけるよう、プラットフォームのクオリティを高める努力を続けています。当該大型アップデートに加え、同時接続数の拡大のほか、全世界への展開、特に最重要市場である中国への展開を見込み、開発を続けてまいります。なお、『INSPIX WORLD』は、『INSPIX LIVE』のアップデート版となり、従来までのVR音楽ライブ体験にVR空間上でのソーシャル機能を付加させたライブ特化型仮想空間SNSとして展開する計画です。

 「IP(タレント等)発掘・育成・プロデュース等」については、子会社のパルス株式会社単独又は外部パートナーと組み、バーチャルタレントのみならず、リアルなタレントの展開に力を入れています。パルス株式会社は株式会社岩本町芸能社との協業を通じ、アイドルプロデュースのノウハウ蓄積と『INSPIX LIVE』の機能強化に向けた取り組みを行っています。また、2019年5月には、主に男性タレントが所属する芸能事務所、株式会社VOYZ ENTERTAINMENTを立ち上げ、リアルなタレントの展開にも注力しております。今後も音楽ライブやCD等の販売を通じ、KPIである自社IPのファン数拡大を目指してまいります。

 なお、 新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、パルス株式会社において実施している『INSPIX WORLD』への大型アップデート及び他社IPのVRライブの企画・制作につきましては、在宅勤務の増加により生産性の低下に伴う開発進捗の鈍化がみられるものの、開発体制を改善していくことにより、今後も当該事業の業績に与える影響は軽微であると考えています。また、株式会社VOYZ ENTERTAINMENTは、所属タレントによるイベントにおいて当面の間一部中止や延期、内容変更することを決定いたしました。これに伴い、新規ファンの獲得や売上貢献が当初の見込みよりも遅れることとなりました。今後の活動に関しては、状況を見定めながら細心の注意を払い随時運営方針を検討してまいりますが、事業規模が大きくはないことから、今後も当該事業への業績に与える影響は軽微であると考えています。

 

(注)出典:株式会社マッチングエージェント/株式会社デジタルインファクト

 

(3) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループの重視している経営指標は、売上高及び営業利益であります。IT業界は市場の変化が激しいため、当社グループでは、既存の収益基盤の拡大に加えて新たな収益源を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。前連結会計年度及び当連結会計年度を含め、3期連続で営業損失を計上しておりますが、マッチング事業の強化による売上維持・拡大やエンターテック事業の選択と集中による事業の選別と早期収益化等を推進してまいります。

 

(4) 経営環境

 マッチング事業の主要な事業領域である国内オンライン恋活・婚活マッチングサービス市場規模は、近年拡大を続けており2025年には1,060億円に達すると予測されております((注)1)。また、エンターテック事業の主要な事業領域であるAR(Augmented Reality:拡張現実)/VR(Virtual Reality:仮想現実)の表示機器の世界市場は、2030年には16兆1,711億円に達する見通しだと予測されており((注)2)、いずれも引き続き高い成長が見込める市場だと考えております。

 

(注)1.出典:株式会社マッチングエージェント/株式会社デジタルインファクト

2.株式会社富士キメラ総研

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① 収益基盤の確立及び安定化と事業成長

 最先端技術を活用した様々なデバイスの登場により、IT業界では日々市場環境の変化が起きており、当社グループでは、既存の収益基盤の拡大に加えて新たな収益源を確保することが、経営上重要な課題であると認識しております。当社グループでは、事業環境の変化や事業規模の変化に迅速かつ適切に対応し、事業の選択と集中を図りながら、更なる成長を目指します。そのための成長戦略として以下の2つの大きな柱を掲げております。

(a) 収益基盤の安定化と成長

イ.マッチング事業の収益力向上

 マッチング事業については、心理学を活用した機能拡充等によって更なるユーザービリティの強化を行うことにより、サービスの高度化と事業領域の拡大に努めてまいります。また、効果的な広告投資を積極的に実施することにより、業績の向上・安定化を目指します。

ロ.エンターテック事業の開発・運営体制の確立による収益への貢献

 エンターテック事業については、VR技術を活用したプラットフォームの企画・開発・運営とエンターテインメント分野における各種IPのマネジメントを通じて、今までにない新しいVRプラットフォームを構築し、当社グループにおける収益へ貢献すべく、高い成長率を目指します。

 

(b) 潜在的ニーズを掘り起こした新たな市場・新たなビジネスモデルの創造

 企業ミッション「次のあたりまえを創る。何度でも」を実現すべく、今後もニーズを掘り起こした新たな市場・新たなビジネスモデルを創造すべくチャレンジしてまいります。

 

上記、各成長戦略を推進することにより、収益基盤の確立及び安定化に努めていく方針であります。

 

② 組織体制の強化と内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化

 当社グループは、今後更なる事業拡大を推進し、持続的な成長を目指すため、従業員のモチベーションを引き出す目標管理制度等、従業員の成長を促す人事制度構築に努めながら、業務遂行能力、人格、当社の企業文化及び経営方針への共感を兼ね備え、グローバルに活躍できる優秀な人材の育成及び採用に取り組んでまいります。また、内部統制の実効性を高めるための環境を整備し、コーポレート・ガバナンスを充実していくことにより、内部統制及びコンプライアンス体制の充実・強化を図ってまいります。

 

③ システム基盤の強化

 当社グループは、スマートフォンアプリをApple Inc.のスマートフォン「iPhone」・タブレット端末「iPad」などのiOS搭載端末向け、及びGoogle Inc.のAndroid搭載端末向けに展開していることから、サービス提供に係るシステム稼働の安定性を確保することが経営上重要な課題であると認識しております。そのため、各種アプリを運営する上では、ユーザー数増加に伴う負荷分散やユーザー満足度の向上を目的とした新規サービス・機能の開発等に備え、設備への先行投資を継続的に行っていくことが必要となります。当社グループは、その重要性に鑑み、今後においてもシステム基盤の強化への取り組みを継続していく方針であります。

 

④ 技術革新への対応

 当社グループは、先端的なテクノロジーを基盤にした新規サービスや新たなインターネット端末等の技術革新に対して適時に対応を進めることが、事業展開上の重要な要素であると認識しております。各々の技術革新の普及の進展を見ながら、柔軟な対応を図っていく方針であります。

 

⑤ グローバル展開への対応

 当社グループは、世界のスマートフォンアプリ市場への展開を迅速に推進することが、今後の一層の事業拡大を目指す上で重要であると認識しております。主に当社の連結子会社であるパルス株式会社で開発・運営しているVirtual Live Platform「INSPIX」では、国内のみならず世界規模で多くのVRタレントとユーザーに活用していただくために、中国や北米への展開を決定しております。

 

⑥ ニューノーマル時代の新たな働き方への対応

 新型コロナウイルス感染症の拡大や大規模な自然災害の発生により、テレワーク等による働き方が日常となり、社会全体で新たな生活様式(ニューノーマル)の時代へと移り変わろうとしております。当社グループでは既に最先端技術に着目した様々なデジタルサービスの企画・開発・提供を行っており、新たな生活様式の中でも多くの方に付加価値を提供できるよう邁進しております。

 今後も生活者のコミュニケーションや消費行動、サービスの体験方法に大きな変化が起こる場合には柔軟かつ機動的に対応し、都度状況に合った新しい体験価値の提供を推進したいと考えております。また、就業環境におきましても働き方が多様化している中で、社員が業務パフォーマンスを発揮できる制度・環境を整備することで、事業を持続的に成長できるような体制を構築してまいります。

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